とあるIS学園の整備員さん   作:逸般ピーポー

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ドイツの子と守護霊の導き

光と闇が両方そなわり最強に見える。

 

 

ようお前ら。(´・ω・`)

元気か?俺は元気だった。今はしょぼくれてる。

 

というのもだ。全てはウサ耳つけた束とかいう奴の仕業なんだ。

あの花見の後、俺は自室でふと、ポケットの中の違和感に気付いた。

そしてポケットの中をごそごそしてみると、1つのUSBメモリ。

 

これ、俺が気付かないで洗濯してたらどうなったんだろう。防水なんだろうか。

いや、あの束のことだ。

防水だけ?そんなつまらないものを束さんが作るわけないじゃん!

とか言って、防水防塵防熱…と、ともかく超高性能にしている可能性も否定できん。というかやってそう。

 

 

それはさておき。

早速メモリをパソコンに挿し込み、データを拝見。

する前になんかウィンドウが出てきた。

なになに?

 

【Warning】

このデータは、一度開く動作の後、閉じる動作と共に自動的に削除されます。また、コピー切り取りその他類似動作及びスクリーンショットやスニッピングツールの使用が確認された場合、このコンピュータに内在する全てのデータが削除されます

 

 

 

 

 

 

 

ふむふむ。

…うっそん。

いや、このUSBメモリのデータが自動的に削除されるのは別に構わないんだ。必要なら後でアンサートーカーの能力で様々な問いを思い浮かべれば、例えどんな情報であっても入手できる。

 

問題は、コピーとかをすると、このパソコンのデータが全部吹っ飛ぶところ。

え、なにそれ。

一発の閲覧で覚えてね♪ってこと?

 

あ、でも手元の紙とかにでも書き写すのはセーフか。

よし。

これで俺秘蔵のデータ達が消されることはないわけだ。安心安心。

 

 

そう思ってウィンドウを閉じる。すると、次々とデータやウィンドウが開かれ、そして右下に5:00の文字が。

 

え?

 

そんな思いで見ていると、右下の数字は4:59、4:58、4:57…と減っている。

 

ま、まさか。

時間制限つきだとぉ!?

 

俺は急いで開かれたデータを次々に見ていく。

 

データの多くは現在急速に大きな影響力を持つようになったテロリスト、亡国機業(ファントム・タスク)についてだった。

 

恐らく束が調べられるだけ調べたのであろう、構成人数や潜伏場所の候補、主要なメンバーについての情報などだ。

主要なメンバーや幹部達はやはりセキュリティが堅かったのか、あまり多くの情報はない。

しかしオータムの素顔やスコールの存在が確認された画像、所有されているISの、アラクネやゴールデン・ドーンの情報まで載っていた。

 

ていうか、原作知識でアラクネは知ってたけどさ。

ゴールデン・ドーンて。黄金の夜明け団…?

あ、でもスコールのISの名前は知らなかったしな、俺。

これから原作知識ばかりに頼るのは危険か…?

そうすると、これからはちょくちょくアンサートーカーのお世話になるかもしれないな。

 

 

そして次は国際IS委員会の幹部何名かの行方がわからなくなっていること、存在が秘匿されているはずのアメリカの軍用機、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の情報が巧妙に流出させられていること。

あと、亡国機業(ファントム・タスク)らしき人員がアメリカ代表候補生、IS学園の3年生。

ダリル・ケイシーと接触していること。

これらから、現在時点での亡国機業(ファントム・タスク)の狙いはアメリカではないかという予想もあった。

 

 

へえ、原作の銀の福音事件では突然暴走した、みたいな描写だった気がするけど、本当はこうやってちょいちょい干渉されてたりしたんだね。

てことは、ダリル・ケイシー以外にも、アメリカ代表候補生に裏切り者がいたりするんだろうか?

だとすると、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)が暴走するように仕組むのは、より難易度が低くなる訳か。

 

また、テロリストの中でも、亡国機業(ファントム・タスク)のみにISが確保されていることから、国際IS委員会と亡国機業(ファントム・タスク)が繋がっている、もしくは乗っ取られている可能性あり、か。

 

 

 

なるほど。

そう考えれば、原作の臨海学校編で、IS学園の生徒とは言え一年生に、軍用機の暴走を止めさせる、なんて無茶苦茶な命令も通る訳か。

 

狙いは各国のISコア、もしくは織斑一夏君の身柄かそれともデータか。

いや、両方ともかもしれないな。

 

 

それ以外にも、優秀な代表候補生を消してISコアを回収する手立てだという可能性も考えられる。

 

あ、そうすると原作で出てきたあの密漁船の正体は、やられる予定だった代表候補生達のIS回収部隊か?

もしくはIS回収部隊のデコイで、実は束みたいに潜水艦でISコアを回収する、とか。

 

 

まあ今はまだ臨海学校の準備中だし、仮に俺がその情報を伝えたところで怪しまれるだけだろう。

織斑先生なら理解してくれるかもしれないが、今の時系列から言えば未来の、しかもまず 銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)が絶対に暴走するかどうかすらわからないのだ。

それなのにそこに密漁船が来るだろうこと、しかもそれが亡国機業(ファントム・タスク)の手の者かもしれない、なんて。

 

 

そんなこと織斑先生に言ったりすれば、絶対俺が怪しまれるじゃん…。何故そんなことを知っている。とか言われるって。

いや、怪しまれるだけならまだしも、スパイだとか言われたらシャレにならん。俺は平穏無事に過ごしたいだけなんだ。

 

 

ふむ、だいたいこんな感じか。

全てに目を通したところで残り時間は30秒。セーフ。

 

 

ふと、それらのデータの中に、1つだけ短いテキストデータを見つけた。

 

タイトルは、p.s.

追伸、だったか。

 

中身は本当の数行だったが、その内容は、これらのデータの中でも一番俺に影響を与えるものだった。

 

「突然のことで申し訳ありません。しかし、鹿波さんにお願いしたいことがあります。

妹のラウラ・ボーデヴィッヒのことです。妹は、ISに仕組まれていたVTシステムの発動により、精神状態が不安定になっています。ご存じだと思いますが、VTシステム発動後は教員たちにより銃でシールドエネルギーを削り取られ、制圧されました。

その後の様子を見ていましたが、妹は現在非常に生きる気力が失われてしまっているようなのです。

非常に身勝手なお願いですが、私が頼ることの出来る人で妹に関わることが出来るのは、鹿波さん以外に居ません。

どうか、ほんの少しでも構いません。妹の面倒を見てあげて下さい。よろしくお願いします。

 

Chloe CHRONICLE」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…は?

え、ちょいちょい待って待って。

何?なんか今日驚きばっかりなんだけど、その中でも特大の爆弾なんですけど。

待って。

ラウラ・ボーデヴィッヒにVTシステムが積まれているのは原作通りだし、きっと発動したのも原作通りなんだろう。

その後からが俺の知ってる原作とは違う。

 

ラウラは一夏君の白式の零落白夜で斬られて、一夏君に助けられて一夏君に惚れてハッピーエンドのはずじゃないの?

 

そうすると、なんだ。

VTシステム発動→一夏君とシャルロット(この時はシャルル男装?)が挑むも負ける→教員部隊出動→銃で蜂の巣

ってこと?何それ聞いてないんですけど。

 

 

じゃあ、あれか。学年別トーナメントのアクシデントは一夏君たちによって収まる程度のアクシデントじゃなくて、ガチなアクシデントだったってことか。

マジか。

 

 

え、じゃあシャルルは?シャルルがシャルロットとして再入学した件はどうなんだ?ちゃんと原作通りに女として再入学してるのか?

 

 

いてもたってもいられず、俺はアンサートーカーでシャルルの男装が続いているか確認した。

答えはYES。

未だシャルルは男装したシャルルのままで学園に在籍している。ええ。

 

 

そうすると、一夏君がラッキースケベに遭っても無視し続けるとは思えないから、まだシャルルが隠し続けていられてる、ってことになる。

まあ学園側としては、本当は女の子だと知っている訳だが。

 

 

うーん、いつかは来るだろうと予想していたが、まさかもう原作解離を起こしていたとは。

まあ、作中最重要人物の束との関係は悪くない(はずだ)し、織斑先生とも対立していない。むしろ二人とも、酒を飲んだりする程度の仲なので、まあ大丈夫だろう。

 

問題があるとすれば、亡国機業(ファントム・タスク)の存在と、これから原作知識があまり役には立たなくなるだろうこと、か。

 

 

とりあえずアンサートーカーで確認。

1つ目は、ラウラ・ボーデヴィッヒの面倒を見た方が良いのか否か。

2つ目は、シャルロットの男装を続けさせた方が良いのか否か。

 

答えは1つ目はYES。2つ目はNO。ちっきしょ。両方とも関われとな。

 

俺の平穏がぁ…。

 

俺の平穏が笑いながら全力で逃避していく様子を幻視した後、ひとまず落ち着くことに。

 

 

まず1つ目。ラウラ・ボーデヴィッヒにはこれから機会があれば自分から関わることにしよう。

これは、アンサートーカーで放置しない方が良い、と出たこともあるが、やはり大きな要因はクロエからのお願いである。

クロエちゃんのお願いとくれば聞かない訳にはいかないよね!

可愛いは正義。

 

 

問題は2つ目だ。これは俺がアクションを起こそうにも接点がないので、突然俺が行動を起こすのは不自然である。

しかも、前世から変わらぬ平々凡々な凡人の魂をもつこの俺には、平和かつ建設的な解決策など思い浮かばない。

むしろ原作の一夏君と同じ、『とりあえずなるようになる。しばらくは大丈夫!』くらいしか思い浮かべられないまである。

 

 

 

ふむ。

束を頼ってみるか?

貸し1つ、とか言われたら、そっかあ、クロエちゃんの心からのお願いを聞こうとしてる奴に貸し1つとか言っちゃうのかぁ。

そうか、そうか、つまりきみはそんなやつなんだな。(エーミール感)

とでも言えばいいか。

 

 

 

束を頼る以上に穏便かつ平和的に解決できる方法があるかどうかをアンサートーカーで確認しつつ(脅しや脅迫は穏便でなく平和的でないために、他の良い方法は無かった)、以前束からかかってきた番号を呼び出す。

 

 

あ、でもあいつ、国際的に追われてるからな。

番号もメアドもコロコロ変えてるか?

そうしないとIPアドレスとかから追われたら厄介だろうし、他のサーバやパソコン経由して、追跡されないようにしてそう。

 

 

そう懸念した通り、呼び出した番号には繋がらなかった。

残念…。

 

 

そう思っていたら、直ぐさま着信が。

知らない番号だが、束の可能性があるため電話に出る。

 

「はいもしもし」

 

「あ、鹿波?データちゃんと見てくれたんだね。ちゃんとデータが削除されたことをこっちで確認したよー」

 

 

ああ、そっちからだったか。

そうすると、こっちから束に連絡をとるのは無理っぽい、か?

 

 

「ああ、見た。ところでこの情報、織斑先生にも伝えたのか?」

 

「んー、ちーちゃんには亡国機業(ファントム・タスク)とかの情報は同じように伝えたよ。あ、でもクーちゃんからのお願いは鹿波だけだから、誰にも言っちゃダメだよ」

 

「それについてだが、クロエの頼み事は引き受ける。安心してくれ、と伝えておいてくれ」

 

「オッケー、じゃあねー」

 

「待て。その代わり、と言ってはなんだがこちらも1つ、頼みたい事がある」

 

「ほいほい」

 

「フランスの代表候補生、シャルロット・デュノアは知っているか?」

 

「知らなーい。束さんは有象無象には興味ないもん」

 

「ああ。それについては理解出来る(大嘘)。

だが、その有象無象と一夏君が同じ部屋、となれば話は別だ。

お前の可愛い可愛い妹ならともかく、そんな有象無象の一人にいつでも人質にされる可能性があるというのは、少々どうかと思ってな?」

 

「…どういうこと」

 

声色が変わった。チャンスか?

 

「シャルロット・デュノアというフランスの代表候補生が、性別を偽って、男のシャルル・デュノアとして転入している。IS学園はハニートラップ等ではないと判断、泳がしている最中だ。

しかし表向きは男、一夏君と同室になり、また一夏君はシャルルが女だとは気付いていない。

 

今はこんな感じだな」

 

「…へえ。それで、鹿波の頼み事っていうのは?」

 

「ああ。このシャルル・デュノアがシャルロット・デュノアであるという女だということの公表を頼みたい。

 

出来ればその後、女として再入学、IS学園に在籍できればベストだな」

 

「…なんで鹿波はそいつがIS学園に在籍してほしいの?」

 

底冷えするような声。正直冷や汗が出るが、やはりなるべくなら原作沿いにすすんでほしいところだ。特に、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)戦ではなるだけ戦力は多い方が良いだろう。織斑一夏君の生存率を高めるためにも。

 

織斑一夏君が居なくなったIS世界なんて、全く予想がつかないからな。出来る限り、彼には生きていてもらいたい。

 

また、今の一夏君のISのコーチとしては、彼女以上に適任な人材がいない。もうしばらくすれば、更識楯無がコーチになるはずだが、原作知識が当てになるとは限らないことがわかった以上、念には念を入れておきたいところだ。

 

楯無がコーチしてくれるとは限らなくなったときに、箒、セシリア、鈴がコーチなのはさすがに怖い。

 

しかもラウラ・ボーデヴィッヒは消沈中となれば、やはりシャルロット・デュノアはコーチとして確保しておきたい。

 

「そうだな…。今のところの大きな理由としては、彼女が一夏君のコーチとして一番良いから、というところだ。束、お前も一夏君には成長してもらいたいだろ」

 

クラス対抗戦で、鈴ちゃんと一夏君が戦った無人機。花見の時には答えなかったが、あれは十中八九、束の仕業だろう。

 

そう考えれば、一夏君に成長してもらいたいと思っている、というこの予想はそう大きく間違っていないはずだ。

 

 

しばらくの沈黙の後、束からの声が返ってきた。

 

「わかった、そっちに関してはやっておく。

その代わり、クーちゃんのお願いは絶対聞いてよ」

 

「全力を持って対応することを約束しよう。他ならぬ、クロエの頼みだからな」

 

「私のお願いだったら聞いてくれないってことに聞こえるんだけど」

 

はっ、お笑いである。鼻で笑ってやる。

 

「はっ、お前のお願いなんて大抵ろくなことじゃないだろうからな。当たり前だ」

 

「うーわ、ひど。ちーちゃんに言いつけてやる」

 

「言ってろ」

 

 

そう言って、電話を切る。

仮に織斑先生に言ったとしても、多分俺と同じことを言うぞ。




皆さんからビシバシと誤字脱字以外にもおかしいよ、という指摘をいただいてます。
ありがとう!こんな馬鹿な作者だけどよろしくな!

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