とあるIS学園の整備員さん   作:逸般ピーポー

68 / 93
※注意※
この話あたりからけっこうストレスゴリゴリ来ます。具体的には作者の私が描きたくないと思うくらい。詳しく知りたい人は活動報告『描きたくない』を参照
知りたくない人は見なくていいです


キャノンボール・ファスト

やあみんな。みんな大好き鹿波さんだよ。ごめんなさい調子に乗りましたすいません。

さて、あれからたっちゃんはキャノンボール・ファストの後からなら稽古をつけてくれることになった。なんでもそれくらいからなら一夏君の方も一段落つくらしい。いずれは一夏君と組み手をやったりするんだろうか。楽しみである。

 

さて、そう言えば。簪ちゃんのIS、打鉄弐式が完成した。キャノンボール・ファストに出るのか尋ねたところ、完成した打鉄弐式のお披露目もかねて出場するらしい。頑張ってね!とエールをおくっておいた。多分束がまたゴーレムとかいう無人機を送ってくるだろうから、割と本気で心の底からエールを贈った。お願いだからケガとかしませんように。

 

ああ、そう言えばあの亡国機業に襲われて以降、織斑先生ことちっふーと一度も会っていなかったりする。まあなぁ…。事故とはいえ、ちっふーのひたいというかおでこにチュウをかましちゃったからね。そしてその後はお仕事で旅館に礼を言いに行って亡国機業の襲撃に遭う。

その後は聞き取り調査の時に会っただけ。…うん。だめだ。

絶対これ俺ちっふーに嫌われたやつだってぇ…。ああああぁ…。やってもうた…。うん…。

いや。悲しくなんてない。悲しくなんてないもん!嘘です。ごめんなさい。嘘つきました。めっちゃ悲しいです。

あんなに仲良く酒飲みに行ったりしたのにぃ…。ああぁ…。また1人…良き飲み友を失ってしまった…。

だぁからお前はアホなのだぁ!

 

流派!東方不敗は!

王者の風よ!

全新!

系裂!

天破侠乱!

見よ!東方はぁ!紅く!燃えているぅ!!!!

 

ふーっ。久しぶりにやったぜ。東方不敗ごっこ。

もはやこのネタわかる人、あんまり周りにいないからな。速さが足りない!とかも伝わらないこと多いし。くそ、これがジェネレーションギャップというやつか…。

俺二十代なのにな。いや、二十代は学生からすればもうおっさんか。仕方ないね。許容の心。妖精三大哲学かな?

 

さて、今日も今日とて俺はIZ(アイゼロ)の製作に取りかかる。もう原料に戻るだけだった打鉄達に、新たな命を吹き込むこの作業。ああ堪らない。これこそがレストア。まさにこれこそが技術屋の真髄よお…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて。今日もIZの製作。なのだが。

なんだか今日はアリーナの方がやけに騒がしい。

そう考えていてふと気付いた。

ああ、そっか。もう今日か。キャノンボール・ファストが行われるのは…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青い空が目一杯に広がるIS学園の上空に、幾筋もの煌めきが走る。紅。白。黒。青。赤みがかった黒。橙。そして水色。それぞれが同じような軌跡を大空に描く。

すでにキャノンボール・ファストも三周目に入り、ある程度の差が付きつつあった。

 

「くっそ…!速いな!箒!」

 

「ははっ、行ける、行けるぞ!この紅椿なら!」

 

「ふん…さすがに篠ノ乃博士お手製には及ばんか…!だが、一夏。貴様は越えさせてもらうぞ!」

 

先頭をトップスピードのまま飛び、大気を突き抜けて進む三人。先頭から箒、一夏、ラウラの順である。箒、一夏は追加パッケージ無しでこの順位。性能の差であった。ラウラは追加パッケージを装備し、軍で培った技能をありったけ使って追い縋っていた。それでも追い付くことが出来ない。なんとか追い付くことが出来そうな、まだまだ操縦技術の甘さが目立つ織斑一夏を目標に、ラウラはこの大空を飛びまわる。

 

「くっ…!ストライク・ガンナーを装備していても、やはり差が徐々に…!」

 

「あーもう!待ちなさいよアンタたち!」

 

「うーん…。さすがに第2世代じゃキツいかぁ…」

 

それに遅れることしばし。第2集団にはセシリア、鈴、シャルロットの順である。彼女達は全員追加パッケージを装備し、目一杯速度寄りにスラスターを調整しているにも関わらず、先頭のラウラにも追い付けない様相だった。

セシリアは強襲用高機動パッケージ「ストライク・ガンナー」を、鈴は高速機動パッケージ「風(フェン)」を、シャルロットは防御パッケージ「ガーデン・カーテン」のキャノンボール・ファスト仕様として、左右の肩と背部に1基ずつ増設スラスターを装備している。

しかしやはり差が縮まることはなく、前を行く三人には離される一方である。ここでは苛烈な4位争いがセシリアと鈴によって繰り広げられていた。シャルロットは半分諦めムードである。シャルロットのみ第2世代であるため、仕方ないと言えよう。

 

「…しまったなあ…。追加パッケージなんてないよう…。出なきゃ良かったかなぁ…」

 

そう呟きながら最後尾を飛ぶのは簪の打鉄弐式。当然キャノンボール・ファストの直前に完成した機体なので、追加パッケージなど存在しない。1人だけ遊覧飛行状態であった。それでも周回遅れにならないのは、やはり第3世代の基本スペックの高さ故か。

さて、あと二周。二位と四位を除いて、およそ今回の結果の予想が付きそうになったところで。

 

 

全員のハイパーセンサーにアラートが鳴り響く。

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

アラートは全員の前方から。しかし敵影はハイパーセンサーで強化された視界を持ってしても見えず。

真っ先に先頭の箒、一夏、ラウラが止まり、それに続くようにやってきた鈴、セシリア、シャルロットも警戒した様子で集まる。そして最後にやや遅れ、簪の打鉄弐式がやって来たところで、前方から黒い粒がだんだんと大きくなってこちらへ向かって来た。その数およそ30。

 

「っ敵だ!全員戦闘態勢に移れ!」

 

全員に(ラウラ)が号令をかける。それと同時に、専用機持ち全員の耳に聞きなれた、それでいて頼もしい声が聞こえてきた。

 

『全員。聞こえるか。先ほど不審な敵性反応を確認した。所属不明のISが30機だ。全員前方のあいつらを視認出来ているな?』

 

それぞれ専用機持ち達が無言で頷く。

 

『ISコアの反応、そして動きから奴らは無人機の可能性が高い。全員生還することを第一とし、無人機であることが分かり次第容赦せず各機撃破。指揮官はラウラ・ボーデヴィッヒだ。

現在こちらには強力なプロテクトがかけられている。そのため救出に向かうのは難しい。救援は期待するな。

そして全員必ず生きて帰れ。これは命令だ。いいな』

 

「「「「「「「はいっ!」」」」」」」

 

そして全員が気持ちを引き締めたところで、敵ISが動き出す。

 

「くっ…!嘗めるな!」

 

「せいっ!」

 

「はあっ!」

 

それぞれが対応し迎え撃つも、敵ISは数に任せて弾幕を撃ち込んでくる。

 

「くそっ!」

 

各機散開するが、このままだとまずい。

戦力の分散は下策…。ちいっ!

 

『全員、絶対に1人になるな!必ず複数人で対応しろ!』

 

『『『『『『了解!』』』』』』

 

緊急用にチャネルを開き、全員に警告する。そして私の周りには一夏と鈴。周りは敵ISが12機。…囲まれている…か。

 

「ふん…。1人2機、か。一夏。鈴。回避行動を最優先に立ち回れ。いいな」

 

「おう」

 

「はっ、いちいち指図しないでくれる?」

 

「おい鈴!さっき指揮官はラウラだって言われただろ!?」

 

「何よ一夏!普段から私を無視してくるくせして、こんな時だけ上から言わないでくれる!?」

 

「貴様ら…!くっ、こんな時に争うな!」

 

四方八方からの銃撃をなんとか回避しながらもワイヤーブレードで周囲を凪ぎ払い、レールカノンを手近にいた一体に照準。

 

「フォイア」

 

放つ。しかし敵はハイパーセンサーで高エネルギー反応を感知した瞬間から回避に動いており、未だ敵機は撃墜出来ていない。そんな中、敵機の攻撃の最中にあって言い争っている一夏と鈴(バカ二人)。そんな二人の背後から、2機の敵機が向かって来ている。二人は気付いていない。ちっ!

 

「くそっ!」

 

充分にチャージされていないレールカノンが、一夏と鈴の言い争っている顔の間に一条の青い光となって突き抜ける。命中。一機撃墜。残り11機。

 

「貴様ら!今は言い争っている場合ではない!死にたいのか!」

 

「すまん!」

 

「…っちぇ」

 

慌てて謝る一夏とつまらなさそうな鈴。しかしいつまでも味方を気にしている余裕はない。ハイパーセンサーがエネルギー反応を捉えた。っ上!

 

「はぁっ!」

 

直後、真上から降り注ぐレーザー。反射的に上方に飛び出し、敵を視認する。そこだ!

 

「遅いっ!」

 

ブラズマ手刀で敵機の細い腰を肩から一瞬で斬り刻む。2機撃墜。先ほどよりも敵機の動きがより滑らかに、より鋭くなってきている。こいつら、学習しているのか…?

先ほどよりも苛烈になって来ているエネルギーの弾幕に、ミサイルが混じり始めた。くっ、追尾式か!鬱陶しい!

縦横無尽に飛び回りながら、一瞬で反転。その瞬間にワイヤーブレードでミサイルを斬る。爆風。

その瞬間、一夏と鈴が背中合わせで迎撃しているのがちらりと見えた。くそっ、死ぬなよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「少し、まずいですわね…」

 

「…こいつら、強い…!」

 

()は今、セシリアと共に背中合わせのまま動けないでいた。私達の周りには敵ISが残り6機。なんとか2機は撃破したけど、さっきからどんどん敵ISの動きが良くなってきてる。そしてさっき、セシリアさんのスカート部分のブルー・ティアーズが1基損傷した。セシリアさんは高機動パッケージで普段のブルー・ティアーズが使えない。そのせいでロングライフルで対応していた。あとセシリアさんの使える武器は、近接用のショートブレード、インターセプターだけ…!

そして私は今は背中に2門ある荷電粒子砲の春雷、近接武器である対複合装甲用の超振動薙刀の夢現で迎撃していた。山嵐はマルチ・ロックオン・システムが鹿波さんのおかげで完成した。それもあって、1機は撃墜、2機を損傷にまで追い込んだけど、ミサイルを48発打ち切ってしまった。そのため、今は山嵐は格納している。重くなるし、被弾範囲が増える意味はない。

 

「…?」

 

こいつら、私達が動かないと動かない…?どうして?

 

「…セシリアさん」

 

「貴女も気付きましたか。しかし、時間をかければかけるほど成長しているということは、私達は攻めるしかありません。

…一気に攻めましょう。タイミングを合わせて下さいませんこと?」

 

「分かった」

 

『では行きますわよ…。

3。2。1。…Go!』

 

合図と同時に飛び出す。前方に2機!傷を負っている右の奴から先に狙う!

敵機から弾幕の嵐。仕方ない!下に避けてっ…!

 

「はああっ!」

 

春雷!両門発射!一瞬だけ私の肩から光の筋が2つ放たれる。…よし!命中!2機共に撃破!

すぐさまその場から左に回避行動をとる。その瞬間、さっきまでいた場所にいくつもの光と、その影に実弾が飛び交う。くっ、どんどん狡猾になるーーー!後ろ!

 

「やあぁぁっ!」

 

薙刀をくるりと反転させ、右肩越しに後ろを見てーーー突く!

夢現は敵頭部を貫いた。手に硬い衝撃。そのまま降り下ろす!

 

「…3機撃墜」

 

セシリアさんの方を見ると、3機を相手に裏を取られないように立ち回っていた。でもさすがにライフルのみでは有効打を打ち出せないみたい。行くよっ!

敵機の1機に背後から強襲ーーーしようとして、気付かれた!もうっ、さっきからばらまかれる弾が鬱陶しい!

しかも私だけを狙うんじゃなく、私の逃げ道をふさぐように撃ってくる!く、あぁっ!

 

左肩に被弾。でも勢いは止めない!どんどんシールドエネルギーは減っていくーーーけど!

 

「春雷っ!」

 

私の方を向いていたISに撃つ!くっ、避けられたーーーけどね。

 

「甘い、ですわ!」

 

セシリアさんが背後から突っ込んで来ており、その手にはショートブレードが。そしてそのセシリアさんの背後から来ている敵機2機が一直線に並んだ瞬間、私は春雷を連発していた。

くっ、1機は墜ちたけどまだあと1機!

 

「セシリアさん!」

 

「ええ!」

 

二手に分かれて一気に接近。私が薙刀で対応すればセシリアさんがライフルで。セシリアさんがショートブレードで斬りかかれば私は春雷で。少しずつ、確実に。

 

「えいっ!」

 

春雷が当たった!その瞬間、爆発。

よし!

 

「…全機撃破」

 

「ふう…。さすがに少し疲れました。さ、簪さん。他の方の援護に行きましょう」

 

「…うん」

 

そう答えた瞬間、視界の左端に煙をあげて落ちていくオレンジ色の機体が見えた。




戦闘描写難しすぎィ!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。