まぁ、一人も来なかったよ笑
そんなこんなで、最終決戦間近ですよ!……ローマの……
どうぞ〜
「この道で間違い無いのだな、荊軻よ」
「無論だ。案ずることはない。私が皇帝の元へと送りとどけよう」
場内を進むのは荊軻、ネロ、士郎、マシュ、そしてエリザベートの5人。
立ち直ったネロの指揮のもと、正規ローマ軍は一気に連合ローマ首都へと攻め込んだ。将軍たちも戻り、完全な最高戦力を整えた上での進撃。もはや止められるものではなかった。
最後に残るは連合の宮殿。おそらく意図的にであろう、ネロの住んでいたそれとよく似ている。敵も最後の戦力、兵やゴーレム、キメラ、そして大量のシャドウサーヴァントまでもを待機させ、正規ローマ軍を迎えた打った。
戦いに終止符を打つべく、敵側の最後の皇帝を倒すべしとエルメロイII世が判断した。多すぎると目立つため、最小の人員での突入を提案したのだった。
そこで選ばれたのがアサシンの荊軻、決着を自分の手でつけたいというネロ、そのサーヴァントとしてついて行くと決めていたエリザベート、そしてレフ・ライノールを見つけるチャンスと考えた士郎とマシュだった。
『敵の軍勢は我々が引きつけよう。何、数こそ多いが、サーヴァントの敵ではないさ。お前たちは神祖ロムルスを倒せ。それでこの戦争は終わる』
そう言って、エルメロイII世は彼らを送り出した。
場内にわずかに残っていた敵軍の残りを倒しながら、士郎たちはどんどん奥へと進んで行く。通路の奥には大きめの扉、ゴクリと喉を鳴らしたのは誰か。
「行くぞ」
ネロの言葉に、皆が頷く。ドアを押し開け、彼らはその部屋の中に入っていった。
「……来たか、ローマの愛子よ」
男は玉座に座して彼らを出迎えた。まるで来ることを最初から予想していたかのように、驚く気配が全くない。
「神祖、ロムルス……」
「いい輝きだ。大きな迷いが晴れ、より純度の高く、強い輝きだ。答えは得たようだな。今一度問おう、皇帝よ。
立ち上がり、その両手を広げる。まるで子供に飛び込んで来いと誘う親のような動作で、ロムルスはネロを誘う。
神祖ロムルス。ローマの建国王にして、皇帝の中の皇帝。真のローマとして皇帝の上に君臨せし者。その者の誘いに対し、ネロは、
「行かぬ!例え過去の大王であろうと、肉親であろうと、ローマの起源であろうとも、今の皇帝は余只一人!過去、現在、未来であろうと、ローマ帝国五代目皇帝は、このネロ・クラウディウスに他ならぬ!例え何人であろうと、その余が統治するローマを乱すのであれば、余が許さん。故に神祖ロムルスよ、余はそなたと戦おう!」
真正面から誘いを断ってみせた。一切の迷いなく、揺るぎない決意を胸に、ネロは神祖、否、ローマの敵に刃を向ける。
「許すぞ、愛子よ。お前の思うローマのあり方、
槍を手に取り、ロムルスが一歩前に出る。それだけで圧力を感じる。圧倒的な存在感と、強烈なまでの威厳。その両脇には守護獣のように、他よりも一回りは大きいキメラが現れる。
「みな、余に力を貸せ。ここでローマを、余の正き統治を、取り戻す!」
「行くわよ!」
「最後の皇帝の首、貰い受けるとしよう」
「先輩、戦闘開始します」
「ああ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ぐっ!」
キメラの一撃を受け流しながら、士郎が一歩後ろに下がる。鋭い爪による一撃は、幾たびかの打ち合いを経ていたとはいえ、士郎の手に持つ干将・莫邪を砕くことに成功した。
「なんてやつらだ」
ジャンヌが圧倒した、あの島で出会った神代の怪物と比べると怪物としての質は劣っているものの、流石に強化されているだけあって、これまでのキメラよりもはるかに強力な相手になっている。体格が大きくなり、パワーが上がっているのは当然のこと。それに加えて今までとは比べ物にならないほど素早く動き回り、更には魔力弾という遠距離攻撃まで備わっている。
「先輩、大丈夫ですか?」
「ああ」
もう一体のキメラと戦っていたマシュが、相手の攻撃を受け止めた反動で士郎の元まで後退してくる。その隣に短剣を構えた荊軻が並び立つ。
「流石に連合のリーダー。そう簡単に突破させてはくれぬか」
「ネロさんとエリザベートさんの二人だけで大丈夫でしょうか?」
「ああ。でも、今はこいつらを倒すことを考えたほうがいいな」
牙をむきだし、キメラたちがうなり声をあげている。ギラギラ輝いてる瞳は、士郎たちをしっかりととらえている。こいつらにこれだけ苦戦を強いられているのだ。あの時ジャンヌがいなかったらと思うと、ぞっとする。
「さてマスター、どうする?真正面から戦うのでは些か分が悪いように見えるが」
「三人で連携しながら攻撃しよう。マシュ、負担がかかるかもしれないけど、前衛で敵を引き付けてくれ。俺は弓や剣を使って援護する。荊軻は隙を見つけて、とどめを刺してくれ」
「了解した。どんなわずかな隙も逃さぬよう、気を張っていよう」
「マシュ、いけるか?」
「問題ありません。任せてください」
再び干将・莫邪を投影し、構える士郎。マシュと視線を合わし、そのままキメラに向かって駆けだした。
「たぁっ!」
「このっ!」
ネロとエリザベートの息の合ったコンビネーション攻撃が繰り出される。カリギュラを仕留めた二人の連携はそんじょそこらのコンビとは比べ物にならない。だというのに、ロムルスはその連携攻撃を片手で振るう槍だけで完全に防ぎきっている。
「ロムス!」
「ぬぅ!?」
「きゃっ」
連携のわずかな隙をついたロムルス。横なぎに振るわれた槍の一撃が、防御していたはずの二人をあっさりと弾き飛ばす。膝をつく二人を、ロムルスは涼しげな顔で見つめる。
「うむぅ、さすがは神祖……余らの連携でようやく互角……否、むしろそれでも押されておる」
「ほんと出鱈目ね」
「当然。
自信満々に……いや、これは自信ではない。自信などというちんけなものではない。
ロムルスはただ事実を述べているだけ。
皇帝であれば誰もが反論することさえできない、純然たる事実。
しかしそれでも抗わなければならない。
今の皇帝として。未来を作っていく皇帝として。
「余は、負けられないのだ!」
「そのいきね。あたしだって、負けられないわね。まだ二人でのリサイタルができていないもの」
「うむ。盛大なものとしようぞ。ローマの全てが、我らを讃えるであろう」
「当然よ。最強のアイドルユニットなんだもの!」
笑顔を向けあいながら、ネロとエリザベートが武器を手に立ち上がる。その様子を見たロムルスの口元に笑みが浮かんだのには、誰も気づくことができなかった。
「行くぞ!」
「任せて!」
駆け出すネロとエリザベート。闘志は折れず、むしろ強い眼差しで敵を見据えている。ロムルスが手に持つ槍を振るい二人を迎え撃つ。再び、彼女らは激しい戦闘に突入する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「マシュ!」
「はい!
同時に飛びかかってくるキメラの攻撃を、巨大な壁が阻む。マシュの宝具による防御を、二体のキメラは突破できない。
「
キメラの真上から、士郎が作り出した剣が降り注ぐ。一体は逃れたものの、もう一体は四肢を貫かれ、身動きが取れなくなっている。
「荊軻!」
「
音もなく忍び寄った荊軻の短剣がキメラの喉を切り裂いた。鮮血を首から噴き出しながら、ゆっくりとキメラの巨体が崩れ落ちる。
「まずは一匹」
「畳み掛けます!」
仲間の死にも怯まず迫りくるキメラを、マシュの渾身の一撃が吹き飛ばす。着実に戦闘に慣れてきているマシュ。士郎の指示がなくても、即座に対応できるようになってきている。
追撃のために、飛び上がり、盾を振り下ろすマシュ。それをかわし、キメラが反撃しようとするも、マシュに気が向いているその隙に、反対側から荊軻が切りつける。致命傷とはならないものの、キメラの気を散らすには十分だった。
「二人とも、下がれ!」
士郎の声に、マシュと荊軻がキメラから距離を取る。キメラが声の方向へ大口を開けて飛びかかる。と、その口の中に、士郎の投げつけた剣が飛び込んだ。
「弾けろ!」
突然、キメラの体を突き破り、幾つもの刃が飛び出してくる。剣自体はランクが低く、それ単体では体内を刺したとて、到底キメラを倒せるものではない。しかし、剣に付与されたのは分裂する性質。体内に放り込まれたその剣が、そこで分裂し、キメラの体内から突き破る。
「鮮やかだな。しかし、いささかやりすぎにも見えるが。マシュには刺激が強すぎるのではないか?」
「あ。そうだな……ごめん」
「いえ、そんなことはないです。私は先輩のサーヴァントですから。これくらいで」
「……無理はしないでくれよ。マシュは俺のサーヴァントだけど、だからといって何でもかんでも俺のすることに意見しないってことじゃないんだからな。マシュが嫌だって思うなら、ちゃんと伝えて欲しい」
「……わかりました。でも、問題はありませんから」
「?……なら、いいんだけどさ」
マシュの言葉にどこか違和感を感じた士郎。けれども追求している暇はない。まだ後一人、大物が残っているのだから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はぁっ、はぁっ」
「っもう!本当に強いわね」
「ここまでだ、愛子よ。お前の愛では、
ロムルスが手に持っていた槍を地面に突き刺す。莫大な魔力を集中させているその様子から、エリザベートは察した。あれは宝具だ。ローマ神祖と呼ばれる男の切り札。
「まずっ、ネロ!」
「遅い。すべて、すべて、我が槍にこそ通ず」「――
国造りの槍と謳われる宝具。それを起点に、ローマの誕生から滅亡までを見守り続けたという大樹が顕現する。それは怒涛の奔流をもってして敵を押し流す、過去・現在・未来、帝都ローマの全てを相手にぶつけるもの。皇帝であろうと、否、皇帝であるが故に、この宝具は絶大な威力となる。
迫りくる宝具の一撃を前に、ネロとエリザベートは避けない。いや、その奔流はそもそも逃れられるものでもない。
「くっ!」
「な、エリザベート!何をしておる!」
せめて今を生きるネロだけでも、そんな思いで、エリザベートがネロを庇うように前に立つ。自分はサーヴァント、負けたとて、それは死ぬわけではなく座に戻るだけ。この戦いに勝つために、絶対にネロは欠けてはいけない。だから、
「今ここで、
地面を踏みしめ、敵を見つめるエリザベート。槍を構え、守りの態勢に入る。
「勝ってよね、
宝具が、エリザベートの元へと、辿り着いた。
やっぱり、千子村正は実装されませんでしたね〜
まぁ、しかし、あのbgmは思わず叫んでしまうほどだった……
やっぱ士郎カッケーって改めて思いましたね