その26 エピローグ 叛逆の物語
全ての戦いを終えた後、人理は再編された。
焼却された筈の世界は、戻って来た。
音信不通だった筈のカルデアの外から、連絡が入った。
一年。
それは地球上全ての知的生命体が仮死状態になっていた間に過ぎた時間。
何時の間にか経過していた時間に、大慌てで国連及び魔術協会は心当たりのある組織、カルデアへと連絡を取った。
だが、カルデアも即座に返答する事は無かった。
何故なら、彼らもまた未曾有の混乱に叩き込まれていたのだ。
具体的にはレフ・ライノール・フラウロスによって爆殺された全ての職員が、何時の間にか蘇生していた。
そこには所長であるオルガマリーも含まれていた。
そして、急遽開かれた話し合いで、オルガマリーにダ・ヴィンチがこの1年で何があったかを語った。
それは世界を取り戻すための物語。
無数の出会いと別れを交えた、人類史を遡る長い旅路。
史上最大規模の聖杯戦争を。
「話は分かったわ。全てを正直に国連に報告する事は無理ね。」
頭が痛い、と言う表情で、オルガマリーは告げた。
「勿論だ。それに、今回は何とか勝てたが、まだ終わった訳じゃない。」
考えられる敵勢力。
それは魔神柱の残党であったり、未だ見ぬ3体のビーストであったり。
「世界の外に近づくからって、世界を滅ぼそうとする輩が出るわよ…。」
「だよねー。」
魔術師とはそういう生き物だった。
根源へ到達するため、己だけでなく子孫や他の誰かを平然と犠牲にしてまで目的を達成する。
んなもん目指すのは勝手だが、他人巻き込むなや、と言ってやりたい。
そんな傍迷惑な存在なのだ。
「取り敢えず、直ぐに偽の報告書を用意して。それ以外は負傷者及び施設の復旧と拡張に着手して。」
「あぁ、英霊達の分かい?」
「功労者を労わらない訳にはいかないでしょ…。」
と言うか、此処でもし「普段は霊体化して、無駄飯喰うなよ」とか言おうものなら確実に暴動ものである。
「まぁ其処ら辺は喜々としてやってくれる者達もいるからね。お任せするよ。」
「お願いね。後はロマンとサドゥか…。」
それはただ二人だけ、未帰還となったカルデアの職員の名だった。
「立香君とマシュは、互いがいるとは言え、それでも心身共に疲弊している。こういった面倒事からは遠ざけた方が良いだろうね。」
「そうね…差し当たって、あの子達の給与と処遇も考えないと。」
「報告書もだね。その辺りは前々からプロット立ててたから任せてくれ給え。」
それから直ぐに二人は作業に取り掛かった。
胸の内の寂しさを紛らわせる様に。
……………
「姉さんにも…。」
雲が殆どない、極普通の綺麗な青空を見て
「姉さんにも、見てほしかったです。」
「マシュ…。」
今はいない姉の事を想って、マシュは涙した。
「そうだね、きっと喜んでくれた。」
「はい。目を丸くして、写真も撮ったと思います。」
儚げで、でも辛いと思った時には必ず支えてくれた、無茶ばかりする少女だった。
その癖自分の事は自分でしようとするのだから、もう少し頼ってほしくもあった。
否、きっと自分でしなくてはならないと、義務感ばかり感じていたのだろう。
それでも、彼女の存在は生き残ったカルデアの人々にとって、確かに救いだった。
「私、何時か死んで姉さんに会えたら、いっぱい話したいんです。」
「うん、僕も。カルデアの外の事、日本の事、世界中の事、素敵な事はたくさんあるんだって、沢山土産話を持ってくんだ。」
「ふふ、先輩らしいですね。じゃぁ…」
微笑みながら、少しだけ頬を赤くして、マシュは立香の手を握りしめ、その豊かな胸に抱え込んだ。
「ま、マシュ?」
「先輩と私、二人で色んな所を見て回りましょう。沢山沢山、数え切れない位に。」
それは誓いであり、願いでもあった。
姉への誓いを傘にきた、ちょっとズルい想い人へのお願い。
何時の間にこんな狡さを覚えたのやら、立香は驚くと共に嬉しかった。
「そうだね。それなら、僕も付き合わない訳にはいかないな。」
「それでは…」
「うん。一緒に行こう、マシュ。」
微笑みと共に告げられた言葉に、マシュは驚きで目を丸くし、次いで満面の笑みで頷いた。
「はい!何処までもお供します!」
「うん。差し当たっては日本でお願い。一度里帰りしたいしね。」
「先輩の故郷…!あわわ、何を着ていけば…!?」
こうして、胸に傷を抱えながらも、二人は漸く平穏を謳歌できるようになった。
……………
一か月後、カルデアは何とか完全に復旧、拡張工事も大方終了した。
これに関しては科学者系・魔術師系・そしてローマ系の建築が得意な英霊達による、ペーパープランであったカルデア劇的魔改造計画(筆頭ダ・ヴィンチ)を実行に移したためだ。
嘗ての殺風景さが完全に払拭する程の施設へと変貌したカルデアは、今やサーヴァント達が起居する新館の方が豪華ですらあった。
一部の職員など、シフト休みには遊びに行っている程である。
「さて諸君、今日は人理修復後、初めての英霊召喚だ。慎重に行こう。」
技術部門のトップであるダ・ヴィンチちゃんの言葉と共に、多くのマスター候補達が力強く頷いた。
何せ、彼らは召喚し、戦うために呼び出されたのに、一年も仮死状態で放置されていたのだ。
端的に言って消化不良であり、しかも今後も危険な事態が継続するとなれば、気合も入ろうものだ。
とは言え、マシュの円卓の盾がないため、成功率はお察しレベルだが。
今回、一人辺り英霊が出るまで三回召喚を行っていく。
運が悪いためか、どうしても英霊ではなく礼装ばかりの者もいるが、半数以上は成功し、英霊を招いて満足そうにしていた。
彼らが今後まともな戦力になるのか、それは今後の交流次第で決まるだろう。
同じ頃、新館の方でも英霊召喚の儀式が行われていた。
「では先輩、頑張りましょう。」
「あ、うん。でもさ、マシュ…」
「現状、私ではお役に立てませんから…気にせず召喚してください。」
「うん。んじゃ召喚いくよー。」
くべられた聖晶石が魔力へと変換され、中心に設置された円卓の盾に魔力が満ちていく。
ここで必要もないのに詠唱とお供えもの、触媒になりそうなものを設置するのが、人理修復の旅の中での召喚スタイルだったりする。
そして、召喚されたクラスカードは…
「な、☆5キャスター!?マーリンめ、今更出てきたのか…!」
「先輩、円卓の皆さん呼びます?」
まさかの高レアサーヴァント、冠位持ちのマーリンだった。
戦力としては大いに頼りになるのだが、あの半夢魔を迂闊に呼ぶと、カルデア中の女性の貞操が危ないので、正直呼びたくはなかった。
「でもマーリンさんにはウルクでお世話になったので、その分の恩返しもしたいです。結局時間神殿には来られませんでしたし。」
「そうだね。」(円卓メンバーいれば大丈夫かな?)
そんな事を思いつつ、召喚は恙無く進んでいく
「…ん?」
「はい?」
筈もなかった。
召喚陣の中心、そこにあったのは褐色の肌に灰の長髪を三つ編みにして前に垂らし、ゆったりした衣服を纏う、すんごく見覚えのある姿。
「やぁこんにちは。ボクの名前はソロモン。よろしくお願いするよ。」
あんぐりする立香とマシュに、朗らかかつマイペースに、魔術王は挨拶した。
「とは言え、改めて挨拶するなんて照れるね。元気だったかい、二人とも?」
「「ど…」」
そして、しっかりと記憶持ちである事を告げられて、
「「ドクターロマーン!!」」
「おふぁ!?」
心からの歓喜と共に、二人はその胸目掛けて全力で飛び込んだ。
だが、筋力・耐久共にEで霊基再臨もしていないソロモンに、二人を抱き止めるだけの体力は無く。
召喚早々、魔術王は頭を壁に打ち付けてあっさりと気絶した。
「「ど、ドクタァァァァァ!?」」
……………
「で、どうして召喚できたの?消えた筈だよね?」
「この状況で態々尋ねるとか、君も図太くなったよね…。」
ロマン帰還。
この報に人理修復に参加したサーヴァントと職員達は通常業務を普段の倍の早さで終わらせ、即効で宴会に突入した。
なお、費用は所長のポケットマネーから出るので、皆普段以上に気兼ねなく飲み食いしている。
「いや、僕も正直よく分からなくてさ。ただ、第一宝具の発動に横槍が入ったのは分かってる。」
「君の宝具の発動にかい?そりゃまた凄まじいね。」
チーズを肴に上機嫌にワインを楽しんでいたダヴィンチが驚きを露にする。
何せ、彼は魔術王なのだ。
指輪が一つだけで最低まで弱体化した状態だったとは言え、大抵の魔術は彼に効きはしない。
「まぁ千里眼も無い状態だったからね。」
「って、それゲーティアも…。」
「マジか」
話を聴いていた幾人かがギョッとした顔をするが、それはないとソロモンは手を左右に振った。
「彼は確かに死んだ。不完全な状態とは言え、僕の遺体を中心とした結束は消えたからね。一応、頑張れば召喚できるんじゃないかな?」
「それを早く言ってよ!?」
衝撃の事実を知ったマスターは、宴会もそこそこにまた召喚設備のある部屋へと駆けていった。
「わ、わ、わ!先輩待って下さーい!」
それを大慌てで人並みの生を手に入れた少女がついていった。
「で、僕がいない間どうだったの?」
「事後処理の連続さ。何せ真実そのままとかどう考えても無理だし。」
「だよねー。」
そして語られる愚痴の数々を、ソロモン、否、ロマニは以前の様に邪険にもせず聞き役に徹していた。
それは、まるで何時かの平和の光景の様だった。
「で、誰がやったか検討はついているのかい?」
「そうだねぇ…気配からして、心当たりはいるけどねぇ…。」
そう言うソロモンの顔は何処か苦味があり、積極的に口にしたくない様だった。
「…あの子かい?」
「分かるかい?」
「分かるとも。何年来の付き合いだと思ってるのさ。」
「10年もないと思うんだけど。」
「ふふ、私にとってはそれで十分さ。」
二人で静かにグラスを傾けながら、この一年を思う。
「大変だった。大変だったとも。」
「それでも…」
「「本当に、楽しかった。」」
ニッと、悪童の様に笑い合いながら、二人はグラスを掲げた。
「誰に乾杯する?」
「それは勿論、あの3人にだよ。」
そう言うソロモンの指には、10の指輪が嵌っていた。
……………
召喚陣の傍ら、そこで立香が絶望し切った表情で四肢をついて項垂れていた。
「やっぱりだめだったよ…。」
「せ、先輩?もう止めましょう、ね?」
貯蓄してあった聖晶石の殆どを注ぎ込んで、しかし召喚は悉く失敗していた。
「礼装、それも☆3まで…久々の大爆死…。」
何で人理救済の旅でガチャなんてせにゃならんのだろうか…。
旅の中、立香は何時も思っていた事をまたリフレインしていた。
「やあ、終わったかい?」
「あ、ドクター。」
そこにおっとりと駆け付けたソロモン王、否、今はかつての姿になっているので、ロマニ・アーキマンと言うべきだろうか。
「えーと、また盛大に爆死したみたいだね…。さぁさぁ、今日はもうこの位にして、皆で宴会の続きでも…」
そう言って立香を起こそうとしたロマンが召喚陣へと一歩踏み込んだ時、
「んな!?」
突然、召喚陣が光り輝いた。
「また☆5キャスター!?」
「多い!多いですよ先輩!」
「来てる…今何か来てるって感じがする…!」
そして現れたのは、これまた見覚えの在り過ぎるものだった。
右半身が掠れて消えかけた、ロマンとレフ、二人に似た容姿を持つ男。
「我が名はゲーティア、人王ゲーティア。泡沫の夢に過ぎぬ身だが、この命、この運命、君に預けよう。」
「ッシャァァァァァァァァァァーーー!!!」
「先輩、落ち着いてください!」
狂化でも付与されたの?と言わんばかりのマスターの喜びように、一同はドン引きした。
「やぁゲーティア、久しぶりというには少し短いが、今後はよろしく頼むよ。」
「王…こちらこそ、反逆した身ではあるが、よろしく頼む。」
が、主従してマイペースは共通してる二人は恙無く再会の挨拶を済ませていた。
「さて立香君、マシュ。頑張ったご褒美に、ボクからプレゼントがあるんだ。」
「へ?」
「プレゼントですか?でも、私は今でも十分…」
戸惑いを示す二人に、しかしロマンは首を振る。
「此処まで来たら、もう一人も呼びたいだろう?」
その言葉に、二人の目は大きく見開かれた。
「出来るの?」
「実はチラッと視えたんだけどね。こっちに来たがってたよ。」
実際はじーっと羨ましそうに座から見ていたのだが、それはさておき。
ロマンはソロモンの姿に戻ると、一瞬で召喚術式、システム・フェイトに干渉し、呼べる英霊をただ一人に絞った。
「ではいざ召喚!」
再び光に満ちる召喚陣。
何処か浮き出る術式が普段と異なっているのは、ソロモンの干渉故か。
そして、召喚された霊基は☆0のアヴェンジャーのものだった。
「………!…!」
(あ、先輩叫びたいのを我慢してます。かっこつけたいんですね。)
そして、姿を現したのは…
「あいよー!最弱英霊アヴェンジャー、お呼びと聞「違げぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」!?」
実に惜しい相手だった。
「まぁ確かに召喚しようとすれば普通そうなりますよね…。」
ある種、納得の結果だった。
「あれー?確かにこれで召喚できる筈なのに…。」
「王よ、単に向こう側から拒絶されたのでは?」
その言葉にすぐにアンリ・マユが反応した。
「そーそー!あの馬鹿、やたら恐縮して出ていかねーからさー。こっちから蹴り落としてやろうとしたら、カウンター食らっちまってさー。」
「姉さん…。」
「まぁ元気なのは伝わった。」
出来れば別方面で発揮してほしかったけどネ!
「よし、んじゃ気を取り直してもう一度だ。」
「それが、先ほど先輩が全て使い切ってしまって…。」
「あははははは…マジで?」
どうしよう、と全員が顔を合わせる。
正直、どうしようもなかった。
流石に無から有を作る事は、魔術王でも出来なかった。
「そんな事だろうと思ってたさ!諸君、これを使いたまえ!」
ババーンという効果音と共に現れたのは、未だにチーズの載った皿とワイングラスを持ったダヴィンチだった。
「レオナルド、まさか…!?」
「そう、この私のへそくりである呼符を使うんだ!一枚だけだからこれがラストチャンスさ!」
「よし今度こそー!」
そして、最後の呼符が召喚陣にセットされた。
スゥと、立香が今度こそ、と気合を入れ、自身の魔術回路を起動させながら、願掛け代わりの詠唱を唱え始めた。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。
祖には我が大師シュバインオーグ。
降り立つ風には壁を。
四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。
閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する
―――――Anfang(セット)。
――――――――告げる。
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
……………
それで、召喚されたのは誰だったか、だって?
はは、そこから先は皆で想像してみてほしい。
何せ、基本私は視るだけのクズだからね。
イタイイタイ、髪を引っ張らないでくれ。
分かった分かった。
そこまで言うなら、もう少しだけ語らせてもらうよ。
……………
「デミサーヴァント・アヴェンジャー、英霊としての真名をアンリ・マユ。召喚に応じ参上しました。弱いですが、これからよろしくお願いします。」
一拍おいて、
「ただいま、二人とも。」
サドゥは最高の笑顔で微笑んだ。
「ちょおおぉぉぉぉ!?」
「っ、先輩は見ないでください!」
「ぐはぁ!?」
「あっはっはっはっはっはっは!」
「…はぁ、賑やかな事だ。」
「ど、どうしたの?」
「姉さん…服を着てください。」
こうして、彼女の物語は改めて始まった。
……………
何時か、何処の世界。
何処にでもある様な安アパート。
その一室で、一人の遺体が放置されていた。
苦悶の果てに死んだのか、その顔は目を背けたくなる程の形相だった。
無人で、音もないそこに、不意に影が差した。
“もう、苦しまなくて良いよ。”
影が男の遺体を覆っていく。
同時、薄っぺらだった影が実体を伴っていく。
“貴方の悪は私が持っていくから”
それは一人の少女。
赤い布を腰に巻き、その上から黒いフードを纏った、全身を刺青で覆った少女。
その灰の髪は腰に届く程長く、風も無いのに棚引いている。
“だから、次はどうか幸せになってね。”
それだけを告げて、少女は再び影となって、何の痕跡も残さずに消えていった。
否、一つだけ痕跡はあった。
先程の男の遺体が身奇麗にされ、凄まじい形相だった顔は、穏やかなものへと変わっていた。
このエンドにすべきか、最後まで大いに悩みました。
だが、「サドゥが当初求めた救いは無い」という形で、バッドエンドとさせて頂きました。
短くも長い間、完結まで付き合ってくださった皆さん、本当にありがとうございました。
この世が未だ混沌であった頃、澄んだ正常な「陽」の気は上に昇って生き物となり、
濁った不浄な「陰」の気は下に溜まって獣となりました。
”あぁ、きれい。”
頭上の輝きを、獣は眩しくも羨ましげに見つめてました。
”わたしがここにいれば、ずっときれいなままなんだろうな…。”
獣は自分は汚れているから、決して昇る事はありませんでした。
”あれ?”
しかし、おかしな事に気づきました。
汚れは皆ここに降ってくる筈なのに、上の綺麗な場所に、汚れが溜まり始めたのです。
”いけない、きたなくなってしまう。”
獣の心配を他所に、汚れはどんどん増えていきます。
このままでは綺麗だった上の全てが汚くなってしまうでしょう。
”きれいにしなくちゃ。”
長過ぎる葛藤の末、獣は上に昇る事を決めました。
全ての汚れを回収するため、輝きを汚さないために。
こうして、ビーストⅢは顕現する事を決意した。
これは始まりの物語。
人が知らずに虐げていた、獣の軌跡。