とあるIS学園の整備員さん   作:逸般ピーポー

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す、進まない…orz

束さんが勝手に暴れてくれるおかげで作者の頭はオーバーヒートしそうです…。


【束】束とわが子と水子の霊4

ふてぶてしいツラ。

 

 

人を小馬鹿にしたような表情。

 

 

そして何より、命を握られているというのに動揺一つしないその態度。

 

 

全てが私の気分を阻害した。

 

 

しかし、こいつの狙い通りに撃つ、ということは、私のプライドが許さなかった。

 

 

故に。

 

 

 

「どうでもいい」

 

 

嘘だ。

自分でもわかっている。

 

 

私はこの男を見極めに来ている。

どうやってISコアの作り方を知ったのか、それを確認しに来ている。

 

 

それが気にならないと言うのはありえない。

 

 

しかし、この男の手のひらの上で踊るのは、それ以上に癪だった。

 

 

「…ほう」

 

 

僅かに驚いたように、眉がぴくりと上がる。

 

 

それだけのことで、僅かに溜飲が下がった。

 

 

そして同時に落ち着きを取り戻す。

 

 

そうだ、私は確かにこの男の言う通り、何故ブラックボックスが解析されたのか、確認しにきた。

 

それが第一目的なのは間違いない。

 

 

しかし、私はそれだけのためにここに来たのではない。

 

 

この男が何を考え、どのように行動するのか。

 

この男が、わが子達(IS)をどのように扱うつもりなのか。

 

 

それを見極めに来たのだ。

 

 

焦る必要はない。

 

 

いざとなったら、即座に殺す準備はできている。

 

 

物理的にも、社会的にも。

 

 

ならばここは、まずは落ち着いて、冷静に観察するべきだ。

 

 

この男の言動に、惑わされるな。

 

 

 

「ならば、問おう。一体お前は、何をしにきた」

 

 

 

再びこの男が口を開く。

 

 

 

その態度が、まるで私をイラつかせるために全力を注いでいるのではないかと思わせるくらいに腹立たしい。

 

 

無関心、無感動。

 

 

それでいて見下した眼。

路傍の石ころでもまだマシな見方をされていると思ってしまうほどに、嘲笑的な、その眼。

 

 

気に入らない。

気に入らないぞ…!

 

 

「私は…!」

 

 

 

貴様を殺しに来た。

 

 

心からそう言いたくなるほどに、無性に目の前の男に腹が立つ。

いや、言葉の代わりに鉛弾をこいつにくれてやるのが良いかもしれない。

そんな思考さえ浮かび上がる。

 

 

落ち着け。

冷静になれ。

 

 

歯を食い縛り、歯ぎしりが起こるのではないかと思うくらいに力を込める。

 

 

1分か、10分か。いやそれともか。

 

 

自分の中で、正確だという自負のある、体内時計すら当てにならなくなるほどの怒りを静め、震える喉から振り絞るように声を出す。

 

 

「おまえは、何を考えてる…」

 

 

「どういう意味だ」

 

 

そのままの意味だが、こいつの態度が先ほどよりもイラつかせるものでなくなった。

 

 

さてはこいつ、わざと煽ってきたのか。

 

 

そうと分かると、なおさら腹が立つ。

 

 

しかし先ほどとはちがい、理性的に、腹立たしいなかにも冷静に尋ねることができた。

 

 

「イラつくよ、おまえ」

 

 

「それは重畳。で、意味は」

 

 

やはり、先ほどのような、燃え盛るような苛立ちを今は感じない。

 

 

 

やっぱり先ほどまでの態度はわざとか。

それが確認できたので次に移る。

 

 

感情の波は今にもこいつを目の前から消し去りたいと叫んでいるが、努めて無視する。

 

 

まずは事実の確認からだ。

 

 

一つ目。

 

 

「おまえは…見ていて、理解できない」

 

 

 

二つ目。

「ISのブラックボックスが解析されたのは、ISのコアネットワークに新しいコアナンバーが登録された時点で知っていた」

 

正確には、この男がコアナンバーの登録をしたわけではない。

が、新たなISコアの反応があった時点で自動でコアナンバーは割り振られるのだから同じことだ。

 

 

 

 

三つ目。

「その時点でおまえがISコアの作成方法を発表するような行動を取っていたら、存在ごと消してやるつもりだった」

 

 

 

四つ目。

「だけどおまえは、もうほとんどISコアが完成しているのにも関わらず、ちまちまとISコアをいじって遊ぶだけだ」

 

 

 

結論。

「私は、おまえが理解出来ない。気持ち悪いよ、おまえ」

 

 

そう、今の私はこの男が理解できない。

見極めにきたというのに、だ。

 

 

そんな私に、この男はこう言った。

 

 

「おうクソ兎。お前、まさか神を気取る訳でもあるまい。

そりゃ俺も人間、お前も人間。

人と人とが理解し合えるなんて、数えるくらいしかねえんだよ」

 

 

 

理解しようとすらしないで煽ってくるような、お前が言うな。


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