マブラヴで楽していきたい~戦うなんてとんでもない転生者   作:ジャム入りあんパン

9 / 43
ここで時間がごっそり飛びます。


8・「常に最悪を想定しろ。俺は斜め上を行く」

 俺は悪くねえ!爺さんたちがやれって言ったんだ!

 うん、俺は悪くないね。

 よし、自己弁護完了!

 え、それじゃあ分からない?

 まあ、そうだよな。

 簡単に言うと、帝国軍&斯衛軍、阿鼻叫喚。

「なんなんだよ、コイツラは!!」

「つ、強い!それに、速い!!」

「おい、技術廠の!まだどこからハックされているかわからないのか!!」

「こっちも精一杯なんだ!クソ、プロテクトが全部抜かれて・・・」

 いやー、監視カメラまでハックしてるって知れたら、多分発狂するだろうなー。

「おい、なんで攻撃が通らないんだよ!」

「レールガンだぞ!ふざけるなよ!」

 あっちは超合金Zだからなー。レーザーだって弾くぞー。

「うわっ、なんだ!バラけただと!?」

「せ、戦闘機が、動きを捉えられない!?」

 あ、ゲッターチームも参戦してきたか。

 ちょっと遅かったな。武蔵あたりが飯でも食って長引いたか?

「ちくしょー!またあの坊主か!!」

 うーん、半分正解。俺だけじゃないんだけどね。

 

 まあ大体想像がつくと思うけど、俺達が何をやっているか。

 アムロや甲児の経験値アップだ。

 後、まだ面合わせはしてないけどゲッターチームも。

 最初は大変だったもんなー。打ち合わせがうまくいってなくて、ガンダム、マジンガーZチームVSゲッターチームVS帝国軍という大乱戦。

 俺としては、生でマジンガーとゲッターの対決が見られたから大満足だけどな。シミュレーターだけど。

 シミュレーターはそれぞれ、俺の家と光子力研究所、早乙女研究所をオンラインで繋いで、そこから帝国軍と斯衛軍が訓練を始めるタイミングでハッキングするという手段を取っている。

 勿論、俺は盛大に疑われたが、証拠を残すようなヘマはしていないため、怪しいけど逮捕できないという状況が続いている。

 ちなみに、帝国、斯衛両軍ともに練度が上がっているためwin-winの関係だと、俺や爺さんたちは思っている。

 まあ、何かあっても全部爺さんたちに責任をかぶせるし。

 しかし、そろそろ隠れて動くのも限界だな。紅蓮中将や神野中将なんかがバックで動いてくれているから大きな騒ぎになっていないけど、ガンダムが目立ち過ぎだな。

 普通の戦術機に近いからか、俺が隠れて作っている新型機って噂が隠しきれないほどに立っている。

 もうそろそろいいかな。あれも完成した頃だろうし。スーパーロボット大戦って言ったら、やっぱりあれが必要だろ?

 

 

 よくよく考えたら、シミュレーターへのハッキングを始めてから2年が経っている。アムロたちの練度ももう十分だろう。後は、実戦経験だけだ。それについても賛同者を多数集めることが出来た。

 五摂家に皇家、その他有力政治家も多数抱き込んだ。

 さあ、始めるぜ。こればっかりは爺さんのせいじゃない。

 俺がやるって決めたんだ。

 執務室で座っていると、そっと誰かの手が置かれる。

 14歳になってすっかり美しく成長した焔ちゃんだ。秘書の役目は母上から受け継いで、俺の側に控えてくれている。

 そう、俺がやらかしたことの規模が大きすぎるからか、あるいは、地下格納庫のガンダムを見せたからか、馬鹿でっかい袖の下を渡したからかは不明だが、紅蓮中将もとうとう俺と焔ちゃんの婚約を認めてくれた。

 言っとくけど、まだ清い関係のままだからな。そっと体を寄せ合うだけでも、幸せだろ!?誰だそこ、ヘタレって言った奴!

「拓哉様、私もお側におります」

「焔ちゃん・・・」

 きゅっと力強く俺の手を握る焔ちゃん。どうやら俺も知らないうちに、手が震えていたらしい。

 そりゃそうだ。俺もこれから前線に出ることになる。戦術機には乗らないが、アムロたちを放り出して知らん顔をするには、あいつらと縁を育みすぎた。

 だからこそ、2年前のあの日から作り始めたものがある。

「行こうか」

「はい」

 俺の言葉に焔ちゃんは異論を挟まない。勿論、最初から計画を話しているからだ。その上で結構仲良くなったアムロや甲児たちにも黙っていてもらったんだ。

 ガンダムを置いてある地下格納庫のさらに奥深く。そこにそれは眠っていた。

 白亜のボディはまるで磨き上げたかのように美しく、だがそのせり上がったブロックは明らかに戦う者の光を湛えていた。

「さあ、出番だぜ、ホワイトベース」

 ガンダム伝説のもう一つの立役者。ホワイトベースがそこに鎮座していた。

 流石に艦船は手間がかかってな、それにオリジナルより一回り以上大きいし。

「彩峰司令、出撃準備は出来ていますか?」

「拓哉くん、ついに決行のときか・・・」

 ブリッジでは、彩峰中将以下、ブリッジクルーが作業をしていた。

 彩峰萩閣中将。原作では12・5事件が起きる原因になってしまった人。この人を身内に取り込むことで、後々クーデターが起こるのを阻止することにした。

 とはいえ、最初は無理かなーと思っていたんだ。帝国軍の重鎮だし。でもそこは五摂家の鶴の一声が効いた。後、このおっさんも結構いい性格してる。

「ホワイトベースで、ガンダムで、マジンガーで、ゲッターで世界中を引っ掻き回してやる」

 その為に、彩峰中将以外にもちょっとばかり無理をした人員もいい感じに集まったし。

「すまない、遅くなった!」

 駆け込んできたのは巌谷大尉と篁大尉。そしてその後ろにいるのが、天田士郎少尉。

「まだ大丈夫ですよ。それで、その後ろの少尉さんが例の?」

「はっ!天田士郎少尉であります!!」

「新塚拓哉だ。よろしく!」

 フランクな対応に困っている。初々しいねー。

 そう、この世界にはシロー・アマダもいる。能力は十分だからこっちからスカウトした。巌谷大尉が太鼓判を押したから、それだけの実力はある。あるんだが、これはますますスパロボじみてきたな。

 この調子だったら、コウ・ウラキやアナベル・ガトーもいそうだな。

「はっはっはっは!大丈夫だよ、少尉!ここではあまり硬くなることはない」

「榮二がフランクすぎるんだ。天田少尉。必要が無い限りは普通にしていてもらってかまわない。君が選ばれたのは、ある意味問題児の面倒を見ることだからね」

 ナーバスなアムロ。ヤンチャな甲児。後はゲッターチームが加われば賑やかなことになるだろう。

 格納庫に目を向ける。格納庫の奥にはアムロのガンダムが置かれており、その両サイドに3機の陸戦型ガンダムが並んでいる。

 ガンダムは言うまでもなくアムロのもの。陸戦型ガンダムは巌谷大尉と篁大尉、天田少尉の乗機だ。そのほかには大隊規模のジムがずらりと並んでいる。

 そう、このジムこそが第3世代機の量産型だ。動力源は新型に変更。装甲はPS装甲を使っていないが、やはりこちらも新素材で頑強さは撃震改以上。ストライカーパックによる戦局に合わせた武装変更も可能と、汎用性も高い機体になっている。

 ちなみに、小隊長機はヘッドパーツがジム・コマンドのものになっており、通信関係の機能が強化されている。

「これが全て第3世代機・・・。すごいや」

「あ、それ間違い」

「えっ?」

 感心したような声を漏らす天田少尉に、俺は爆弾発言を投げつける。

「ジムは第3世代機だけど、ガンダムは3.5世代機」

「ちょっと待て!それは聞いていないぞ!」

「言ってないしな。兜のじっちゃんが黙っとけって」

理由は面白そうだからというだけだろうけど。

 ガンダムが3.5世代機である最大の理由は、その動力源。実は、マクロスシリーズに登場するバルキリーのエンジン、熱核バーストエンジンを搭載している。と言っても、初期型もいいところだけどな。

 大きさも違う、規格も違うガンダムに詰め込むのにはかなり苦労したもんだ。それをどうにか出来るのが俺の頭脳チートだ。最近はこの能力の使い方もわかってきた。

 もう一つ、ガンダムの動力源を熱核バーストエンジンにしたしっかりした理由もある。

 この世界ではミノフスキー粒子の存在が確認できなかったからだ。その為、ミノフスキー粒子を作って動力源にするよりも、熱核バーストエンジンをガンダムサイズに合わせたほうが安上がりなのだ。

 もう一つの理由としては、アムロの操縦能力が上がりすぎて、新型の動力源でも追いつかないというのもある。マグネットコーティングを施そうかとも思ったけど、当面は動力源の換装だけでどうにかなるからそのまんま。準備はしてあるけど。

「だから出力は段違いに高い。士郎さんたちの乗る量産型は、従来型の主機だから第3世代機だよ」

「出来れば、もう少し早く話してほしかったな」

「いやー、じっちゃんたちが面白がって」

「君も楽しんでいただろう」

 うん、超楽しかった。

 それはなるべく表情に出さないようにする。多分出まくってたと思うけど。

「まあまあ、それは置いといてさ。もうじき来るよ」

 と、言った側から近づいてきたか。

 独特の空気の音を流して近づいてくるそれは、宙に浮いていた。と言っても30cm程度だが、軽く浮いているバイクが2ケツでやってくる。

「よし、セーフ!」

 そう言ってメットを取ったのは甲児だ。

「ギリギリセーフの間違いだろう」

『ギリギリ!ギリギリ!』

 続けてメットを取ったアムロが汗を拭いながら呆れたように言う。

 甲児の乗ってきたバイクはエレカ。斥力場を発生させる装置を積んだ、タイヤ不要のバイクだ。

 去年に甲児がバイクに興味を持ち出して、乗ってみたいといい出すようになったんだ。

 だから、研究所内とホワイトベース内限定という条件をつけて、去年の甲児の誕生日にプレゼントしたんだ。

 これが大いに気に入ったらしくてな、アムロやシロー、さやかさんを後ろに乗せて走る走る。

まあ、これだけ喜んでくれたら俺としても贈ったかいがあるってもんよ。

ちなみに、アムロにはハロをプレゼントした。ナーバスなアムロには脳天気なハロの緩いAIとの掛け合いは、なんだかんだで安定剤になっている。

「後はゲッターチームが来れば出撃準備が整う」

「いや、もう来てるぜ」

「えっ、いつの間に!?」

「遠隔地の人たちだからな、昨日から来てる。ほら、あそこにゲットマシン」

「うわ、気づかなかったなー」

「じゃあ、ゲッターチームの人たちは」

「ここにいるぜ」

 アムロの真後ろから聞こえた声に、声にならない悲鳴が上がる。

 愉快そうに喉で笑い声を上げている隼人に、警戒心バリバリで身構える。

「隼人、その悪い癖はやめろよ」

「だがリョウ、シミュレーターと通信機越しとはいえ、あれだけ一緒に戦った戦友相手に釣れない態度だと思わないか?」

「隼人は自分の顔を見ろよ。人を殺したような顔がいきなりってなったらオイラでもちびるぞ」

 ゲットマシンの方から歩いてきたツナギ姿の三人。流竜馬。神隼人。巴武蔵。

 ゲッターチーム初期メンバーが勢揃いだ。

 そして、スーパーロボット大戦、初期御三家も勢揃いだ。

 

 さあ、この星の明日のためのスクランブルだ。

 

 

全員が会議室に集められた。中央に彩峰司令。その両サイドに篁大尉と巌谷大尉。その正面中央には俺と焔ちゃん。その周りに、アムロ、甲児、リョウ、隼人、武蔵、士郎さん。そして、この計画のために送り込まれてきた大隊規模の衛士や整備士たち。

 この場にはいないが皇帝陛下に皇太子殿下。そして五摂家当主やそれに連なる武家の皆様も見ているだろう。

 

 彩峰司令の言葉をみんなが待っている。

 全員の視線が集まる中、彩峰司令の演説が始まる。

「諸君、今日この日に集まってくれたことを感謝する。私が艦隊司令の彩峰萩閣中将である」

 普段は陽気な甲児も武蔵も、緊張の面持ちで見守る。

「我らは皇帝陛下、並びに政威大将軍殿下の信任を得て結成された独立外郭部隊である。我らの目的はこの地球上全てからBETAを排除することにある」

 そう、そのために結成した。結成させた。

「奴らの進撃はとどまることを知らず、支配地域は日増しに増えている。各国の戦線は日々押され、もはや座してみているだけなど出来ぬ!」

 その先にあるのは破滅の未来だ。俺は戦わない。そのために戦える人間を集めさせた。

「何もしないという事は生きる事を放棄する事と同じである。それは生命体の存在意義に反する」

この辺は入れ知恵したな。だって演説の草案を俺のところに持ってくるんだもん。

「人類に逃げ場なし。だから、選ぶべきは戦いの道。生き残る道だ。そして我らはその道を選んだ。そして、それを無駄な足掻きにさせない。いまも戦っている世界中の戦士たちのために」

 最後の方はちょろっと変えた。でも、効果はあったな、士郎さんとか目がマジだもん。

「故に立ち上がった!我ら、日本帝国第十三外郭独立部隊『ロンド・ベル』は!戦おう、そして生きよう!最後まで人間として!世界で戦う人々とともに!!」

 瞬間、ホワイトベースの艦内がひび割れるほどの歓声が湧き上がった。

 俺は絶対に天国に行けない。今度こそ地獄行きだ。だけどそれこそ知ったことか。戦わなければ地獄なら、戦わせて地獄に落ちる。大丈夫。みんな幸せにしてやる。俺が鳴らした魔除けの鈴は、後はお前たちが鳴らし続けるんだ。

 そっと誰かが俺の手を包む。焔ちゃんだ。

 そう、この子を幸せにするためなら俺はなんだってやってやる!

 




恋する女は強いと言うけど、恋する男の子も強いのです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。