とあるIS学園の整備員さん   作:逸般ピーポー

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サブタイに特に意味はないですが、分かった人は多分デュエリスト


だが!しかし!まるで全然!

鈴ちゃんご無礼事件(今命名)の次の日。

いつの間にかベッドの隣の机に置かれていた俺のスマホがブルブルと震えだした。ああ、バイブレーションにしてたっけか…。

番号を見る。知らない番号だ。普段なら出ない。てか普通なら出ない。

しかぁし!

俺には天下のアンサートーカー先生がついている!

それにより、この電話が束からのものだということが判明!よし出よう。

 

「もすもす?ひねもす?」

 

「ちょっとそれ束さんのネタなんだけどパクらないでくれるかな!ねえ!」

 

「で、どちら様でしょうか」

 

「ちょっと、分かってて言ってるでしょ!」

 

くっくっくっ。やはりこいつ()は面白い。うむ。

 

「はいはい、それで?何の用だ」

 

「そう言えば鹿波、無事だった?」

 

「お前絶対わざと言ってるだろ」

 

「何のことかな?」

 

「元気だった?じゃなくて無事だった?って聞いてる時点で確信犯じゃねえか」

 

「ありゃ。バレたか」

 

「当たり前だぼけー。あほー」

 

意味はあんまりないが、こいつとのどうでもいいようなやり取りはやはり面白い。ウマが合う、て感じか。やっぱり俺もこいつも技術屋なところがあるからだろうか?

 

「んで?本当に何の用だ。つまらん用事なら切るぞ」

 

「鹿波もちーちゃんみたいなこと言うようになったねえ…。束さんさみしー」

 

「切るぞ」

 

「わーっ!待って待って!どうせ暇なんでしょ?ちょっとくらいいーじゃんさー」

 

「あいにくと、PDCAサイクルの本がまだ俺を待っていてな」

 

「そんなの後でいいじゃん。で、鹿波。鹿波のISって出来たー?」

 

「あー、IZ(アイゼロ)か。うんにゃ、まだ」

 

「アイゼロ?」

 

「ISっぽいけどISじゃないISのこと。面倒だから仮にIZ(アイゼロ)って呼んでる」

 

IZ(アイゼロ)ねえ。ま、好きに呼べばいいんじゃない?」

 

「完成したら、お前に名付け親になってもらうのも良いかも知れんな」

 

「私でいいの?」

 

「ふん、ISの名付け親のお前が名前を付けるなら、IZのコアも満足だろうよ」

 

「まあ、鹿波が良いなら良いよ」

 

「そうだな。なら、きっと頼もうか。

IZの完成はまだだ。それがどうした」

 

「んー、鹿波が良ければ私がIS作ったげよっか?」

 

「技術者が自分の専門分野で他人任せなのは甘え」

 

「…ふふっ、やっぱり鹿波って意地っ張りだよね」

 

「はっ、言ってろ天災。技術屋ってのはそんなもんだろ」

 

「まあね。どいつもこいつもブラックボックスの解明なんかろくに挑戦しないで束さんに頼ってくるからね。束さんは便利屋じゃないっつーの」

 

「はは」

 

前世の二次創作では束はだいたいオリ主にIS作る係だったからな。それを考えるとちょっと面白い。束のやつが言ってるのはそういうことじゃないんだろうけどな。

ああ、そう言えば一夏君アンチとか一夏君がホモとか、いろいろあったなぁ…。懐かしい。こっちの一夏君は良い子です。マジで。その代わりにちっふーの女子力の低さは予想以上にひどいことが判明した。

 

「ああ、でも完成したら作ったIZをお前に評価してもらうとかは面白いかもな。ロマン満載のやつ」

 

「ロマンはいいぞう!

まあ、効率ばっかり追い求めるのもそれはそれで面白いけどね。だいたい行き着く先って同じだから少しつまらないけど」

 

「そりゃ万能性特化とか、効率を求めるなら相手をリクルートすることに特化することになるし。

目的が同じなら、必要な機能だって似てくるわな。あ、そう言えばお前箒ちゃんに専用機やってたろ」

 

「あー、うん。紅椿だね!あれは凄いよ!なんと言っても初めから単一仕様能力も使えて即時対応の万能機!しかもエネルギーの回復まで出来て、私オリジナルの無段階移行システムにより自己開発がーーー」

 

「分かった、分かったから。もういい。お前の自慢はいい。それよりも、だ。箒ちゃんにあれだけの力を持たせて良かったのか?絶対アレ、新たな火種になるだろ」

 

「なるだろうね」

 

「…箒ちゃんもこんな奴が姉だなんて、可哀想に…」

 

「ちょっと鹿波、どういう意味かな?」

 

いや、どういう意味も何も…ねえ?そのままの意味だけど。だってこいつ、自分のかわいい妹を争いの渦中に叩き込んでも平気なんだぜ?今の返答ってそういうことでしょ?

さすがに箒ちゃんに同情するわ…。

 

「まったく失礼しちゃうなー…。あ、そういえば」

 

「そういえば?」

 

「マドカちゃんに会ったよ!」

 

ドキッとした。でもドキッとしたことは最大限バレないようにする。バレたらこいつ、絶対からかってくるから。

 

「…ふーん。あっそう」

 

「あれ。興味ない?」

 

「いや、お前の言ってるマドカちゃんが俺の知ってるマドカかどうかわからんし」

 

まあ十中八九同一人物だと思うけど。

 

「まあいいや!それでね!あの子身体に不っ細工な代物入れられてるからさ!なんとなんと!束さん特製!ナノマシン無力化装置作ったよー」

 

「おま、マジか」

 

よくやったクソ兎ィ!おっしゃ!俺の面倒が減る!ナイスぅ!

 

「マジマジ。へへーん、褒めていーよ!」

 

「やるじゃないか(蛇風)」

 

「でしょでしょ」

 

いや本当に。よくやった。主に俺の負担を減らしたことについて。

褒めてやるから、携帯出来るようにしな。

 

「もちろん持ち運べるんだろ?」

 

「えっ?」

 

「…え、まさかお前さ。持ち運べないもので満足?満足しちゃったの?マジで?」

 

「…まあ今回はこれくらいかな?じゃあね!」

 

こいつ、誤魔化しやがった。まあいいや。多分こう言っとけば持ち運べるやつ作ってくるやろ。知らんけど。

 

「じゃあな」

 

嵐のように来て嵐のように去っていく。まさに天災。ま、その方が束らしいのかも知れないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、話題に出たマドカに連絡してみよう。

亡国機業に襲われた時の傷が治らりきらないうちに亡国機業のマドカと連絡を取る…!ふっ、なんて俺は馬鹿なんだ。だが、それがいい!…一応問題ないかどうかだけアンサートーカー先生に確認しとこ。うん、大丈夫。よし。

 

しばらくのcall音。あ、午前11時はちょっと早かったかな。

そう思ってたら出た。

 

「ようマドカ」

 

「…」

 

「…あれ。マドカだよな?」

 

「…そうだ」

 

「…どしたん?」

 

「ふん。あの後私は連絡が来ることをしばらく待っていたんだぞ?それなのにどこかの馬鹿はまったく!全然!これっぽっちも!連絡を寄越さなくってなあ?」

 

「…すまん」

 

あれ、マドカ俺からの連絡待ってたのか。それはちょっと悪いことしたかな。涙を目に浮かべてプルプルしているマドカの姿が幻視できる。ごめんね。

 

「ふん、まあいい。ところで貴様、だいぶ面白いことになっているじゃないか。ん?」

 

「あ、そうなん?まあ割とそれはどうでも良くて」

 

「それで良いのかお前…」

 

呆れたような声が聞こえるけど、別にいいよ?

 

「ところでお前さん、メカウサ耳着けた頭のおかしい狂人に会ったりした?」

 

「…大きく心当たりがあるな。知り合いか?」

 

「まあそんなとこ」

 

「あいつ、私が思いっきり全力でローキックしてやったのに全く堪えてなかったぞ。なんだあの変態は」

 

「次からはアイアンクローしてみろ」

 

「…効くのか?」

 

「多分な」

 

ちっふーはアイアンクローでいつも止めてたし、多分効くやろ(適当)

 

「そうか。有力な情報、感謝する」

 

「ああ、そうそう。マドカ」

 

「何だ」

 

「亡国機業から逃げ出した後の生活、考えとけよー」

 

「は?」

 

「じゃあな」

 

「ちょ、待」ブツッ

 

切った。マドカの本当に焦ったような声が面白い。

ふへへ。俺も大概、人のこと振り回すの好きだな。うーん、束のことを言えんかもしれん。まあいいや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、午後である。

授業が終わったのか、ラウラが病室に入ってきた。どしたん。

 

「む?まあ念のため、だ」

 

はて。念のため?

 

「嫁は気にしなくとも良い」

 

(シャルロットが見張りをすると言っているし、私が病室に居ることまでは正直必要ないとは思うのだが…。シャルロットのやつ、少し過保護なところがあるからな。まったく、仕方のない奴だ。

…ただ、嫁が運び込まれて以来ずっと教官もどこか覇気がない。悪いことは重なるものだし、今は私達で出来うるだけ用心しておくに越したことはないか…)

 

 

「お、おう」

 

よくわからんが、まあ気にしないでおこう。

 

「ところで嫁よ。何か必要なものはあるか」

 

必要なもの、ね。うん。あるな。

 

「紙とペンと直定規。それと便座カバー!」

 

「よし来た」

 

「あ、ごめん便座カバーはいらない」

 

「む?そうか。では少し外すぞ」

 

「いってらっさい」

 

まさか便座カバーネタが通じないとは…。ええい、クラリッサは何をしておるか!ちゃんと布教せい、布教を!それと、便座カバー!

 

そう思ってたら一夏君が来た。やあ。

 

「あ、鹿波さん。大丈夫でしたか?」

 

「あー、うん。包帯まみれだけど傷自体は見た目ほどひどくはないよ。しばらくしたら退院出来るみたいだし。お見舞いありがとうね」

 

「いえ、いつもお世話になってますし」

 

そう言って一夏君は椅子に腰を下ろした。あ、一夏君梨剥ける?

 

「ああ、やりますよ」

 

すまぬ。梨は俺食べたいの。悪いけどよろしくね!梨!ナッシィィィィ!そいつは違うか。

そして一夏君がきれいに剥いてくれた梨を食べながら雑談。最近は一夏君が何度言っても手を出してくる箒ちゃんや鈴ちゃん、セッシーとは距離をおいているらしい。

 

「距離を置くったって、クラス一緒でしょ?どうしてるのさ」

 

「そうですね。なので休み時間の度に相川さんとかシャル達と一緒に過ごすようにしてます」

 

「お昼休みは?」

 

「だいたいのほほんさんーーーあ、布仏さんっていうんですけど、その子とか相川さん、あとは鷹月さんっていうクラスメイトと一緒に食べてますね。食堂行った時は楯無さんとご一緒したりとか」

 

「ほほう」

 

シャルロットをシャル、ね。そして食堂ではたっちゃんと一緒か。原作からヒロイン変わったのかと思ってたけど、ちゃんと一夏君とも仲良くなってるんやね。そうすると、ラウラが一夏君に惚れる日も来るんだろうか。うわー、凄いワクワクする。

あ、でも一夏君に惚れると今までみたいにじゃれてくれなくなるのか…。うん…。一夏君が良い子だからあれだけど、そうなるとちょっと寂しいなぁ…

 

(´・ω・`)

 

寂しいなぁ…。

まあそれはいいや。で、その箒ちゃん達がどうしたんだっけ?

 

「ええ。その、最近は話しかけてはくるんですけど、こっちが反応しないとこう…なんて言うんですかね。

あ…。みたいな感じで…」

 

そう言って、手を僅かに出して引っ込めた後、俯く仕草をする一夏君。あー、それはこう…あれだね。罪悪感が半端ないね。

 

「そうなんですよ…。どうしたものかと思いまして」

 

「んー、そうだねえ…。一夏君はどうしたいのさ」

 

「俺ですか?」

 

「うん。一夏君はこのまま無視し続けて関係を切りたいの?それともまた仲直りしたいの?」

 

「俺は…」

 

そう言ったきり、一夏君は黙りこんでしまった。ま、気長に待とうか。

ただ、一夏君が気にして相談しに来るってことは、多分まだ仲良くしたいんだろうなぁ。本当に心がすっと冷めたときって、自然に距離とってるからね。意識とかする前に。

だから多分、本当は一夏君は彼女達と仲良くしたいんだと思う。でも、以前と同じように暴力を振るわれるのは嫌、と。つまりは、彼女達に変わってほしいんだろうねぇ。でもなぁ…。彼女達にチャンスはあげてもいいと思うけど、彼女達に変わる気がないことが分かったらその瞬間から切った方が気が楽だと思うんだよなぁ…。

ま、そのへんは一夏君が決めることなんだから、あまり口を出しすぎるのも無粋というものだろう。

 

「俺は…。きっと、仲良くしたい…んだと思います」

 

ふむ。

 

「仲良くしたい」

 

「はい」

 

「ふむ…」

 

「ただ…」

 

おう、全部ぶっちゃけちまいなよゲヘヘ。さあ、お兄さんにうち明かしてごらん?(ゲス顔)

 

「ただ、今まで通りには戻りたくないです」

 

「今まで通りには戻りたくない、か」

 

「はい」

 

ふーむ。やっぱり暴力は嫌なのだろうか。原作では割と平気だったように見えたけど。一夏君がまともな感性になっている、のかな…?

うん。それは良いことだと思う。間違いなく。

ただ、多分それ俺のせいというか、俺の影響な気がしなくもないというか。うーん、ちょいちょい原作からやっぱりズレてんな。まあ当たり前なんだけどさ。俺がいる訳だし。つまり俺のせい。

 

「なら、一夏君。君はどうしたいんだい」

 

「どうしたい、ですか」

 

「そう」

 

「うーん…」

 

またしても黙ってしまったので待つ。だいたいのことは本人は既に答えはもってるからね。ただ、頭で考えるのと、感情に任せるのと、心の赴くままに進むことは、どれもちょっとずつ違うことだと思うんだよね。俺も昔は頭、つまり理性と、感情の2つだけだと思ってました。ちなみに心の赴くままに行動すると、だいたいのことがうまくいく。まあどうでもいいね。

 

「鹿波さん」

 

「うん?」

 

「ちょっとよくわかんないです」

 

「そうかい」

 

ここで詰まったか。なら、ちょっとだけヒントを出そうか。ホントはキャラじゃないんだ、こういうの。

ま、やるなら本気でやろうか?そっちの方が楽しいだろ!ハハハハ!ひろし乙。

 

「ふむ。じゃあ一夏君。君は彼女達の何かが嫌だったんだよね」

 

「はい」

 

「何が嫌だったんだい?」

 

「それは…。あれです。何度も何度も暴力を振るってくるので、やめてくれって言ってるのにも関わらずやめてくれないから」

 

「OK。じゃあ具体的にはどんなことがあったか、教えてもらっていいかな」

 

「え、そりゃあ真剣を持ち出して来たり、ISで追いかけられたり…」

 

「ふむ。それはまあ軽く殺人未遂だと僕は思うけど、まあ君が日常的に命の危機に立っていたことは良く分かった。じゃあ、それらを止めてくれて、もうしないことを約束したらそれだけで仲直りしてもいいのかな?」

 

「そうですね…」

 

そう言って、また一夏君は黙った。少なくとも僕なら自分から何が悪かったか理解した上で謝ってきたらようやく仲直りするかどうかを考える、くらいなものだろう。

まあ、いざこざを起こしてるのは僕じゃないし、一夏君のことは一夏君が決めるべきだろう。それに、俺の考え方が必ず絶対正しい、というものでもない。僕は僕の考え方が正しいと信じている、というだけだ。時には間違うこともあるし、間違うことは悪いことではなかろうよ。ただ、間違えた後に反省することも、直すこともしないことは悪いことだと思うんだ。

 

「嫌、ですね」

 

「嫌?」

 

「嫌です」

 

ほほう。いいね。実に俺好みだ。俺も実際にやられたら、それだけで許すなんて絶対に嫌だ。それで許したら他のことで似たような迷惑をかけてくる気がするし。それもかなりの確率で。

まあでも、一応一夏君に聞いておこうか。念のため。

 

「…何が嫌なんだい?」

 

「俺、もうこれ以上我慢できないです」

 

「うん」

 

「これ以上我慢なんかしたくないです」

 

「うんうん」

 

「俺、何も間違ったことをしてるつもりないです」

 

「そう」

 

「鹿波さん」

 

「ん?」

 

「俺が嫌な思いした分、まだ謝ってもらってないんです」

 

「ああ」

 

「…謝ってきたら、多分その時に考えると思います」

 

…そうか。

そういう一夏君はぐっ、と唇を噛みしめていて、結んだ手は強く自分の制服を握りしめていた。涙を流すまいと、ぐっと。

…我慢したんだね。

偉いよ。君は。

 

「…そうか。なら、僕はそんな君の判断を最大限支持しよう」

 

そう言ったとたん、一夏君が顔を上げてこちらを見てきた。あーあー、ほら泣かないの。はい、タオル。

 

「な、泣いてないです…」

 

鼻声で言ったのは聞かなかったことにしてあげるから、とりあえず落ち着きなよ。

 

~しばらくお待ち下さい~

 

 

「ず、ずびばぜん…」

 

「はて、何のことかな」

 

ちょっぴり鼻とおめめを赤くした一夏君が落ち着いたところで、要点を整理しようか。

 

「まず始めに。一夏君は、箒ちゃん達と今の関係のままなのは嫌なんだね?」

 

「まあ…。鈴以外はそうですね」

 

およ?鈴ちゃん除外?どしたし。や、僕も昨日のことがあるから賛成やけど。

 

「いや、鈴の奴はクラスも違いますし、昔からよく喧嘩してたんですよ。だからか知らないですけど、まだ鈴の奴は俺がただわがまま言ってるようにしか思ってないみたいで…」

 

「へー」

 

なるほど。同じクラスの箒ちゃんとセッシーはさすがに好きな人にずっと無視され続けるのは堪えたか。でも、普段から接点がちょい少ない鈴ちゃんはまだ謝ってくる気配なし、と。つまりは、鈴ちゃんだけ危機感が足らない訳だ。

うーん…。原作の鈴ちゃん、そんなにひどい子じゃなかったように思うんだけどな。五反田弾君だっけ?彼に対しても、そんな差別的なこと言ったりしたりという描写はなかった気がするし。まあ、この世界では違うという可能性もあるけども。

ただなぁ…。たぶん悪いというか、ひどい子じゃないとは思うんだけど。一夏君ラヴァーズは総じて思い込みが激しいというか。人間的にこう、未熟な感じが強いんだよね。自分が嫌な思いしたら謝らせようとするくせに、他の人に嫌な思いをさせてもなかなか謝らないというか、非を認めないというか。原作の鈴ちゃん初登場のあたりとかね。自分の伝えかたが悪かったかなーとか反省する気配が最初から全然ないという部分はあったかな。

 

まあ、なんだかんだ考えたけど。昨日失礼な態度取られたしまだ謝ってもらってないし、鈴ちゃんはまあ別にいいや!ぽーい!

相談された子に私怨を交える人間の鑑。ま、多少はね?

 

「じゃあ鈴ちゃんはいいや。箒ちゃんとセシリアさんとは、仲直りしてもいいかもしれない訳だね?」

 

「そうですね。謝ってきたら考える、くらいですが」

 

「うんうん、OKOK。それで良いよ。

じゃあ、一夏君が次にすることは何かな?」

 

「えっ?うーん…。箒とセシリアの話を聞くこと…ですかね」

 

「うん、そうだね。あとは、謝ってこなかった時の対応を考えておくとベストかな?まあ、ないと信じたいけど…」

 

「そうですね。謝ってこなかったら、さすがにもううんざりです」

 

「悲しいけど、仕方ないね」

 

「すいません鹿波さん。結局相談に乗ってもらっちゃって」

 

そう言って申し訳なさそうにする一夏君だが、気にすることはない。どうせ今暇だし。原作からどう変化してるのかが分かるから、むしろどんどん相談したまえ。はっはっは。なんじゃこいつ。

 

「うまくいくことを、願ってるよー」

 

そう言って手を振る。ばいばーい。

 

 

一夏君が出ていったタイミングでラウラが入ってきた。あ、ペンと紙来たー。これで設計図が書けるー。サンキューラウラ。

 

「うむ」

 

ところでラウラ、入るタイミング伺ってた?

 

「む?いや、何やら相談していたみたいだったからな。人には聞かれたくないこともあるだろう。

私はシャルロットと共に外に居たぞ?」

 

え、シャルロット居たの。ま、何にしても。お気遣い、ありがとうございました。

 

「ふっ、嫁を支えるのも伴侶の務め。どーんと任せるがいい」

 

むっふー。と腕を組んで得意気にするラウラ。はっはっは、こやつめ。かわいい。

 

 

 

その後、一夏君から再び箒ちゃんとセシリアとは仲直りしていることを聞いた。まだギクシャクしているらしいけど、いつかきっと、笑い話に出来る日が来ると思うよ。お疲れさま。




ラウラかわいいよラウラ

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