四ヶ月も投稿しなくてすいませんでしたァァァーっ!
ちょっと……はい、浮気しすぎましたね。
今秋にはアニメ2期も控えておりますので、こちらを進めようかと思い昨日からめちゃくちゃ頑張って書きました!
いつの間にか善子ちゃんの誕生日も過ぎてしまい……ほんっとクソ作者ですね、こいつ←
まぁごたくはおいといて、本編入りましょう!どうぞ!
※今回はいつもより長めです
赤く綺麗に輝く夕暮れの中、閑静な商店街を一人歩く。
俺はこの時間が嫌いだ。別に一人が嫌だって訳じゃない。俺をそんじょそこらのパリピみたいにウェイウェイ言ってないと生きてられないような生物と一緒にされては困る。むしろ孤独でOK、それがユージュアル。
もういっそのこと近くにいるのは妹の善子だけで充分。あいつさえいれば俺は生きていける!
とまぁ、俺達の熱い兄妹愛は置いといてだ。
なぜこの時間が嫌いかと言うと単純に疲れているからだ。ホントにただそれだけ。
朝はまだ体力が有り余ってるからいいんだが、下校時間となるとそうもいかない。普段からインドア派な俺にとって、歩くという行為は苦痛でしかない。生まれてこの方ろくに運動なんかしたことないし、なんなら喧嘩だってしたことない。
まぁ後者はただ単に返り討ちにされるのが目に見えてるからなんだけれども……。
そんなわけで俺は動くのが嫌いなのだ。
けれど不思議なことに家に近づくにつれてその気持ちは一変する。
さっきまでは帰りたくない、動きたくないの一点張りだったにも関わらず、自宅の近くまで来るといつの間にか早く家に帰りたいになっている。
その不思議な力の原動力となっているのは、やはり善子だろう。そんな気持ちにさせてくれる善子が僕は大好きです。
結局は俺達の熱い兄妹愛の話でした、テヘペロっ☆
☆☆☆
「ただいまぁ〜善子疲れたァァ……」
そんなこんなで帰宅した俺だがもう足が棒のようだ。身体に力が入らず、フローリングの床にめがけてダイブする。その姿はたぶん、高飛び込みをやってる我が幼馴染みの渡辺曜にも劣らないだろう。
入ってきた時に玄関にある靴を確認したが、見た感じまだ両親は帰ってきてないみたいだ。いつもいつも遅くまでお疲れさんですなぁ。
さて、そろそろ床とオサラバしようと考えているとリビングの方から誰かがこちらへ歩いてくる足音が聞こえてきた。
さっきもいったが両親はまだ帰ってきてないので十中八九善子だろう。
リビングと玄関とを繋ぐドアがガチャリと音を立てて開かれる。
「ちょっと、そんな玄関先でくたばってないで早くこっち来なさいよ。早く着替えてご飯食べるわよ」
そこにいたのは、やはり善子だった。いつものように頭の右側には黒いツヤツヤの髪の毛を丸めてシニヨンを作っている。なにより目を引くのは普段からほとんど料理をしない善子が白いフリルのついた可愛らしいエプロンを付けているということだ。人妻感がなんか、こう、イイね!
「おぅ、わりぃわりぃ……。ていうかお前ソレ、どうしたんだ?」
「え、このエプロンのこと?……くくっ、感謝なさい! 今宵の夕餉はこのヨハネが直々に用意してあげたわっ!」
「おぉっ、マジかよ!それは早く着替えて飯食わんとな!さんきゅー、善子」
善子の手料理と聞いて心が有頂天になった俺は善子の念入りに手入れされた綺麗な黒髪を優しく撫でる。絹のように滑らかな触感が癖になってしまい、なかなか善子の頭から手が離せない。
「ちょっと! 毎回そうやって頭撫でるの恥ずかしいからやめてって言ってるでしょ!?」
そうして少しの間だけ悦に浸っていると、顔を真っ赤にして怒っている善子に手を跳ね除けられる。
「おっと、すまんな……って、へぇ〜恥ずかしいんだ?」
「ばっ、そっそれは……その、うぅ〜、いいから早く着替えて来なさい!お兄ちゃんの馬鹿っ!」
「へいへい、少しだけど待っててな」
「……うん」
ウ〜ン、やっぱり善子は可愛いなぁ。妹じゃなかったら結婚したいくらいだ!! むしろ妹だから結婚ってのもアリ……いや、それはないな、うん。
それにしても善子が飯作るのなんて小学生以来じゃないか? うんうん、妹の成長過程が垣間見えてお兄ちゃんは嬉しいよ……!
かったるい高校の制服をバサッと脱ぎ捨て善子の料理が用意してある食卓へと急いで向かう。
ハンガー? そんなもの知らんなぁ、制服のシワより妹のメシ。これ、常識。あーゆーおーけー?
「おっすおっす〜待たせたな」
リビングのドアを勢いよく開き、食卓テーブルへと目を向けるとそこには腕組みをした善子と、某料理番組でよく見るような銀色のケースに囲まれて中は見えない大皿の料理が用意してある。
あんなのどこで用意したんだよ……。
「善人……来たわね、夕餉の準備は出来てるわ!」
「あぁ、はいはいそのモードね、了解了解。」
「もっ、モードとかゆーなっ! 私はホントに堕天使なのっ! ……んんっ、よく聞きなさい、リトルデーモン。ヨハネがこの器の封印を解いた瞬間、この世のおぞましいものが見れるわ。あなたに……その覚悟はある?」
「善子、ちょっと待て。料理なのにおぞましいってなんだ? しかも自分で作った料理だぞ……」
今のは流石に聞き捨てならん。兄の俺でもビックリだ……。大丈夫かな?死なないかな?
「うっ、いや、その……お兄ちゃんのアホ!いいからとっとと席に着きなさい!」
「あっ、はい。すいません」
それは理不尽だろぉ……!
「じ、じゃあ開けるわよ……?」
善子が一つ、息を飲んで俺に確認を求める。なにをそんなに緊張しているのかわからんが……失敗でもしたのだろうか?
「お、おう。」
「行くわよ……せーのっっ!!」
善子は緊張で震える掛け声とともにケースを勢いよく外す──。
「おぉぉーっ! お、おぉ……?」
ケースを開けると同時に今まで閉じ込められていた熱気が部屋中に四散する。
あまりの熱に俺は感嘆の声を上げるが、その中にあるものをみて少しだけ戸惑ってしまった。
「なに、これ……たこ焼き??」
そこにあるのはなにか丸々とした黒い物体だった。ところどころから赤い血のようなものが飛び出ている。
一言で表すなら、そう──
「グロイな」
うん、グロい。たぶんこの一言に尽きると思う。
「ふふっ、驚いたかしら? これは私が以前から研究をしてようやく作り上げた失われた遺物«アーティファクト»その名も『堕天使の泪』よっ!!!」
堕天使の泪……か。これを食べるのは少しだけ度胸いるな、まだ生死が不安だし。
「ちなみに試食とかはしたのか?」
「えぇ、もちろんよ。普通に食べれたわ」
「いやいや、そりゃあ当たり前だろ。だってこれ、食い物なんだし」
とはいえこれで食べても死なないということはわかった。これはとても有益な情報だろう、お陰でさっきよりは安心して食べれそうだ。
「さてと、それじゃあリトルデーモンよ、有難くいただきなさい」
「最後に一つだけ確認だ。材料は何を入れた?」
「安心しなさい、そんな変なものは入れてないわ。中身の具はタバスコオンリーよ」
「はいアウトぉぉぉーっ!タバスコは具とは呼びませぇぇーんっ!」
前言撤回、こんなん安心して食えるかっ!たこ焼きの具がタバスコってこいつアホか!?
「いっ、いいから食べなさいよ!」
「無理!無理だって!おれ辛いの嫌いなんだよっ」
辛党の善子と違って、俺はカレーも甘口しか食べれないんだぞ!そんな甘党の俺にタバスコをおかずなしで食えとかただの死刑宣告だろ!?
「……そう、それなら仕方ないわね、、いいわ私が全部食べるから……」
俺が必死に堕天使の泪を食すことを拒否していると、諦めたのか善子は拗ねたような表情でそのアーティファクトとやらの乗った皿を自分の方へと引き寄せ、箸を手にする。
くっそぉ、そんな表情するのはあまりにも卑怯じゃないか……?
「ふぅ……善子、それ何個かくれ」
「いや、でも……」
一つ深呼吸をし、善子へと頼む。
それを拒む善子の目尻には少しだけ涙が浮かんでいる。妹を泣かすだなんて、ホンット俺は最低な兄だな……。
「せっかく善子が俺のために作ってくれたんだ、少しの辛さくらい我慢するさ。俺の妹が作った料理なんだから美味くないわけが無いしな」
「お兄ちゃん……! しっ、仕方ないわね!それじゃあこれ、食べてもいいわよ……//
あっ、せっかくだからヨハネが直々に食べさせてあげる! ほら、はやくあ〜んしなさいっ」
「え、まじ?いいの?」
い、妹からの!妹からのあ〜んだと!?それなんてギャルゲ?あっ、現実でしたっ☆
「はやくしなさいよ、こっちだって……その、恥ずかしいんだから」
「おっ、おう。それじゃあ……あ〜ん」
「ど、どう……??」
んっ!?こ、これは……あ〜んのお陰で普通に食え……食え、くえ……
「辛い辛い辛い辛い辛い辛いからぁぁぁぁあーいっ!」
るわけねぇだろぉぉおーっ!めちゃくちゃ辛ぇ!想像以上に!
辛いというよりは痛いの方が表現としてはあってる気がするぞ!
「ふふんっ、これで善人もリトルデーモンへと堕ちたようね」
この凶器を創り出した当の本人はなぜかドヤ顔をしてこちらを見ている。もしかして俺はハメられた……のか??
くそっ、とりあえず水を……水をくれぇ……!
☆☆☆
「ふぅ、とんだ災難だったぜ……」
その後、地を這いながらも冷蔵庫へとたどり着きお茶をがぶ飲みした俺は、先程の禍々しい物体を嬉々として頬を緩ませながら美味しそうに食べている善子の前で携帯を弄っていた。
ご飯を大した量食べたわけでもないが、あの凶器と善子のあ〜んで腹は満たされているため、何も食べる気が起きない。
「ご馳走様〜」
「おう、お粗末様」
どうやら善子はアレを食べ終わったみたいで、シンクへと食器をはこんでいる。
別に俺が料理をした訳では無いが、「ご馳走様」の後になにも返答がないのも寂しいだろうし無難に「お粗末様」と返すことにした。
「あっ、そういえば善子、ずら丸がお前に……ってノート渡してくれたぞ。ずら丸に感謝しながら勉強でもしてきたらどうだ?」
「うっ、わかったわよ。仕方ないから少しだけ勉強でもしてくるわ」
「うぃーす。分かんないとこあったら質問しに来いよ、数学以外」
「随分と頼りない返事ね、特に最後。まぁいいわ、とりあえず自分でやるから」
そんなこといわれても仕方ないじゃん、出来ないもんは出来ないんだよ。
まぁ数Ⅰくらいならたぶん出来るんだろうけどそれを教えれるかどうかとなると厳しいよな、教えるのってなんとなくの知識じゃできないし。
善子が自室へと戻ったせいで我が家のリビングに静寂のひと時が訪れる。
こういう静かな時間は考え事に向いてるから内向的な俺にとっては至福のひとときとなる。
せっかくだしなにか考えてみるか……そうだな、やっぱりアレか。
『スクールアイドル』
うん、今の俺にとって一番大事なのはこれだろう。いや、正確にはスクールアイドルが大事なのではなく、その先を見据えているのだ。
二年前、俺には大事な仲間が3人居た。その3人と過ごした時間は今でも大事な宝物だと思っている。
その3人は当時から人気絶頂だったスクールアイドルをやっていて、俺はそのマネージャー紛いのことをしていたのだ。俺がイベントを見つけては出演依頼をし、許可が出ればイベントに出演、出なければ他のイベント……その繰り返しをしているうちに、いつしか彼女達は地元でも有名なスクールアイドルとなっていた。
しかしある出来事をキッカケにそれは崩壊を始める。
メンバーの1人に海外留学の話が持ち込まれたのだ。その話が元となって結局そいつは海外へと行ってしまい、いつの間にかスクールアイドル『Aqours』は姿を消し、今ではその名前を聞くことすら無くなってしまった。
言葉が出ないほど悔しかった。あんな些細な出来事でこの友情が終わってしまうだなんて馬鹿馬鹿しくて、そんな状況で何も出来ない自分が情けなくて……。
もう一生、スクールアイドルという言葉を聞くことは無い。そう考えてた。
なのにだ、あれから二年経った今、そのメンバーの幼馴染たちがスクールアイドルを始めるという情報を偶然得た。
これはチャンスだと思った。上手くやればあの幸せだった時間を取り戻せるかもしれない。
またあの時みたいにみんなで、楽しく……今度は幼馴染み達も加わって、、
俺は取り戻すんだ、あの時を。俺達が輝いてたあの時間を──。
そう決めた俺の手には強くケータイが握られている。画面にはメールの画面が映し出されている。
その宛先には『松浦果南』の四文字が記されていた。
と、いうわけでアニメ1期の核心部分(?)についても触れていきますので!
それと善子ちゃん可愛ええなぁー!こんな妹がいれば良かった……!
現実にいるのはガタイのいいクソ兄貴だけですね()
長い間お待たせしてしまい申し訳ありませんでした、今回も読了ありがとうございます!