正義の味方の人理修復   作:トマト嫌い8マン

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ソロモンよ、私は帰って来た!

作品違いますね、はい。
そして帰ってきたと言ってもこのクオリティですんません。


客将たちとの出会い

翌朝、朝早くに起きた士郎は日課のトレーニングを行い、宮殿の外へと出た。そこで彼が見たのは二つの影が剣を交える様子だった。一つはネロ、もう一つはアーチャーだろう。ネロの見惚れるほど華麗な剣技に対し、無骨ながらも堅実な剣技で迎え撃つアーチャー。サーヴァントであるはずのアーチャーと渡り合えているところを見ると、ネロが英霊となった時は、自分の知っているセイバーと同等の格を持つのではないだろうか。撃ち合いが一時中断され、呼吸を整えるネロ。あたりをざっと見渡した視線が、士郎をしっかりと捉えた。

 

「おぉっ、シロウではないか。お主も早いのだな」

「ネロこそ。こんな朝からトレーニングをしていたのか?」

「うむ。敵である連合ローマは思っていたよりも手強い故な。アーチャーに協力してもらっているのだ」

 

「ネロ、そろそろ私は失礼しよう。朝食の用意をしなければならないからな。続きはそいつに頼むといい」

 

そう言ってアーチャーは干将・莫耶をしまい、さっさと行ってしまった。一度共闘したとはいえ、やはり士郎にとっても、アーチャーにとっても、互いの存在はどこか気まずくなる。もう戦う理由もないのにも関わらずだ。

 

「ではシロウよ。余の相手をせい。そなたの剣技、今一度示して見せよ!」

「仰せのままに、皇帝陛下」

 

クスリと笑ってからすぐに干将・莫耶を投影する。身体強化を施し、士郎は駆け出したネロを迎え撃つように走り出した。

 

 

互いに一歩も引くことなく、二人の打ち合いは終了した。流石に二人とも疲れてしまったし、そろそろ朝食の用意もできているだろう時間にもなっていた。

 

「うむ。余は満足したぞ!」

「はぁっ、はぁっ。そりゃ良かった」

「しかしシロウ、そなたの剣技、アーチャーのものとよく似ている。扱う双剣も、同じものであろう?同じ師を仰いだのか?」

「えっ………そうだな、確かにそんな感じだな」

 

二人が目指さんとした先にいるのは、同じ人、同じ彼女だ。どちらも彼女に追いつこうとして、そして、そこから今の力を手に入れた。同じ師を持っていたと言っても、間違いではないだろう。

 

「なるほど、故にライバルか。うむうむ。では、朝食にしようぞ。余も話して起きたいことがあるのでな」

「わかった。急ごう」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ガリア?」

 

朝食をとりながら士郎はネロの言葉を反芻する。どうやらそこにいるローマ軍の様子を見に行きたいらしく、それに同伴してもらうとのことだった。ネロ曰く、

 

「そなたらにも会わせたい客将がおるのだ」

 

それぞれがアーチャーと同じく、一騎当千の活躍をしているとか。現段階ではなんとも言えないが、フランスの時のように聖杯に呼ばれたサーヴァントである可能性が高い。早急に接触できることは、こちらとしても望ましい。士郎たちに異論はなかった。

 

留守の間の守りを任されたアーチャーに見送られながら、ネロの率いる小隊はガリアに向けて出発した。

 

 

 

「先輩、大丈夫ですか?」

「あぁ、なんとかな。馬に乗るのって、結構難しいんだな」

 

移動手段としてネロは馬を用意してくれたので乗って見たが、騎乗スキルを保有するサーヴァントたちと違い、士郎は苦戦していた。初めて乗る馬に対する恐怖があったのか、馬の方もなかなか言うことを聞いてくれなかった。しかしそこは根を上げないことで有名な士郎。馬の方もその精神力を感じ取ったのか、しばらくして士郎の言うことを素直に聞くようになった。

 

「シロウは筋が良さそうですね。おとなしい馬でも、いきなり長旅のために乗ることはあまりしないですよ」

「今は一刻も早く戦いを終わらせたいからな。俺のために移動速度を落としたくないしな」

 

まぁ、実際はそこに、アーチャーにバカにしたような笑い方をさせたくない、というのもあるのだが。大人になって余裕が生まれても、アーチャーに対してはムキになってしまうあたり、変わらないところもある。

 

「うむ。そなた、やはりいいな。どうだ?この戦いが終わったら余の元で仕えないか?将軍として高待遇を約束するぞ?」

 

戦闘能力に、サーヴァントたちとの連携。家事スキルに適応力の高さ。ネロは士郎を高く評価していた。士郎だけでなく、マシュやリリィ、ジャンヌのことも気に入っているため、この提案をして見たのだ。

 

「…せっかくの提案なんだけど、それはできない。ここでの戦いが終わったら、俺たちはまた別の戦場に向かうことになる。それは俺たちがやらなきゃならないことなんだ。だから、ごめん、ネロ」

「そうか。ならば仕方がないのぅ。余は寛大故許すぞ、シロウ。だが、せめてこの戦いの間は、余の客将として働いてもらうぞ」

「もちろんだ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「皇帝、ネロ・クラウディウスである!皆の者、働きご苦労であるぞ!」

 

ガリアに設置されていた野営地に辿り着いたネロの一声で、兵士たちから歓声が上がった。流石は皇帝。セイバーとはまた違うカリスマを持っているのだと感心する士郎。セイバーが人の羨望を集めるのに対して、ネロは人の心を集める。汚し難く、見上げるような存在のセイバーと、見上げはするものの共に歩もうと思える存在のネロ。どちらがより優れた統治者が、なんてことはわからないけれど。

 

出迎えてくれた兵の中に、一人赤い髪に白い服装の女性がいるのを見たネロが駆け寄り話しかける。

 

「やっ、ネロ公。ここまでの長旅、大丈夫だった?」

「おおっ、ブーディカ。うむ、余は何も問題はない。そなたこそ、ここの守りは大変ではなかったか?」

「大変じゃないと言ったら嘘になるけど。まぁなんとかやってるよ。スパルタクスも一緒だしね」

 

 

 

「シロウ、あの方」

「あぁ。サーヴァントだな。いや、それよりも、」

「はい。確かに今、ネロさんはあの人をブーディカと呼んでいました」

 

 

「それで、その子達がネロ公の言ってた客将かい?」

「うむ。シロウ、マシュ、リリィ、そしてジャンヌの四人だ。皆中々の腕を持っておる。なんでも連合ローマ帝国の魔術師を倒したいというので、協力してもらうことにしたのだ」

「そっか。初めまして、私はブーディカ。気軽にブーディカさんって呼んでくれていいよ」

「ブーディカ、さん?」

「うんうん。中々いい子みたいだね」

 

ネロの隣で優しげに笑う彼女。サーヴァントクラスライダー、ブーディカ。彼女はブリタニアの勝利の女王として有名だ。が、その彼女がいること、それ自体が士郎には驚きだった。何故なら、彼女が最も憎んでいたであろう相手こそ、今彼女が守ろうとしている、ローマなのだから。

 

「では、ブーディカよ。余は他の兵たちの様子を見てくる。その間、シロウたちを頼むぞ」

「はいよ」

 

去って行くネロを見送るブーティカ。その瞳には恨みや怒りの色は見えない。視線を士郎たちへと戻した後、場所を変えようと提案してきたブーティカに連れられ、士郎たちは少し開けた場所にたどり着いた。

 

「さてと、じゃあ来てもらって早々悪いんだけど、少し手合わせしてもらえるかな?君たちの力を知っておきたいしね」

「それはいいけど、ブーディカさん一人でか?俺たちは四人もいるし、なんか卑怯っぽくて気がひけるんだけど」

「あぁ、それなら心配ないよ。私も一人じゃないしね。おっと、そろそろ来る頃かな?」

 

ブーディカその言葉のすぐ後、何か地響きにも似たものが聞こえた。まるで何か大きなものが勢いよく走っているような。音がどんどん近づいて来る。そして姿を現したのは、

 

「おぉ、圧政者よ!汝を抱擁せん!」

 

とてつもない筋肉の塊だった。




待っててくれた人、いたかなぁ?
まぁ、なんやかんやで復活のエイトマンです。

ペースはともかく、またちまちまと上げていきますんで

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