とあるIS学園の整備員さん   作:逸般ピーポー

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頑張れちっふー!ご褒美は鹿波との飲み会デートだぞ!…飲み会デートってデートなんかしらん?
あとこれから更新ペース落ちるから皆ゆっくりしていってね


ちっふー、奔走する

『カン!カン!もいっこカン!ツモ、チンイツトイトイサンアンコーサンカンツアカイチ、リンシャンカイホー。32000。麻雀って楽しいよね!』

 

「凰さん…ですか?」

 

「ああ」

 

鹿波に相談した翌日。さっそく真耶に尋ねてみた。凰について、最近何か知らないか?と。まずは情報収集だ。だいたいこういうものは、原因が分かればなんとかなる。そも、私はなぜ凰と一夏が不仲になっているのかすら知らないからな。まずはそれからだ。

…ところで真耶。何故職場で堂々とアニメを観ている?

あと、三暗刻まではともかく三槓子にリンシャンとか普通はあり得んぞ…。まるで意味が分からん。まるで意味が分からんぞ!

 

「うーん…申し訳ないですけど、ちょっとわからないですー」

 

「そうか…」

 

わからないのはお前が観ているアニメだ。そう言おうかと思ったがやめておく。こう見えて真耶は実はかなりの麻雀狂だ。絶対に触れてはいけない。触れたら最後、雀荘に連行されるのは間違いない。

そして雀荘に行けば必ず夜が明けるまでやる。実際に一度、私と真耶と鹿波と轡木さんで面子を集めてやったことがあるが、三人とも頭おかしいとしか思えないほど強かった。あと負けず嫌い。そのせいで、翌日の4時まで延々打たされた。ちなみに私以外は三人共点棒に万単位で賭けていた。おい真耶お前は教師だろ。教師が堂々賭け事をするな。そう思ったが、鹿波の奴が真耶から高笑いしながらむしりにむしっていたのでやめておいた。ほどほどにしておけとは言ったが。まあ、仲間内だから目を瞑ることにした。私は見ていない。私自身は賭けてないし。

あの時鹿波の言っていた、

 

「むしれるだけむしる…!」

 

とか、

 

「勝負の後は骨も残さない…。限界まで行く」

 

というのは絶対に本気だった。間違いない。あと何故かあごと鼻が尖った。

真耶も真耶で、

 

「倍プッシュです…!」

 

とか、

 

「狂気の沙汰ほど面白い…!」

 

とか言っていたし。真耶も鼻とあごが鋭くなっていた。

とあるマンガのネタらしいが…。ネタとは言っていたが、当人達の目は本気だった。そして実際、その後額が一度二倍になった。さすがにその次には戻していたが。その場では点棒のやりとりしかしていなかったが、私の目の前で何万とか諭吉何十人飛んだとか言うな教職員共。ちなみに轡木さんはずっとニコニコしたままの、超ポーカーフェイスだった。そして真耶には一度も振り込まなかった。私にはたまに放銃していたが、多分あれはサービスだろう。実際、私よりも真耶の方が強い。にも関わらず、真耶に振り込まず私に振り込むあたりがサービスだと思う。轡木さん二位だったし。一位は鹿波。国士無双やら緑一色やら大三元やら四暗刻やら、ぽんぽん上がっていた。ただまあ、確率的には役満御三家は上がりやすいのでおかしくはない。が、上がる頻度はおかしい。大体三回に一回は鹿波が上がる。あいつは卓の牌が分かるんじゃないかってくらいに上がる。

真耶曰く、サマはやってないのは間違いないらしいが…。

もうあの面子で麻雀は絶対にやらんぞ。怖い。あの場は負のオーラで満ち溢れていた…。

 

しかし真耶からは情報なし、か。他の教員にも当たってみたが、これといった情報は出てこなかったし…。

ふむ。教師より生徒から聞くほうがいい、か…!

いや、一夏に直接聞けば良いんじゃないか?うむ。そうだな。そうしよう。

今度の土曜日に一夏が掃除しに来てくれるから、その時に聞くとしよう。

それまでは、他の生徒に当たってみるか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鈴さんと一夏さんの仲違いの原因を教えてほしい、ですか?」

 

「ああ。お前なら、何か知っているんじゃないかと思ってな」

 

「まあ、存じ上げてはいますけれど…」

 

ちょうどばったりと廊下で会ったオルコットに聞いてみた。何か知っていることはないか、と。

しかし知っているなら話は早い。吐け。さあ。キリキリ吐け。私は面倒は嫌いなんだ。

 

「構いませんが、どこか落ち着ける場所はありませんか?さすがに立ち話だと、少々長くなりますし…」

 

「む、そうか」

 

ふむ。ならばどこか適当な空き教室に入るとするか。

ちょうど手頃な大きさの小さめの教室が空いていた。ふむ。

 

「ここでどうだ」

 

「構いません」

 

中に入り、適当に腰掛ける。

 

「それで?凰のやつは、一夏の奴と何があったんだ」

 

「ええと、まず織斑先生はクラス対抗戦の前に一夏さんと鈴さんが喧嘩していたことはご存じですか?」

 

「知らん」

 

「はい。ではそのあたりからお話します。

まず、一夏さんと鈴さんはクラス対抗戦の前に喧嘩をしている状態でした。

しかしクラス対抗戦に突然現れた無人機を協力した後に仲直りしました」

 

「ふむ」

 

「ですが、その後に、その…。わたくし達もそうでしたけれど、一夏さんへの好意から行き過ぎた行動を何度もしてしまいました。その、ISの武装で追いかけ回したりとか…」

 

「…続けろ」

 

「分かりました。それで、その様な行動をわたくし達がする度に、初めのうちは一夏さんも止めてほしいと言ってきていたのですが…。だんだんと、一夏さんがわたくし達を避けるようになり始めたのです」

 

「…それで」

 

「休み時間の度に一夏さんはわたくし達から距離を置き、徐々にわたくし達は一夏さんと話をすることも出来なくなりました。そして、一夏さんは良くも悪くもクラスの中心に居ますから、わたくし達はどんどん孤立していきました」

 

思えばあの頃が一番辛かったですわ。

そう言うオルコットはもう気にしていないような表情をしていた。もう終わったことなのだろう。

 

「それでクラスの皆さんからも遠巻きにされるようになりました。あまりにも辛くて、悲しくて、寂しく思いました。しかし悪いのはわたくし達ですので、箒さんと相談して一夏さんに謝ることにしたのです。

その後もしばらくは一夏さんとの間に距離はありましたが、なんとか許してくれました。

それでわたくし達は一夏さんと仲直りすることが出来たのですが…」

 

凰の奴は、同じようなことを一夏の奴にしていたが一夏とは別のクラスだから気まずい思いもしなかったし、そこまで深刻に考えていなかった。それゆえ謝ったりしなかった…とかか?

 

「はい。特に鈴さんは、自分の非よりも相手に責任があると考えやすい方ですし、自分が悪くないと思うと謝ったりはしないタイプですから、なおさらそうだったのだと思います。

でも、鈴さんはキャノンボール・ファストの後に一夏さんに謝っていましたわ」

 

「む?そうなのか?」

 

てっきり凰の奴が意地を張って、一夏に謝っていないからこじれているのかと思ったが…。ならなぜ一夏は許してやらないんだ?わからん…。

 

「ええ。この間、一夏さんに教えて頂きました。なんでも、鈴さんは自分が悪いと思わないままにただ謝ってきただけで、行動を直す気がないような気がするから、だそうです」

 

「うーむ…」

 

それは…。なんとも主観的な話だな。だが、それなら凰の謝った態度は心を入れ換える、というような態度ではなかったということか?もしくはその場しのぎの謝り方で、自分のどんな行動を直すつもりなのかがわからないような感じだった、とか…か?

 

「わたくしが知っているのはこれくらいです。何かお役に立てていただければ…」

 

「いや、助かった。礼を言う。すまんな」

 

「いえ。それではわたくしは失礼しますね」

 

「ああ」

 

そう言ってオルコットは出て行った。オルコットのおかげで、だいぶ見えてきたな。

今回の話は、凰の奴が謝って一夏が許せば解決、ということではないらしい。少なくとも、一夏は凰の態度から許すことを躊躇っている感じなのだろう。許すことを嫌がっているなら、篠ノ之やオルコットに対してもまだ許してないはずだ。

 

そうすると、今回の話は凰自身が自らの行動の何かを反省し、自分の行動や態度を変えていく気がないと話にならない、ということか。態度か、それとも考え方か。そのあたりだろうな。

…だがそうすると、一夏の奴に直接聞くのは少しまずいかも知れんな。

ああ、そう言えば凰の奴に連絡すると言っておいてまだだったか。

急いで連絡しなければな…。

 

そう思って教室を出たところで凰と出くわした。連絡が遅くなった。すまんな。

 

「あ、いえ…。忘れてたんじゃなければ、別に…」

 

そう言って気まずそうに凰は視線を逸らした。…ああ、そう言えばこいつは私のことが苦手だったか。苦手な私に頼ってまでなんとかしたいんだろう。

まあ、その行動力だけは認めてやらんこともない。

 

「とりあえず、現状分かっていることについてだ。一夏の奴はお前を許す気がないという訳ではないらしい。ただ、少なくともお前の行動の何かがまだ許すことを躊躇わせている。…何か心当たりはないか?」

 

「それは…」

 

そう言ったきり、凰は俯いて黙ってしまった。

 

「まあ、私としてはその心当たりが何なのかを聞くつもりはない。が、まあそこを直すこと、つまりその行動を止めることが一夏の望んでいることではないか?」

 

「…じゃあ、あたしはどうすればいいんですか…!」

 

俯いたまま、なんとか絞り出すように言う凰。だが…

 

「…さて、な。それは一夏の奴に聞け。ではな」

 

そう言って私は俯いたままの凰に背を向けた。

…一夏の奴を、武装したISで追いかけ回したこと。それを知った今となっては、あまりこいつに関わりたいとは思わなかった。大切な家族を傷付けられそうになっていると知ったのだ。誰だってそうだろう?




日間二位とか嘘やろ…?

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