とあるIS学園の整備員さん   作:逸般ピーポー

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たっちゃん好きでたっちゃんの出番が見たい人はそろそろアップを始めてくださーい
本編が今良いところなのにラウラさんが…ラウラさんが…!
あとまたしても日間6位に載ってましたね
ありがとうございます

ところでだれか、前話の途中から鹿波がラウラとイチャイチャラブラブ○○○する話描いたりしてくださらない?物語でも漫画でもイラストでもいいのよ?


【閑話】ある夏の日【後編】

やあ皆。さっきまでのぼせてた鹿波さんだよ。今はラウラともども浴衣に着替えて和室で横になっています。いやー、浴衣いいね。涼やかです。楽ちん。

ちなみに横になっているのはなんと!ラウラさんの膝の上!いわゆる膝枕。ええやろ?でもね。俺がのぼせた原因もラウラなんだぜ。ラウラが原因でのぼせて、その介護をラウラがする。…マッチポンプかな?自作自演?こういうのって何て言うんだろうね。

 

さて、あと10分くらいしたら仲居さんが来て、お料理の用意が出来ましたー♪とか呼びに来てくれるらしい。なのでそれまでぼーっとラウラの膝枕を堪能することに。

あー、女の子特有の柔らかい感触。そしてしなやかな筋肉の厚み。ちょっと薄いけどね。うはー。

ちなみに見上げればラウラの顔がまるっと見える。胸で顔の一部が隠れたりということはない。ふへへ。思考が完全にセクハラ親父のそれである。あれ、俺どこで間違えたかな。前世か。

前世では自分の浮気性を屑のろくでなしの証左だと思ってたんだよね。そしてまあいろいろあって、まあ俺は浮気性な奴だしなーと自覚して開き直るに至る。そしてセクハラは駄目だ!とかくそ真面目に思ってたけど、世の中にはこっちに非が無くても、自分が嫌な気持ちになったからセクハラ!とか言う理不尽に遭ってからは吹っ切れた。思う存分セクハラする屑になってやるぜーと。

まあ相手が本気で嫌がってたらやらないようには気をつけてるけどね。あくまでも基準は相手じゃなくて自分。相手が嫌がっていることに気付いたらやめる。相手が嫌がってないようならやる。ゲッスゥ!

 

「ラウラー」

 

「む?」

 

「おっぱい触っていい?」

 

流れるような唐突なセクハラ。うーんこの。

 

「いいぞ」

 

「やっぱり嫌だよな…ん?」

 

「いいぞ」

 

「いいのか」

 

「いいぞ」

 

(むしろ来てくれ!ばっちこい!)

 

…なんだかラウラさん、ニコニコして嬉しそうなのでやらない。この天の邪鬼め。俺です。

 

「ラウラ様ー、鹿波様ー。お食事のご用意が整いましたので、和の酉へお越しくださーい」

 

お、ご飯出来たってさ。さ、いこかー。

 

「嫁よ。私のおっ」

 

いこかー。(無視)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、和の酉と呼ばれるお食事のお部屋は個室でした。壁にくっついているテーブルに、一対の椅子が向かい合って置かれていた。すぐさまラウラさんが椅子2つを同じ向きに並び替えた。何?何かこだわりがあるの?

 

「うむ。良いか嫁よ。向かい合って食べるより、同じ方を向いて食べる方が親近感が増すのだ!」

 

ふーん。既に俺の場合、ラウラにメロメロ(死語)というか骨抜きにされてるところあるからね。あんまり効果ないんとちゃう?

 

「何!?嫁は既に私のことが好きだったのか!?」

 

いや、嫌いだったら一緒に旅行とかこないし。ていうか、滝のところでキスしてあげたでしょ。その時にも言ったでしょ。まさかもうお忘れ?

 

「い、いや。そうか。そうだな。ふふふふふふ…」

 

なんだかにやにやしてトリップし始めたラウラさんは放っておいて椅子に座る。奥から。

今の感じだと入り口を向くように俺とラウラさんが並び、俺の前にはテーブル。右には窓。左にラウラさんである。うむ。この距離ならちょっと手を伸ばせばラウラさんの肩を抱けるね。つまり…!

ラウラさん?ああ、俺の隣で悶えてるよ。よだれたらしてうへへとかいいながら頬を赤く染めてる。やべーよこいつ。

ってことです。あ、仲居さん来た。ラウラにちょっとひいてる。仲居さんごめんなさい。ちょっとこの子今日いろいろあって壊れてるの。

 

先付が来た。仲居さん、ビールある?サッポロの瓶のやつ。うん、2本お願いします。あ、コップも2つ。あ、大丈夫ですか。よろしくお願いします。

ほらラウラさん。ラウラさん。ビールちゃんと頼んでおいたから、そろそろこっちに戻って来なさい。

…。駄目だこりゃ。完全にぽやぽやしてる。ふむ。

何か面白い気付けはないかな…。あ、劇薬でいいか。

 

ラウラー。…ふむ。トリップ中。

ほっぺたに両手を添えてみる。…ふむ。まだトリップ中。

仲居さんはまだ来ない。よし。

 

ずいっ。

ずずずいっ。

ラウラさん、俺が顔を至近距離に近付けてもぽわんとしておる。

 

…。

えい。

ちむ。

 

本日二度目のキス。接吻とも言う。

 

「…んむぅっ!」

 

ラウラが目を見開く。

ラウラさんおかえり。だがもう遅い。

じっくりねっとりとラウラの咥内を舌で凌辱する。

粘液を念入りに交換し、この咥内が俺のモノであることをマーキングするかのようにディープに、そして丁寧に丹念に。心のこもった、しかしそれでいて性交をするかのようないやらしいキス。ぷるぷるとして驚くほど柔らかい唇の感触。びくっと、そしておずおずと差し出されるラウラの舌。甘く感じるラウラの唾液を味わい、念入りにラウラの口内に俺の唾液を舌で押し付けるように塗り込む。

たっぷり10秒。長いようで短い間に、舌と舌をからめあい、まるで媚薬でも飲んだようにラウラの顔がとろけたあたりで、俺はラウラから唇を離した。一瞬だけお互いの間に煌めく銀色の橋。しかしそれも一瞬だけで消え、残ったのはぽーっと顔を赤くしたラウラと当然のようにご飯待ちの俺。特に何もありませんでしたよ?(すっとぼけ)

そして仲居さんが前菜と共にビールを持ってきてくれた。や、どうもありがとうございます。あ、ラウラさんは気にしないでください。仲居さん、顔を赤くして行っちゃった。あらら。

ほいラウラさん。ご飯ですよ。…まだぽーっとしてる。

先食べるよ?

 

じゃ。いただきます。

まずはコップにビールを注いでー、ふんふーん。あ、ラウラさんおかえり。今ビールの用意してる。うし。ほれ。

 

さてと。じゃ、乾杯。

 

「かんぱい…」

 

まだラウラさんぽーっとしてますね。ま、ビール飲めるんなら大丈夫でしょ。あ、この煮こごり旨い。サーモンも良い。うーまーいーぞー!味皇さま。

この南蛮漬けもいい。いやー、酒が進む進む!

袖がくいくい引っ張られる感覚。ん?

左を見たら、ラウラさんが俺の浴衣の袖を引っ張っていた。なになにどしたん?

 

「…ん」

 

そう言って目を閉じて、ちょんと唇をつきだすラウラさん。ああもうかわいいなあ!

ほら。ん。ーーーーちゅ。

触れるだけの簡単なキス。だがそれでラウラさん的には充分だったようで、えへへ…とかいいながら俺の肩に頭を預けてきた。ほら、この南蛮漬け旨いぜ。ほい、あーん。

 

「あー…」

 

もぐもぐしてるラウラさんを適当に餌付けしつつ、俺は俺でがばがばビールを飲んでは目前の料理の数々に手をつける。うんまい。舌鼓をうちまくりである。あ、ラウラさんビールおかわりほれ。飲め呑め。

 

そして更に運ばれてくる御碗と造里。おほーっ!美味しそうな鮪!海老!そして蟹!

あ、仲居さんが食べ終わったお皿を下げてくれた。ほんのり頬を赤くしながらちらりと俺にしなだれかかるラウラさんを見るものの、気にした素振りもなく仕事をする様はまさに仲居さんの鑑。…ごめんなさい。うちの子、今もうとろとろに蕩けてるの。俺がばっちりディープなキスしたりしたから。俺が悪いですね。はい。諸悪の根源か…。

これも全部、鹿波って奴の仕業なんだ!せやね。

 

いやー、いいじゃろ。こんなにかわいい女の子(ラウラ)とキスもしてピーー(放送禁止用語)もしようと思えば出来て(しないけど)、旨い肴に旨い酒。これで諸悪の根源扱いされるくらいなら本望じゃない?人間的には屑なことこの上ないけど。

 

あ、良いこと思いついた。

 

まずはビールを口に少し含みます!

ラウラの顔にそっと手を当てて、後ろから頭を抱き寄せるようにキス。

そして!

口に含んだビールを!

ラウラの口の中にぃぃぃぃ!

インっ!

ついでに舌を入れて口内中を暴れまわる。ラウラの頬の内側のねっとりとした熱を感じ、上顎のざらつきを舌で感じ、ラウラの舌の柔らかさを俺が舌でなめまわし、ラウラの口の中という口の中すべてを蹂躙する。

…。ん、ラウラさんお口の端から少しビールらしき粘性のある液体が垂れちゃったね。ほら、ふきふき。

…あらー、ラウラさん目を開けたままトリップした。よし、暫くほっとこ。さすがにやり過ぎたかもしれん。

…これでラウラさんがキス魔になったらどうしよう。アカン。何がとは言わないけどすごいアカン。アカン。

授業が終わる度に俺の元へ来て話をする前に頬を赤く染めて牝の顔で俺にキスをねだるラウラさんが容易に想像出来る。しかも有事にはキリッと凛々しいラウラさんとのギャップ付き。これは俺死んだな。

ま、ラウラがキス魔になると決まった訳じゃないし。なるようになるさ。へーきへーき。気にしないで大丈夫でしょ。ビールビール。あ、無くなった。2本目ぇ!

 

お、仲居さんが鍋を持ってきてくれた!牛肉のしゃぶしゃぶ!ひゃっほー!いいですねぇ!

あ、ビールもう一本追加で。さっきから地味にラウラさんもビールはぐいぐいいってるし。復活早くなってきたな…。慣れてきたか?

そして仲居さんがまた姿を消し、ラウラがビールをぐびぐびと口に入れてーーーー。待て。何故立った。や、なんとなく予想出来るけど。あ、顔をがっちり固定されてる。あ、口にビールを含んだままのラウラさんの顔が近づいてくる。あ、あ、あ、あーーーーーっ!

んぐっ、んむっ…!っぷはあ。あ″ー、ビールだ。しかも何かラウラさんの唾液混じりの。なんかちょっとねっとりしててえろい。ビールなのに。ビールがえろいとかこれいかに。あ、口にラウラさんの味がする。ちょっとねっとりしたのが残る。あー、これはラウラさんもぽーっとしますわ。破壊力がヤバい。ラウラがあと2年ほど育ってたら、間違いなく夜の大運動会が開催されるところだ。

え?今日?

やらないよ?ゴムねえし。

生でやって子供出来たらどうすんだよ!そこまで無責任なことするほど堕ちてねえよ!俺は屑だけどな!はっはー!

うん、完全にこれ俺酔っぱらってますね。今ならラウラさんを襲えるまであーーーいやそれはねえな。ないわ。うん。さすがに酔っぱらっててもそんな外道にはなりたくない。それくらいまで堕ちるくらいなら死ぬ。誇りという誇りは埃だったと分かった前世に捨ててきたけど、屑には屑なりのけじめがあんねん。あ、ラウラ豆腐食べなおとーふ。体にいいから。イソフラボン。大豆。

お、またしても仲居さん。食事時は大変ね。って、およ?

さっきより来るの早くない?まだ鍋残ってるよ?

…って思ってたら肴の追加でした。あ、ビール更にもう一本追加で。オナシャスセンセンシャル!

すでに俺とラウラさんで3本空けてるんだけどね。ラウラさんビール本当にぐびぐびといくのよ。勢いよく。それもまー、本当に嬉しそうというか美味しそうに。良いねえ良いねえ、良い飲みっぷりだねぇ!ぃよっ、日本一!あーっはっはっはー!

とりあえず追加で来た肴の三品のうち一つに手をつける。うーん、んまい!しかし名前がわからんね。ま、うまけりゃ何でも良いか!な!

お、鍋空になりましたーっとぉ。うぇーい。だいぶん壊れてきてまーっす。うへへへへ。姉ちゃんええケツしてんのお!ラウラだけど。なにが姉ちゃんやねん。お前今日ディープなキスまでしたやん。

 

あら仲居さんこんにちは。いやこんばんはか。既に俺氏完全に出来上がり。これ、仲居さんに迷惑かけかねないからなるだけ話かけないようにしよ。うん。

お、ご飯だ。若菜ご飯にアサリ汁、香の物。ざ、わしょく。うむ、アサリ汁、うまし。

茶碗蒸し食べたいな。仲居さん、茶碗蒸し食べたい。あります?ある?いよっしゃ。あ、ラウラさん茶碗蒸し食べたい?じゃあ仲居さん、茶碗蒸しを2つお願いします。お忙しいところ、すんませんね。

 

やー、酒でお腹がバカになってる。満腹かどうかすらわからん。が、多分食べた量的には夜お腹が空くってことはないでしょ。多分。あー、これは宴の終わり感ありますねえ。ふー。あ、ラウラさんビール全部飲んだ?ん。おけ。ビールは四本空!っしゃー!美味しかったです。

 

あとは茶碗蒸しとデザートくらい。茶碗蒸しまだ?ラウラちゃん俺にしなだれかかるっていうかもうべったり倒れかかって来てますけど。ラウラ、ラウラ、ラウラさん。あなたの頭は大丈夫?失礼な奴が居るな。俺です。

…あ、ラウラさん寝そう。ちょっと一気に飲み過ぎな。ペースを考えて…って言いたいけど、久しぶりのビールなら正直気持ちは分かる。ちょっとはっちゃけちゃうよね。

ラウラ大丈夫?横にならなくていい?起きてられる?

ん、それじゃあもうちょっとだけ頑張って。

あ、仲居さん茶碗蒸しとデザートありがとうございます。これで全部ですよー。はい、ありがとうございましたー。

 

あー、あったかい茶碗蒸しが、風呂上がりにビールとエアコンで冷えた体に美味い!ラウラさん、あーん♪うっわかわいいこの子。雛鳥みたい。はい、あーん。雛鳥ラウラちゃんがむぐむぐごっくんしてる間に自分も食べる。ラウラ用の木のスプーン、全く使ってねえな。全部俺のスプーンだけ。いいけど。

ん、はいあーん。ん、俺はあとデザートだけ。ラウラ、自分で茶碗蒸し食べれる?あ、あーんしろと。お口を軽く開けたまま待ってるのは、あーんしろと。ほい、あーん。ん、あと二口…もうちょっとあるか。ほい、あーん。…。ん、あーん。…デザート食べたい。はい、あーん。はーい良くできましたー!あ、デザートはそれね。

桃のムースと苺。

 

んー、甘くて美味しい。あっという間に完食。あー、美味しかった。はふぅ…。けふっ。あ、酒くせぇ。ごちそうさまでしたー。ラウラも食べ終わりそう?うん、もうラウラちゃんお目目とろん…としてるね。はい、ごちそうさまでした。

さ、部屋戻るぞ。ラウラ、立てる?あ、くたくたのくにゃくにゃですな。しゃーないなーもー。よいせ。軽っ。

ラウラちゃんお姫様だっこして部屋に戻りますよー。近くで良かった、部屋。ラウラちゃんベッドに置いてっと。

あとなんかあったかな。特にやらないとダメなこと…。あ、スマホだけ電源切って充電か。なんかメール来てるけど明日でいいや。ぷちっとな。

よし。あとはケーブル繋いでー、っと。あら?コンセントどこよ。コンセントコンセント…あ、あったあった。

さー、今日の業務終了!あ、ラウラに一応掛け布団だけ掛けたげてーっと。部屋の照明は…あ、このリモコンだな。リモートコントローラー!海馬社長!それエネコン。イモートコントローラー!それ友人。

さて、ラウラさんもはや夢うつつ。俺も寝るとしようか。今なんじー!しーちーじー!はっや。

それでは皆さん、よい夢をー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おはようございます。鹿波です。知らない天井だ…。あ、そういえばここ旅館やん。知らない天井な訳だよ…。

とかついさっきまでやってました。今ベッドから身を起こしたとこ。

隣にはラウラさんがすやすや寝てる。これこそ本当の

「ラウラ?ああ、俺の隣(のベッド)で寝てるよ」

ってやつやね。お楽しみはなかった。二人ともぐーすか寝てた。今ね、朝の6時。朝ごはん何時からだっけ…。7時か7時半だったと思うけど。あー、頭がちょっと重い。

隣のラウラを見る。昨日ラウラと滝のところでキス…したんだよなあ…。あ、ちょっと恥ずかしくなってきた。やだ、俺の精神純情すぎ…!?

あ、大浴場がこの時間は既に空いてるのね。10時半まで使えるのか。

まだラウラはもぞもぞしてるし、書き置きだけして大浴場も行ってみよう。昨日は貸し切り風呂だったし。あ、そういえばセイラさんのお守りならぬラウラさんのお守り事件とかあったなあ…。ただ、ちょっと食事中の記憶がない。そんなにがばがば飲んだのか…?ストレスたまってたのかもしれないな。改めてラウラには感謝だなー。ガス抜きって大事ー。

 

さて、フロントで大浴場の場所を聞いていざ大浴場へ。

けっこうどころかかなり広い。しかも人もまばらにしかおらず…って、朝の6時から風呂来てるおっさんが他に三人もいることに驚き。あんたら朝早いな。

あー、朝風呂…いいっすね~。うーん、目も覚めるし。

あ、サウナある。どれ、ちょいと入っておこう。

 

サウナで汗をかき、さっぱりしたところでコーヒー牛乳の昔ながらのビンのやつを一本購入。やはりこれに限る。タオルを腰に巻き、腰に手を当てぐいーっと。ぷはー、うまい。あー、温泉宿来たって感じするな。これだよこれ。

 

さて、部屋に戻ると既にラウラは起きていた。おはようラウラ。

 

「うむ。おはようだ、嫁よ」

 

あ、ラウラ寝癖ついてるー。櫛ある?

 

「む?寝癖がついているか。櫛なら…ほら」

 

バックからごそごそやって取り出した櫛を、俺の方に渡してくる。

ん、じゃあラウラ。その椅子に座って。

 

「うむ」

 

朝からラウラのきらきらと朝日を反射して輝く艶やかな銀髪に櫛を入れる。あー、こういうのなんかいいな。うん。

ラウラのサラサラの髪を整えながら、気になったので確認。

 

「ラウラ、朝ごはんって何時からだっけ」

 

「7時30分からだ」

 

「今は?」

 

「あと10分ほどだな」

 

「ん」

 

なんだろう。こう、朝を共にすると心の距離が縮まった感じがするよね。こういうの好きだな。

 

「昨日と場所は同じだから、まあ迷うこともあるまい」

 

…んー、なんだろう。こう、あんまり覚えてないんだけど、それを言い出せないこの感じ。まあいっか。

 

「ん、よし。こんな感じかな」

 

「感謝するぞ、嫁よ」

 

さて、スマホの電源を入れて暗号化解除。ラウラー。そろそろ行くー?

 

「それよりも先に、荷物だけ整理しておこう」

 

「おっけ」

 

何気にちょっと散らかってるんだよな。普段から整理整頓する派の俺が散らかすっていうのはそうそうないんだけど。昨日そんなに飲んだのか…。

 

ラウラと一緒に荷物を片付けたり使ったところを掃除したり。そんなことをしていたらいつの間にか時間は8時近くになっていた。

 

「そろそろ行こっか」

 

「うむ」

 

てことで浴衣から私服に着替えてご飯を食べに。ちなみに俺はカーキ色のカーゴパンツに赤のTシャツ、その上に白の半袖カジュアルシャツ(襟つき)です。ラウラは膝上のデニムのショートパンツに上は黒いTシャツ。そこに白の半袖カジュアルシャツ(襟つき)。上だけ見ると若干ペアルックみたいになった。二人とも楽な格好だとこんな感じになったんだよ。

 

さて、朝ごはんも食べたし、荷物も片した。あとはおみやげ買って帰るくらいか?それともラウラさんどっか寄る?

 

「んー…。嫁がよければ寄ってみたい場所はある」

 

「いいよ?どこ?」

 

「うむ。西の河原公園という所だ」

 

という訳で。ラウラのゴルフカブリオレです荷物を乗っけてしゅっぱーつ。旅館の女将さんや仲居さんにはお礼をちゃんと言って、いざ出発。

 

 

西の河原公園はすぐについた。まだ9時前だというのに、露天風呂に足だけつけて足湯みたいに使っている観光客らしき姿がちらほら見えた。

駐車場に車を停めて、軽く散策。へえ…。

 

「緑に囲まれた、いい場所だね」

 

「そうだな」

 

砂利道にいくつものバスケットボール大の岩がごろごろしていて、まさに河原のような雰囲気だった。

…うん。ここはいい。とても落ち着く。ラウラの隣に立って、しばらく蒼い空を流れる白い雲、周囲を囲む木々の緑が風に揺れる様、そして明るい茶色や白の砂利道を駆け回る子どもたちや観光客の姿を見ていた。

 

「…()こうか」

 

「そうだね」

 

ラウラがくるっと振り向いて車に戻るのに付いていく。さて、じゃあお待ちかねのお土産タイムといきますか!

 

ところでラウラ。なまものって大丈夫?この車オープンだし、今日も真夏日になるらしいけど。

 

「ふむ…。嫁よ、幌を出してエアコンでもいいか?」

 

大丈夫だけど、まあちょっと残念な感じはするね。せっかくのオープンなのに。

あ、お土産の配送をやってる所もあるみたいだよ。

 

「ほう。まあ、まずは煎餅やビールといったものは確定だな」

 

「…ラウラ。ビールはダメって言ったでしょ」

 

「む?ああ、教官の分のお土産だから問題ない。さすがに愛する嫁との約束を反古にしたりはしないぞ」

 

なんだ愛する嫁って。なにグレードアップしてんの。

 

「あとは、一夏の奴には漬物で良いだろう。甘納豆も悪くないな」

 

あ、じゃあ俺たっちゃんたちに甘納豆にしよ。

 

「嫁よ、あの湯けむりサイダーとやらが気になる」

 

じゃあ買おっか。すいません、サイダー一本くださいな。あ、ここで飲むやつです。

 

はい、ラウラ。

 

「む、ああ」

 

美味しい?

 

「なかなかだ。嫁も飲むといい」

 

え、俺そんなに炭酸好きじゃないねんけど。まあ、ラウラが俺に手渡してくれたので飲むけど。

あ、美味しい。すっきりしてるね。これ。

 

「ふっ。そうだろう?」

 

うん。なかなかですな。

ああ、もはや間接キスでどぎまぎするような感じはなくなったけど、こういう落ち着いてお互いをちょっとずつ理解してく感じっていいなぁ。

 

さ、あとはちちやさんで温泉まんじゅうだね。茶まんじゅうと二色あんまんじゅう、か。ラウラー。

 

「ふむ。シャルロットにはミックスだな。ああ、他のクラスメイトたちもこれでいいか」

 

じゃあ2つだね。あ、二色あんまんじゅうをここで食べたいんだけど、ラウラどうする?

 

「そうだな…。両方とも食べたいが、まだ焼き鳥もあるしな…」

 

あ、じゃあ両方とも1つずつ買おう。半分ずつくれ。

 

「む。そうか、そうだな。

店主!ミックスのセットを2つ、ここで食べる茶まんじゅうと二色あんまんじゅうをそれぞれ1つずつ頼む」

 

あーい、毎度ありー。

そんな感じのゆるーい返事を聞き流しつつ、のんびりまったり。あー、そうか。焼き鳥もあるんだよな。あと温泉玉子。いやー、こういうのは飽きないねえ。

あ!草津もちだって!買おう。これは整備課の奴らと轡木さん、あと真耶ちゃん用で。あ、自分の分も買っとこ。

お!串ぬれおかきだって。美味しそう。

1つくださーい。あ、ラウラも食べる?ん。

 

なんて感じで時間はあっという間に10時。さて、お土産はこんな感じかな。トランクにお土産を突っ込み、さあ帰ろうか。

 

帰りも高速に乗るまでは下道ののどかな街並みを軽快に走らせる。いやー、なんだか激動の一泊二日だったな。なんかちょっと、一抹の寂しさがあるなぁ…。

 

「ふっ。何、また来年もこれば良い。時間はまだまだあるんだ。…そうだろう?嫁よ」

 

「…うん」

 

そうだね。

 

俺とラウラを乗せたゴルフは、青空の夏を勢いよく駆け抜けて行った。




ちなみに後日談として、ちっふーに鹿波と二人きりで行ったことがバレて不純異性交遊としてIS学園の規則に接触しかねないということで正座でラウラが叱られたり、ちっふーが来年からは監督役で付いて行こうとして鹿波ラヴァーズで来年の夏にもナガシマとか草津温泉とかに一泊二日で遊びに出かける話とか考えてました。さすがに文字数が多くなりすぎるので今回はやりませんが、いつか出来るといいなぁ。

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