正義の味方の人理修復   作:トマト嫌い8マン

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セイバーとマシュのぶつかり合いですの!
どこの『風紀委員』?

それはさておき、マシュの宝具発動シーン、アニメのはなかなかカッコ良かったですなぁ



黒き聖剣

「ほぅ、まだ立つというのか?」

 

感嘆の声をセイバーが漏らす。反撃することもできず、マシュはただひたすらに攻撃を防ぎ続けることしかできていない。それでもその心までは折れてはいなかった。敵わないと知りながらも倒れるわけにはいかない。その決意で彼女はまた立ち上がる。

 

「マシュ・・・」

 

士郎の口から呟きが漏れる。それでも彼は拳を強く握り見守るだけだった。その様子に彼は魔術はからっきしでもマスターとしての覚悟を持っていることをオルガマリーは感じ取った。しかしその直後、彼女は視線を前に引き戻された。セイバーの持つ剣、そこへ溢れんばかりの魔力が集まっていた。

 

「答えよう、その瞳に。その覚悟に。この一撃、生半可な覚悟で受けきれると思うな」

 

「まずいわ、あれは間違いなく宝具を使うつもりね。これを耐えられなかったら、ってちょっと待ちなさい!衛宮!」

 

先ほどまで彼女の隣に立っていたはずの士郎が、マシュの元へ駆けて行った。どう見ても自殺行為にしか見えないその行動にオルガマリーは眼を見張る。

 

「卑王鉄槌。極光は反転する。光を呑め!」

約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)!」

 

振り下ろされた剣から、竜の息吹の如き一撃がマシュへと襲いかかる。盾に直撃したそれはマシュには届かない。が、その威力はマシュが盾を手放してしまいそうなほどだった。ただでさえ先程までの攻撃を防ぐので精一杯だったマシュの体には盾をまともに構える力はほとんど残っていなかった。

 

「このまま、では」

 

盾から離れそうになったその手をそっと、しかししっかりと握ってくれる手があった。意識を失いかけたマシュがハッとする。その手の暖かさ、優しさを知っている。彼女の背中にもう片方の手が添えられる。

 

「諦めるな、マシュ」

「先、輩・・・」

 

彼女の背中を支えてくれたのは、マスターである衛宮士郎だった。どうして自分の隣にいるのかとも、危険だから離れるようにとも言えなかった。

 

嬉しかった、手を握ってくれたことが。

 

嬉しかった、隣に立ってくれてることが。

 

嬉しかった、支えてくれてることが。

 

そして嬉しかった。何よりも。

 

「信じてるから」

 

そう言って笑顔をくれたことが。

 

「先輩っ」

 

それだけでなんだか力が湧いてくる気がした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

マシュの体に力が入ったのを感じて士郎は正面に視線を向ける。マシュの手に重ねた自分の手にも少し力を込める。

 

「いいか、マシュ。キャスターの言ってたこと、思い出すんだ」

「えっ?」

「宝具を使うのは本能、気の持ちようだって言ってただろ?マシュの想いが強ければ強いほど、宝具もそれに応えてくれるはずだ」

「私の、想いに・・・」

「俺もそうだった。俺にできたのは、自分の心を形にすることだけ。けど、それこそが俺の力だったんだ。常に自分の中で最も強い自分を、最も望む結果を。自分を、自分の想いを信じろ、マシュ!」

「・・・はい!」

 

自分はどうしたい?この力を持って、この盾を持って、何を成し遂げたい?

 

先輩を守れるようになりたい。信じてるというその言葉に応えたい。どんな危険があったとしても、こうして隣にいてくれる先輩を守れるようになりたい。また一緒に笑えるように、守り抜きたい。自分が盾となって、あらゆるものからこの人を、

 

「先輩を、守りたいんです!」

 

マシュの言葉に、覚悟に、心に呼応するように盾が輝き始める。盾が広がり始め、やがて大きな壁のようになる。その防御力は今までの比ではなく、徐々にではあるが確実に、聖剣の一撃を押し返し始めた。

 

「なんて強固な守りなの。あれが、マシュの宝具?」

 

「これはっ」

 

「マシュ、行け!」

「はぁぁぁあ!」

 

その盾は押し寄せる攻撃をセイバーへとそのまま返したのだった。激しい爆発が起こり、セイバーの攻撃がやむ。マシュの盾の輝きもまた微弱になり始め、壁も消えていった。




アニメでは令呪使ってましたね
こっちでは使わないでいてもらいましょう

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