マブラヴで楽していきたい~戦うなんてとんでもない転生者   作:ジャム入りあんパン

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24・シュヴァルツェスマーケンの顛末

 俺のもとには結構な数の情報が入ってくる。

 その中で、今最も重要視しているのが、東ドイツの第666戦術機中隊。通称、シュヴァルツェスマーケンだ。

 少し前に、フリーデン改め、天龍型水陸両用艦・天龍がスコープドッグとソルテッカマン。そして、数機のジムを乗せて旅立っていったのは覚えているだろうか?

 そこに同乗させたキリコから定期的に情報が届くのだが、ここでその状況について少し語っておこうと思う。正直、よく分からん写真が同封されていたし。666中隊の全員が集まっている写真なだけに見えるが、俺の気のせいでなければテオドールを取り合っている写真に見えるような?シルヴィアってこんな幸せそうな顔をするキャラだったっけ?カティアとリィズがそれぞれテオドールの腕を取り合ってるのはなんで?他の女性陣も虎視眈々とテオドールを狙っているようにみえるのは気のせいかな?

 今回は、この意味不明な写真が送られてきた経緯についてちょっと語ってみよう。

 

 

 まず、第666戦術機中隊だが、原作キャラは全員いることがわかった。まあ、そこは俺が名前から判断したのだが、序盤でアネットを突撃級からかばって死んだ衛士のことを覚えているだろうか?イングヒルトという名前の女性衛士だが、彼女、生きていた。

 どういう事があったかというと、ちょうど光線級吶喊(レーザーヤークト)の任務に出撃していた彼女たちの前に、天馬級三番艦、つまりはロンド・ベルの別働隊が到着したのだ。

 暴走するアネット。それを必死にフォローするイングヒルト。そこに突撃級が突貫してきたのだが、それを救ったのが鹿島優中尉の乗るジム(指揮官機)だったそうだ。

 そこから後は脱落者もなく、原作通りにカティアを救出する、という流れだったそうだ。

 勿論、ロンド・ベルの乱入は東ドイツの特殊警察、シュタージのあらぬ疑惑を生んだ。が、そこはあの神野中将がどうにかした。

 いかにハインツ・アクスマンといえど、歴戦の神野中将にいいようにあしらわれて、ジムを始めとした機体を鹵獲することも出来ず、退散する他なかったと言う。

 どういう会話があったのかは是非とも聞いてみたいが。

 

 その後、もののついでとばかりにロンド・ベルは第666戦術機中隊と共闘して、迫り来るBETAの群れと戦っていたそうだ。

 ちょうどそこに、天龍を旗艦とするロンド・ベルの部隊が到着。そのまま神野中将の指揮下に収まり、東ドイツ軍とBETAの撃滅に限っては協力するという形で、共闘することになったのだとか。

 

 さて、ここで気になるのはシュヴァルツェスマーケンの主人公、テオドールくんだが、鹿島中尉とキリコ曹長に憧れて弟子入りする形になったのだと言う。

 

 どうしてそうなった!?

 

 まあ、その二人は別艦隊でも明らかに規格外の腕の持ち主だからまだ分からんでもないが、そうなったら完全に物語が瓦解しないか?と思っていたら、ここで更に原作キャラの介入で物語が大きく変異した。

 と言っても、シュヴァルツェスマーケンの原作キャラではなく、装甲騎兵ボトムズの原作キャラだ。その名はフィアナ。ファンタム・レディの二つ名で恐れられた名うての歩兵だそうだが、スコープドッグとの相性がものすごく良かったらしい。予備のスコープドッグに乗せたところ、まるで水を得た魚のように、キリコとコンビで戦果をあげていったとか。

 いや、もうなんでもありだな。ただまあ、シュヴァルツェスマーケンの物語自体はちゃんと進んでいるようだ。テオドールとリィズの再会。西ドイツのフッケバイン大隊との邂逅、海王星作戦など、概ね原作通りの展開をたどっている。

 と言いたいが、ここから信じられない単語を目にした。

 テオドールを中心にした女性陣の恋の鞘当てが加熱していると。

 フィアナが言うのなら間違いないという、さりげない惚気まで追記されて。

 いや、待て。シュヴァルツェスマーケンはそんなマブラヴ本編みたいなキャッキャウフフな展開とは程遠いだろう?もっと殺伐としていなきゃおかしいだろ!?

 突っ込みどころは満載なんてものじゃなかった。どうやら、鹿島中尉とキリコに弟子入りしたことが影響して、男を上げたらしい。まあ、みんな幸せならそれでいいけど。

 キリコ曰く、「自分にリボンを巻いているベルンハルト大尉を見た」とのこと。某ソシャゲの全身リボンのバレンタイン仕様アイリスディーナか。SSRだったっけ。うろ覚えだけど。

 

 その後の展開は原作を知っているものからすれば、あれ?と思うようなものばかりだった。ファム姉さんが負傷していない。リィズが闇落ち・・・ああいや、彼女の過去的にもう半分落ちているようなものだけど、しない。シュタージの介入を許さないなど、アクスマン涙目と言わんばかりにバッキバキに不幸フラグをへし折っていった。

 誰がやったって?キリコと神野中将に決まっているだろう。キリコに関しては元々、俺がいらんことを言ったのが原因だ。キリコはこれ以上無いぐらいにテオドールに協力して、彼が幸せになるためならなんでもやったのだろう。お前は死亡フラグブレイカーか。神野中将は、どうやらテオドールを個人的に気にいったらしい。革命の日に自分のガンダムを貸したというのだから。

 神野中将のガンダムは量産型ガンダムのカスタム機、シグマガンダムだ。見た目は殆ど変わっていないが、中身はフルカスタムしてあり、紅蓮中将の紅蓮ガンダムとためを張れる代物だ。

 で、その結果どうなったのかというと。まず、リィズ生存。ファム姉さん生存。シルヴィア生存。ヴァルター生存。アイリスディーナ生存。カティアも当然ながら生存。いや、ちょっと待て。

 そして、この写真の真意がやっと分かった。テオドールを中心に集まり腕を必死になって取り合う女性陣。まるで、武ちゃんハーレムを見ているかのような、もう何だ、血で血を洗うのが女性陣の恋の鞘当てだけで済んでよかったな。

 そして、こっちは神野中将から。

 革命に関わってしまった以上、もう少し様子を見るためにドイツに留まるとのこと。同じような内容は帝国議会にも届いていて、ちょっとした騒ぎになっている。

 そりゃそうだ。どう見ても革命成功、ドイツ統一の立役者になっちゃってるし。いやもう、これは俺のせいじゃないだろ?

 さて、問題となるのはその後だ。うろ覚えだが、テオドールはトータル・イクリプスの『マスター』じゃないかというのがあったな。公式でアナウンスされていないから、あんまり確定というのは問題があるんだけど、もし、公式だった場合。テロに走らないんじゃないのか?

 ・・・・・・まあ、いいか。余計な敵が一つ減ったということで。

 

 ああ、そうそう。ベアトリクス・ブレーメ。彼女も生きているらしい。シグマガンダムの圧倒的な性能差で叩き潰して、結果、生きていたらしい。

 今はどこにいるのかは分からないが、シュタージもなくなった以上、彼女に大した力はないと思いたい。

 

 

 一通りの報告を読み終えた俺は、大きくため息を付いて椅子に背中を預ける。

 どうしてこうなった、その一言に尽きる。ドイツって、ユーロフロントを見た限りじゃあ統一されてなかったよな?ツェルベルス大隊は西ドイツ所属となっていたはずだ。それがなんで統一されている?

 いや、いいよ。ハッピーエンドに持ち込んでさ。俺の知っている史実のドイツ統一もちょっとアレな流れだったし。だけど、話が早すぎるだろう?カティア、戸惑っているんじゃねえか?

 

 

 さて、ここからさらにアフターだ。

 これは後に俺が知ることになるが、ガンダムのインパクトが凄かったらしい。

 シグマガンダムはフルカスタム機だ。この時代においては圧倒的と言ってもいいだけのスペックを誇っている。それがビームサーベルをぶん回しながら、一直線にシュタージを薙ぎ払っていく様は、一種の活劇のように見えたのだろう。

 この時代において、第二世代機はまだまだ希少だったはずだ。その第二世代機すら配備がおぼつかない中に、ガンダム投入だ。圧倒的だったろうさ。

 人々には革命の遺志として、多くの世界のガンダムたちと同じように映ったのか。そこは俺にも分からない。だが、ガンダムが人々の道行きを指し示す光になればいいと俺は思う。

 

 ここで、遠くの世界で起こった物語については筆を置かせてもらおう。

 おそらくだが、俺にはもう関係のない話だ。

 

 

 


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