とあるIS学園の整備員さん   作:逸般ピーポー

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IS自体は作品として嫌いじゃないです。作者?秘密。



相談役

面倒ごとに巻き込まれました。

 

 

というか、現在進行形で巻き込まれている。

巻き込んできたのは織斑一夏君、1年生。

 

 

お昼休憩ってことで、ご飯食べてから食後の一服として、中庭に出てきた俺氏。

 

 

わかばとかいうタバコをスパーッ、とやりながらぼへーっ、としてたところ、中庭にあるベンチにふらふらとやってきては、放心状態でベンチにちょこんと座る男子生徒のその様は、まるでリストラされたサラリーマンかのようで。

 

 

そんな様子、というか有り様の彼に、ついつい声を掛けてしまったのは、仕方ないことだと思うんだ。

 

 

そして何があったか尋ねたところ、今日から同じクラスに来たちっこい転校生の一人にビンタされるわ、同じく転校生の男子生徒のお守りで走り回るわ、ゆったりと食事も出来ないほど大変だったそうな。

 

 

ビンタされたんならしかえせばよかったのに、と言ったところ、ちっちゃい子相手にそんなこと出来ませんよ。だって。

いやそこは男が女に手をあげるなんて…っていうところだと思うんだけど。

 

小さくたって軍人だったりIS操縦者だったりするんだから、ちっちゃいかどうかはポイントではない気がする。

ポパイだって、ちっさくたって一人前だしね。

 

 

 

ってことをさらっと伝えると、それもそっかー、なんて言ってベンチに力なくへたりこんだ。

 

 

 

まあなんかあったら相談しなよー、愚痴くらいなら聞くよー、とか適当言いつつ、そういえばお兄さん誰?って聞かれたので、

 

「花のお兄さんと呼んでくれ」

 

真面目に答える気なしです、はい。

 

「じゃあ花のお兄さん、名前は?」

 

「僕かい?僕は鹿波。しがない整備員さ」

 

どんな字書くんですか?なんて聞かれたので答えると、じゃあ鹿さんですね、なんていってくる。

なんだ鹿さんて。かわいい。

 

 

 

彼はもうちょっと話をしたそうにしてたけど、そろそろ授業が始まるよ、と言って彼を見送った。

 

 

 

 

そう、そこまではよかった。

 

そうして織斑君を見送って、新しいタバコに火を着けた。

 

その瞬間、来た。

 

 

後頭部にコツ、と当たる冷たい金属の感覚。一切の音も気配もさせず。その銃口は、僕の頭部に固定されている。

 

 

アンサートーカーで確認する。

 

背後にいるのは篠ノ之束。IS用の大型の狙撃銃を構え、僕の生殺与奪を握っている。

 

僕の反応如何によっては本気で撃つつもりであり、僕の作っているものが目的、か。

 

アンサートーカーで確認する。

 

篠ノ之束を最も効率的に煽るにはどうすればよいか。

 

俺は常にその答えを頭に描き続け、その通りに全力で動く。

まずはーーー

 

 

 

俺は後頭部に当てられた銃口を、特に気にした風でもなく、ゆったりとタバコの煙を吐き出して、こう言った。

 

「何の用だ、暇人」

 

 

 

「…暇じゃない」

 

 

「なんだ、聞こえなかったのか?俺は、何の用だと言ったんだ。用がないなら引きこもってろ」

 

 

 

手応えあり。

不機嫌になった様子が、あからさまなプレッシャーと共にありありと分かる。

 

 

 

「立場がわかってないみたいだね。君、自殺志願者?」

 

 

 

「はっ、ほざけ。命を握った程度でどうこう?馬鹿が。気にくわなければ撃てばいいだろう。何故ブラックボックスが解析されたのか、わからないままにな」

 

より一層怒気が強くなる。だが、はっきり言って俺は、今生にそこまでの未練はない。

前世は何故転生できたのかわからないくらいの大往生だったし、今の人生だって後悔しないことを基本として過ごしてきた。

 

仮に撃たれたとしてもこのクソ兎を嘲笑いながら逝けるし、そうなったら地獄の淵から見ながら笑ってやれる。

 

それに、ここまで煽られてこいつが素直に撃つとも思えない。

ここで撃ったらーーー

 

「論理立てた反論が出来ないという、何よりの証拠になっちまうもんなぁ?」

 

堂々、振り返る。

 

 

そこにはメカっぽいウサ耳、不思議の国のアリスのコスプレのような衣装の、目の下の隈のひどい美人が、ゴツいヘカートのような銃をこちらに向けていた。

 

 

そう、こいつこそが篠ノ之束。青筋が浮かび上がるほどの憤怒の形相をしたこいつこそが、俺のIS世界を選ばせるきっかけだった。




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