ジークフリート「すまない、竜特攻で本当にすまない」
通りすがりのエネミー「GYA!?GYAAAAAAA!!?」
感想で見たコンビネーションを実際に書いたら酷かった。
昨日第五特異点を無事修復し帰還した。
結局レイシフトしてカルデアに戻るその時までぐだ男君達と会うことは無かった。
一晩経って本日の朝食時、前回と同様に魔術回路やその他諸々を酷使したことで身動きが取れなかった俺はXにより車椅子に乗せられ輸送、じゃなくて介護されながら食堂に向かっていた。
「すまないねぇ。運んでもらって。」
「それは言わない約束でしょうおとっさ、マスター。」
どこかで一度やったような気がする掛け合いを行いながら食堂に到着、すぐさまマルタにバトンタッチしXはダイソンの如き勢いで「エミヤさん家の日替わり定食」5人前ほど平らげ始めた。
「ありがとう。マルタ。前回同様身体が動かなくてさ・・・。ベッドから起き上がることすらできなかったんだよ。」
「構わないわ。結局マスターまた無茶して魔力を供給し続けてたじゃない。御蔭で魔神柱は倒せたけど今後は自重しなさいよ?」
「まあ自重したいんだけどね・・。」
そんなことを言いつつ、マルタにサケの切り身を食べさせてもらう。
うむ。流石はエミヤ、良い塩加減でホカホカのご飯が進む。
みそ汁も・・・温かいなあ・・・。
アメリカではワイルドというか素材そのものの味というか大味だったからなあ。
不味くはないんだけど好きでもなかったんだよな。
ブイヤベースは美味かったけど。
「ところでマスター、今日はこれからどうするのかしら?」
「ん~?魔神柱のお陰で素材はたんまりあるからしばらくは休暇と種火によるLV上げ、後は鍛錬もあるけどそれも本調子に戻ってからかな?」
「それもそうね。貴方もぐだ男君も、カルデアスタッフもみんな疲れてるからちゃんと休まないと非効率よね。」
白菜の浅漬けを口に入れてもらい、熱いお茶を少しづつ飲ましてもらう。
そして再度ご飯を食べ、噛むほどに溢れる甘味を楽しむ。
「一家に一人欲しいなあエミヤ。」
「まったくね。」
「ふむ。料理を作ったものとしてはマスターの反応は嬉しいものだがその言い方はどうかと思うがね?」
特異点という体力も精神も限界まですり減らす大イベントを終えてほのぼのする俺達の下へカルデアの誇る料理の鉄人エミヤがやってきた。
その手には炊き立てのご飯が満タンに入っているお釜を持っており、Xの前に置いていた。
「先ほど聞こえたが、今日はもう休暇か?」
「そのつもりだけど・・・ああ、ぐだ男君と話して召喚だけしようかと思う。今回は後方支援要員も含めてかなり大勢召喚する予定だから、休暇前に呼んでのんびりと親睦を深める予定かな?」
「なるほど。君は一応身動きも取れないような怪我人だ。召喚には私たちも護衛に着くのだろう?」
「頼む。」
食事を摂り終えた後、腹ごなしも兼ねてぐだ男君と今後の予定を話し合う。
彼も色々擦り傷や打撲など怪我はあるがとりあえずは元気のようである。
大天使マシュにアーンして貰っており微笑ましいが、こちらもマルタという美女によるアーンと外見は美少女のXによる介護を受けているのだ。羨ましくない。
「じゃあ取りあえず合同で召喚を行って、サーヴァントが呼ばれた場合は本人の意向も聞いてどっちがマスターになるか決めるということで・・・。」
こんな甘酸っぱい経験が出来るなんてカルデアに来てよかったっ・・・!!
まあ取りあえずイチャつきながらも決めるべきことは決めてますよ?
っということで久しぶりのガチャタイムだ!!
現在マスター二人とその護衛として12人のサーヴァントが召喚ルームに集合している。
まずは触媒を用いての召喚である。
その結果、
ぐだ男
マシュ、ジークフリート、クーフーリン(キャスター、ランサー)、メディア、酒呑童子、カルナ、ゲオルギオス
葉山
マルタ、エミヤ、X、黒ヒゲ、茨木童子、ロビンフッド、スカサハ、ラーマ
カルデアスタッフ
医療部門:ナイチンゲール、ジキル&ハイド
技術開発部門:ダ・ヴィンチ、エジソン、二コラ・テスラ、エレナ、(メディア)
作戦部門:DEBU、アンデルセン
食事部門:ブーティカ、(エミヤ)
警備部門:(葉山)、レオニダス、ハサン、アステリオス、(ゲオルギオス)
癒し:フォウさん、ナーサリーライム、ジャック、シータ、清姫
イベント:エリザベート、ファントム、アマデウス、マリー・アントワネット、エウリュアレ
となり、一気にサーヴァントを増員して後方支援が厚くなった。
これで単純に装備やオペレーション、作戦などのレベルが上がったことだろう。
また第五特異点での俺の魂の叫びとそれに同調し危うくバーサーカー的なナニカになりかけたサーヴァント達のことを重く受け止め、ダ・ヴィンチちゃんの謎技術によりフォウさんが疑似的なマスターになった。
正確にはfate本編で登場した偽臣の書が礼装で当たったのでそれを利用してフォウさんを疑似的なマスターとして登録したのだ。
ちなみに何故フォウさんなのかというと、他のカルデアスタッフよりもマスター適正が一番高かったから・・・である。
これで三組でローテーションを組めるようになったので素材集めも捗るね(にっこり)
ただ一つ問題があり、三組に増えたのは良いのだがその分観測の労力も激増するため安全を考えると同時に特異点攻略できるのは二組が限界とのこと。
特異点攻略中には意味消滅なんて恐ろしいので結局は俺とぐだ男君で攻略することになるのだろう。
次にメンバーを見て気になった人もいるだろうが、なんとラーマ君とシータを同時に召喚することに成功したのだ。
種明かしをすると
① 触媒によりラーマ君を召還。
② メディアを初めとするカルデアの頭脳監修の下、葉山によるアイアンクロー。
呪いを吸収し弱める。
③ ルールブレイカーによる解呪。
④ 触媒(枕)を用いてシータ召喚。
⑤ すかさず②③を行い、更に令呪を使用して二人を縛る。
⑥ ラーマとシータの感動の再会(※二人の顔面を葉山がアイアンクローしています。)
⑦ ね?簡単でしょう?
葉山さんのコメント
「インドの猿は恐ろしいです。呪いを吸ってるだけなのにモリモリ魔力が溜まるんです。」
マシュさんのコメント
「感動の抱擁シーンなのですが・・・涙を流し抱き合う二人の顔面を葉山さんが掴み続けているのはシュールな絵面でした。」
ぐだ男君のコメント
「絵面的に葉山さんが抱き合う二人を無理矢理引き離そうとするように見えてシュールでした。」
黒ヒゲさんのコメント
「これは許されるリア充。・・・ところでBBAの触媒は有りませんか?」
っということがあったのだ。
結局シータは無理な召喚が祟ったのかステータスが軒並み下がり戦闘は難しいためカルデアでの雑務を担当することになった。
対してラーマ君は絶好調である。
元々カルナやアルジュナというトップクラスのサーヴァントと同等かつ世界的に見ても頭がオカシイことで定評のあるインド神話で主人公を張った男である。
素の状態でヤバい性能なのに今や愛妻のいるカルデアを守るためヤル気(殺る気)に満ち溢れている上にスキル「離別の呪い」が「恋の追跡者」に変化しているのだ。
想像するにヤバい・・・いや頼もしい存在である。
尚、ラーマ君は真っ向からの戦闘能力が不足気味の俺のチームに配属となった。
まあスカサハ師匠もいるし、ぐだ男君チームは元々正攻法に強い上にカルナがいるからね。
しょうがないね。
「では続けて触媒なしの召喚を行おう。」
まずはぐだ男君が10連召喚を行う。
結果
麻婆×3
スカ×6
清姫(ランサー)×1
「うふふ、うふふふふ。
うふふふふふふふふふふふ…………。み い つ け た ☆」
「ぐだ男が逃げたぞ!追え!!」
「先輩、どうしたんですか!?」
「すまない・・・マスターを助けることが出来なくてすまない。」
「もう一人の僕(私)!?」
少しトラブルがあったが礼装込でも当たる確率が低いような気がする。
まあこれが普通らしいのでやはり俺の当選率が異常なのだろう。
さてぐだ男君が途中退席したり、二人の清姫が合体したり色々あったが俺には影響がないので忘れよう。
次は俺が10連召喚に挑戦してみた。
結果
魔猪×2
優雅×3
ヒュドラ・タガー×1
三重結界×2
王の相伴×1
フェルグス×1
「葉山が逃げたぞ!!逃がすな!!」
「あの体で逃げたのか!?」
「エミヤ良いから捕まえましょう!」
「車椅子でドリフトだとぉ!?」
「約束通りケルト☆ピックアップの時間だ!」
後日、とある事件をきっかけにフェルグスと和解したものの葉山の身体はこの無理が祟ってさらに治療時間が伸びた。
これは第六特異点に出発する直前、およそ第五特異点を修復し休暇や新しい仲間の加入、その他様々なトラブルが起きた後の時系列でのエピソードである。
「・・・「お兄ちゃん。ボタン、押してくれる?」って言ったんだ・・・。」
「ヒイイイ!?」
「レオニダス五月蠅い。」
「ねえねえ何でレオニダスはあんなに悲鳴を挙げてるの?解体しちゃえばいいのに!」
「ナーサリー、ジャックもう遅いから二人はもう寝ようね。」
「「うんブーティカお姉ちゃん!」」
その日のカルデアではいつも通りの鍛錬や地獄の素材マラソンを終えて人類最後のマスター、ぐだ男は理系サーヴァントが増えたおかげでどこぞの王様のように過労死することを免れたロマンや様々な時代からカルデアに集った英雄たちと雑談に興じていた。
そして普段ならばボードゲームをしたりとりとめのない日常について話すのだが何故か今日この日は一人づつ怖い話を行っていき、一番怖い人が優勝っという意味不明な催しとなっていた。
尚、たった今ロマンが行ったとあるマンションでの話は実話らしく、意外にもロマンの語り技術が高いこともありかなり怖かったといえよう。
まあジャックちゃんには難しかったようであるが彼女の場合大体解体しちゃおう、で解決なのでいつもどおりといえばいつもどおりである。
他にもエミヤが話した紫髪の妹っぽいヤンデレ後輩の話、エミヤがリアル魔法少女に遭遇してしまった話、とある三流魔術師が投影魔術を吐き出すだけの礼装に改造される話、居候の金髪美少女の食費で父親の残した貯金が底をついた話など(現実的に)怖い話が目白押しであった。
怖い話が中々に盛り上がったが、宴もたけなわ、既に深夜と言ってもおかしくない時間になっているため二度目のロマンの怖い話を聞き終わった時点で自然とお開きという空気となった。
「それで・・・第四特異点を修復した直後にさ・・・葉山君も復帰して僕も余裕が出来たんだよ。それで今まで時間が無くてやむなく凍結していた犠牲者の遺体をさ・・・深夜に一人で修復してたんだ。」
「・・・ゴクッ。レフ教授の起こした事件の犠牲者のバラバラ遺体を・・・一人で修復してたんですか?ドクター?」
「まあ皆まだ忙しかったしね。それに僕はこれでも医者だから検視も担当しててね。バラバラになった遺体を出来るだけ見れる状態にしようと思って仕分けてたんだ。」
「それでさ作業を開始して1週間くらいにさ・・・僕気づいちゃったんだ・・・。」
「気づいたとは?何かねロマン。」
「うん。エミヤ、マシュ。今思えば大したことではないんだけどね・・・。何度数えても遺体が一人分多かったんだ。」
「ええ!?」
「ウオオオオ!?」
「レオニダス五月蠅いって。」
「恐くないのですかファントム!?一人分多いのですよ!?誰の遺体なのか!?いや待て!?きっと敵の間者が紛れ込んでおりその為遺体の数が多いのだ、そうだきっとそうに違いない!!遺体が動くなど!?死体が動いているなど!?そんな非科学的なことがあるはずもない!!?理系な私にかかればこんな話の真相などすぐに解明できるのです!!」
「英霊なのに矛盾したこと言ってますよ。それに私達もそういう存在でしょう。
「ははは。まあ結局は別人のパーツを間違って組み合わせてたせいで、居もしない人間を勝手に組み立ててしまっただけなんだけどね。ダ・ヴィンチちゃんに説明されるまで僕もノイローゼになりかけてたんだ。まあダ・ヴィンチちゃん曰く『このトリックは金田一少年の事件簿で読んだ』そうだよ。」
「むしろ朗らかに『パーツ間違えた』と言っているドクターに戦慄を禁じえません。」
意外と怖いロマンの私生活にマシュが戦慄しつつ、怖い話はお開きとなった。
参加者皆がそれぞれ持ち寄ったお菓子を片付け、就寝するためにぐだ男ルームから出ようとする。
そんな中、ふとマシュは以前自分が体験した不思議な話を思い出した。
「そういえば・・・。」
「どうしたんだい?マシュ?」
「いえ今ふと思い出したのですが、以前第五特異点を修復してすぐに葉山さんが失踪したことがあったじゃないですか。」
「ああ、アレだろ?当時かなり不穏な空気だった茨木童子に性的にも肉体的にも美味しく頂かれて男としてのプライドとかその他諸々が完全粉砕して再起不能になっちゃったんだよね。廊下で幼女や少女を見るたびにガチのパニック症状を起こして『ロリっ子恐い』って言ってたもんね・・・。最後は幼児退行を起こしてカルデアの廊下や食堂とかお構いなしにマルタに『ママ~!』って泣きついて大変だったけど・・・・。
正気に戻った時は葉山君が無言で赤く染まったカルデアスにダイブしようとしたからね・・・。」
「アレは酷かった。酷すぎて流石にアレは弄れなかったからな・・・。危うく私やX、ラーマが止めなければ魔術王とか関係なくマスターを無くすところだったからな」
「え、ええまあ・・・。それでそれを乗り越えるために葉山さんが修行の旅に書置きだけ残して行ってしまったじゃないですか。」
「あ―――そうだねえ随分と昔のように感じるよ・・・。」
ロマンは遠い昔を懐かしむような、ハイライトが無くなったような目をする。
「それで当時、葉山さんに続いて何人かのサーヴァントの方も一晩で消息を絶った事件があったじゃないですか?」
「ソウダネー。このカルデアの外は既に人類が絶滅し、魔術王の勢力を除けば侵入してくるような存在はいないのに・・・、カルデアの、しかも一騎当千の力を持つサーヴァントが何人も失踪して酷い騒ぎだったよね、結局葉山君が修行の協力者として拉致・・・じゃなくて同伴して貰ってたんだろう?」
「ハイ。最初はエミヤさんでした。」
「ああ。修行のサポートとして食事の準備や睡眠時の護衛、後は修行相手が役割だったな。」
「そうだよね。ある朝起きたらいつも食堂にいるはずのエミヤ君がいない。最初は寝坊かと思ったけど昼になっても姿を見せなかった。流石のオカシイってことで君の部屋に行ったら部屋は荒らされ、君の『タスケテ』っていうメッセージだけが残ってたからね。アレは恐かった。」
「本当です。そして次はメディアさんでその後はメイヴさんでした。」
「葉山君の治療兼礼装作成のためにメディアが、何かの影響を受けたのか100人組み手をするためにメイヴがいなくなったよね。」
「はい。お二人は戦闘タイプではないとはいえ片や神殿に籠った魔女、片やフェ、フェルグスさんの寝室にいたメイヴさんを誰にも気づかれずに拉致するなんて質の悪い悪夢かと思いました。」
「実際はメディアどのには三顧の礼もかくやと言わんばかりの説得を行い、メイヴ殿とフェルグス殿はスカサハ殿が説得(物理)を行ったのですよね?」
「レオニダスさん、その通りです。正確には最終的にカルデアにいるケルト系サーヴァント全員がいなくなりました。」
「そうだね。後は・・・黒ヒゲと玉藻だっけ?」
「はいドクター。ですが私が不思議に思ったのはその黒ヒゲさんなのです。」
「?黒ヒゲがどうしたのかい?確かに彼は存在自体が不可解というか質の悪いブラックジョークみたいだけども。」
「いえ、実は私、黒ヒゲさんがいなくなった日に実は黒ヒゲさんと葉山さんに会っているのです。」
「?どういうこと?」
マシュは手に持ったお菓子を包みに入れるとロマンやぐだ男、レオニダスの方に身体を向ける。
「実は黒ヒゲさんがいなくなった日に偶々私は寝付けなくて散歩をしていたんです。そうしたら黒ヒゲさんと葉山さんが二人でどこかへレイシフトしようとしている現場に出くわしたんです。」
「ん~?それのどこが変なんだい?」
ロマンは首をひねる。
「その時、私は葉山さんが居なくなってすでに一月、それからもどんどんとサーヴァントの方が居なくなっていき、不安に感じていたんです。でも久しぶりに葉山さんを、連れられている黒ヒゲさんを見てああ、やっぱり失踪じゃなかったんだって安心して話しかけたんです。」
「すると先ほど言ったような理由で修行のために皆を連れて行った、そして今度は黒ヒゲさんを連れて行くんだって葉山さんは明るく笑いながら言うんです。でも・・・」
「でも?」
「なんていうか、葉山さんも黒ヒゲさんもいつも通りなのに・・・何か、何かが違うんです。」
「え?」
「笑ってたはずなのに、普通に顔を合わせて話したはずなのにあの時の二人の顔をよく思い出せないんです。それに私も修行を手伝ってくれって言われて、いつもなら先輩やドクターに報告するはずなのにそんなこと少しも疑問に感じずに『ハイ』ってすぐに着いていこうとしたんです。おかしいですよね!?」
「・・・えっと、それでどうなったんだい?」
「いえ修行の場にレイシフトする直前に引き返しました。ホラ、先輩に貰ったキーホルダーあったじゃないですか?それが偶々目に入って私『もう遅いんで明日修行にお付き合いします』って言って別れたんですよ。」
「・・・」
「すると二人は・・・本当に、本当に今まで見たことのないような透明な笑顔で『残念だ、今度は一緒に行こう』って言ってどこかへレイシフトしました。」
「あれ?・・・何かおかしくないかい?」
「そうなんです!後々思い返すと色々オカシイんです!次の日気づいたんですが、あの時二人は確かにレイシフトしました。でもその時オペレータールームには誰も居ませんでした、なのに勝手にシステムが起動してたんです。それに・・・確かに二人に会って、レイシフトに立ち会ったはずなのにログが何も残っていなかったんです。それに今思い返すと黒ヒゲさんは一言も喋っていないんです。」
「・・・・。」
「・・・しばらくして葉山さんたちが戻ってきてから直接葉山さんに聞いたんです。」
「彼は何て?」
「『知らない』って。確かに聞いてみると修行のサポートも相手も十分なのに黒ヒゲさんを連れていく理由がないんです。それに・・・。」
「・・・それに?」
「居なくなった皆さんの話を聞くと・・・葉山さんの証言を信じるなら黒ヒゲさんの他にも何人か修行に関係なく居なくなっている人がいるんです。」
「「「・・・」」」
「ほ、本当なら、き、気持ち悪い話だね。でもマシュ葉山君に担がれたんじゃないのかい?」
「やっぱりそうなんでしょうか?でも・・・当時の葉山さんにそんな余裕があるとは思えませんし・・・。確かに黒ヒゲさんや他の居なくなった方に聞いたら何の齟齬もなく修行の話を聞かせてくれたんですが、でも葉山さんたちは黒ヒゲさんたちと絶対に会っていないって言うんです。でも実際に葉山さんの修行で起きたことを黒ヒゲさんたちはその場にいたかのように話すんです。もう私訳が分からなくなって今まで何故か忘れていました。」
「「「・・・」」」
「すみません。大して怖い話でもないのに長々と話してしまって・・・。」
「い、いや構わないよ。恐い・・・というよりはモヤモヤした話だけどまあ、楽しめたよ。」
「そうですか?なら良かったです。じゃあもう遅いのでお暇しますね!おやすみなさい。」
「お休みマシュ。」
バタン
マシュはお辞儀すると扉を閉めて退室した。
「・・・なんていうか不気味な話だよね?ぐだ男君?」
「・・・うん。ん?」
「アレ?レオニダス?レオニダスが気絶してる!?」
「どうやら精神の許容範囲を超えたようだ。どれ部屋も近いし私がレオニダスを連れて帰ろう。さあ起きろ!レオニダス!」
「は!?テルモピュライの戦いが!?」
「わあ、頼むよエミヤ君!」
「ねえロマン?」
「なんだいぐだ男君?」
「思ったんだけどマシュは一体いつの話をしてたんだろう?」
「?そりゃ第六特異点直前だろう?」
「うんそうだよね?でも確かあの頃って特異点の変調を観測するために交代で24時間体制でカルデアスを観測してたよね?」
「そうだよ?だから僕も夜勤が有って大変・・・あれ?」
「おかしくない?俺の記憶が確かなら、あの頃は常にカルデアスの近くやオペレーションルームには人が居たはずなんだけど?マシュは誰も居なかったて言ってたよね?」
「・・・あれ?」
「・・・一体マシュはいつ葉山さんたちに会ったんだろう?」
「「・・・」」
ロマンとぐだ男二人だけになった部屋に沈黙が落ちる。
特別恐い話ではないが不可解な話、二人は何かモヤモヤとした恐怖を感じていた。
「ま、まあ記憶違いかもしれないし気にしないことにしよう!」
「そ、そうだね!」
「じゃあロマンお休み。」
「・・・ねえぐだ男君・・・僕の部屋までついてきてくれないかい?」
時刻は既に深夜。
昼夜がないとはいえ省エネやスタッフの時間感覚の維持の為深夜の時間帯は主要な場所を除き消灯している。
深夜帯は廊下などは非常灯の明かりのみが照らしている状態なのだ。
「・・・嫌だよ。それだと俺が戻る時は一人じゃないか。」
「じゃあ今日は僕の部屋に泊まらないかい?偶にはボーイズトークも良いものだよ!?」
「嫌だよ!?勝手に俺の布団に潜り込まないでよ!?」
「僕は今日この部屋から一歩も出ないからな!」
「出ていけ!!」
不毛な夜が更けてゆく。
ある日のカルデア。
これは過酷な第六、七特異点を無事(?)修復し、円卓の騎士を初めとする多くの英霊がカルデアに集った頃に起きた事件の話である。
「ねえ。ロマン。」
「何だい?葉山君?」
「第6特異点でギャラハットについてマシュが調べてたじゃないか?実は先にアトラス院に到着してた俺は色々調べ物をして暇をつぶしてたんだけど・・・こんなものを見つけたんだ・・・。」
「君は何をしているんだ・・・。」
ロマンは何故重要なアトラス院で資料探しをせず暇つぶしをしているのか。
その徐に出したハードディスクは何なのか、というかお前特異点にハードディスクをどうやって、どうして持っていったのかと小一時間問いただしたい気持ちでいっぱいであった。
だが問題のハードディスクに記録されていたとある映像記録を見るうちにロマンは驚愕し、知的好奇心を刺激され、最後は真剣な目でその映像に見入っていた。
ロマンは語った。
その映像ファイルは限定的であるが並行世界の観測データで、第三魔法に至る重要な発見であると。
魔術的にも重要な資料であると。
コレは燃えると。
コレで萌えると。
葉山は語った。
そんなつもりは無かったんだと。
俺は悪くないと。
エミヤマジ御免と。
その後、カルデアのとある日、ロマンによる上映会が開催された。
上映されたのは葉山がロマンに渡した第三魔法にも至るかもしれぬ記録映像を編集したもの。
それは大きく3種類に分類された、この世界ではあり得なかった聖杯戦争の記録。
映像記録のファイル名は『fate / stay night』
ある者(カルデア所属のサーヴァント達)には驚愕を、またある者(X、メディア、イシュタル、円卓等)には悶絶を、またまたある者(エミヤ、クーフーリン)には絶望を与えた。
葉山「続かねえよ!?」
一つ目は思いついたので書きました。
二つ目は夢見が悪く変な夢を見たからです。
三つ目はいつか書きたいです。