それゆえおかしな部分があるかもですが平にご容赦を。
おかしな部分があったらご指摘いただけたら幸いです
「なにっ」
「お、勝った」
「じゃあM、これお願いね。ああ、
そう言ってスコールが私に指で挟んだメモを差し出してくる。ちっ。
私は荒々しくメモを受け取り、書かれたリストを見る。
リストには18種24個のISパーツが書き出されており、今回は少ないほうだと安堵する。
先ほどまで私、
いつも通りオータムが行けばいいのだ。クソ。
これまでは当然こんな雑用はそこらへんの部下にやらせていたのだが、最近では国際IS委員会の乗っ取り、それに伴う各方面からの諜報戦やスパイの取り締まりなどで人員が不足。そのためIS学園からやや離れた場所に作る予定だった補給線兼非常時の前線基地を急遽計画を凍結。なんでも警備体制が確立できない、IS周辺の機材やら材料パーツ等の管理に充てられる人員がいないという。馬鹿どもめ。無能か。全く、使えない。
そして人材不足の煽りを受け、元々の予定地とは違うIS学園からやや離れた場所に資材庫を確保。警備の人員が取れない→じゃあ人が多い場所にして警備の代わりにしよう
とかいう意味のわからない理由で店の立ち並ぶ敷地に。
そして周りが店ばかりの中でものものしい資材庫は怪しい→じゃあ店舗形式にしよう。そうすればそこの人員不足は一般人を雇うことで解決できる!
というこれまた頭のおかしな理論が。そしてタイミングが良いのか悪いのか、そんな訳のわからない店舗でもIS関連の内容にさえしてしまえば国際IS委員会からの日本国への圧力で成立させられた。
そして当然、店舗形式とはいえ実態は亡国機業の倉庫である。なので会員制ということにされ、一般人はここで物を買うことは出来ない。さらにパッと見では何の店かわからないようにし、人の出入りを制限。一般人は基本的に入ってこないようにされている。
…何故地下に店を構えるとか、入口で暗証番号が必要な形態にしなかったのか。どう考えてもその方が合理的だろう。しかしオータムもスコールすらも上層部の決定は覆すことが出来なかったらしい。クソ、上層部は本物の馬鹿か守銭奴しかおらんのか!
愚痴っていても仕方ない。私は黒一色の私服に着替え、最後に帽子をかぶって外に出る。私は見た目があの織斑千冬そっくりだからな。外出する時は自分の身をなるだけ隠す必要がある。まあ、この帽子のデザインは気に入っている。黒地にちりばめられた
そして私は目的地、『ISショップ ファントム』の店内に足を踏み入れる。…店舗名、安直すぎだろう。全く、こんな名前にしたのはどこのどいつだ?…ああ、上層部だったか。全く本当に下らない。さっさとこんなところ逃げ出したいものだ。
店に入り、メモに書かれたパーツリストのものをカゴの中にひょいひょいと入れていく。精算時には亡国機業のIDカードをかざすだけで精算されたことになる。まあ実際には金は動いておらず、誰が何のパーツを持ち出したかが記録されるだけだ。だからこの店に現金もキャッシュもクレジットも意味はない。そしてこの店に売上もない。この店を維持するだけで金は入ることなく飛んでいく。…まあそれでも秘密裏に資材庫を作り、警備体制を確立し、保守管理させるよりは安上がりらしいから、あながち悪い手ではないのかもしれない。上層部は馬鹿だが。
そして私が気付くと、私が取りたいパーツの棚の前には身長170㎝くらいの男が。邪魔だ。
「おい」
私がそう声をかけると男は振り向きこちらの方を向いた。…何故男がここに?したっぱがパーツの調達に来た可能性もあるか。いや、それにしてはやけにのんびりしている。亡国機業のしたっぱにはそんな余裕はない。
そうすると一般人か?一般人がこの店にいることは少ないが、いないという訳でもない。主に本気でガ○ダムやらロボットを制作しようとしている奴らだ。
そしてこの店では会員証扱いのカードがないと買えないことがわかると、およそ肩を落として出ていく。残念だったな。
目の前の男を見る。節くれだった手は大きく、ゴツゴツしている。普段から機械をいじっている者の手だ。そして佇まいは隙だらけだ。…やはり一般人か。
男は無言で脇に一歩どく。うむ、当然だ。わきまえているじゃないか。
そしてリストにあるパーツをちらりと確認し、探してみると、一番上のあたりにある。
…ぐっ。
…ぐぐーっ。
だ、駄目だ。手が届かん。初めてここへパーツを取りに来たが、後で文句を言っておこう。ちゃんと私が手の届く高さにしろと。ふざけるなよと。ふん。
「…取りたいのは、これかい」
そう言って突然横合いから手が伸びる。あ。
そう思っているうちに、先ほどの男がパーツを私に渡してきた。…うむ。これだな。
しかし先ほど強気で声をかけた手前、素直に礼を言うのも癪だ。
「…ふん」
つい帽子で顔を隠す。いや、隠す必要はないのだが。ちっ、やりにくい。こういうお人好しは、接し方がわからない。無視することに決めた。
そして次のパーツ。…またしても一番上、だと…。クソっ!ええい面倒な!
思いっ切り手を伸ばす。が。届きそうで届かん…っ!
むむぅ。ふぬーっ。
「…っく、ふっ…!」
思わず声が漏れる。く、もう少し…!
そうするとまた横合いから手が。…またこいつか。さっきからこの男、さりげなく私に手助けしてくるな。
今や男は一人で歩けばいつ冤罪をふっかけられて罪人にされるかわからんというに。それがわからん大馬鹿者か、それともそうはならない権力者か。もしくは絶対に切り抜けられる自信か能力があるのか。…ああ、弁護士資格を持っている、という可能性があるか。あれは社会的信用のある象徴みたいなものだからな。逆にやり込める。
それにしても、私を二度も手伝うとは。…はっ!まさかこいつ…!
「貴様、ロリコンか?」
だとしたら一刻も早くこの身を守らねば。まあISを使えば一瞬で制圧できるので、完全に冗談ではあるのだが。
「ちゃうわい」
なんだ、違ったか。残ね…いや、安心した。もしロリコンだったらこき使ってやろ…どうしようかと思ったが。
しかし、そうか。ならばまあ礼は言わねばなるまい。
そうは思うが、素直に礼を言うのも癪だし。まだこいつが本当にロリコンではないと確信していないし、などと心中言い訳しつつ、私の口から先に出た言葉は謝罪だった。
「すまんな」
そう胸を張る。…ま、まだ私の身体は成長中なんだ。
(周りが大きいだけでマドカさんは決して小さくないです。具体的には楯無と同じくらいある)
あっ、こいつ私の胸をちらりとも見てない。ある意味逆にムカつくぞ、おい。
まあ、ロリコンではないというのも嘘ではなさそうだ。実際、そういう輩は視線や気配で分かる。まあ、礼くらいなら言っておくか。
「先ほどは助かったぞ。礼を言う」
そう言ってニヤリと笑う。フッ、決まったな。
そう思っていると目の前の男が吹き出した。
「ブフッ!」
…おいなんだその目。貴様ぶっ飛ばすぞ?
思わず半目で男を見る。こやつ、まだ笑ってやがる。口元隠してても目が笑ってんだよ、目が。…おい、いつまで笑っている。
結局しばらく男が落ち着くまで待つことになった。全く、すぐにでも私が使ってやろうと思っているのに、面倒なやつ。
「しかし、貴様のような男がなぜこんなところにいる。男はISには乗らんだろ」
どうせ一般人だろうが。あと、早く私の代わりに高いところにあるパーツを取る係になれ。もしくは踏み台でもいいぞ。
「ああ、このパーツが何のパーツか調べに来たんだよ」
そう言って、男はポケットから小さめのジップロ○クに入っているパーツを取り出した。どれ、見せてみろ。
…ふむ。打鉄かラファールの内部パーツだな。歯車の歯の数でどちらか分かる。
いちにーさん…ああ、これはラファールの方だな。だが、こんな内部パーツをどこで手に入れたんだコイツ。
「…ふむ。貴様、このパーツをどこで手に入れた?」
ストレートに聞いてみることにした。やはりまどろっこしいのは好かん。スコールあたりは大好きだが。面倒だ。
「ん?職場の秘密かな」
そう言って飄々とした態度の男。…何故職場のパーツを休日に私服姿でコイツは持っているんだ…。仮にこの男が勤めている企業が分かったら、私は絶対に買わんぞ。適当すぎだろう。危機管理が。
まあいい。
「ふん、まあいい。これはラファールの内部パーツだ。おそらくはスラスターユニットとコアユニットを繋ぐ動力系の部品だろう。まあ、私は専門ではないから詳しくないがな」
本当に詳しくなどない。私が詳しいのは私の使っているIS、サイレントゼフィルスのパーツが他の何のパーツで代替できるか、という程度だ。運が悪いとミッションの後で自分である程度整備しなければならん。そしてすぐにまたミッションに駆り出されるんだ。逃げ出したら絶対に許さん。私をこれほどまでこき使いおって…!
「そうか。ありがとう」
そう言って男はまっすぐこちらに笑顔を向けてきた。思わず顔が熱くなる。初めてまっすぐお礼なんて言われたぞ。こ、こういう時はどうすればいいんだ…。クソ、経験したことがないからわからん。クソ、ああ!顔が熱い!
結局私はふん、とそっぽを向いた。なぜかはわからないが、こいつは私のペースを掻き乱してくる。ああクソやりにくい!
そしたら男はくるっと背を向けて歩きだした。待てぃ。
そう思うより早く、私の手はなぜか奴のズボンを反射的に掴んでいた。何故かはわからんが、ナイスだ。まだこいつには高いところにあるパーツを取ってもらうことになるかもしれんのだ。逃さん。
「待て」
そう言うと、分かったから手を離そう?と言ってくる男。手を離す。…逃げるなよ?
一瞬男が逃げるかとも思ったが、別にそんな事はなかった。本当にこいつお人好しだな。見ず知らずの他人を手助けするだけでなく、呼び止められて待つとか。聖人か。嫌いじゃない。
「お前、この後時間はあるか」
例え無くても構わんから助…いや、手伝え。決して、けっして助けが欲しい訳ではない。勘違いするな。手伝わせてやろうと言っているんだ。
「そう言って、時間がないって答えても逃がさないんでしょ」
「む、よく分かったな」
なんでバレた。
私の答えに男はため息をつきながら答えた。
「君によく似た人を知ってるよ。…非っ常によく似た人をね」
私によく似た奴だと?馬鹿を言う。そんなのそうそうおらん。いるとして、姉さんくらいのものだ。まあ、それよりも、だ。
「ふん。私によく似た奴など数える程しかおらん。それより貴様、少し付き合え」
私がそう言うと、男はしばらく考えるように黙った後言った。
「どうせ、君が届かない所のパーツを取れって言うんだろ。店員さんに脚立を持ってきてもらえばいいじゃない。ねえ?」
はっ、馬鹿め。脚立?脚立だと?そんな、私が高いところにあるものを大々的に公表するようなことをしろと?ははっ、ふざけろ。絶対にお断りだ!それに、
「貴様がいれば事足りる。それならわざわざ脚立はいらんだろう?」
そう言ってハッ、と鼻で笑う。貴様は私の言うことを聞いていればいいんだ。そう思っていた。次の一言を聞くまでは。
「ふっ、さっきまで背伸びしてぷるぷるしていたお子様が何を言っているのやら…。取ってくださいお願いします、だろう?」
そう言ってイイ笑顔でこちらを見下ろしながら言う目の前の男。こ、こいつ…!性格ひん曲がっているな貴様!
思わず手に力が入る。クッソ…!
「くっ…」
言いたくない。なぜこんな奴にわざわざお願いしなければならんのだ。だが脚立はない。絶対ない。ぐうっ…。
「た、頼…む」
そう言うも、返ってきた声は無情だった。
「聞こえないなぁ!」
すごくイイ笑顔ではっきりと大きく言う目の前の男。
クソ、この野郎…!久しぶりに殺意を覚えるクソな性格。誰だ!こいつを聖人なんて言ったのは!最悪な一般人じゃないか!
くっ…!だが、脚立は嫌だ。絶対に後でスコールに馬鹿にされるに決まってる。こいつに頼むのも嫌だ、嫌だが…!くそおぉぉぉぉ!
「お、お願い…します…」
「仕方ないなあもー」
そう言ってやれやれー、なんて肩をすくめている。私がここまで殺意を抱く一般人は初めてだ…!
目の前の男を射殺さんばかりに睨み付ける。あ、あまりの悔しさに涙が…。
「覚えてろよ貴様…!」
まごうことなき本心である。絶対にいつかやり返してやる…!
その後はたまに男にパーツを取らせつつ、リストを消化していく。しかし店員かアルバイトかしらんが、ババア。今こいつは私が使用中だ。私のものだ!邪魔をするな。殺すぞ。
そしてこいつは精算まで私について来た。ふむ。まだ3時までは時間があるな。よし。
にんまりと心の中でほくそ笑みつつ店(に見せかけた倉庫)を出る。
ーーーだから待て。
無言で今度は奴の服を掴む。そして言う。
「待て。さっき言っただろう。時間はあるか、とな。しばらく付き合え」
そしたら服を捕まれたままこちらに顔だけ向けてくる。いかにもその顔は「えー」とでも言いたげな表情であったが、知らんな。付き合え。
何?拒否権?
あるわけないだろう。馬鹿め。
ちなみにここでイエスかはいと言わなかったら軽く鎖骨あたりを折ろうかと考えていた。
というか、何をさっきからうんうん唸っているんだ。ほら行くぞ。
そしたら男がこちらを向く。なんだ。
「ちょっと待った。何しに行くかを聞いてからじゃないと答えられない」
「ああ、なんだ。そんなことか。
何、簡単だ。3時頃になったら連絡が来ることになっているが、あいにくとこの辺りは詳しくなくてな。あと一時間足らず、時間を潰すのに付き合え」
それくらい構わんだろう。暇みたいだし。だから付き合え。
今の私は気分がいいからな。多少の支払いは気にせんぞ。貴様の分まで払うことはないが。
「良いけど、何するんだ」
なんだ、やはり問題はないな。よし。
「それは貴様に任せる。言っただろう、この辺りに何があるのか知らんのだ」
「じゃあコーヒー飲みに行くか」
コーヒーか。まあいい。
「好きにしろ」
そして私はこの男に連れられて適当なカフェへ。…意外にも、ちゃんと落ち着いた感じの店だった。こいつ、センスいいな。
(身の回りの比較対象がスコールとオータムなため、周りがひどすぎるだけです)
…こういう落ち着いた店は初めてで、ついキョロキョロしてしまった。む、こっちを見るな貴様。なぜ微笑ましい顔をする?
そして男が座ったテーブルの向かい側に座る。隣に座るなどありえん。あ、こいつもうメニュー見てやがる。私は無視か。おい。
「何頼むか決めた?」
そんな当たり前のように聞かれても困る。私はこういうところは初めてなんだぞ!
「い、いや、そのだな。何を頼めばいいんだ」
「コーヒーはブラックいける?」
「出来ればブラック以外で頼む」
あ、素で答えてしまった。まあいいか。
しかし姉さんはなぜあんな苦いものを飲めるんだ。…いや、きっと砂糖やミルクをどばどば淹れているにちがいない。きっとそうだ。うん。
そう思っていると男がいくつか候補を挙げた。む、カプチーノ、というのは聞いたことがあるぞ。それにしよう。ケーキはチーズケーキで。私は甘すぎず、くどくないケーキが好きなのだ。
注文が来るまでしばし雑談。しかしこいつ、こちらが触れてほしくない話題は全く振ってこない。…なぜそういう気遣いが出来るくせにあんなに性格がひどいんだ…。
そう思う。切に。まったく、私より性格ひどいんじゃないか。こいつに惚れるお人好しなぞ、この地球上には存在するまい。
注文したのが運ばれてきた。ふむ。カプチーノを一言。
おお。おおぉぉぉお。ちょっと熱いが、これはいい!
ふー、ふーと冷ましながら少しずつ飲む。うむ、これは悪くないな!コイツのセンスはなかなかだ。センスは。
そしてまだ3時まで時間があるので、飲みながらのんびり過ごす。さっきから思っていたが、こいつとこうやって過ごすのは意外と悪くない。けっして、決してこいつのことが気に入ったとかではないが。
そして話は私によく似た人物とやらのことに。しかし聞けば聞くほど似ているとは思えなくなってきた。
(恋愛…?メイド服…?)
しかしメイド服。メイド服か。
着てみたいとは思わないが、ああいうフリフリしたデザインの服にはほんの少しだけ興味がある。
目の前のコイツがニヤニヤとそのことでいじってきそうになったので言わないが。くそ、ほんとイイ性格してるなコイツ。ムカつく。死ね。
あっという間にコイツと過ごす時間は過ぎ去り、気付いた時には3時まであと5分。
ふむ。まだこいつがロリコンでないとは確認出来ていないし、もしISの関係者で亡国機業と敵対しているなら私のISにcallできる番号から逆探知を仕掛けてくるはず。
そう、これは罠だ。私がこいつと過ごしたいとかそう言うものでは断じてない。
そう思ってメモ帳を出す。あ、ペンがない。貸せ。
そして私はメモ帳の一番上に、私のサイレントゼフィルスに繋がる秘匿回線のナンバーを書き、メモ帳からちぎって手渡した。
ふん、なんだその呆けたツラは。もっとありがたそうにしろ。もしくはよろこべ。
その言葉は、私の思っていたよりもすんなりと出てきた。
「お前のようなヤツは嫌いじゃない。いつでも連絡しろ」
「あ、これ電話番号?」
「そのようなものだ。ああ、深夜は基本的に出れんぞ」
ミッションに出ているか寝ているからな。いつでもと言ったな、あれは嘘だ。
来いよ凡人!銃なんて捨ててかかってこい!
野郎オブクラッシャー!
コマンドーはなかなか良かった。
なに?いつならいいのかだと?ふむ。
朝は妖怪BBAとクソレズからの連絡があるし、午後からはだいたいミッションで世界中に出撃させられている。深夜は寝ている。…昼しかないな。私の自由時間無さすぎないか?
「そうだな…。昼頃なら大丈夫だ」
1時くらい?残念その時間からミッションに出撃だ。…ああ、そう言えば。
「それより少し早いくらいだな。1時だとギリギリ過ぎる。
…ああ、そうだ。貴様、名は」
「名前を聞く時は?」
…なるほど、私としたことが。そうだな。まずは名乗ろうか。私が私であるために。
「…ふっ、そうだな。マドカ、と呼べ」
「マドカちゃんね」
やめろ。ちゃん付けなぞ怖気が走る。
「ちゃんはやめろ。マドカでいい」
「わかったよ。マドカ。俺は鹿波。まあ、また機会があればまたどこかで」
うむ、それでいい。
「鹿波、鹿波か。よし。覚えたぞ。
では鹿波よ。またな」
そして私は店を出た。
「次のミッションは」
「既にデータは送ったわ。…何か良いことでもあったかしら?」
「何を言っている」
「…いえ、何でもないわ。失敗だけはしないでね」
「ふん、戯け。誰に言っている。…これで全てか」
「ええ。さっさと向かって」
「ほざいていろ」
そう言って飛び立つMの背中を見送るスコール。
(あんなニヤニヤしてて何もないってことはないと思うけど。まあ、どうでもいいわね)