妹はFallen Angel!   作:さとそん

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みなさん、ただいまです!静岡沼津から帰ってきましたさとそんです!
ぼくは旅行に行くと寝れない人間だったはずなんですが爆睡してました……。
そのため更新遅くなりました。更新楽しみにしてくださっていた方々申し訳ありませんでした!


堕天使と普通~part1~

 

 

「──くしゅっ!」

競泳水着を着ているこの辺では見かけたことのない子と千歌が焚き火の前で暖をとっている。

 

「で、お前らはなにをやってたんだ?あれか?瓶の中に入ってる手紙でも探して文通でもしたかったのか?発情期か?」

 

「そんなわけないじゃんっ!この人が四月なのに海に入ろうとするからそれを止めようとしたんだよ!」

 

千歌が俺の言ったことに対して懸命に反論する。そんな必死にならんくても……冗談に決まってるだろ。

 

「ふーん、なるほどな。 君、ここは沖縄じゃないんだからこの季節に海に入ったら大変だぞ?どうしても潜りたいならダイビングショップだってあるのに……」

 

そういって先ほど十千万から持ってきたタオルを肩にかけてやる。

「あ、ありがとうございます……」

まだ初対面の俺たちに緊張してるのかボソッとつぶやく。

初対面の男とは話しづらそうだし俺はあまり会話に入んない方がいいかもしれない。

 

そう思い千歌に目配せをする。それを見て意図を汲み取り少女に話しかける。

 

「どうして海に入ろうとしたの?」

 

まぁ当たり前の疑問だな。わざわざこんな時期に海に入ろうとするなんてそれだけの理由が無ければやらないはずだ。

もしくはいつもウェイウェイ言ってるリア充(笑)どもが調子に乗って遊んでるかだな。

 

「……海の音を聴きたいの」

 

「「海の音?」」

俺も千歌も意味がわからなかったためキレイに千歌とハモった。

……海の音ってなんだ?

 

「なんで?」

千歌は海の音とはなんなのかをあまり深く考えなかったのか理由を尋ねた。

 

「……」

しかし、少女は何も答えない。

 

痺れを切らしたのか千歌が

「わかったじゃあもう訊かな〜い〜」

と言ったその直後──

 

「海中の音ってこと?」

 

いや、思いっきり訊いてるじゃねぇか。言葉と行動が正反対の方向に進んじゃってるよ。

そんなバカ千歌をみて少女もふふっと微笑んだあと

 

「私、ピアノで曲を作ってるの。でも、どうしても海の曲のイメージが湧かなくて……」

と潜った理由を話してくれた。

 

「ふーん、曲を!作曲なんてすごいねぇ!ここら辺の高校?」

「……東京」

少し答えづらい質問だったのかちょっと間を開けてから答えた。

 

それにしても東京か……。よくここまで来たな。

 

「東京!?わざわざ?」

千歌も俺と同じことを考えていたようだ。

 

「わざわざっていうか……」

「そうだっ!じゃあ誰かスクールアイドル知ってる?」

 

少女はなにか言い淀んでいるようだがそれをものともせずに積極的に話しかけていく。話しかけるように促したのは俺だがそうとう踏み込んでいくな。

この娘の辞書に「躊躇」とか「人見知り」などの言葉を追加してあげたいくらいだね、うん。

 

「スクールアイドル?」

「うんっ!ほら、東京だと有名なグループたくさんいるでしょ?」

「なんの話?」

「へ?」

 

千歌は東京にいる人ならスクールアイドルを知っていて当然だと思っていたのか変な声を出して驚いている。そりゃあそうだ、今となってはμ'sやA-RISEは生きる伝説みたいなもんだしな。

 

その後、千歌はスクールアイドルを知ってもらうためにμ'sの動画をみせた。あれはたしかSTART:DASH!!だったかな……?あまりスクールアイドルに詳しくない俺でも知っている名曲だ。

 

「どう?」

「どうって……なんというか、普通?……あ、いえ!悪い意味じゃなくて、アイドルって言うからもっと芸能人みたいな感じかと思ったっていうか……。」

普通と言ったから千歌が気を悪くしたと思ったのかすぐに弁論をする。

 

「……だよね。」

「えっ?」

しかし千歌はμ'sを普通と言ったことを肯定する。それに対して少女も驚いている。俺からしたら全然普通じゃないんだけどなぁ……。

 

 

「だから、──衝撃だったんだよ」

 

 

「あなたみたいにずっとピアノを頑張ってきたとか、大好きなことに夢中でのめり込んできたとか、将来こんなふうになりたいって夢があるとか……」

 

喋りながら近くにあった石を拾って海に向かって投げる。

 

石は水を10回ほど切ってやがて海に沈む。

 

 

 

 

「そんなの一つもなくて」

 

 

 

 

 

「あたしね──普通なの」

 

 

 

それから千歌は普通で普通な自分について語り始めた。

 

「まずっ!このままじゃ本当にこのままだぞ!普通星人を通り越して普通怪獣ちかちーになっちゃう〜!って……ガオーっ!ふふっ、ぴーどかーん、うぉおおーしゅしゅしゅしゅーどーん!あははっ!」

 

 

「ふふっ」

急に狂ったように動き始めた千歌を見て少女は微笑んでいる。

 

ちょっとテンションはあれだが要するに千歌は俺に似ているのかもしれない。

 

「ふむ、千歌が普通怪獣ちかちーならそうだな……」

さっきまで黙り込みを決めていた俺が急に喋ったせいか2人ともこちらを見つめている。

 

「俺は──普通天使だな。」

「「はぁ??」」

 

2人で何を言ってるんだコイツ的な視線を送ってくる。

おいそこの競泳水着さん、なんで千歌のときは楽しそうに見てたのに俺がやったらそんな目で見るんだ?見た目か?!見た目なのかっ!?

 

はぁ……まぁいいや。

 

「俺は今はこんな感じだけどさ、昔はそうとうやばい奴だったんだ。千歌との交流があんまりないときだったから知らないと思うけどな。」

 

「俺にも千歌みたいにやりたいこととかなりたいものとかが何も無くて……。そんな自分に嫌気が差して、どうにかして自分を変えようと思ったんだ。」

 

「善ちゃんはその時どうしたの?」

 

 

 

 

 

 

 

「俺は──堕天使になった。」




次回、明かされる善人の過去!

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