学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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前話で次回は葉山の日記をやると言いましたが、葉山の日記は王竜星武祭1日目が終わってからにしました


因縁の対決 比企谷八幡VS葉山隼人

『さあ王竜星武祭が始まっては1時間も経過してないにもかかわらず、この盛り上がり!次の試合で更に盛り上がりを見せるでしょう!先ずは東ゲート!今世界で最も名が知れている男!世界の歌姫と世界最強の魔女の2人を恋人に持つ世界最強の魔術師!レヴォルフ黒学院序列2位『影の魔術師』比企谷八幡ーー!』

 

実況の言葉と共に俺は東ゲートをくぐりステージに降りると……

 

『おぉぉぉぉぉぉっ!!』

 

『BOOOOOO!』

 

歓声とブーイングが生じる。見ればガラードワースの生徒がブーイングをしていた。

 

『最強の序列2位と評される比企谷選手、歓声とブーイングを同時に浴びているぅっ!』

 

『まあガラードワースの生徒からしたら比企谷選手は嫌われているだろうな。先の獅鷲星武祭ではガラードワースの2トップチームは彼が鍛えたチームに敗れたのだから』

 

解説のヘルガ隊長の言う通りだ。加えてガラードワースでは葉山グループが俺の否定運動を盛んにやっているらしい。ソースはノエル。証拠は観客席にいる三浦や三馬鹿。

 

(本当にウザいな……控え室に戻ったら、恋人2人とガラードワースの清涼剤のノエルを見て癒されよう)

 

そんな事を考えていると……

 

『続いて西ゲート!友情を胸に秘め栄光を掴む。友愛の騎士!聖ガラードワース学園序列16位『友情剣』葉山隼人ー!!』

 

実況が俺の対戦相手の名前を告げる。すると一拍置いて……

 

『きゃぁぁぁっ!』

 

『格好いい!』

 

『こっち向いてぇっっ!』

 

一般の女性客は黄色い声を上げて……

 

『HA・YA・TO!フゥ!HA・YA・TO!フゥ!』

 

 

『HA・YA・TO!フゥ!HA・YA・TO!フゥ!』

 

 

『HA・YA・TO!フゥ!HA・YA・TO!フゥ!』

 

ガラードワースの葉山グループのメンバーはいつもの応援をする。聞いてるだけで殺意が芽生える。

 

大体葉山って言うほど格好良いか?同じ爽やか系ならフェアクロフさんの足元にも及ばないし、ベクトルは違うが暁彗やロドルフォとかの方が格好良いと思う。

 

そんな事を考えている間にも葉山もステージに降りて俺の方に向かってくる。

 

「やあ、逃げずに来たんだね」

 

「逃げる必要性は感じないな」

 

「……まあどのみち俺が勝つから良いけど。それより最後の警告だ。今すぐガラードワースを支配しようとした事を俺に謝って会長やノエルちゃん、シルヴィアさんに対する洗脳を解くんだ。そうすれば悪いようにはしない」

 

……は?何でそうなるんだよ?フォースターにしろノエルにしろシルヴィにしろ洗脳なんてしてないからな?

 

てか100歩譲って3人に洗脳をしていたとしても葉山に謝る必要はないだろう。普通3人に謝るところだろ?

 

最後に悪いようにはしないとか言っているが、たかが学生のお前にそんな権利があるのか?10000歩譲って俺がガラードワースを支配しようとしたとしても罰を決めるのは統合企業財体であってお前じゃないからな?

 

結論を言うと……

 

「謝る必要はないな。何せ俺は悪くないのだから」

 

実際俺は洗脳なんてしてないし、葉山に謝る必要はないだろう。

 

俺がそう返すと葉山は不愉快そうに俺を睨んでくる。逆恨みもここまで来たら尊敬するわ。

 

「……やれやれ、やはり力づくで屈服させるしかないみたいだね」

 

こいつに上から目線で話しかけられるのって凄いムカつくな……予定変更だ。速攻でケリをつけるつもりだったがこいつには屈辱を刻み込んでやる。

 

「やってみろ。と言ってもお前の実力じゃ無理だからハンデをやるよ。そうだな……試合開始のブザーが鳴ってから5分、俺は能力を使わず、お前に直接攻撃をしないでやるよ。好きなだけ攻めてこい」

 

俺がそう言うと観客席からは騒めきが生じて、葉山はポカンとした表情になる。

 

『な、なんと比企谷選手!開始してから5分間攻撃をしないというとんでもない提案をしてきた!』

 

『そうとう余裕があるんだろうな』

 

実況と解説の声が流れると葉山は途端に不愉快な表情で俺を見てくる。

 

「ふざけるな。卑怯な手を使わなければ大したことのないお前に舐められる筋合いはない」

 

「いや、お前よりは大したことあるから安心しろ」

 

「やれやれ……本当に現実が見れてないようだね。なら敗北という形で現実を教えてやるよ」

 

言いながら葉山はサーベル型煌式武装を展開する。しかしデータに表示されている物とは違っていた。

 

「なんだそりゃ?いつもと違う武器だが隠し球か?」

 

「これは俺の仲間から貰った大切な煌式武装だ。卑怯者のお前に見せてやる!俺達の絆の力を!正義の力を!」

 

葉山はそう言ってサーベルを突きつける。同時にガラードワースの葉山グループがいる場所から黄色い歓声が上がる。

 

『葉山君格好良い!』

 

『卑怯者を成敗しちゃえ!』

 

『HA・YA・TO!フゥ!HA・YA・TO!フゥ!』

 

 

『HA・YA・TO!フゥ!HA・YA・TO!フゥ!』

 

 

『HA・YA・TO!フゥ!HA・YA・TO!フゥ!』

 

 

 

マジで煩えな。頭が痛くなってきた。

 

『さあ!そろそろ開始時間となります!2回戦に進むのはレヴォルフか?!それともガラードワースか?!』

 

そんな実況の声が聞こえたので俺達は開始地点に向かう。同時に俺はポケットから手を出して軽く構えを取る。

 

そして……

 

『Cブロック1回戦第1試合、試合開始!』

 

機械音声が試合開始を告げる。すると葉山は即座にこちらに詰め寄ってくる。その速さは序列16位に相応しい速さである。

 

「はあっ!」

 

そして俺との距離を3メートルまで詰めると.叫び声と共にサーベルを俺の校章目掛けて突いてくるので……

 

 

「ほいっと」

 

バキィッ!

 

サーベルを掴んでそのままへし折る。同時に壊れたサーベルは待機状態に強制的に戻される。もう二度と使えないだろう。

 

「……は?」

 

それによって観客席は静まり、葉山は俺の目の前でポカンとする。お前さ、俺が5分間攻撃をしないって言ったから良いけどよ、敵を目の前に動きを止めるって馬鹿だろ?

 

『ふむ。あの速さの突きを見切ってから掴み、即座に破壊する……見事な動体視力と反応速度だ。どうやら比企谷選手は3年前と違って相当近接戦闘能力を高めたようだな』

 

ヘルガ隊長がそう口にすると一拍置いて……

 

 

『おぉぉぉぉぉぉっ!』

 

観客席に大歓声が沸き起こる。まさに音の爆弾と言ってもいいくらいだ。

すると葉山も漸く再起動したようだ。

 

「っ……!まだだ!まだ俺は負けてない!」

 

言いながら予備のサーベル型煌式武装を起動して構えを取る。対する俺は懐に手を入れて……

 

『おおっと?!比企谷選手、ここで懐から缶コーヒーを取り出したぁっ?!これは一体?!』

 

MAXコーヒーを取り出し、プルトップを開けて飲み始める。うん、甘くて最高だな。

 

『……やはり親子だな。比企谷選手の母親ーーー涼子の馬鹿も学生時代に星武祭で格下と戦う時は酒を飲んでいたし』

 

解説のヘルガ隊長が呆れた声音でそう言ってくるが、俺がやるのは今回だけだ。今まで葉山に殴られた借りを返す為に、とにかく舐めプをする。

 

すると案の定葉山はキレる。

 

「ふざけるな!どこまで俺を馬鹿にすれば気が済むんだ?!真剣に戦え!」

 

「だったら実力で真剣にさせてみろ。それよりもう2分経過してるから急がないと負けるぞ?」

 

「……っ!このっ!」

 

葉山は怒りながら俺の顔面目掛けて突きを放ってくるので、俺は身を屈めて回避する。てかガラードワースの生徒が躊躇いなく顔面を狙うのはどうかと思うぞ?

 

そう思いながらも葉山の三連突きを軽いステップで回避する。生憎だが、星露の攻撃を週に一度食らっている俺からしたら止まっているように見える攻撃だ。

 

そう思いながら暫く回避を続けていると……

 

『ここで4分経過!比企谷選手が攻撃に転じるまで後1分を切りました!』

 

実況の声と共に観客席が盛り上がる。その様子から俺の戦闘が見たいようだ。

 

すると目の前にいる葉山は焦ったような表情を浮かべるも、一瞬で消して自身の持つサーベルを大きく、そして長くする。

 

『葉山選手、流星闘技の準備をする!決まるのか?!』

 

『決まらなければ負けだろうな。流星闘技を放つ頃に5分が経過するだろうから』

 

そんな声を聞いているとサーベルが更に大きくなる。同時にMAXコーヒーを全て飲み終えたので、缶を口から離して投げ捨てる。試合が終わってからちゃんと拾うのでご安心ください。

 

そう思いながら俺も左手の 義手に星辰力を注ぐ。すると義手は本来の大きさの3倍となり埋め込まれた2つのマナダイトが光り輝く。

 

「食らえ!疾風突き!」

 

すると葉山のサーベルの大きさが最大になり、それてと同時に葉山が突きを放ってきたので……

 

「おらあっ!」

 

俺の義手に埋め込まれた2つのマナダイトの光が最高潮に輝いた瞬間に突きを放ち……

 

バキィッ!

 

「なっ!」

 

そこから放たれた衝撃波が葉山のサーベルを破壊する。

 

俺の義手のマナダイトは多重連結させて出力を上げるロボス遷移方式を導入しているのだ。単純な破壊力なら星導館の沙々宮の持つ巨大煌式武装に匹敵する破壊力を持っている。並みの煌式武装の流星闘技か など俺の義手の前では無力だ。

 

「何故だ?!俺の流星闘技ーーー皆との絆が込められた技がこんな簡単に破れる筈がない!」

 

すると葉山は信じられないように喚き出す。

 

「だから?そりゃお前が弱いかお前らの絆が大したことないんだろ?」

 

「そんな筈はない!俺はアスタリスクで1番努力を「黙れ」ひいっ!」

 

余りにもイラついたのでつい本気の殺気を出すと葉山はビビリ出す。アスタリスクで1番努力をしただと?笑わせるな。それが事実なら俺に一撃食らわせる事など朝飯前だぞ。

 

本当に努力した人間ってのはよ、ヴァイオレットやノエルみたいに壁を越えた人間に勝とうと努力した人間の事を言うんだよ。

 

お前がやる程度の努力なんて、どうせ誰でも出来るような努力なのは容易に想像出来るわ。

 

内心ブチ切れている時だった。

 

『ここで5分経過!遂に比企谷選手が攻撃に転じる時間となりました!』

 

実況の声に観客席のボルテージは最高潮に達した。漸く5分経過したか。退屈過ぎて凄く長く感じたな。

 

「さて、んじゃ行かせて貰うぞ」

 

言いながら俺は両足に星辰力を込めて加速する準備を見せる。それに対して葉山は……

 

「い、嫌だ…….!」

 

「あん?試合で嫌だなんて通用しないからな?」

 

言いながら殺気を出して一歩を踏み出すと……

 

 

 

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁっ!」

 

葉山は大声で喚きながら俺に背を向けて逃げだす。それを見た俺は内心拍子抜けした気分になる。王竜星武祭が始まるまで散々俺の事を見下したり、殴ったりした癖に、逃げるのかよ?怒りを通り越して呆れるわ。

 

(もう良いや、終わらせる)

 

俺は星辰力を込めた足を使って地面を蹴り、瞬時に俺に背を向けて逃げる葉山との距離を詰めて……

 

「おらっ!」

 

そのまま葉山の背中に星辰力を込めた右手で殴り飛ばす。マナダイトを仕込んである左手じゃないだけありがたいと思え。

 

「がぁぁぁぁぁぁっ!」

 

すると葉山は大声を出しながらステージの壁に激突した。そしてそのまま地面に倒れ伏し……

 

『葉山隼人、意識消失』

 

『試合終了、勝者比企谷八幡!』

 

機械音声が試合終了を告げる。すると一拍置いて観客席から圧倒的な歓声が上がる。

 

『ここで試合終了!比企谷選手、圧倒的な力を見せつけた!最強の2位は伊達じゃない!』

 

『オーフェリア・ランドルーフェンがいるから2位にいるだけで、他校なら比企谷選手は間違いなく序列1位になれるだろうな』

 

そんな声を聞きながら俺は息を吐く。あれだけ言っといてこれかよ?やっぱり今回ガラードワースはノエル以外雑魚だな。

 

そう思いながら俺はさっき投げ捨てたMAXコーヒーの空き缶を拾って出口に向かう。チラッと観客席を見ればガラードワースの葉山グループのメンバーが呆然としているのが丸分かりだった。

 

(まあ、もう終わったしどうでも良いか……さっさと帰ってオーフェリアとシルヴィとノエルを見て癒されよう)

 

俺は特に何も思う事なくステージを後にしたのだった。

 

 

 

比企谷八幡、1回戦突破。

 

 

 

葉山隼人の星武祭の成績

 

鳳凰星武祭 棄権により1回戦負け

 

獅鷲星武祭 1回戦にてクインヴェールのチーム・赫夜に敗北

 

王竜星武祭 1回戦にてレヴォルフの比企谷八幡に敗北


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