FGOクリアしました、リアルで。   作:チョコラBB

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くっ殺展開


幕間の物語 鬼の宴 その1

第5特異点を無事修復したカルデアはこれまで以上に過酷な戦いによる疲弊、そして新たに多くのサーヴァントが加入したことで組織の再編が行われることとなった。

今回の召喚では魔術に通じる者、科学に通じる者、軍略や組織運営、また医療や食事関係などに秀でたサーヴァントが多く、後方支援の人材が厚くなり我らがカルデアはブラックからホワイト・・・寄りのグレーまで改善されることとなった。

そんな中、人類最後のマスターであるぐだ男と葉山は休息は勿論のこと、サーヴァントとのコミュニケーションや鍛錬、礼装の開発協力など多忙な毎日を送っていた。

特に葉山は名目上はカルデアの警備部門のトップであるため今回新たにカルデアの警備担当となったサーヴァント達との打ち合わせや業務の申し送りなどを行っていた。

因みにぐだ男は役職なしであるが、元々一般人であるため葉山と比べると知識や体力などが不足していたため、この機会に訓練に力を入れている。

 

「・・・ということでコレが主な警備ルートです。三人とも知識はあるでしょうけど重要区画に入るためにはカードや霊基認証が必要ですので後で登録を師に行きます。」

 

「「了解しました。」」

 

「・・・僕は、けいびとか向かないと思うんだけど・・・。」

 

「ああアステリオス君なら大丈夫ですよ。戦力的には特異点攻略に着いてきてもらうことも有るかもしれませんが・・・基本的に宝具でカルデア内を迷宮化して貰ってアステリオス君本人は中心部でスタッフや戦闘向きでないエウリュアレとかシータとかの護衛をしてもらうでしょうね。」

 

「そういう・・・ことなら、任せて!」

 

「ハサン先生はアサシンの立場から侵入経路潰しを提案してください。レオニダスは警備の他に業務改善で余裕が出来てきたスタッフの訓練(スパルタ式訓練 初級編)をお願いします。イザというときは後方要員とはいえ体力勝負ですから。」

 

「分かりました。私の力でいっぱしの兵隊に育て上げましょう!!」

 

「・・・体力づくり程度で良いんですけど・・・。」

 

この時葉山が強く言わなかった為、どちらかというと色白モヤシ系であったカルデアスタッフたちは見る見るうちに逞しくなっていくこととなる。

とある事件の際にスクラムを組んで諸悪の根源である葉山をレイシフト装置へ押し込んだり、カルデア内に侵入してきたちびノッブを撲殺したり、どこぞのピンク系魔法少女が送り込んだエネミーを駆除するなどの様々な活躍を見せることとなる。

きっとこれには亡くなったオルガマリー所長も草葉の陰でにっこり(引きつり気味)してくれることだろう。

 

「では最後に食堂です。ここではスタッフは勿論、サーヴァントのリフレッシュも兼ねて食や休憩を取っています。ハサン先生はカルデアに来て長いので知っているでしょうが偶にお国柄というか文化的にワイルド過ぎる食べ方をするサーヴァントがいます。そういう人に注意するのも一応俺達の仕事です。」

 

「なるほど。因みに一応とは?」

 

レオニダスが頷きながら質問する。

因みに中国やローマでは宴などで食べきれないほどの料理を並べるのが客を持成す礼儀なのだが、MOTTAINAI精神が根ずく日本には馴染みがない。

またヨーロッパなどは華美で美しく清潔であるイメージであるが、実際の所は正反対で

テーブルなどに食べカスを溢し放題で、町中に汚物が溢れ放題など現代人ではとても耐えられない惨状であったらしい。

余談であるが先日召喚されたマリーアントワネットはこの頃の人物で、もしそんな食べ方をされた日にはたとえ美少女でも百年の恋も冷めるだろう。

ん?イギリス?あんなものは食事じゃねえ!唯の家畜の餌だ!!(某騎士王感)

 

「此処はエミヤを初めとするオカン系サーヴァントの支配する領域。何人たりともその権能を害することは出来ないのです。」

 

「・・・なるほど。」

 

「また衛生的な問題も関わることなので某婦長が出張することも有ります。」

 

「あっ・・・・・・・・・・なるほど。」

 

そんな感じで葉山達は話しながら食堂へと入室する。

食堂は100人近くが同時に入っても余裕があるほど広く、スタッフやマスターの多くが死亡または凍結した現在ではまだまだサーヴァントが来ても余裕がある作りとなっている。

 

「今は昼時を過ぎているので全然人はいない・・・あ、珍しく居た。しかも酔っぱらっている上に色々と溢してるよ・・・。じゃあ今日のところは一応警備部門のトップたる俺が注意するんで次回からはお願いします。」

 

「「了解した。(うん。)」」

 

葉山達が食堂の一番奥で宴会をしているもの達に近づいて行った。

徐々に近づくにつれて葉山はそれが酒呑童子(ほろ酔い)、茨木童子(悪酔い)、男性スタッフ×5(泥酔)、ラーマ(やや泥酔)、シータ(ほろ酔い)、黒ヒゲ(撃沈)であることに気づいた。

 

「何なんだこの惨状は・・・。食べかすは良いとして吐しゃ物らしきものまであるぞ・・・。黒ヒゲやスタッフは一体どうしたんだ?」

 

「あ、マスター。実は宴会をしていたのですが興が乗るにつれて皆さん限界を超えて飲んでしまい、ついさっき嘔吐してしまったのです。片づける前にマスター達が来てしまったので今から片付けます。」

 

「ああ良いよ。俺らも手伝うし、未だ平気そうな茨木童子達も居るしシータはラーマや他の泥酔者に水でも飲ましてやってくれ。・・・でもなんでラーマまで?」

 

「いや、その、実は茨木童子さんたちが「自分よりも多く飲めば一夜の相手をしてやる」と宣言したら皆さん挑戦してしまって・・・、ラーマ様は取り合えず飲み比べには勝ちたいということで参加したのですがこのようになってしまいまして。」

 

「ははあ、なるほどこいつら(男性スタッフと黒ヒゲ)は理想を抱いて溺死した紳士達だったんだな。」

 

流石は世界最高峰の頭脳が集まったカルデア。

泥酔するまで本物の鬼にのみ比べで挑戦するとは・・・馬鹿ではあるが紳士である。

まあ世間一般では間違いなく不審者として捕まる類の人間であすが。

 

「まあ良いか。いい加減酸っぱい匂いが嫌だし、婦長が来る前に片づけるか。

よし、ハサン先生たちは紳士達を医務室へ、シータはラーマを部屋へ連れて行ってやってくれ。黒ヒゲは・・・隅っこに転がしておいて、英霊だからアルコール中毒で死ぬこともないだろうし。」

 

葉山の指示の下皆が動き出し、葉山自身もモップを濡らし持ってくる。

 

「じゃあモップ持ってきたから茨木童子たちも手伝ってくれよ。」

 

「嫌じゃ」

 

「そうかじゃあこっちのモップを持って・・・って嫌じゃ!?」

 

「っぷ」

 

まさかの拒否に葉山は遂ノリ突っ込みを披露してしまうが、茨木童子当人は構わず酒を飲み続け、酒呑童子は葉山の見事なリアクションに小さく噴出してしまった。

 

「なんでさ!?」

 

「何故誇り高き鬼である我らが下呂掃除などせねばならん!貴様がやるか吐いた当人に掃除させれば良いだろうが!?」

 

「当人が掃除できない状態なのは分かってるだろうが・・・。それに俺一人で6人分もの掃除は大変だし、少しくらい手伝ってくれてもいいだろ?ケチだな!」

 

「知ったことか!大体自分の限界を超えて飲む奴らが悪いのだ!!」

 

「いや確かにアイツらが馬鹿なのは認めるけど・・・色香で焚き付けて呑ましたのはお前らだろ!?」

 

「フン!だからそんなこと知ったことか!!」

 

ドン!

 

茨木童子は持っていたコップを机に叩きつける。

コップは微塵に砕けた。

 

「大体以前から気に食わんのだ!?葉山、貴様、あめりかという場所での戦いの際少し敵が強大だからと逃げ回り裏からこそこそと不意討つばかり!貴様も仮初とはいえ吾のマスターならば、いや薄いとはいえ鬼の血を引いておきながらその体たらく・・・。恥を知れ!!」

 

「あ?茨木童子てめえ何言いやがった?何事も正面からしかぶつかれない脳筋が!大体、何が誇りある鬼の血だ、こちとら苦労したことは有っても得したことなんてねえよ。ふざけんな。」

 

「なんだと?」

 

切っ掛けは掃除をするしないの些細な事だった。

だが第五特異点からの不和。

相互理解の不足。

かたや鬼であることを誇りとした真性の鬼、かたや鬼の血で不快な半生を過ごしてきた男。

お互いがお互いの琴線に触れてしまった。

 

「なあ悪酔いしすぎやで茨木。葉山はんも落ち着きい。」

 

「酒呑童子は黙ってくれ。」

 

「ああ酒呑悪いが吾と葉山の問題だ。」

 

珍しく酒呑童子に逆らう茨木童子。

彼女はそのまま葉山にメンチを切りながら適当に酒を取り一息に飲み干す。

 

「あ、うちの神便鬼毒。」

 

「そうだな。大体無辜の民から奪って、暴れてるだけでいい気になってた脳筋バーサーカー様には分からないでしょうけど?今は鬼なんか狩られ尽された人の世ですし?鬼の血なんか引いてたからって何にも良いことありませんしぃ?」

 

葉山もカッと来たため、知らずしらず命を懸け続ける極限状況からのストレスから茨木童子を煽る。

そのまま葉山も茨木童子にメンチを切りながらたった今茨木童子が飲み干した杯に酒を入れ一気に飲み干す。

 

「あー葉山はん飲んで大丈夫なんやろか・・・?まあええか、もうどうにでもな~れ~。」

 

  *゚゚・*+。

   |   ゚*。

  。∩∧∧  *

  + (・ω・`) *+゚

  *。ヽ  つ*゚*

  ゙・+。*・゚⊃ +゚

   ☆ ∪  。*゚

   ゙・+。*・゚

 

「吾を前によう言ったな人間!貴様のような姑息で、嘘をつき、不意打ちを好む卑怯者に何を言われたところで負け犬の遠吠えにしか聞こえんわ!!」

 

更にもう一杯

 

「ほおう!?あれだけ誇りある鬼とか人間は弱いとか言ってて自分達よりも弱い人間に真っ向から戦えと強要するんですか?それこそ卑怯じゃないですかねえ!?」

 

葉山ももう一杯

ついでにもう一杯

 

「吾が卑怯者だと貴様!?良い度胸だ、今日はもう勘弁ならん!!貴様!!」

 

更に更にもう一杯

倍プッシュだ・・・っ

 

「そもそも一夜の相手?お前が?エロスの塊のような酒呑童子ならまだしもお子ちゃまなお前が?・・・っは。」

 

遂に杯に注がずそのまま煽る。

 

「貴様今鼻で笑ったな!?」

 

今度は茨木童子が葉山から酒を奪い取りじかに飲み干す。

 

「・・・っは!」

 

「~~~貴様ぁ!!確かにエロスの塊のような酒呑に敵わないのは認めるが、吾をそこまで愚弄するか!!」

 

「え~うち茨木にもそんな風に見られっとったん?」

 

「唯の真実ですよ。」

 

再度奪い取り一気に煽る。

グビッグビッグビッ

 

「~~~~~~!!」

 

「・・・・あれ?」

 

いざ地なれば令呪という保険があるため口が勢いよく回る葉山。

口では茨木童子を圧倒のようである。

しかし怒りで真っ赤になった茨木童子を前に葉山は急に力が抜けたかのように倒れ込む。

まあ簡単に言えば急激に度数の高い日本酒を、しかも真名開放していないとはいえ宝具を、パカパカ飲み過ぎである。

 

「・・・ほおう!」

 

それを見て全てを察した茨木童子は

二ヤリ

そんな擬音が聞こえてきそうな悪い表情を浮かべる。

 

「どうやら飲み比べは吾の勝ちのようだな。だが負けたとはいえいつ間にか飲んでいた酒呑の神便鬼毒をアレだけ飲んだのは褒めてやろう・・・。どれ、貴様に褒美を与えてやろう。」

 

「な、なにを・・・」

 

「なあに。吾では興奮せぬのだろう?なれば問題ない。本当に興奮せぬなら潔く敗北を認めよう・・・。酒呑、吾はコレを寝床に持って帰るがどうする?」

 

「そうやなあ・・・。うちも葉山はん嫌いやないし、少し火照ってきたし・・・一緒にいこか。」

 

にやあ

酒呑童子は真っ赤な下でした舐めずりをしながら、茨木童子の肩に荷物のように担がれている葉山を嗤う。

本格的に宝具としての毒素のレジストに失敗したか、単純に酒精が回ってきたのか葉山は完全に脱力しており、逃げ出すことが出来ない。

 

「くっ殺せ!!」

 

「嫌じゃ♪」

 

茨木童子は脱力した葉山を担ぎ、酒呑童子は神便鬼毒や様々な酒、摘みになりそうなものを冷蔵庫も含めて片っ端から担ぎ食堂を後にした。

 

 

蛇足

 

葉山達が居なくなって十数分後、

物音ひとつしない食堂に数人の男女が入室した。

女性の視線の先には空き瓶や食べカス、果ては嘔吐物がまき散らされ不衛生極まりない酒宴の跡、そして酒の匂いをまき散らし泥酔している黒ヒゲ。

 

「・・・・」

 

食堂に入室した男女の名前はエミヤ、ブーティカ、ナイチンゲール。

 

「・・・・カチャッ」

 

何か金属が鳴る音がした。

 




実際、茨木童子は葉山のことは嫌いじゃないです。
少なくともぐだ男君よりは好感度高いです。
ただ母親から教えられた鬼としての誇りある生き方を大切にしている為、
姑息な戦い方をする葉山が、鬼の血を引いているくせに鬼の血を否定する葉山が腹立たしく感じています。
対する葉山は同じく割と茨木童子に気を許していますが、鬼の血のせいでそこそこ不快な目に会っているのであんまり鬼としての誇りだとか言われるとカチンと来ます。
今回はお互いの地雷原にお互いが全力で突っ込んだ感じです。

・酒呑は気づくとこんな感じになっていました。
・黒ヒゲはアルコール中毒で死ぬことは無い(死なないとは言っていない)
・カルデアスタッフは幕間ではちょこちょこサーヴァントと関わったりして出てきます。

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