とあるIS学園の整備員さん   作:逸般ピーポー

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バレンタインがちらほら不評で草
原作をベースに一匙の悪意を混ぜただけなんだけどねぇ…
みんなこの作品に毒されすぎやない?もしくはほのぼの好きか
まあ最後はきっと鹿波さんが成長してみんな幸せハッピーエンドになる予定。ただしやまやと簪ちゃんは未確定
さあ、本編時空始まるよー


臨海学校(裏)

さて、織斑先生や山田先生らが一年生の担当として臨海学校に行った。たしかついた初日は何事もなく、一夏君がいつも通りハーレムしてたよね。原作では。既にラウラとシャルロットがちらほら原作ブレイクしてたっぽいからどこまで原作通りに行くかわからないけど。ラウラとシャルロットが交友関係を広げるのは良いことなんだけど、一夏ラヴァーズじゃなくなってることがどう影響するのか。おにーさんは心配です。

 

 

やあみんな。鹿波だよ。

今俺は以前織斑先生に頼まれた通り、書類仕事を手伝いに生徒会室にいます。え?たっちゃん?いるよ。普通に座って書類の決裁してる。虚さんはたっちゃんのサポート。

ん?俺の背中にたっちゃんがいないのかって?

それ、たっちゃんの精神がまだちょっと不安定だった、たっちゃんが一年生の頃の話だね。既に二ヶ月以上前だよ。だいぶ昔だね。時間が過ぎるのは早いなぁ…。

あのデスマーチはやらかしたね。やはり無理はすべきじゃないよ、うん。

さて、さっきからちょいちょい書類の整理を手伝っているが、そろそろ整理するほどの量じゃなくなってきた。

そろそろ休憩かな。

 

 

臨海学校。

原作ではたしか、一日目に水着でラウラやシャルロットのかわいい姿を眺めたり、鈴ちゃんが溺れかけたり、織斑先生の水着姿に一夏君がぽーっとしてたね。あと、シャルロットが本わさを食べて涙目になるのもそうだっけ。箒ちゃんと夜会うとかいうのもあった気がする。あれって一日目か?うーん、そうだったようなそうでないような。まあ、そんな些事は割りとどうでもいい。

問題は二日目。つまり明日な訳だけど。

たしか二日目には銀の福音事件が起きたはず。で、束からの情報で銀の福音が既に暴走するだろうという気配が濃厚なことは既に把握している。そしておそらく、このままいけば原作通り暴走するだろう。

問題はその時だ。専用機持ちが集められ、おそらく一夏君も原作通り戦うだろう。で、一夏君大ピンチ!死にかけてからのパワーアップして復活…すると思う。ただ、正直ラウラとシャルロットが一夏ラヴァーズじゃないのが不確定要素だから、若干心配ではある。

それに、原作では明かされてなかった気がするけど、少なくともこの世界では銀の福音の暴走事件は束による一夏君強化イベントではない。亡国機業によるものだ。

以前のダリル・ケイシーが打鉄のパーツを交換していたことといい、今回の銀の福音の暴走といい。一体何が目的なのか…。それが引っかかる。しかも束のデータでは

『亡国機業は一枚岩ではない』

らしいので、アンサートーカー先生でも正確な目的は…。

いや。待てよ。

一枚岩ではないだけで、多分組織としての目的はあるはず。あまりアバウトな質問だとアンサートーカー先生は答えてくれないけど、組織としての目的くらいなら教えてくれませんかね?

答:裏社会の統合。または世界への武力制圧

 

わーお、テンプレな目的ですこと。でもアメリカの軍用機に干渉できるんだから、実際表社会にもかなり大きな影響力が既にあるんだよな。うーむ。

亡国機業に限らず、テロリストだとか悪意のある組織なんてものは無数にある。だから亡国機業を倒してやるぜ!倒したからハッピーエンドだ!なんてことはない。

そもそも似たり寄ったりの他のテロリストが台頭してくるに決まってる。

そうすると俺の目指す所は、悪意のある奴らに干渉されても自らの意志を押し通すことの出来る自衛力を持つとか、そんな感じかな。今は自分一人を守れば良いけど、結婚とかしたら目立たないように生きるのが一番やな。うむ。わざわざ対立する意味も意義もない。無駄。あいにく僕は物語の主人公のように、物事を切り開くタイプではないのです。残念。

え?でもお前主人公だろって?そんなメタな。

 

 

「あ、そう言えばたっちゃん。前に言ったダリル・ケイシーさん調べた?」

 

気になったので聞いてみる。まあ黒なのは既にアンサートーカー先生で確認済みなんだけどな!どうせ亡国機業と繋がりがあるのは知ってる。問題は、『更識家』がどこまで把握しているのか、ってことと亡国機業の目的の特定がされてるのか、ってところだな。うん。

 

「既に調査したわ。あんまり詳しいことは話せないけど、限りなく黒に近いグレーってところ。鹿波さんも気を付けてね?」

 

ふむ。確かダリル・ケイシーはアメリカの代表候補生だったな。まあ間違いなく国際機密が関わってくる。そりゃあ詳しいことは一般人たる俺にはあまり話できないよね。

それでも俺に調査結果を教えてくれるあたり、たっちゃんは甘いと言うか。まあ、優しさとして受け取っておこうか。

 

「じゃあ、目的は何だと思う?」

 

やはりこういうのは専門家の意見が聞きたい。一応主要な人物は束のデータでも知っているが、それも原作で出てきた人物ばかり。誰がトップで、組織としての目的以外にも何が狙いかわからん。アンサートーカー先生に聞けば名前も目的も分かるが、全く情報源不明な情報を一般人(俺)が知っていることが万が一相手にバレれば、おそらく拉致からの拷問もしくは自白剤コース一直線である。知らない方がいい情報は、必要になった時に知るのが一番だろう。用心のし過ぎ?いや、この世界は割りと簡単に人生詰むから。ホントに。…痴漢冤罪とかね。

 

「…これはまだおそらく、という程度だし。過信しないでね?あと他言無用」

 

そう言ってこちらをじっと見てきたので、神妙な顔をして頷く。で?

 

「…現時点では正確に目的は把握出来てないわ。ただ、おそらく彼女は亡国機業に与しているし、その依頼か命令を受けて動いている。

目的として考えられることの一つは、IS学園の危機管理能力の測定。あれを原因不明の故障、程度で終わらせていたら彼女が亡国機業と繋がっていることに気付くことが出来なかったし、迅速な対応だったと思う。ただ、鹿波さんがやらなかったら他の整備課の人じゃ分からなかった、という現状は非常に不味いわね。多分轡木さんからも何か連絡があると思うわよ?」

 

あれ、というのはわざと内部パーツを取り替えられてたことだな。

まじか。アカンやんうちの整備課。え、轡木さんから連絡って、俺何かしなきゃダメなやつ?

 

「ううん、多分整備課の一人一人のスキルアップと危機管理の徹底だと思う。ただでさえ織斑一夏君が入ってきてから事件ばっかりなんだから、私としても気になってるところね」

 

なんかすんません…。うちの整備課が不甲斐なくて…。

部下の責任は上司の責任。つまりは俺の責任である。ちょいとこれからは意識をするべき、いやしないと駄目だな。うん。

 

「他に考えられる目的としては、打鉄やラファールのデータ収集や解析かしら。もう打鉄とラファールのハード、ソフト、内部等のウィークポイントは全部丸裸になっていると考えておいた方がいいわね」

 

ふむ。つまりは外部からの攻撃で、物理攻撃やエネルギー攻撃に弱い部分のデータ収集してたってことか?いや、下手すると耐熱性や爆発系の攻撃に対するデータもあるかも。あれ?じゃあそうすると、教員が教員用のラファールや打鉄に乗っても、上手いIS乗り相手なら瞬殺されかねない?

 

「そうね。だからあらかじめ教員用のISは特別に強化されている場合が多いわよ?」

 

ああ、なんだっけ。真耶ちゃんのラファールもそうだよな。ラファール・リヴァイブをなんかちょいちょい強化したやつ。もはや実質的な専用機だよね。待機形態がISのままだから、当然他の先生でも扱えるけども。たしか原作では真耶ちゃん専用機持ちになるんやっけ?多分それの原形がこいつ。

 

「少なくとも現時点で判明しているのはこれくらいかしら。ダリル・ケイシー本人の目的は不明だし。

ただ、亡国機業のおよその目的は何となく見えてきてるわね」

 

ほほう。何だね?

 

「おそらくは世界中のISの大半の掌握。もちろんそれが意味するところは、世界一の軍事力ね」

 

ーーーつまり、圧倒的な武力を持つことが目的だ、と。

 

「もちろんそれだけなはずは無いと思うけど、仮にそうなったら出来ないことの方が少ないわよ。

だからこそ、反乱の旗印に成りかねないIS学園にスパイが欲しいし、内部事情も知りたい。そんな所でしょ」

 

なるほどなぁ。やっぱり専門家の意見は具体的で分かりやすいね。ただ、今の話で一つ懸案事項が。

束の奴、絶対追われまくってるよね。

だってISを生み出せるほどの技術力、そして頭脳だろ。ISコアのブラックボックスの解析や、ISコアの量産もそりゃ重要だろうけどさ。束を取っ捕まえてもっと高性能な武器とか作らせたり、IS無効化装置作らせればええやん。うわぁ…。あいつ、表の国々からも裏の組織からも追われてるのか。やばいな。

 

 

ただ、その束は多分明日、のんきに妹の箒ちゃんに紅椿を渡すんだろうなあ…。あいつのことは心配するだけ無駄かな。そんな気がする。うん、あいつのことは気にしないでおこう。

そこまで考えて得心する。なるほど、織斑先生はこんな心境にたどり着いてしまったのか。同情。そして親近感。今頃は旅館についているんだろうか。

 

そんなことを考えていたら、虚さんがあわててたっちゃんと何やらやりとりしている。そうか、アメリカの軍用機、銀の福音が暴走したか。タイミング的には確かに今日で理解できる。あれ、そうすると織斑先生達に情報をまとめて伝える役割ってたっちゃん達がやるんだよね。だって教員の数が足りないから俺達にお仕事が回ってきてるんだから、他の先生にそんな余裕なんてない訳で。

けどあれ、たしか国際的なバランスもあるから軽く機密情報だよな?あ、でも暴走したことくらいは別にすぐにばれることだからいいのか。領空侵犯とか、日本にだってミサイル飛んできたら関係者はすぐに知ることになるやん?そういうこと。となると箝口令が敷かれるのは機体の情報か。ラウラが衛星をハッキングして銀の福音第二形態を見つけた描写があったはずだけど、ラウラだけで衛星にハッキング出来るとは思えないし、多分シュバルツェア・ハーゼ隊(だっけ?)のクラリッサあたりに手伝ってもらったと考える方が自然な気がするな。

 

 

あ。今思い出したけどさ。銀の福音暴走事件が終わった後に、織斑先生が束に

「お前の仕業だろ?」

みたいなこと言ってなかったっけ。原作読んでた時は完全に束の仕業だと思ってたけど、実際は亡国機業の仕業だったんか。なんというミスリード。今になって知る、原作の真実ゥ!どうでもいいね。

 

さて、俺はどう動くべきかね。

ねえアンサートーカー先生。今までで何かおかしな部分あった?

答:シュヴァルツェ・ハーゼです

まさかのそこ。くそ、素直に黒ウサギ隊と言っておけば良かったか。黒ウサギ…バニー…うっ。頭が。

 

 

たっちゃんがこちらを見る。おっ、これは俺も関わっていくパターン?

 

「今連絡が来たわ。鹿波さん、機密情報だけど守れる?」

 

「銀の福音が暴走したか」

 

そう言うと、たっちゃんは普段の軽い状態から暗部楯無の顔つきになった。いいね、その顔。

 

「…どこからその情報を?」

 

ビンゴか。ま、原作通りと考えれば悪いことばかりでもないか。この先の展開が予想出来るからな。問題としては、あくまでも予想でしかないことだけど。

だが、この情報は既に束のデータを見た時に可能性として考えていた。問題は情報源が束であることを言うかどうか。まあ、十中八九言ったとしても楯無が口を割ることはないだろうし、楯無が俺を裏切るとも思えない。言ったとしてもデメリットはほぼないはず。

逆に言わないと不信感を与えることになる。正直これは言った方がいい案件だと思うんだ。

アンサートーカー先生、どうかな。

答:YES

やっぱり言った方がいいのね。よし。

 

「何、束のデータに銀の福音に対して亡国機業の接触があったことが示されていたからな。可能性としては考えていた。

銀の福音の爆破か、奪取か、凍結か、暴走か。そのあたりだろ?」

 

まだ暴走だということは知らないので、多分そこら辺でしょ?ってことにしておく。実際は暴走だろうと半分くらいは確信しているのだが。まだ確実じゃないし。

 

「今一気に聞きたいことが増えたんだけど…。まあいいわ。

そうね、鹿波さんの言う通り、銀の福音が暴走。他のISを全て敵と見なしているみたいね」

 

そう言ってジトーッとこちらを見てくる楯無。

や、すまんな。けど、相手は束だからね。100%信用するのは危険だからな。クラス対抗戦で無人機をけしかけてくるようなぶっとんだ奴だし。むやみに言って対応出来なくなるほうが危ない。

 

そんな感じの内容を後で伝えておこう。俺に後ろ暗いところはねえ!

 

「で、鹿波さんは何を知ってるのかしら。教えてくれるわよね?」

 

そう言ってにっこり笑いながら、ずいっ、ずずいっ、と近づいてくる楯無。ちょっと顔を動かせばキス出来る距離。しかし残念、楯無の目が笑ってない。なので、楯無の唇を人差し指で押さえながらこう言った。

 

「待て。それについての質問も後で受け付ける。だが、その前にまずは分かっている情報を洗いざらい教えて貰おうか」

 

別に情報開示は問題ないが、事態の解決には最新の情報がものを言う。まずは現状の把握。話はそれからだ。

 

「むう…。まあいいわ。今分かっているのは、銀の福音がアメリカ・イスラエルの共同開発された軍用機であり、遠距離広域殲滅型の機体であること。射撃特化型ね。ハワイ沖で試験運用していたところ、外部からの不正アクセスによってコア・ネットワークから切断され、暴走。今はハワイ沖から西北西方向に時速100㎞で飛行中らしいわ」

 

「国際IS委員会からの通達は?」

 

「まだ来てないわ。それよりも、アメリカ軍関係者の記者会見が先でしょうね」

 

ふむ。まだ国際IS委員会からIS学園に対する通達という名の命令はまだか。なら先手を打てるか?

 

「楯無。束からのデータから、国際IS委員会に亡国機業のスパイが何人か居る可能性がある。そして、亡国機業からすれば軍用機か織斑一夏君の戦闘データは必ず欲しいところだろう。そう考えると、軍用機は一夏君の機体に向かって進んでくる可能性がある。また、国際IS委員会としても何かしらの理由をつけて専用機持ち達に銀の福音の相手をさせるかもしれん。

いざとなったら専用機持ちの救出と、一般人の避難のために、一年生の居る旅館辺りの海域の封鎖は出来るか?」

 

「明日の午前9時頃には出来ると思う」

 

「よし。あと、もしも海域封鎖後に船があった場合、亡国機業の一員の可能性がある。出来れば捕らえることが出来る方がいいが、いざとなったら…」

 

「…なるほどね」

 

そう言って頷く楯無。とりあえずはこんな感じか。

 

「…で、篠ノ之博士からのデータにあった他の情報は?」

 

「んー…。あとは今回の銀の福音関連はないな。亡国機業の幹部何人かのコードネームくらいか」

 

「誰かしら」

 

「多分既にお前も知ってると思うが…。少なくともスコール、オータムの名は確認した」

 

「他には?」

 

「それくらいだな」

 

「本当に?」

 

そう言ってこちらをじっと見つめる楯無だが、本当にこのくらいである。たしか。もはやうろ覚えなところもあるし。

 

「本当だ」

 

「…そう。でも鹿波さん、そういうのは早く教えてね」

 

「そうもいかん。あいつ()は一夏君の成長のために無人機をぶちこんでくるようなイカレポンチだ。情報が罠の可能性もあるし、信用しきることが出来る訳じゃない」

 

「それならなおさら、よ。鹿波さんが一人で判断するより私も一緒に考えたほうが色々な考えが出来る。何よりも、私は楯無よ?」

 

そう言ってにやっと笑うたっちゃん。

そうか。そうだな。確かに俺一人で判断する必要はないか。アンサートーカー先生で確認したことをポロリと言ったりしなければセーフか。あれ、難易度上がってない?

 

そんなやりとりをしつつ、あとはたっちゃんにお任せした。いや、一般人がこんな事件の対応なんて出来る訳ないじゃん。出来るのはせいぜい、織斑先生の水着姿を思い出す程度のもんである。…織斑先生、買った水着着たんかな?




更新できないかもしれないと言ったな。できた

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