学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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やはりこの3人はバカップルである

「……ん?」

 

光を感じたので目を開けると見覚えのない場所だった。何処だここは?

 

疑問に思いながら身体を起こそうとすると

 

「あ!目を覚ましたみたいだよ!」

 

いきなり元気な声が横から聞こえてくる。この声は……若宮か?

 

そう思いながら顔を動かして横を向こうとすると頬に柔らかく生温かい感触がした。……何だこれ?

 

そう思いながら触ってみるとムチッとした感触が手に伝わる。これはまさか………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「起きて早々膝を触るなんて……八幡君のエッチ」

 

からかうような声が上から聞こえたそれを見て俺は嫌な予感を感じた。おい、まさか……

 

 

半ば強引に顔を上げてみると恋人の1人のシルヴィが顔を赤くしながらも笑顔を見せてくる。こんな直ぐ近くにシルヴィの顔があるって事はシルヴィに膝枕をされていたのだろう。

 

「す、すまん。もう起きる……」

 

そう言って身体をムクリと起こす。そして辺りを見渡すとシルヴィとオーフェリア、チーム赫夜のメンバー5人が近くにいた。どうやらここは赫夜のメンバーと鍛錬するトレーニングルームのようだ。その証拠に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あんな破壊痕が出来る場所なんてトレーニングルームとステージ以外あり得ないからな)

 

トレーニングルームの中心には大量のクレーターが出来ていて完膚なきまでに破壊されていた。まるで鳳凰星武祭決勝戦が終わった頃のシリウスドームの様にボロボロだ。修復する人は大変そうだな。

 

こんな風になったのも俺がフェアクロフ先輩の胸を揉んだのが原因………っと!そうだった!

 

俺はシルヴィの膝から起き上がりフェアクロフ先輩に頭を下げる。

 

「先輩、先程はとんだ無礼を働いてすみませんでした」

 

先ずは自分の非を認め謝罪をする事だ。事故とはいえ俺のした事はセクハラであり犯罪行為だ。許してくれるかは知らないが先ずは謝る事が第一だ。

 

「えっと……比企谷さん。私は怒っていませんので頭を上げてください」

 

は?マジで?

 

疑問に思いながら頭を上げてフェアクロフ先輩の顔を見ると頬は赤くなっていたが、本当に怒っていないように見える。

 

「えっと……本当に怒ってないんですか?」

 

正直信じられないので再度確認をするとコクンと頷いてくる。

 

「アレは訓練中の事故ですし……その後の比企谷さんが受けたお仕置きを見たら怒れませんわ……」

 

「待ってください。それそんなに酷かったんですか?」

 

初っ端からヤバいと感じて俺も初っ端から切り札を切ろうとしたのは覚えているがそれ以降の事は一切覚えていないので気になって仕方がない。

 

「記録ならありますわよ」

 

そう言ってフェアクロフ先輩が空間ウィンドウを開いて俺の方に飛ばしてくる。さて、どんな試合だったんだ?

 

一度息を吐いて見てみると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『えっ?!ちょ、おまっ……それはマズいって!』

 

『知らないよ!八幡君の恋人は私とオーフェリアさんだけなのに……八幡君のバカバカバーカ!』

 

『……シルヴィアは恋人としては問題ないけどそれ以上はダメと付き合う時に言ったわよ……?』

 

『だから違うって……うぉぉぉい!』

 

空間ウィンドウには美しくも圧倒的な力を持った歌声がBGMとして流れ、大量の瘴気と影がぶつかり合い、瘴気が影を食い破っているシーンが流れていた。

 

そして遂にシルヴィの放った光弾が俺に当たり気絶した所でムービーは終了した。

 

控えめに言っても地獄絵図だった。

 

「マジで?よく生きてたな俺」

 

死んでもおかしくないぞコレは?てかそれより重大な事に気付いてしまった。

 

「え?ちょっと待ってください。このムービーを見たって事は赫夜のメンバーは俺達3人の関係を……」

 

ムービーを見る限りシルヴィは

 

『知らないよ!八幡君の恋人は私とオーフェリアさんだけなのに……八幡君のバカバカバーカ!』

 

と言っていたが、これは明らかにアウトだろう。普通に考えて赫夜のメンバーも俺がシルヴィとオーフェリアの両方と付き合っている事を知っただろう。

 

最後まで言わなくても俺の言いたい事が伝わったのだろう。5人がコクンと頷く。マジか……

 

「あー、その、アレだ。虫のいい願いかもしれないがその事は黙っていてくれないか?」

 

シルヴィと交際している事が世間にバレたらクインヴェールの理事会は間違いなく俺とシルヴィを引き離すだろう。ただでさえシルヴィとの交際を認めて貰う際にオーフェリアが脅して半ば無理矢理認めさせたしな。

 

正直言ってそれは嫌だ。最初シルヴィと付き合った頃はもし別れたとしても仕方ないと思っていたが、シルヴィと一緒に過ごしている内に別れたくないという思いに変わった。

 

「あ、それならさっきシルヴィアさんから黙っていて欲しいって頼まれて、その後5人で話して黙るって約束したから大丈夫だよ?」

 

若宮がそう言ってくる。良かった……黙っているなら本当にありがたい。

 

内心ホッとしていると両肩を叩かれたので後ろを向くとシルヴィとオーフェリアが申し訳なさそうな表情をして俺を見ていた。

 

「あの……八幡君。私達も八幡君に謝りたいんだけど」

 

「……は?」

 

シルヴィとオーフェリアが?

 

「意味がわからないな。俺が謝るならともかくお前らが謝る必要はないと思うぞ?」

 

俺は恋人であるシルヴィとオーフェリア以外の女子にセクハラを働いた罪状があるが2人にはない。謝る理由なんてないだろ?

 

俺がそう返すと2人は首を横に振る。

 

「……いいえ。実はさっき八幡が気絶している時にどうしてあんな状況になったか調べたの」

 

「それでチーム・赫夜との模擬戦を見たんだけど……美奈兎ちゃんの攻撃を受けたからソフィアさんを押し倒しちゃったのでしょ?アレは仕方ない状況だったと思うの。それなのにあんなに八幡君を痛めつけて……ごめん」

 

「……ごめんなさい」

 

そう言って2人は頭を下げてくるが……

 

「謝るな。俺は怒ってない。どのみち俺はお前らがいるにもかかわらず、フェアクロフ先輩ーーーお前ら以外の女子に浮ついた感情を持ったんだ。怒られて当然なんだからお前らは気にすんな。だから頭を上げろ」

 

実際の所悪いのは俺だ。2人以外の人に煩悩を持った時点で悪だ。2人が攻撃したことについては特に恨んでいない。寧ろ2人に嫌な感情を持たせてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 

「「……でも」」

 

2人は納得してない顔をする。こいつらしおらしい時は本当に対応が面倒だな。仕方ない……

 

「わかった。じゃあ気にするなら今後キスはしないからな」

 

「……わかったわ。もう気にしないわ」

 

「うん。私も気にしないからキスを取り上げるのは止めて」

 

切り替え早いな。冗談だけどそれならそれでいい。

 

「……わかった。じゃあ次からは俺もこんな事にならないように努力する」

 

「お願いね。八幡君は私とオーフェリアさんの物なんだから」

 

「……そして私とシルヴィアは八幡の物なんだから、八幡は新しい女を作らないでね」

 

そう言いながら2人が同時に抱きついてくるので俺は優しく2人を抱き返す。

 

「わかってる。俺が愛するのはお前らだけだ」

 

もう二度と2人に嫌な感情を持たせない。そう強く決心して2人を抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わわっ!す、凄い……!」

 

「ふぇぇっ?!」

 

「だ、大胆ですわ!」

 

「3人とも凄く仲睦まじいですね」

 

「柚陽、アレは単にバカップルなだけよ」

 

何か後ろからテンパる声が3つ、穏やかな声が1つ、呆れた声が1つ聞こえてくるが文句を言うのは今は勘弁してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから2時間、模擬戦は次回に持ち越しになったので俺とシルヴィとオーフェリアは赫夜のメンバーに別れを告げてマンションに戻った。

 

そして疲れがたまったので風呂に入って直ぐに寝るつもりなのだが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁお前ら……少し離れてくれないか?」

 

風呂が沸くのを待っている間、シルヴィとオーフェリアが左右から強く抱きついている。いつもより強く抱きついている。

 

「やーだ♡」

 

「……嫌よ」

 

しかし2人は俺の頼みを笑顔で却下して更に強く抱きついてくる。てか胸が当たっているんですけど。

 

(いかん。このままじゃ変な気分をなるから何か話して気を紛らわせよう)

 

無言でこの時間を過ごすのはマズイからな。

 

「そう言えばよ、何で今日はオーフェリアはクインヴェールに連れてきたんだ?」

 

正直言ってオーフェリアがクインヴェールに来た理由がわからない。もしかしてシルヴィが何か用事があったのか?

 

「あ、それね。実は八幡君に報告したい事があったからオーフェリアさんをクインヴェールに連れてきたんだ」

 

「報告したい事?何だよ?」

 

わざわざ直接報告しようとしたんだ。相当重要な事だろう。

 

そう思いながらオーフェリアを見ると……

 

 

「実は今日治療院で検査を受けた結果、肌から瘴気を周囲に出すのを防ぐ事が出来るようになったの」

 

嬉しそうにそう言ってくる。オーフェリアの言った言葉の意味を認識すると気分がハイになっているのを認識する。

 

「マジか?!」

 

「……ええ」

 

「そっか……おめでとうオーフェリア。正直言ってメチャクチャ嬉しい」

 

「んっ……」

 

オーフェリアは頷いてから胸に頭を乗せてくるので優しく撫でる。本当に良い気分だ。

 

「本当におめでとうな。何か祝いたいが欲しい物でもあるか?」

 

正直言ってかなり気分が良い。オーフェリアの願いを叶えてやりたい。

 

するとオーフェリアは悩む素振りを見せてから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……じゃあ3人で一緒にお風呂に入りたいわ」

 

そう言ってくる。

 

pipipi……

 

それと同時に風呂が沸いた事を告げるメロディが流れて耳に入る。それを耳に入ると俺は立ち上がる。オーフェリアと風呂に入るのは初めてで恥ずかしいがオーフェリアがそれを望むなら応えないとダメだろう。

 

「……わかった。俺は構わない。シルヴィもいいか?」

 

「もちろん。それじゃあ行こっか?」

 

そう言ってシルヴィも立ち上がりオーフェリアの手を引っ張る。

 

「……ありがとう」

 

「「どういたしまして」」

 

お互いに一言ずつ言葉を交わした俺達はゆっくりと風呂場に向かって歩き出した。

 

俺の内は恥ずかしさと嬉しさで一杯だった。

 

 


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