学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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痛い天才夫婦の新婚旅行⑤

翌日……

 

「……もう朝か」

 

光を感じたので目を開けると、窓から朝日がさして部屋を明るくし、雀がチュンチュン鳴く声が耳に入る。太陽はそこまで高く上がっていないのでまだ早朝だろう。

 

「んんっ……ん〜」

 

そこまで考えていると耳元から寝息が聞こえてきたので横を見れば……

 

 

「……そういえば、昨日はエルネスタ殿を食べんだったな……」

 

エルネスタ殿が一糸纏わぬ姿で我の身体に抱きついている。表情を見る限り幸せそうなので良い夢を見ていると推測出来る。

 

(今の時間は6時前……まさか朝チュンを経験するとはな)

 

昨夜我はエルネスタ殿と1つになった。そして朝になってお互いに生まれたままの姿でスズメの鳴き声を聞く……普通に朝チュンであるな。

 

そこまで考えている時だった。

 

「んんー……朝か〜」

 

そんな声が聞こえたかと思えばエルネスタ殿も目を覚ましていた。一糸纏わぬ姿で眠そうに目を擦る姿は不思議と魅力的だった。

 

すると向こうも我に気付いたようで艶のある表情を浮かべながら我に絡みついてくる。

 

「……おはよう将軍ちゃん。昨日は激しかったね」

 

「否定はしない……が、エルネスタ殿も大差ないだろうに」

 

最初は怯えていたが、終盤になってからのエルネスタ殿は比喩表現抜きで卑猥だった。物凄い大きな声で喘ぎながら我の名を呼んでいたし。あれ絶対に隣の部屋に聞こえていたと思う。

 

「そ、それはそうだけど……あ、アレは将軍ちゃんが激し過ぎたからだよ!」

 

するとエルネスタ殿は真っ赤になりながらも我に文句を言ってくる。その表情は普段のエルネスタ殿は絶対に見せないような表情で我の胸を高鳴らせる。

 

つくづく思う。何故我はこんなに可愛らしい女性と10年以上同棲しておきながら、結婚するのが遅かったのだろうか。

 

「それは済まん。ちゃんと責任は取る」

 

「うん。それと子供が出来た場合に備えて名前も考えてね?」

 

「うむ……」

 

昨日のエルネスタ殿は危険日であった。加えて生でシたので妊娠のキッカケとなった可能性もゼロではない。同意の上だから問題はないが、デキてしまったら責任は取るつもりだ、

 

「なら良し。じゃあ……」

 

言うなりエルネスタ殿は身体を我の方に寄せて……

 

 

 

「おはよう、将軍ちゃん」

 

ちゅっ……

 

可愛らしい笑みを浮かべて我の唇を奪ってくる。同時に昨夜の一件を思い出して我自身も気持ち良くなってくる。

 

だから我は……

 

「ああ。今日もよろしく頼む」

 

「んっ……」

 

エルネスタ殿のキスに応え出す。するとエルネスタ殿は目を瞑って負けじとキスをしてくる。

 

 

結局我らはずっとキスを続けて、気が付いたら1時間以上経過しているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

2時間後……

 

「おーおー、やっぱり日本の建造物は珍しいねえ」

 

我とエルネスタ殿は今清水寺の入り口前にて五重塔を見ている。時期的に紅葉は見えないが、五重塔や京の街並みは中々迫力がある。

 

「そうであるな。我も清水寺は初めてであるから楽しみである」

 

「えっ?修学旅行の時には行かなかったの?」

 

「修学旅行は3泊4日で初日はクラス単位で、2日目はグループごとで、3日目は自由行動で4日目は帰宅だったのだ。それで我のクラスは初日に伏見稲荷に行って、2日目は鞍馬山や貴船の方に行ったので清水寺に行っていないな」

 

確か八幡が在籍していたクラスは清水寺に行っていたんだったか?20年以上も前だから殆ど覚えておらん。

 

「なるほど……あれ?3日目の自由行動には行かなかったの?」

 

「いや、3日目には新型煌式武装の発表会があったからそれに行った」

 

元々我はぼっちだから修学旅行はサボる事も視野に入れていた。しかし新型煌式武装の発表会があるということで、両親から入場券を貰ったから修学旅行に参加したのだ。

 

「にゃはは、将軍ちゃんらしいや。まあ将軍ちゃん友達いなそうだし仕方ないか」

 

「喧しいわ、貴様こそ我の立場なら発表会に行っていただろうに」

 

「ま、否定はしないね」

 

「だろうな。それよりも早く入ろうではないか」

 

「そだねー。夕方には帰るんだし急ごっか」

 

言いながらエルネスタ殿は我の腕に抱きついて歩き出す。出来るなら1週間近く旅行をしたかったが、我もエルネスタ殿も忙し過ぎて一泊二日しか予定を作れなかった。

 

(いっそエルネスタ殿が妊娠したら仕事を辞めるべきか?)

 

仮に子供が出来たら目一杯世話をしたい。そうなると今の仕事は忙し過ぎる。金なら腐る程あるしその選択も視野に入れておくべきであるな。

 

そんな事を考えながら我とエルネスタ殿は正門をくぐる。同時に視界には小さめのお堂が目に入る。しかも入り口では神社にしては珍しく呼び込みをしているのだ。

 

「ねぇねぇ将軍ちゃん。アレ行ってみよ?」

 

エルネスタ殿も興味を持ったようで、小さいお堂を指差しながらそんな風に提案をしてくる。パンフレットを見ればそれは胎内めぐりと言って、暗闇の中お堂を巡る事によってご利益があるらしい

 

「ん?別に構わんぞ」

 

「決まり〜。じゃあ行こっか?」

 

「ああ……痛っ!」

 

「どしたの将軍ちゃん?どっか怪我したの?」

 

エルネスタ殿が心配そうな表情を浮かべるが怪我ではない。怪我ではなく……

 

「いや……昨夜の一件で腰が痛くてな……」

 

流石に4回はやり過ぎた。腰が痛くて仕方ない。

 

「あははっ!ま、仕方ないでしょ?私も股が擦れてひょこひょこ歩きだし」

 

「す、済まん」

 

「別に良いって!私も気持ち良かったし……」

 

エルネスタ殿は少しだけ頬を染めながらそう言ってくる。そんな風に言われたら恥ずかしくて仕方ない。

 

「そう言ってくれるとありがたい。それよりも早く行こうぞ」

 

「そ、そうだね」

 

そもそも寺で卑猥な話をするなんて罰当たりにも程がある。だから我はエルネスタ殿の手を引っ張って、お堂に向かい靴を脱いで金を渡す。

 

お堂の入り口にある階段を見れば真っ暗であった。まるでRPGのダンジョンの入口によく似ている。

 

「しかし……本当に暗いな」

 

中に入ると闇は濃くなり、光が徐々に消えていく。幸い手すりがあるから大丈夫だが、無かったら間違いなく距離感覚と方向感覚を失うだろう。

 

「大丈夫でしょ。手すりもあるし……将軍ちゃんが手を握ってくれてるんだし」

 

すると暗闇からエルネスタ殿の優しい声が聞こえて、握っている手の力が強められる。同時に我の手に熱が伝わって温かな気持ちになる。

 

だから我も握る力を強めながら歩くと、黒一色だった視界に灯りが飛び込んでくる。

 

胎内めぐりは暗い道の先に大きな石がありそれを回しながらお願い事をする場所だが、どうやら石はライトアップされているようだ。

 

「将軍ちゃん将軍ちゃん。お願い事、決まった?」

 

「ああ」

 

「へぇ、何にしたの?」

 

「死ぬまで平和に幸せに過ごせる事であるな。エルネスタ殿は?」

 

「うーん……色々あるけど……」

 

「あるけど?」

 

「子宝に恵まれる事、かな?」

 

「ぶふぉっ!」

 

予想外の一撃に思わず吹き出してしまう。いや確かに、昨日は子宝を得る為に頑張ったけど……!

 

我が内心焦る中、エルネスタ殿は楽しそうに笑いながら石に触れる。

 

「将軍ちゃん可愛〜い。それより一緒に回そっか」

 

「切り替えが早すぎるぞ……まあ了解した」

 

言いながら我はエルネスタ殿ね手に触れて一緒に石を回す。エルネスタ殿は目を瞑り回し終えるとパンパンと手を叩いてお辞儀をするが、それは神社に行った時の作法である。まあ外国人だから知らなくても仕方ないか……

 

そう思いながら我も同じように平穏な生活を願う。贅沢は言わない、特に事故などに巻き込まれなければそれで良い。

 

「じゃあ行こっか」

 

「うむ」

 

エルネスタ殿は目を開けて我を見てくるので我も頷きながら出口に向かって歩きだす。

 

そして出口が近付くと……

 

 

 

 

 

 

「ところで将軍ちゃんは何人子供が欲しい?」

 

「ぶふぉっ!」

 

「にゃはは〜」

 

再度投下された爆弾によって再度吹き出してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

胎内めぐりから出た我らは本堂に入り、清水の舞台に入った。舞台からは京都市内を見渡せる壮大な景色だ。流石に清水寺最大の人気スポットだけの事はある。

 

「良い景色だな……エルネスタ殿。折角だし写真を撮らないか?」

 

我がそんな提案をするとエルネスタ殿はキョトンとした表情を浮かべるも、直ぐに楽しそうな表情を浮かべる。

 

「良いよ〜。でも将軍ちゃんから提案するって珍しいね」

 

「……まあ偶には良いであろう。それよりも誰かに頼むか」

 

「そんな事しなくてもこうすれば良いじゃん」

 

エルネスタ殿は我の腕に抱きながらポケットから端末を取り出してカメラモードにして、端末を動かす。

 

そして……

 

「はい、チーズ!」

 

ちゅっ……

 

パシャ

 

シャッター音と共に我の頬にエルネスタ殿の柔らかい唇が触れる。同時にエルネスタ殿は我から離れて、端末を弄り今撮った写真を見せてくる。

 

「どうどう?」

 

エルネスタ殿が見せる写真には、普段通りの表情を浮かべている我と、我に抱きつきながら楽しそうに笑ってキスをするエルネスタ殿が写されている。背景には京の街並みが写されている上に、自撮りにしてはそれなりに良い写真だ。が……

 

「悪くはないが、いきなりキスをするのは止めい」

 

「ごめんごめん。次から気を付けるね」

 

エルネスタ殿はそう言っているが賭けても良い。直ぐに忘れて同じような事をしてくるだろう。エルネスタ殿の性格や目が笑っている事を考えたら当然だ。

 

「さ、じゃあ次に行こっか」

 

言うなりエルネスタ殿は我の手を引っ張って歩きだす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

材木座とエルネスタを見守るスレ583

 

~~~~~~~~

 

657:名無しの見守り人

清水寺にて材木座とエルネスタ発見

『エルネスタが材木座の腕に抱きつく写真』

 

658:名無しの見守り人

今日は清水寺に回るのか

 

659:名無しの見守り人

俺昨日清水寺に行った。悔しい……

 

660:名無しの見守り人

>>>659

ドンマイ

 

661:名無しの見守り人

俺も清水寺にいる。今から正門に向かう

 

662:名無しの見守り人

>>>661

報告ヨロ

 

663:名無しの見守り人

楽しみ

 

664:名無しの見守り人

どんなイチャイチャをするのやら……

 

665:名無しの見守り人

657の人間だが、今とんでもない事を発見。材木座が突如腰に手を当てて苦しみだした

 

666:名無しの見守り人

>>>665

腰だと?!

 

667:名無しの見守り人

>>>665

それってまさか?!

 

668:名無しの見守り人

>>>665

ヤったのか?!

 

669:名無しの見守り人

>>>668

いや、それは結論早過ぎだろwww

 

670:名無しの見守り人

同感だな

 

671:名無しの見守り人

流石にそれはないだろwww

 

672:名無しの見守り人

>>>668

661の人間だが多分ヤった。丁度今2人の横を通ったけど、エルネスタが股が擦れてひょこひょこ歩きとか言ってた

 

673:名無しの見守り人

>>>672

ファッ?!

 

674:名無しの見守り人

>>>672

マジで?!

 

675:名無しの見守り人

wwww

 

676:名無しの見守り人

遂にかwww

 

677:名無しの見守り人

おめでとうwww

 

678:名無しの見守り人

このスレの最初から見ていた者としては感慨深い

 

679:名無しの見守り人

同意

 

680:名無しの見守り人

遂にか……材木座は腰が痛く、エルネスタは股が擦れた……何回戦までヤったんだ?

 

681:名無しの見守り人

>>>680

3回戦

 

682:名無しの見守り人

>>>680

4回戦

 

683:名無しの見守り人

>>>680

3回戦

 

684:名無しの見守り人

全員多く考え過ぎwww

 

685:名無しの見守り人

まあそれだけヤってもおかしくないが

 

686:名無しの見守り人

672の人間だ。盛り上がってる所悪いが進展あり。2人は胎内めぐりに行った

 

687:名無しの見守り人

>>>686

おっ、遂に来たか!

 

688:名無しの見守り人

という胎内めぐりって何だ?

 

689:名無しの見守り人

誰か知ってる奴いるか?

 

690:名無しの見守り人

>>>689

詳しくは知らないがお堂の中にある石を回すと願いが叶うってご利益があるらしい

 

691:名無しの見守り人

>>>690

情報サンキュー

 

692:名無しの見守り人

しかし2人は何を願うんだ?

 

693:名無しの見守り人

>>>692

子宝に恵まれる事じゃね?

 

694:名無しの見守り人

>>>692

ずっと幸せにいられますようにとか?

 

695:名無しの見守り人

>>>693

もう少し激しくイチャイチャ出来るように?

 

696:名無しの見守り人

皆、そっち系の願いだなwww

 

697:名無しの見守り人

当然だろ?あの2人結婚してから一層イチャイチャしてるし。

 

698:名無しの見守り人

だろうな。それ以外想像出来ない

 

699:名無しの見守り人

全くだ

 

700:名無しの見守り人

665の人間だが、2人が胎内めぐりを終えて出て本堂に向かった

 

701:名無しの見守り人

来たー!

 

702:名無しの見守り人

待ってたぜ!

 

703:名無しの見守り人

どんなイチャイチャをするんだ?!

 

704:名無しの見守り人

報告宜しく!

 

705:名無しの見守り人

頼むぜ!

 

706:名無しの見守り人

686の人間だが、700の人間と頑張る

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

751:名無しの見守り人

『清水の舞台でエルネスタが材木座の頬にキスをする写真』

 

752:名無しの見守り人

>>>751

ヒャッハー!!

 

753:名無しの見守り人

甘い!甘過ぎるぜ!

 

754:名無しの見守り人

>>>751

良いぞ!もっとやれ!次は材木座からキスしろ!

 

755:名無しの見守り人

>>>754

それもディープで!

 

756:名無しの見守り人

盛り上がり過ぎだろ……


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