もうどうしたらいいのやら
皆さんも忙しいとは思いますが、この作品読むときは気楽にどうぞー
海魔と戦いながらも、士郎は敵を分析していた。ジル・ド・レェが生前に魔術を使用していたという話は聞いたことがない。つまり、これらの海魔を召喚する能力は、ジル本人の能力ではないはずだ。
「あの本か」
実際、その本をかざした時からこの辺りに海魔が現れ始めた。さらにこの尋常じゃない数。あの本が宝具で、それ自体が何らかしらの魔力を持っていると予想できる。
「隙を作って一気に近づくか、それとも狙撃するか」
「先輩、後ろです!」
「っ、しまっ!?」
ジルに気を取られすぎた士郎の背後に大きめの海魔が現れていた。その海魔の牙のようなものが士郎を狙った。
が、その海魔は歌とともに飛んで来た魔力弾によって弾かれた。その声に士郎は心当たりがあった。信じられないというような表情で魔力弾が飛んで来た方向、歌が聞こえて来た方向へ目を向ける。
「遅れてしまってごめんなさい。今こそ正義の味方として名乗るべきときよね。フランス国王妃、マリー・アントワネット、ただいま参上!こんな感じかしら?」
「マリーさん!?」
「マリー、なのですか?」
「忘れてしまったの?せっかくジャンヌと友達になったのに。それにシェロ君も、あんなことまでしておいて忘れられたら、私もさすがに悲しいわ」
ゲオルギウスと自分たちを逃がすために、一人竜の魔女に立ち向かったフランスの王妃、マリー・アントワネットに間違いなかった。あの時、どうやって生き残ったのかはわからない。けれども、生きていてくれた。それが嬉しかった。
「本当に、マリーなのですね」
「ええ。またあなたと会えて嬉しいわ、ジャンヌ」
「私もです。でも、どうやって生き延びたのですか」
「ふふっ。とても不器用で、でもとっても優しい
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ジークフリートたち三人はその男と対峙していた。睨みつけるような視線を受けてなお、その男は不敵な笑みを崩さなかった。
「君は誰だ?」
突如現れた新しいサーヴァントにジークフリートたちは警戒した。海魔を倒していたものの、自分たちの味方と決まったわけではなかったからだ。そして何より気になるのは、
「何故その剣を君が持っている?」
男の手に握り締められているのは、白と黒の夫婦剣。彼らからすれば、士郎のよく使う愛用の武器のはずだった。しかし、この男が持っているそれは、寸分違わずに同じものだった。
「そう警戒するな。君たちと戦うつもりはない。私は、この事態の解決のために動くだけだ。そしてこの剣についてはだが、これは私の作り出した贋作にすぎないということだ。それよりも、こいつらを何とかするとしよう。少なくとも、城内の敵さえ何とかできれば問題はないはずだ。それまで、時間を稼ぐとしよう」
そう言い、男は再び海魔の群れへと切り掛かった。敵意がないのであれば、ひとまずは大丈夫だろう。そう判断したジークフリートたちは男の後を追い、戦いを再開した。
短くてすみません
ちょっとずつでも進めようとは思いますので、はい