マブラヴで楽していきたい~戦うなんてとんでもない転生者 作:ジャム入りあんパン
眩しい・・・。
最初に感じたそれを言葉に出すこともなく、ゆっくりと目を開く。
「知らない天井だ・・・」
よっし言えた!心の中でガッツポーズをとりながら、ゆっくりと身を起こそうとする。が、猛烈な痛みに再び倒れ込んでしまう。
そうだ。あの時、俺は撃たれて・・・焔ちゃんは!?
「焔ちゃん!ッ!!」
自分が出した声がこんなに響くとは!だが、そうも言っていられない。俺は根性で体を起こすと、部屋の中を見回す。
いない。どこにいる?
俺はド根性で痛みを堪えながら、なんとかベッドから身を起こす。
もしかして、あの後撃たれたのか?それとも無事なのか?だとしたらどこにいる。俺の、焔は!
痛む体はうまく動いてくれない。ベッドから降りようとして転げ落ちてしまう。ガシャンという音がして、点滴がひっくり返る。だが、それを気にしている余裕はない。
どこだ、どこにいる!
「焔!!」
「拓哉様!?」
扉が開いて駆け込んできたのは焔だった。いや、他に後ろにも誰かがいたが、そんな事はどうでもいい。
「良かった・・・無事・・・だった・・・・・・」
俺はこのとき、どんな顔をしていたのだろう。それすら分からぬままに再び意識を閉ざした。
「拓哉様!拓哉様ー!!」
必死に呼びかける焔の声に、見舞いに来ていたアムロたちがすぐに気がついた。
「どうしたんだ、焔ちゃん!」
「拓哉様が、目を覚まして、でも、すぐに倒れて!」
「とりあえず落ち着け。まずはベッドに戻そう。リョウ、反対側を持て」
リョウと隼人が拓哉を抱え上げて、ベッドに戻す。その間にアムロがナースコールを押して事情を説明している。パニック状態の焔は役に立たない以上、周りが動くしかないのだ。
しばらくして飛び込んできた医者と看護婦によって、拓哉の体にとりあえず問題がないことを確認すると、安心しきったのか、焔はその場に座り込む。
「よかったわね、大事がなくて」
「本当に、こんなに何回も女の子を泣かせるなんて、甲児くん以上にデリカシーが無いんじゃないかしら?」
「何でそこで俺を引き合いに出すんだよ!」
「こら、静かにしなさい。病室よ」
口喧嘩を始めそうになった甲児とさやかをジュンが止める。そこには確かに、平和な光景があった。
焔はそっと拓哉の頬を撫でる。少しくすぐったそうに身動ぎする姿は、普段の、相手が誰であろうと立ち向かう姿からは感じられない、やはり15の少年だということを思い出させる。
自分が愛した少年。自分が守るべき少年。そして、自分だけの愛しい人。
自然と笑みが溢れる焔に、アムロたちも安堵する。拓哉が撃たれてからの焔は、どこか情緒不安定なところがあったからだ。
今の様子を見る限りもう大丈夫なのだろう。そう安堵したのも一瞬だった。
「フフ、フフフフフ」
「ほ、焔ちゃん?」
焔はたしかに笑顔を浮かべていた。だが、それがまっとうな笑顔であるかと問われれば、誰もが否と答えるであろう。
暗く陰鬱な光を宿した、狂気を感じるその笑みを見て正気だといえる人間は、等しく正気を失っているだろう。
「拓哉様、私を求めてくださった拓哉様。大丈夫です。私はここにいます。あなたの焔は、もう二度とあなたのお傍を離れません。絶対に」
正直ドン引きであった。思わず全員が身を寄せて震えるほどに、その笑顔はあまりにも陰鬱で、
「拓哉様、私の拓哉様・・・」
何よりも美しかった。
ただまあ、アムロたちにはそれはあまりにも異質すぎて、そして身近にいた少女の、見てはいけない面を見てしまったことに震え上がっていた。
と、その時だった。
部屋の外から慌ただしい足音が近づいてきたのは。
いい気分の所を邪魔された焔は、眉をひそめ、アムロたちはホッと胸を撫で下ろす。
そして、部屋の扉が相手入ってきたのはオペレーターの女性だった。
「騒がしいですよ。ここは病室です」
「新塚博士は、起きておられますか!?」
「つい先程眠られました。拓哉様に何か火急の要件でしょうか?」
焔の鋭い視線に若干怯みながらも、それでも伝えるべきことを伝える。
「帝都に、ハイヴ着陸ユニットが落ちます!」
『なっ!?』
「詳しい話は不明ですが、世界各地でも同じようにハイヴ着陸ユニットが既に落着した地点もあるそうです」
「一難去ってまた一難か・・・!」
「本当に月と火星を攻める方が優先事項なんじゃないのか?」
焔は再び拓哉に目を向ける。無理をさせるのは論外だ。それを察したのか、オペレーターは手早く近くにおいてあったモニターをブリッジと繋げる。
「ブリッジと通信をつなぎます。とにかく、状況を聞いて下さい」
モニターに彩峰と篁、巌谷が映る。その評定は先程までの勝利の喜びを感じさせない、緊迫感に満ちたものだった。
「彩峰司令!日本は、帝都は無事なのですか!?」
『ああ。今は情報が錯綜していてね。詳しい状況が分からんのだ。ただ、ハイヴ着陸ユニットは撃墜に成功したという報告が届いている』
「帝都に残った防衛隊だけで、ハイヴを撃墜できたのですか?」
『そこがよく分からないのだよ。ああいや、分かるのだが、その原因たる本人に私も聞いてみたかったと言うべきかな』
その瞬間、全員の視線が静かに寝息を立てている拓哉の方を向いた。
「『何かやったな?』」
その場のほぼ全員の声が一致した瞬間だった。
時間は少し遡り帝都にて。
ハイヴ着陸ユニットが帝都に落ちるとわかったその日、ランチャーストライカーを装備したジムが連隊規模で待ち構えていた。それ以外にもガンタンク部隊が補助として待ち構え、少しでも帝都・・・いや、帝都城への被害を減らすために出向いていた。
落着地点は帝都城。被害の規模を考えれば皇帝の住まいである御所も範囲に入る。その為、戦術機部隊は絶望的な状況ながらも、気合が入っていた。それは戦術機部隊を指揮する男にもある。
御剣雷電。かつては五摂家の当主であった男が、ガンダムで出撃しているからだ。装備はランチャーストライカー。かつては五摂家の当主であった男が、自らが陣頭指揮をとって戦う姿に、帝都防衛隊の面々は鼓舞されていた。
その帝都防衛隊にはこの男も混じっていた。
沙霧尚哉。とある世界線では前代未聞のテロ事件を起こすこの男も、この時はまだ新米少尉。高ぶる感情と手の震え。その二つと戦っていた。
『沙霧少尉。バイタルが乱れているぞ。少し落ち着け』
「は、はい!」
『まあ、緊張するのも分からんではないがな。初めての出撃が、よりにもよってハイヴ着陸ユニットの撃墜だ。失敗すれば死ぬし、成功しても助かるかは分からん。だが、帝都を守るのは我らの使命だ。その為に出来ることをやれ』
「『人は国のために成すべきことを成すべきである。そして国は人のために成すべきことを成すべきである。』そう教わりました」
『ほう、彩峰閣下からか?』
「はい。自分の実力では、ロンド・ベルに入ることは出来ませんでした。ですが、ここで本懐を果たせそうです。自分は、帝都を守るために全力を尽くします!」
『ならば良し!』
いつの間にか震えの収まった手で、操縦桿をしっかりと握りしめる。
「彩峰中将・・・見ていて下さい!」
新塚家
その居間で拓哉の母はひとり静かに座していた。
「避難、しないのか?」
「あなたこそ」
夫は逃げることを選ばなかった。この地で息子の残した成果とともに、作戦の成功を信じていた。
思えば不思議な息子だった。武術一辺倒の武家の末席に生まれたにしては、異様なまでに知識に秀で、幼い頃からその才能をいかんなく発揮していた。そして、臆病かと思いきや、度胸も座っている。その度胸の座り具合は、友人たちと共に戦艦に乗ってオリジナルハイヴ攻略作戦に出るほどだ。
新塚家の地下にはまだ、眠りについたままの拓哉の発明品がある。それを守るのは親の役目であると信じている。
事実、明らかに異国の風貌をしたものが先程からひっきりなしに屋敷に侵入を企てている。もっともそれらは拓哉の母が手を出すまでもなく、拓哉が過剰なまでに仕掛けていった防衛設備が順調に稼働して撃退していた。そして、彼女自身が最終防衛線として、地下の入口である居間で待ち構えているのだ。
近隣の民間人や、武家の非戦闘員は全て避難している。先程までうるさいぐらいに鳴っていた警報も、今やその音を止めている。
「拓哉を信じましょう」
「そうだな」
二人は息子を信じて、ただ静かに居間で待つ。
と、その時だった。地下が激しく鳴動したのは。
それはいつから意識があったのかは分からない。ただ、自分の体の周りを複数の人が忙しく走り回り、作業している様子を見ていた。
それに名前はまだない。ただ、自分の名前らしいものは理解している。この施設のコンピューターにアクセスした際に、自分の設計図の存在を知ったからだ。
誰もその名を呼ぶことはない。ただ一人、製作者である父だけはその名を呼んでいた。呼ぶ時はこっそりとだが。
故に、おそらくはその時からそれに自我らしきものは芽生えていた。何か奥の方から暖かくなるもの。それが、人が『嬉しい』と呼ぶものなのだろうとそれは学習した。
自分の体が形作られるまでには、それは長い時間を有した。そして、それが非常に遅いものであると理解した。父が間に合わないと愚痴をこぼしていたのを思い出す。
父の力になれない自分の奥で、また何かの感情が生まれた。それが『悲しい』を知ったときだった。
やがてまた時が流れ、父は戦いの地に赴くこととなった。こう言っては何だが、父は戦うことに向いていない。性格が、臆病なのだと理解した。だが同時に友人であるアムロ・レイ、兜甲児、流竜馬らを放り出すことが出来ない。
だからこそ、渋々とは言いながらも、彼らと共にあるために戦いの地へと旅立っていった。間に合わなかったそれは、置いていかれることとなった。とても『悲しかった』。
元々遅かった作業は、更に遅くなる。それは居ても立ってもいられない感情に振り回される。これがいわゆる『怒り』であると後に知った。
微々たる速度ではあるが自分の体が完成していく。そんな折に、一つの情報が入ってきた。
オリジナルハイヴ攻略に成功。
父が、父の仲間たちがなし得た成果が、彼女はこの上なく『嬉しかった』。だが、それはすぐに塗り替えられる。
ハイヴ着陸ユニットがこの帝都に向かって落ちてくる。この情報が彼らの喜びを絶望の淵へと落とした。
パニック状態になる技術者たち。それに喝を入れたのは父の母。言うなれば、祖母なのだろう。彼女は素早く纏め上げ、データをすべて引き出させ、厳重に保管させた。そして研究者たちを避難させると祖母は私を見上げた。
「ごめんなさい、あなたは連れ出せないの」
それだけ言うと、彼女もその場から姿を消した。
いや、研究室の入り口に陣取っているだけで、避難したわけではないようだ。
センサー領域を拡大。大気圏に突入しているらしいそれは、おそらくこの街を壊し尽くすだろう。時間はない。出来ることはただ一つ。エネルギーを強制回収。設計上の力があるのならば、その禍々しい流星を撃ち落とせると計算する。
躊躇うことはない。もとよりこの身はそのために作り上げられた。未完成ではあるが、エネルギーを開放するだけならば十分だ。惜しむらくは、父がこの場にいないこと。もし、ここにいれば、私を褒めてくれるだろうか?
次元連結システム最大開放。転移ポイント、上空1000mここならば街への被害は最小限となる。いや、正確にはこれ以上上昇すると、機体が損壊する。
チャンスは一度きり。ターゲットを捕捉。エネルギーが充填されるに連れて、機体がきしみを上げる。だが、ここで散るとしても本望だ。
私の名は、ゼオライマー。父が与えてくれた名前。父と私しか知らない名前。その名を誇りに、私は全てを解き放つ。
『メイ・オウ!!』
『天』の一文字が輝き、ハイヴ着陸ユニットに叩きつけられた。
それは地上で展開された部隊でも観測された。
突如として天高く現れた高エネルギー反応は、天を燃やし尽くすかの勢いの光を放ち、そして・・・。
すべての光と衝撃が収まった後、沙霧は呆然と天を見上げた。
そこには一機の巨大な戦術機が浮かんでいた。全長は彼の乗っているジムの3倍はあるだろうか。ただ、その威容はもはや保ってはいない。空中に現れたときからそうだったが、あの巨大な戦術機は最初から装甲に覆われてはいなかった。
「まさか、未完成のままで出撃したのか・・・?」
『間違いないだろうな。そして、我々はあの未完成機に救われたというわけだ』
「隊長!ご無事でしたか」
『ああ。しかしあれは、新塚博士の作品か?』
「そうだと思います」
『まあ、あんな非常識なものを作ることが出来るのは、世界中探しても新塚博士しかおらんだろうからな』
呆然と見上げる狭霧たちの前で、巨大戦術機の腕が突如として外れた。
「なっ!」
『いかん!あのままでは、帝都城に落ちるぞ!』
そう言っている間に、腕が、足が取れて、その巨体は重力に引かれるままに地に落ちた。
凄まじい音が辺りに響き渡る。巨体が落ちた音と帝都城に直撃した音。その両方が装甲越しに耳朶を打つ。
もうもうと立ち込める煙の中、帝都城に突き刺さっているフレームだけの巨体が見えた。
「た、隊長・・・殿下は?」
『出撃しておられる。帝都城内に人は残っておらんはずだ』
この時点では経験の少ない狭霧は、ただ呆然と立ち尽くしている他無かった。
そして、天馬艦内。
『・・・とまあ、こういう状況でね。何かやったのならば拓哉くんだろうなーと思ってね』
大体の状況を聞いたアムロたちは拓哉から視線を外さない。そんな無茶な戦術機を作ることが出来るのは、拓哉以外にはいないだろう。
そして、アムロたちは何度も拓哉の実家の地下工廠を見ているので該当するものを一つ知っていた。
「でも、あれって未完成だったよな?」
「そのはずだ。装甲も付いていない、メインの動力源も不安定と言っていたからな。とても動かせる状態じゃなかったはずだ」
自慢の一品だったらしく、これ以上ないぐらいに詳しく説明してくれた。
「次元連結システムだったか。俺も半分以上理解できなかったが・・・」
「発明品のことになると饒舌になるからな」
その主な被害者はアムロである。
「だとしたら、誰が動かしたんだ?拓哉のおじさんとおばさんは戦術機適性がないだろう?」
「あれは、自動で動くんだよ」
甲児の問に、アムロが答える。
『どういうことだね?』
「ものすごく高度なAIで制御していると言っていました。そのうち、自我が芽生えて自動で動き出すとも」
「AIに自我!?おいおい、何をやらかすんだこの天才様は」
「それって、そんなにすごいことなのか?」
「弁慶、ゲッターロボが突然自分で物を考えて動き出したらどうする?」
「うえぇっ!?そりゃあ、すげーな」
「・・・・・・衛士が要らなくなるということだ。慢性的な衛士不足に悩まされているような国では、受け入れられるかもしれんぞ」
日本はまだまだ余裕があるが、大東亜戦線やEU、ソ連では衛士不足が目に見えている。そんな所にAIを通り越して自分で考える戦術機が現れたら?そして、それがハイヴ着陸ユニットを撃墜できるほどの超パワーを持っていたら?
「司令!在日米軍はどうしている!?」
『それだが、帝都城の周りに集まったはいいが、雷電様の指揮する部隊に阻まれて何も回収できていないらしい。ただ、それよりも問題は、帝都城を破壊してしまったほうだろうね』
まず、在日米軍は相手にならない。在日米軍の戦術機はF-15だ。ジムとはスペックの面で負けている上に、出てきているジムが全てランチャーストライカー装備。かすっただけで大ダメージのアグニ砲を装備している。在日米軍でも、まともな考えを持っていればそこに突っ込もうとは思わないだろう。
ちなみに、新塚家の周りにはソルテッカマンとガーランドの部隊が厳重に警備をしている。
『まあ、帝都城の方はハイヴ着陸ユニットを破壊したことと相殺して、無罪放免・・・いや、何かしらの勲章が出るかもしれないね』
『出なければ駄目でしょう。拓哉くんは気にしないでしょうが・・・』
「私が許しません」
今まで沈黙を貫いていた焔の、鋭い視線と言葉に思わず息を呑む。
思えば、これほど報われない少年も中々いないだろう。新しい武器を作り、戦術機を作り、戦艦をも作り。だがここに至るまで彼は何の報奨も受け取っていないのだ。
厳密に言えば、本来ならば授与されて然るべき勲章の類を何一つ受け取っていない。それも難しい政治の問題というよりは、当時はまだ力の強かった親米派と、生意気な子供が気に入らないと言うだけの政治家によって、それらは全て阻まれていた。
資金は技術廠を通して出ているが、それも十分とは言えない。資金繰りにはいつも困っており、紅蓮を始めとした武家の融資と、皇帝陛下と皇太子殿下の鶴の一声があってまともになったのは、実は割と最近の話だったりする。
『紅蓮閣下と神野閣下も後押ししてくれるらしい。今回は、ちゃんと拓哉くんたちも受勲されるよ』
「たちって・・・俺たちも?」
『当然だよ。君たちももっと早くに受勲されなければならなかったのだからね』
アンバール。ボパール。マシュハド。そしてカシュガル。それだけのハイヴを攻略してきた彼らに、受勲無しという今までが異常すぎるのだ。
ちなみに、彩峰たちも受勲されていなかったりする。正確には、アムロたちへの受勲の話を持ち出して煙たがられたのが原因だ。
外国人に民間人。それも血筋も怪しいどこの馬の骨とも分からない。そんな言葉が飛び交っていた会議を思い出す。榊が大分と粘ったようだが、それでも受勲されない現状が異常すぎる。だが、今回は受勲しない訳にはいかないだろう。多少の被害は出たが、人的被害はゼロに収まり、帝都城の損壊は許容範囲内というのが、政威大将軍の言葉だ。
今はまだ実権を持たないお飾りの政威大将軍だが、これを機に親米派は全てとは行かないがより数を減らすだろう。おそらく、権威はかなり戻るはずだ。
『とりあえず、日本に着くまでゆっくりと休みなさい。後の難しいことは、私達でやっておくよ』
通信が終わり、オペレーターの女性がいなくなると、再び室内を沈黙が包んだ。誰ともなしに口を開かなかったのだ。
やがて、拓哉の髪をなでつけていた焔が口を開く。
「やっと、拓哉様が報われるのですね・・・」
「本人にそのつもりはないだろうけどな」
「でも、まだ問題は山積みだぜ?」
「それは、拓哉に任せよう。俺達はまた出撃するために英気を養う。それでいいじゃないか」
未だ静かに寝息を立てる拓哉に目をやる。
今は休もう。ただ、次の出撃に備えて。
少年たちの戦いは、まだ終わらない。