学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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比企谷八幡はレティシア・ブランシャールをからかった末、爆死する

ガラードワースの生徒会室

 

そこは洗練された調度品が完璧な秩序をもって配されている場所であり、黒檀の執務机を始め、カーテンや絨毯など全てのものが妥協なく1つの調和した空間が作り上げていて正に聖域のような場所である。

 

しかし、

 

「落ち着けブランシャール。お前の叫び声はこの部屋に似合わないぞ?」

 

ブランシャールが俺達を見た時の叫び声は生徒会室には似合わない叫び声だった。てか淑女の出す声じゃねぇよ……

 

俺の言葉を聞いたブランシャールはハッとしたような表情を浮かべながら……

 

「そ、それは申し訳ありませんでしたわ。予想外の来客だったのでつい……」

 

ペコリと頭を下げてくる。

 

「いや、別に頭を下げる程じゃねえから頭は上げろ」

 

「そうですか、では失礼。それでは話を戻しますが、貴方達恋人3人は何の用事で生徒会室に?」

 

どうやらブランシャールも俺達の関係を知っているようだ。まあ統合企業財体とそれなりに関わる生徒会の人間なら知っていてもおかしくないだろう。

 

そう思いながら俺は……

 

「この前の一件について詫びを入れに来た」

 

そう言って手に持つ商業エリアで買ったお菓子の袋をブランシャールに差し出すとブランシャールは頭を疑問符を浮かべる。

 

「この前の一件?何の話ですの?」

 

「連絡船、ディスティニーランド、オーフェリア、ブチ切れ」

 

俺が片言で説明するとブランシャールは納得したような表情に変わって、

 

 

「……ああ、その話でしたか。とりあえず紅茶を入れますのでソファーに座っていてくださいな」

 

疲れたようにため息を吐きながら俺の差し出すお菓子の袋を受け取り、備え付けの給湯室に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから10分後……

 

「ではどうぞ。紅茶と先程貴方から頂いたお菓子ですわ」

 

応接用のソファーに挟まれたテーブルの上に上質な香りを漂わせる紅茶と朝俺が商業エリアで買った良いとこのクッキーが置かれる。

 

「どうもっす」

 

そう言いながら角砂糖を入れようとすると、ブランシャールが瞬時に俺の腕を掴んできた。

 

「何だよブランシャール?」

 

「何だよではありませんわ!角砂糖6つは入れ過ぎです!」

 

……そこか。てか前に鳳凰星武祭の時にも言われたような気がするんですけど?

 

「はいはい、わかりましたよ。3つにします」

 

「1つにしなさい!後、はいは1回!」

 

「はーい」

 

「伸ばさない!」

 

「へい」

 

「はいですわ!からかっているのですの?!」

 

ブランシャールは真っ赤になってそう問い詰めてくる。からかっているかだって?んなもん決まってるだろ。

 

「ああ、からかってるな。てかお前やっぱりフェアクロフ先輩同様にオカン属性を持ってるな」

 

あの人とも結構話すがブランシャールに似て結構細かい所を指摘してくるし。てかブランシャールの隣にいるフェアクロフさんも苦笑を浮かべているし。

 

「誰がオカン属性持ちですの?!からかうのも良い加減に……え?」

 

すると先程まで真っ赤になっていたブランシャールが突如キョトンとした表情になる。

 

「んだよいきなり。鳩が『黒炉の魔剣』食らった表情しやがって」

 

「いやそれ死にますからね?!……いえ、そうではなく、先程フェアクロフ先輩と言いましたが、それはソフィアさんの事ですか?」

 

「ん?あ、そうそう。クインヴェール所属でお前の隣にいる人の妹のソフィアさんだぜ?あの人もお前と同じオカン属性持ちだぜ?」

 

何せ俺、フェアクロフ先輩に会う度に3回はブランシャールと同じように怒られるし。

 

「だからオカン属性と言うのは止めてくださいまし!」

 

案の定、ブランシャールはキョトンとした表情から再度真っ赤になって詰め寄ってくる。やっぱりこいつからかいがいがあるな。

 

「悪い悪い。ほれ、紅茶を飲んで落ち着け」

 

「誰の所為だと思っていますの?!飲みますけど!」

 

そう言いながらブランシャールは自身のカップを口にする。

 

結局飲むのかよ?ダメだマジで面白い。この調子で後5分はからかってやろう。

 

「レティシアを乗せるとはやるね。ところで比企谷君、ソフィアと知り合いなのかい?」

 

フェアクロフさんにそう聞かれるも返答に悩んでしまう。

 

馬鹿正直に『シルヴィに頼まれて彼女の所属するチームを鍛える事になって知り合った』と話しても大丈夫なのか?一応フェアクロフの叶えたい願いは聞いているが、それが関係していると簡単に話して良い事じゃないし……

 

どう返すべきか悩んでいると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……八幡とソフィア・フェアクロフは胸を揉む揉まれる関係よ」

 

「ぶふっ!」

 

オーフェリアは水爆より恐ろしい核兵器を投下して、それによってブランシャールは飲んでいた紅茶を噴き出した。

 

見るとフェアクロフさんも唖然としてるし。この人のそんな顔は珍しいな。

 

現実逃避気味にそんな事を考えていると……

 

「げほっ!げほっ!……ど、ど、ど、どういう意味ですの?!」

 

噎せたブランシャールは苦しそうにしながら俺に詰め寄ってくる。近い近い近い!このままじゃキスしてしまうくらいブランシャールの顔が近寄ってきて顔が熱く「ハ・チ・マ・ン・ク・ン?」……いや、急激に顔が冷えてきた。それは決して隣に座る恋人のプレッシャーに押し負けたからではないからな?ハチマンウソツカナイ。

 

「聞いていますの?!今の話は本当なんですの?!」

 

「あ、いや、それはだな……」

 

俺はブランシャールの剣幕にたじろぎながら言葉を探す。

 

てかオーフェリアは余計な事を言ってんじゃねぇよ!アレか?!3日前にしたチーム・赫夜と模擬戦で、足を滑らせてフェアクロフ先輩と絡み合いながら倒れた後に、頬にキスをされた上、右手で胸を揉んで、左手をフェアクロフ先輩のスカートの中に手を突っ込んだ事をまだ怒ってんのか?!

 

そう思いながらオーフェリアを見るも、オーフェリアはツーンとそっぽを向く。普段なら可愛いと思ってキスかハグをしていると思うが、今回は薄情に見えてしまう。てかマジでどうしよう?

 

俺が悩んでいると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだよ。ちなみに八幡君はフェアクロフ先輩の胸を25回揉んだんだよ」

 

俺が返答する前にシルヴィがジト目で俺を見ながらブランシャールの問いに答えた。

 

おいぃぃぃぃっ?!何火に油を注いでるの?!そんなに俺を社会的に殺したいの?!てか3日前の件についてはディープキスをオーフェリアとシルヴィに各2時間ずつして許してくれたんじゃないのかよ?!

 

「比企谷君、それは本当かい?」

 

フェアクロフさんがそう聞いてくる。口調はいつもと同じように穏やかではあるが妙にプレッシャーを感じるのは俺の気の所為だと信じたい。

 

「あ、貴方……!恋人2人だけじゃ飽き足らず……ソフィアさんにも手を出すなんて恥を知りなさい!」

 

ブランシャールが周囲に星辰力を漏らしながら怒りの表情を見せてくる。

 

「ちょっと待てブランシャール!確かにフェアクロフ先輩の胸を揉んだのは事実だが「やっぱり事実なのではないですか!」頼むから話は最後まで言わせてくれ!事実だが、わざと揉んだ訳じゃない!アレは訓練中に起こった事故だ!」

 

事故以外で自分から揉んだ事は一度もない。てかそんな事をしたら俺は2人に殺されているだろう。実際何度も半殺しにされた事があるし。

 

しかし俺の説得をブランシャールは一蹴する。

 

「嘘ですわね!1回2回ならまだしも、偶然が25回も起こるはずもありませんわ!」

 

ぐっ……!そこを言われたら返す言葉もない。

 

しかし冗談や誇張でもなくフェアクロフ先輩の胸を揉んだのは全て事故なのだ。戦っている途中に何故かフェアクロフ先輩と接触事故が起こっちまうんだよ!

 

最も、現場を見ていないブランシャールにそれを言っても絶対に信じないだろう。俺がブランシャールの立場なら問答無用で断罪するに決まっているし。

 

俺が返答に窮していると、

 

「やっぱり手を出したのではないですか?!三股ですか?!」

 

ブランシャールが更に詰め寄ってくる。だから近いって!

 

このままじゃキスしかねない為慌てて後ろに顔を下げる。

 

「だから誤解だから!大体俺が意図的に手を出したのはオーフェリアとシルヴィだけだ!事故でフェアクロフ先輩の胸を揉んだのは事実だが、フェアクロフ先輩とはキスもしてねぇし抱いた事もねぇよ!」

 

俺は三股なんて節操なしじゃないからな?

 

え?二股も充分に節操なしだって?言うなそれを。自分でも理解しているのだから。

 

俺が半ばヤケクソにそう返す。するとブランシャールの顔に怒りだけではなく、羞恥も加わる。

 

「なっ……?!い、いきなり何て事を言ってくるんですの?!というか……」

 

一息……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方のその言い方ですと……ふ、2人とはだ、だ、抱いているという事ですの?!」

 

「……あ」

 

ヤバい。俺は慌ててさっき自分の言った事を思い出す。あの時俺は……

 

フェアクロフ先輩とはキスもしてねぇし抱いた事もねぇよ!

 

と、言ったな。

 

……うん、この言い方だとフェアクロフ先輩とはしてない、でもオーフェリアやシルヴィとはしているように取られても仕方ないだろう。

 

俺が自分の失言について後悔していると、

 

「………」

 

「………」

 

オーフェリアとシルヴィが真っ赤になって俯く。そして2人の反応によって事実である事を如実に示している。

 

2人が真っ赤になって俯くのを見たブランシャールは

 

「なっ、なっ、なっ……!」

 

真っ赤になったまま俯きプルプルと震え出す。小刻みに震えているそれは俺にとっては火山の噴火のように思えて怖くて仕方がない。

 

「お、おいブランシャール?」

 

内心冷や汗ダラダラしながらブランシャールに話しかけると、ブランシャールは顔を上げて、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「破廉恥ですわ!」

 

パァンッ!

 

俺の頬に平手打ちをぶちかました。痛ぇ……


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