とあるIS学園の整備員さん   作:逸般ピーポー

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鈴ちゃんファンの人はごめんなさい
原作ヒロインを原作そのままに描こうとしたらこうなりました
気分を害される人もいるかもしれませんが仕様です
ご了承ください


凰鈴音の場合

なんだか最近一夏が冷たい。

以前からちょくちょくあたしや箒、セシリアに文句を言うことが増えてきたけど、あたしは全然気にしていなかった。そしたら最近、一夏があたし達を遠ざけるようになった。最初は気のせいかと思っていたけど、箒に聞くと箒やセシリアに対してもそうみたい。

今まであたし達が相手してきた放課後の特訓だって、ラウラとか言うドイツのチビッ子やシャルロットとか言うフランスの男女(おとこおんな)に最近はよく頼んでいる。ちょっと、邪魔しないでくれる?あたしの方が上手く一夏に教えられるんだから。ホント、何考えてんのかしら。意味わかんないんだけど?

 

一夏があたし達に対して、明らかに拒否してくるようになった。声をかけても無視するし、近づいていくとすぐに逃げて行くようになった。

箒とセシリアも似たようなものらしい。ただ箒とセシリアの場合は同じクラスだからもっとはっきりしてて、休み時間のたびに他のクラスメイトと話をしに席を離れるみたい。それに、他のクラスメイトも一夏と話をさせないように一夏の奴を囲っていたりするって。あいかわ、とか、たかつき?とかってのからは、嫌がっているんだからやめてあげなよ。とまで言われたらしい。

箒が顔を真っ赤にしながら

「何様のつもりだ!あたしと一夏の間に関係ないくせに…!」

とか言ってたけど、ホントよね。全く。人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死ねばいいのよ。

ただ、その箒が気になることを言っていた。どうも、あれは一夏が考えて行動したんじゃなくて、誰かが入れ知恵してるような感じがするって。幼なじみの勘?ってやつかしら。

…誰だか知らないけど、人の恋路を邪魔する奴ってことよね、そいつ。今度一回、是非ともその顔を見てみたいものだわ。ただじゃおかないんだから。

 

 

そいつの名前が分かった。一夏が男女(シャルロット)と話をしているのを聞き耳を立てていたら、カナミ、と言う名前が出てきた。また相談したら?とシャルロットが言っていたから、多分そうだろう。余計なことばっかりしてくれて。絶対今度そいつとっちめてやる。

こっちは一夏が全然話どころか会うことすら嫌がってるのか、一夏と一週間すれ違うことすらないようになってきたっていうのに。本当に余計なことばっかり。また一夏が相談してあたし達を遠ざけるようなことを言われたらたまらない。

あれからあたしは箒やセシリアと結託して、一夏の目を覚まさせようと動いている。お昼のお弁当を作って昼休みに一夏に渡しに行ったり、放課後教室を見に行ったり。

でも一夏は自分でお弁当を作って他のクラスメイトと一緒に食べたり、授業が終わったらすぐに食堂に行って隅の席で他の女子生徒と一緒に食べていたりするみたい。

放課後教室を見に行っても、一番収容人数の少ない、一番遠く離れたアリーナに行っていたり、ほぼ他の女子生徒で埋まっているトレーニングルームで生徒会長とトレーニングしていたり。ちょっと、あたし入れないじゃない。

ほんとなんなの!?嫌がらせ?

どれもこれも、情報を集めれば集めるほど、カナミとかいう奴に相談した結果みたい。そいつ、絶対許さないわ。

 

 

そう思っていたらある日、そのカナミとかいう奴が大怪我して運ばれてきたらしい。ざまあないわ!きっと天罰が下ったのよ。いい気味。

一夏や男女(シャルロット)は騒いでたみたいだけど、正直あたしからすると大喜びなのよねぇ。ま、一夏がたいそうお世話になってるみたいだし、いずれ挨拶にでも行ってやりましょ。ホント、このままずっと、あたしの邪魔をしないでくれればいいのに。

 

 

昼休み。今日もあたしと箒、セシリアで作戦会議をしてた。そんな中、セシリアから例のカナミとかいうやつが意識を取り戻したらしいことを聞いた。セシリアからだから又聞きになるけど、どうも確かみたい。ふん、正直一夏以外の奴なんてどうでもいいんだけどーーー。でも、その一夏をあたしから引き離した張本人ともなれば、顔くらい拝んでやらなきゃね。

幸いあたしのクラスは今日は早く終わるから、一夏達1組より早めにそいつのところを見に行ける。一夏もそいつのことはやけに気にしてるみたいだし、まあ手を出すつもりはないけどね。でも、ま。文句の一つくらいなら言ってもいいでしょ。どうせ大したことないやつなんだろうし。

 

 

というわけで。授業が終わればさっさとIS学園の医療棟へ向かう。へえ、こんなところあったのね。あたしは優秀だから怪我とかしないし、使ったことないけど。さて、カナミカナミ…っと。

 

あった。ここね。ふふん、どんな奴がたいそうな間抜け面をさらしてくれるのかしら?

一応念のためノック。コンコンコン。

そしたら気のぬけた

 

「どーぞー」

 

という応えが返ってきた。早速室内に入る。

 

「邪魔するわね」

 

中に入ると広々とした個室だった。部屋の奥にあるベッドに、男が全身の所々に包帯を巻いた姿で座っていた。

ベッドの隣に備え付けられた机には見舞いの品らしいものがいくつか置かれていた。

その男はわずかに驚いたような表情で、生意気にもあたしに声をかけてきた。今はまだ我慢。こいつがどんな奴かわかんないし。ま、こいつは根性なしの優男のような感じがするけど♪

 

「…えーっと。(ファン)さん…で、良かったかな」

 

「鈴でいいわ、面倒だし」

 

何こいつ。年下の小娘相手に下手に出るとか、ホント意気地無しね。やっぱり優男じゃないかしら。

 

「じゃあ鈴ちゃん」

 

「だから鈴で良いってば」

 

あたしが言ったの聞いてなかったのかしら。それとも言葉が理解出来ない馬鹿とか。て言うかさして親しくもないのにちゃん付けとかあり得なくない?気持ち悪いわね、ホント。頭おかしいんじゃないの?

 

そんなことを考えていたら何の用か聞かれた。

何の用…ねぇ。特にないけどね。そんなの。

まあ、強いて言うならーーー

 

「…別に。ただ、一夏の奴がやたら心配してたから、ちょっと見に来ただけよ。気にしないで」

 

その程度のもの。あ、そう言えばこいつ。一夏に心配かけてたわよね。まったく、学園最強(生徒会長)世界最強(織斑先生)に守られていたくせに怪我するとかあり得ないわ。あたしなら絶対そんなことにはならない。一夏に心配もかけないし、目の前のこいつみたいなヘマもしない。ほんと、なんでこんな奴のことを一夏は心配してるのよ。

 

「そうか」

 

そう考えていたらこいつ、そう言ったっきりこっちの方を見ようとすらしない。は?意味わかんないんだけど。

 

「…一夏の奴、相当あんたのこと心配してたのよ?後で一言謝っておきなさいよ」

 

まったくこいつあり得ないわね。そう思って言った言葉だったけど、答えは簡潔に返ってきた。

 

「断る」

 

…へえ。あたしの言う事が聞けないってわけ。優男のくせに。

そう思って睨み付けたら案の定、肩をビクッとさせてからあたしの方を見つめてきた。ふん、意気地無しのくせに生意気。

 

「…あんた、人に心配かけといて謝らない気?」

 

あたしなんて、一夏と会うことすら出来ないってのに、何様よこいつ。あー、ほんとなんで一夏もこんな奴のことを気にしてるのよ。全く理解出来ないわ。

 

「少なくとも、それを部外者の君に何か言われる筋合いはない。帰れ」

 

なっ…!人が親切に言ってあげてるのに帰れですって!?何こいつ!本当に失礼ね!しかも部外者ですって!?

あたしはここ(IS学園)の生徒であんたはここで働いてるんでしょ!?じゃあ部外者な訳ないじゃないの。

ふん。まあ良いわ。どうせこんな奴、誰からも嫌われておしまいよ。くたばればいいのに。

 

「…あんた、友達無くすわよ」

 

「帰れ、と言ったはずだが。聞こえなかったのか、それとも理解出来ない程度の頭しかないのかね?」

 

「なっ…!ふん!言われなくても出てってやるわよ!」

 

あたしは目の前の優男(ムカつく奴)にそう言って、ドアを力いっぱいバン!と閉めて出て行った。ほんと時間をムダにしたわ。損した!

まったく、こんな奴に一夏は相談してるとか信じらんない!絶対一夏はあいつに騙されてるのよ。

そうよ。きっとそう。一夏はあいつに相談するたびに騙されてるんだわ!やっぱりあたしが一夏を助けてあげないとダメね!待ってて一夏!

 

 

 

次の日、意気込んで一夏に会いに行こうとしたのはいいものの、結局一夏には会えなかった。うーん、一夏を助けに行こうと思ったけど、一夏があたしを避けてるんじゃダメね。何か良い案ないかしら?

 

そう思っていたら、閃きが走った。

そうよ、昨日のあいつをどうにかして言う事聞かせればいいのよ!今は怪我してるから下手に反抗出来ないし、それでも抵抗するくらいなら龍砲ちらつかせてやればいいし。ここ(IS学園)に来る時もやった手段だから、多分効果はあるでしょ。さて、そうと決まれば善は急げね!レッツゴー!

 

そして昨日と同じように医療棟へ向かった。

ただ、今日は昨日とは違ってあいつの病室に行く途中には男女(シャルロット)が、立ちふさがるように立っていた。

 

「何してんのよアンタ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何してんのよアンタ」

 

そう言ってこちらを睨み付けてきたのは凰鈴音。うん、でも僕はここで鹿波さんを守るように、楯無さんにもお願いされてるしね。まずは僕の質問に答えて貰おうか。

 

「ちょっとね。それよりも凰さん。

何処へ行くのかな」

 

僕が笑顔で言うと、凰さんはこっちを見てため息をついた。

 

「はあ。あたしが何処へ行こうと勝手でしょ。退きなさいよ」

 

「うん、でも僕は生徒会長に頼まれてるからね。

で、何処へ行くのかな」

 

再度尋ねるも、今度は無視してこちらへ歩いてきた。うん、でもダメ。

僕は凰さんの肩をガッと掴んで無理やりに歩みを止める。行かせないよ?

 

「ねえ凰さん。質問してるのはこっちだよ。

何処へ行くのかな(・・・・・・・・)

 

そう言って、ドンッと軽く凰さんを突き飛ばす。悪いけど、君は要注意人物なんだよ。凰さん。君がISを起動した瞬間、如何なる手段を持ってでも君を止めるように言われているくらいには、ね。

 

先ほどよりもさらにこちらをきつく睨み付けてくる凰さん。でもね。正直言って今君に対して僕が感じている怒りは、そんなものじゃないんだよ。

こちらを睨み付けてくる凰さんを冷めた目で見つめる。すると、こちらが本気だと分かったのか凰さんは喚き始めた。

 

「はっ。何よ、騎士(ナイト)でも気取ってるの?

知ってるわよ。アンタ、あの意気地無しのこと好きなんでしょ。どうせ生徒会長に頼まれた、なんて嘘に決まってるじゃない!なんでわざわざ生徒会長が無様に怪我した一般人を庇うのよ。ふふん、言い返せる訳ないわよね?だって嘘っぱちなんだもの。ねぇ!あははっ!

いいから退いてもらえる?あたしは今からそいつの所に行って、一夏を騙すのをやめて貰わないといけないのよ。意気地無しで優男な、卑怯者のグズに、ねーーーガッ」

 

うるさいなぁ。なんだかイライラすることをわめいていたけど、途中から背後から寄って来た虚さんに首筋を勢いよく叩かれて崩れ落ちた。いっそのこと死んでくれたらいいのにね。ふう。それも出来ないけどさ。

だって楯無さんいわく、

 

「あんなのでも一応中国の代表候補生だからね…。後ろ楯が無ければ、行方不明くらいには出来るんだけど」

 

らしい。まあ、その行方不明になった人は永遠に行方不明らしいけど。ああ、目の前の崩れ落ちてるこの人(凰さん)、面倒くさいなあ。ホント。

 

そう思っていると、虚さんに声をかけられた。

 

「この無礼者は私達で寮の部屋に戻しておきます。

シャルロットさんは引き続き、見張りをお願いしますね」

 

「はい」

 

そう言って虚さんは凰さん(ゴミ)を肩に担いで来た道を戻っていった。

はあ。面倒くさいなあ。まったく。一応念のため見張りをしてはいるけど、最重要人物はあと篠ノ之さんとオルコットさんだ。

なんであの人達は自分が悪いところがあるかも知れないと考えないんだろう。頭おかしいんだろうか。

 

 

ねえ鹿波さん。

この世界は、優しい人は生きにくいね。

自分のことばかり考えてる、声の大きな人が得をして。ささやかに生きている人達は、いつもいつも大変な思いをしたり、苦労したり、損をする。

 

ねえ、鹿波さん。

良い人ほど早く死ぬって聞いたけど。

鹿波さんは、長生きしてね。




うーん、原作ヒロイン達を原作ヒロインそのままに描写しようとしたらこうなった。何故だ

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