ストーリー準拠はアニメ見ながらじゃないと矛盾点などがたくさん生じるもので……。
というわけでこちらの作品は土日の更新を基本とさせていただきます。
前にも言った通り私のメイン作品は「空に輝く星のように」なのでそちらを優先させていきたいと思います。
どうかご了承ください。
「つまり設立の許可どころか申請もしていないうちに勝手に部員集めをしていたというわけ?」
場所は変わってここは生徒会室である。
「悪気はなかったんです。ただみんな勧誘してたんでついでというか〜、焦ったというかぁ……」
現在、我らが生徒会長である黒澤ダイヤ様は俺の幼なじみである千歌と対面して先ほどの勧誘についての話をしている。
生徒会室ではダイヤが椅子に座り、その後ろで壁に寄りかかりながら話を聞いているのが俺、その対面で立って話を聞いているのが千歌。曜は廊下で話を立ち聞きしていると言った状況だ。
「部員は何人いるんですの?ここには1人しか書かれていないのですが」
部員かぁ……。とりあえず今わかるのは千歌と曜くらいだな。部活動の設立に必要な人数は5人だから3人も足りないのか……。少し厳しいかもな。
「今のところは……1人です」
……え?なんでだ?曜はスクールアイドル部(仮)のメンバーじゃないのか?
「悪い、ダイヤ。少しだけ抜けてくる」
「……えぇ、わかりましたわ」
少し気になったので廊下に出て曜に話しかける。
「なぁ曜、お前はスクールアイドルやるんじゃないのか?」
「え、私?私は水泳部もあるから……。千歌ちゃんには申し訳ないけどやらないよ」
「お前さ、昔からこう言ってなかったか?「千歌ちゃんと一緒に夢中で、なにかやりたいな」……ってさ」
「……っ!」
俺の言葉が核心をついたのかすこしだけ曜の顔が歪む。
「曜、今がその時なんじゃないか?あいつは……千歌はようやく、やりたい事を見つけたんだ。それを支えてやれるのは曜、お前しかいない。」
「善くん……。そうだね、少しだけ考えてみるよ」
「ああ、頼んだぞ。さぁっ、生徒会室戻るか!中入っててもいいぞ?」
四月とはいえまだ少し肌寒いだろう。いつまでも廊下に立ってたら寒いんじゃないだろうか。
「そうだね。そうさせてもらうよ!」
そういって曜がドアをノックしようとした時──
「私が生徒会長でいる限り、スクールアイドル部は認めないからです!」
中からダイヤの声が聞こえてきた。そしてさらに
「そんなあぁぁ〜っ!」
千歌の悲鳴も……。
☆☆☆
あの後すぐに千歌と曜は帰っていった。なんでも果南に会いに行くらしい。
果南とは松浦果南という俺の幼なじみの1人でありいまは少し疎遠になっている人物である。
別に喧嘩とかをしている訳では無い。二年前まではよく話す仲であったがあることをキッカケにほとんど話さなくなった。その上果南の父親が怪我をしたため実家の手伝いをしているので最近は会ってすらいない。
そして今はダイヤと2人で下校している途中である。普段はバスで沼津へ1本で帰るんだがなんか千歌に「十千万に来い」との命令を賜ったためダイヤと帰路を共にしていた。
「なぁダイヤ、まだあのこと引きずってんのか?」
先程のスクールアイドルについての話題を振る。
あのこととは果南と疎遠になった理由でもある。
「……今はその話は聞きたくありません」
「そういい続けてもう2年も経つんだぞ?」
「ですが……」
「前から言われてるだろ?このまま何もしなければ──浦の星は廃校になるんだぞ?」
俺たちが通っている浦の星学院は年々入学生徒が減少し続けている。そしてとうとう二年前に廃校になるかもしれないという報せを受けたのだ。
「…………」
俺からの言葉にダイヤは何も答えない。
だから一方的にこちらが言葉を紡ぐ。
「確かにお前がスクールアイドルを反対するのはわかる。けどな、お前が大好きなこの学校を守るためにはなにかしらの行動をしなければならないんだ」
「……少し、考えさせてください。」
やはりダイヤは生徒会長としてこの学校を存続させていきたいのだろう。だからこそこの問題に対して真剣に悩んでいる。
──ならば俺も生徒会長を補佐する副会長としての役目を全うするまでだ。
「ん、わかった。それじゃあな、気をつけて帰れよ」
「えぇ、それではまた明日」
ちょうど別れ道に差し掛かったため別れの言葉を告げそれぞれの道へ向かう。
少しあるくと目的地である十千万の看板が見えてきた。
十千万とは千歌の実家であり、古くから続く旅館である。目の前には三津海水浴場が広がっており夕焼けが水面に反射してキラキラと光っている。
昔からこの景色が大好きでよく千歌の部屋に入り浸っていたものだ。
「ん?」
よく見るとそのまぶしい光の中で2つの人影が取っ組みあっている。
そして
────同時に落ちた。
次回、内浦湾に潜む恐怖──普通怪獣ちかちー襲来っ!