マブラヴで楽していきたい~戦うなんてとんでもない転生者   作:ジャム入りあんパン

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味方ユニット
アムロ(29)・ガンダムMk-Ⅱ
甲児(29)・マジンガーZ
鉄也(30)・グレートマジンガー
リョウ(29)・ゲッタードラゴン
士郎(29)・ガンダムEz-8
篁(30)・量産型ガンダム
巌谷(30)量産型ガンダム
紅蓮(32)・紅蓮ガンダム
神野(32)・シグマガンダム
月詠(29)・ネモ

テオドール(28)・強化型ガンダム
アイリスディーナ(29)・ジム・カスタム

アントン(29)・マインドシーカー改

マチルダ(27)・ジム・エールストライカー
アイナ(24)・ジム・エールストライカー
ノリス(31)・ジム・IWSPストライカー

敵ユニット
重頭脳級(??)
触手(??)×30



39・決戦!オリジナルハイヴ!後編

 戦闘の口火を切ったのは、反応炉から伸びる触手だった。

 アムロのガンダムMk-Ⅱとゲッタードラゴン、そしてマインドシーカー改にも狙いを定めて一斉に襲い掛かってきた。

「狙いがわかりやすい!」

「だったら、俺達が囮になる!」

「その隙に触手を全て処理しろ!」

 無数に迫りくる触手を切り払いながら、回避をする3機に続くように他の機体も動き出す。

「援護せよ!全て撃ち落とせ!」

 放たれたビームが触手を撃ち落とすが、再生する速度がそれを凌駕していく。

「まさか、適応してきているのか!?」

「ならば、これでどうだ!サンダァァァブレェェェェク!!」

 グレートマジンガーから放たれた雷撃は、触手の束を薙ぎ払う。だが、それでも少しずつ再生をし始めている。

「元からの能力か分からんが、戦闘を長引かせるわけにはいかんな!弾薬を惜しむな!本体を直接狙い撃つぞ!」

 紅蓮の号令に合わせて、一斉に砲撃が加えられる。しかしそれは、無数の触手によって阻まれ大したダメージは与えられなかった。

 

 

「どうやら、ゲッターにご執心のようだな!」

 両手のダブルトマホークと、腕のスピンカッターで触手を切り裂きながら、竜馬は反撃の機会を伺っていた。

 

―ゲッター。ゲッター!

 

「何だ、この声は・・・!」

「リョウにも聞こえたか。どうやら、幻聴じゃないようだな」

「おいおい、頭の中に声が響いているぞ!?」

 

―ゲッター!

 

 縦横無尽に迫る触手は、ゲッターを執拗に狙う。

「ゲッターの相手だけじゃなくて、俺の相手もしてくれよな!」

 ゲッタードラゴンに迫りくる触手を薙ぎ払ったのは、甲児のマジンガーZが放ったアイアンカッターだ。よく見れば左手に剣を持っていた。その剣でなぎ払いながら、ゲッタードラゴンと背中合わせになり、周囲を警戒する。

「その剣はどうしたんだ?」

「鉄也さんに借りたんだよ。マジンガーブレード。2本あるから1本持っとけって」

 大きく剣を振り回している姿は、到底慣れているように見えないが、今は一つでも手数が必要なときだ。無手のマジンガーZにはちょうどいい武器となったようだ。

「リョウ、合わせていくぜ!」

「おう!」

「ブレストファイヤー!」

「ゲッタービーム!」

 背中合わせのままでエネルギーを放ちながら回転し、周囲の触手を薙ぎ払っていく。そしてポッカリと開いた空間にアムロとアントンが突撃していく。

「よーし、やっちまえ!!」

 甲児の叫びに押されるように、アムロのガンダムMk-Ⅱとマインドシーカー改は更に加速をする、そして、レーザー対艦刀を同時に振りかぶり、反応炉の上でユラユラとうごめいていたおそらくは本体に叩きつけられる。

 触手でそれを受け止めようとする反応炉。だが、それは所詮蟷螂の斧。レーザーの熱量と2機の勢いに押されて一気に切り裂かれる。

 奇しくも三枚におろすことになったそれは、それでもまだ健在だった。

 

―重大な損害を確認。観察対象の捕獲、並びにゲッターの破壊は困難。

 

「何なんだ・・・一体お前たちは何なんだ!」

「BETAとゲッター。どんな関係があるというんだ・・・」

 それに答えることなくユラユラと揺れる反応炉の本体。そして、ガンダムMk-Ⅱから放たれる赤い光は、事ここに至って更に輝きを増した。

「答えろ!お前たちはなぜここまで来た!」

 

―捕獲し、研究する。サンプル。

 

「なっ!」

「人を実験動物呼ばわりとは、大きく出たな」

 

―再生。

 

「えっ?」

 驚きの声を上げるアムロの目の前で、アムロたちに切り裂かれた場所は見る間につながっていき、もとの反応炉の姿を取り戻した。

「おいおいおいおい、あんなのありかよ!」

「ちぃっ!こうなれば、一撃で跡形もなく消し飛ばすしか無いということか!」

 ようやく無数の触手をかいくぐり反応炉に重大なダメージを与えたかと思えば、瞬く間に再生されたのだ。

 諦めにも似た空気が漂う中、彼は声を振り絞った。

「まだだ!まだ、僕たちは終わっていない!!」

 普段のアムロからは信じられないような力強い声で、それは伝えられた。

「僕達がここで負けたら、誰がここを攻略するんだ!僕達以外に、誰か行くのか!?誰かを行かせるのか!!」

「そうだな。俺たち以外に誰も入ろうだなんて思わねえだろうな」

「ああ。俺達の腕はまだ動く。ならば、やる事は決まっている!」

「俺達はまだ諦めていない!みんな、行こう!」

「フッ、そうと決まれば覚悟を決めろよ。BETA。俺達は少々荒っぽいぜ!」

 甲児、竜馬、士郎、鉄也の声に呼応するかのようにガンダムMk-Ⅱから放たれる光は更に赤く、鮮やかに、そして見る者の目を奪うほどに輝いた。

「そうだな。同じガンダムが諦めていないんだ!お前もまだ行けるだろう、ガンダムなんだからな!」

「聞いたな!やる事は一緒だ!奴に、シュヴァルツェスマーケンを下してやれ!!」

「666戦術機中隊にだけいいカッコはさせられないわね!」

「そういうことだ!フッケバインの名の意味を教えてやれ!」

「ノリス、まだ立てますね?」

「勿論です。アイナ様!」

「付いてきただけとは言わせないわ!国連軍の意地を見せなさい!」

「暖かい光・・・これは、まるで命そのもの・・・」

「ソフィア、分かるのか?」

「命が輝いて、これがニュータイプ。命の輝き・・・」

「命の輝きか。言い得て妙じゃな。さて・・・」

「老骨に鞭打つとするかの!もう一息じゃ!日本男児の底力を見せよ!」

『おぉーーーー!!!』

 一度は地に落ちかけた戦意が、再び、いや、それ以上に高まり始めた。それに呼応するかのようにガンダムMk-Ⅱは更なる光を放つ。

「分かるぞ・・・。ガンダムがみんなの力を、みんなの力がガンダムに!」

 ガンダムMk-Ⅱがレーザー対艦刀に手をかける。そしてそれは、超重光線級を撃破したときよりも更に長大な刃を形成する。

 

―観察対象よりエネルギーを確認。これより捕獲する。

 

「させるか!!」

 一斉に放たれる砲撃の雨に、三度放たれた触手はガンダムMk-Ⅱに近づくことも出来ず、散り散りに消え去っていく。

 そして、ついにはメインホールの天井に届くほどにまで伸びたエネルギー・・・いや、人の意志の刃は反応炉に向かって振り下ろされた。

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」

 最後に反応炉は何を思ったのだろうか。それは何も分からないまま、反応炉はその全てを光の奔流の中に飲み込まれた。

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 アムロはコクピットの中で荒い息を付きながら操縦桿を握りしめていた。

 ガンダムMk-Ⅱはレーザー対艦刀・・・もはや、柄しか残っていないが・・・を振り下ろした姿勢のままで空中に留まっていた。そして、やがてはそのエネルギーも尽きたのか、地面に向かって落下を始めた。それを支えたのはマジンガーZとゲッタードラゴンだ。両サイドから腕を取って受け止める。

「うわっ」

「やったじゃねえか、アムロ!」

「すごかったぞ。あれこそがニュータイプなのか?」

「でも、僕は、分かり合うことができなかった・・・」

 アムロは操縦桿を強く握りしめる。拓哉が話していたニュータイプの理想とはあまりにもかけ離れた、大きな力で相手を叩き潰してしまったことを気にしていた。

「それは、違うんじゃないかな?」

 そこに士郎のEz-8が近づいてくる。

「対話は、お互いに理解し合おうとして初めて成り立つものだ。あの反応炉・・・いや、BETAは最初から俺たちを生命体ではないという結論を押し付けてきていた」

「それに、人を観察対象とかいうやつとの対話はまっぴらゴメンだな」

 いつの間にか近づいてきていたグレートマジンガーの中の鉄也も、鼻を鳴らしてそう答える。

 それでも答えのないアムロに、甲児はガンダムの頭にコツンとマジンガーの拳を当てて言う。

「考えすぎるのはお前の良くないところだぞ。それに、話し合う機会ならこれからいくらでもあるさ」

「そういう事だ。あの天才様は、月を取り返しに行くつもりらしいからな。対話の機会はいくらでもある」

「それよりも、俺はあのBETAがゲッターを知っていたことのほうが不思議だなあ」

「お、弁慶が珍しく繊細なことを言っているぞ!」

「からかうない!お前たちは気にならないのかよ!」

「俺は気になるな。だが、今は・・・」

「一時の勝利を喜ぼうか。それぐらいはいいだろう」

 降り立つ先にはこの戦いを共に戦い抜いた仲間たちが待っていた。みんな一様に傷ついてはいるが、脱落者が一人もいないというのはまさに奇跡と言うしかないだろう。

 機体の中で涙を流す者。喝采を上げるもの。器用に機体同士で抱き合うもの。喜びの姿はそれぞれだったが、鉄也の言う通り、今は一時の勝利を喜ぶべきだろう。

 アムロは、自分の無事を知らせるかのように、機体の腕を少しだけ動かしてグーを作ってみせる。オープン回線で凄まじい歓声が響いてきた。

 そう、今だけは勝利を喜ぼう。

 

 

 

 

 戦いは、まだ終わってなどいないのだから。これこそが始まりなのだから。

 

 

 

 

 地上に戻ったアムロたちを待っていたのは、喝采の嵐だった。

 スコープドッグ隊が捧げ銃をして、ハイヴ突入部隊のためのルートを作り、上空ではエールストライカーを装備したジムが飛行して下手くそなハートマークを描いている。

 誰もが喜びに沸いていた。

「英雄たちに敬礼!!」

 彩峰の号令に合わせて、ジムを始めとした戦術機たち、そして、スコープドッグ、ガーランド、ソルテッカマンが敬礼を返す。

 地面を見ればそこらかしこにBETAの残骸が散らばっている。地上でも楽ではない戦闘があっただろうことは、容易くうかがい知れた。

 その中央を、ハイヴから出てきた勇士たちはゆっくりと歩みを進めていく。そして、地上で擱座したままのホワイトベースへと格納されるまで、それを見届けたのだった。

 

 

 

「そうか・・・。結局、BETAの詳細は分からずじまいか」

 窓の外で行われている、擱座したホワイトベースを釣り上げる作業を見ながらつぶやく。

 これからの戦いにつながる何かは結局見つからないまま、ただ分かったのは、BETAの一部が意思を持つ存在であるとわかっただけだ。もっとも、その意志も本当にその個体の意志であったのかは不明なのだが。

「アムロくんの話を聞いている限りは、まるでハロとの会話を聞いているみたいだね」

「ハロの方がもうちょっと個性豊かじゃないですか?あれで結構感情豊かですよ」

 全員がよく知っている、ある意味オーパーツのボール型ロボットを思い出した。甲児が乗り回しているホバーバイクも大概だが、あれはそれを超える存在と言ってもいいだろう。

 ちなみに、思考と動作を簡略化された小型ハロ。つまり、SEEDでラクス・クラインの側にいたハロが大量生産中であることは秘密である。

「だが、BETAの目的と存在の一端がわかったことだけでも大戦果だ。報告書はまあ、日本に帰ってからでも構わないよ。今日はゆっくり体を休めなさい」

「え、でも・・・」

「そうだな。アムロくんたちはゆっくり休んでくれ。後は、大人の仕事だよ」

「ここは司令のご厚意に甘えよう。地上戦からハイヴ線まで、結構ハードだったからな」

「ああ。俺も疲れちまった。拓哉の顔を見てから行こうぜ」

 アムロの手を強引に引っ張るように、ワイワイと賑やかに去っていくのを見送ると、彩峰は大きくため息を付いた。

「子どもたちに助けられてばかりでは、大人の立場がないじゃないか」

「まったくじゃの。重要なところは、全て子どもたちに助けられたわい。ワシ等だけでは、あの反応炉を倒せたか分からんからのう」

「然り。さすがは婿殿が集めた勇者たちと言うべきか。しかし参ったのう。これでは、焔を嫁にやるだけでは足りぬかもしれん」

 豪快に笑いながら、紅蓮は頭を叩く。その笑いには若干力が無かったのは、やはり彩峰の言うとおり大人の立場がないからであろう。だが、同時にあれこそが若さであり、自分たちを追い抜いていく少年たちの力だと理解した。

「まだ若いつもりだったのですが・・・」

「はっはっは!あの若さと明るさには敵わんよ!」

 今はただ、その背中を後押しできればそれでいい。

 そう、今はただ・・・。

 

 

 


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