FGOクリアしました、リアルで。   作:チョコラBB

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一時の休息

目が覚めるとそこは牢屋の中で会った。

意味が分からない。

何これ?時期外れのイベント?エドモン居るの?

気絶する前後との記憶が一致しない。

取りあえず周囲を調べようと起き上がろうとするが、身体に力を入れようとした瞬間全身に激痛が走る。

 

「グッ!?」

 

その痛みは例えるなら交通事故に遭って全身複雑骨折した上にヨコヅナのボディープレスを受けたような痛みに匹敵した。(葉山主観)

要するに今まで経験したことのないような痛みにより碌に動かぬ身体で悶えていた。

 

「?起きましたかマスター!?大丈夫ですか?」

 

するとくぐもった声が聞こえたのか、誰かが牢屋に入ってきて声をかけてきたようだ。

なんとか声がした方に顔を向けると、それは丁度牢の扉を開けて入ってきたXであった。

 

どうにか痛みが治まるとXに現在どのような状況なのか、そもそも何故俺は牢屋で寝ているのか、もしやXがヤンデレ化して型月ではよくある拉致監禁ルートにでも突入しているのだろうかと様々な疑問を問うた。

 

「なるほど。ぐだ男君達とはタッチの差ですれ違ったのか・・・。」

 

Xに話を聞いてみるとどうにもぐだ男君と入れ違いになってしまったようである。

あの不幸な事故の後、なんと俺は意識を失ってもしばらくは魔力を供給していたそうだ。

だが海近くまで移動すれば完全に身体が休息モードに入ったのか魔力の供給も途絶え、

黒ヒゲがカルデアからの供給で足らない分を自前で補い、半ば墜落の勢いでアルカトラズへ不時着したらしい。

尚、ぐだ男君たちはロマンから俺たちのピンチを聞いてすぐに救助の為ワシントンへの移動を開始してしまったらしい。

海を渡った辺りで入れ違いに気づいたらしいのだが、どちらにしろ俺や黒ヒゲ、ネロはダウンしてしまいしばらく動けないため取りあえずはそのままエジソンの下へ説得の為向かったそうである。

ロビンはすぐさまぐだ男君の下へ行ったらしいが、彼は本当に働き者な上俺の戦い方とも相性がいい。是非スカウトしたいものだ。

 

「もぐもぐ、俺は魔力を通し過ぎて魔術回路がボロボロなのか。この痛みヤバいもん、動けないし。」

 

俺はエミヤの作ってくれた滋養料理をXにアーンしてもらいながら自分の体の状態についてロマンから聞いていた。

聖杯から魔力を汲み上げたとはいえ、俺自身の魔力回路を経由して黒ヒゲに供給していた。

その前にも投影や戦闘でも酷使していたため、魔術回路がボロボロの状態らしい。

また身体も全身が痛い、特に腹筋が。

 

ということで任せきりで心苦しいがぐだ男君たちの進展待ちである。

ホラ、俺は現在要介護状態で絶対安静だし。

黒ヒゲも魔力不足で回復中。

マルタはネロと俺の治療。

Xとエミヤは介護。

茨木童子は俺と顔を合わせづらいらしく周囲のエネミーを狩っている。

ね?役に立たないでしょう?

(そもそもマスターである葉山が動けないため単独行動持ちのエミヤくらいしか動けない。)

 

「・・・取りあえずは休もう。流石に疲れた。」

 

「はい、おやすみなさい。」

 

俺は食事をとり再び眠りについた。

 

次に起きると丸一日が経過していた。

昨日に比べると身体の調子は格段に良くなっており、肩を借りればなんとか動けるようになっていた。

非常に早い回復のようであるが、これはマルタの、そしてスカサハの治療のおかげである。

前回はすぐに眠ったため知らなかったのだが、ケルトが誇る万能超人にしてオッパイタイツ師匠スカサハさんが現地サーヴァントとして召喚されて合流していたようだ。

俺は気絶していたが、逃亡の際アルジュナの攻撃から俺達を守ってくれたらしい。

マジ感謝。

 

「すまないねぇ。肩を借りてしまって。」

 

「それは言わない約束でしょうおやっさ、マスター。」

 

しかしセイバーが近くにいない状況ならば比較的まともなX。

普通に原作に近い雰囲気で可憐で優しい。

めちゃくちゃ良い匂いがするし、触れた身体も柔らかい。

あかん、俺も弱っているのかマルタに続き、あの、あのXにすら女性を感じてしまう。

上手く説明できないが、これは不味い。

 

「?どうしたのですかマスター?もっと寄らないと身長差が有るので支え辛いではないですか?」

 

更に密着するX。

俺の右脇腹の辺りに柔らかい感触がより強くなり、俺の顔の辺りをアホ毛がピコピコしている。

Xの方を見るとほぼ真上から彼女を見下ろす形となっており無警戒なのか彼女の鎖骨や胸元が良く見えてしまう。

くっ耐えろ!耐えるんだ俺の右手!!

油断すれば彼女の肩を回した俺の右手が彼女のスレンダー(笑)な胸元へ伸びてしまう。

 

「・・・何をやっているのだね二人とも。」

 

俺の葛藤など気づかないX。

段々と俺の眼付が、鼻息が怪しくなってきたころエミヤの待つ拠点に到着した。

 

「X、マスターを連れてきて貰って助かったよ、ありがとう。」

 

エミヤは慈愛に満ちた微笑みを浮かべてXに礼を言い、俺を憐れむような少し怒ったような目で眺めた後、

 

「どれ、身長差があって大変だろう。マスターは私が代わるからXは食事を摂るがいい。今日は茨木童子が取ってきた魚介類で作ったブイヤベースだ。中々の出来だぞ?」

 

「!?本当ですか!エミヤ!分かりました!お任せします!!」

 

Xは縮地もかくやのスピードでエミヤと交代し駆けていった。

柔らかい感触が硬い腹筋の感触に変わり寂しさを感じる。

 

「・・・元気そうだなマスター。ところで少しXと密着しすぎではないかね?」

 

「・・・肩を借りなければ歩けないんだ。」

 

「・・・それは知っている。だが君は鼻の下を伸ばして血走った眼で彼女を視姦しつつ、肩に回した右手をワキワキしていたからな。」

 

「・・・エミヤやむを得なかったんだ、少し魔が差してしまっただけなんだ。」

 

「理解はしよう。だが・・・中途半端な気持ちで彼女に悪さをするなら・・・分かっているな?」

 

「お、おう。」

 

エミヤが鷹の眼で俺を見ている。

フェルグス戦並の威圧感を感じる。

 

俺は腹筋とは別の意味で腹に痛みを覚えながらゆっくりと食堂に到着した。

ネロも復帰し、ハサン先生の代わりにスカサハさんが食事を取っていた。

 

「皆久しぶり。スカサハさんもえっと初めまして?それと撤退の時助けてくれたらしいのですがありがとうございます。」

 

「ん?ああ別に構わないさ。初めましてカルデアのマスター葉山慎二。ランサー、スカサハだ。」

 

「いえありがとうございます。とりあえず腹ペコなんで食べながらでもこれからのことを話してもいいですかね?」

 

「別に気にしない。先に断るだけケルトの連中より幾分上品な位だ。」

 

 

 

「ハフハフハフ、ところでスカサハさんは、ズルルル、これから、スゥーッどうするん、ですか?ガツガツ。」

 

旨い。

新鮮な魚介類を丹念にした処理をしたおかげで余計な匂いなどなく、エミヤの腕前もあってどれも出汁が十分にしみている。

久しぶりのちゃんとした食事な上に病み上がりで身体が栄養を欲している為、箸が止まらない。

 

「前言撤回だ。ケルトの連中と同じくらいだ。取り合えず食べ終わってから話そう。」

 

俺は頷き、無心にカニの殻から身を取り出す作業に戻った。

茨木童子も同じようにカニの殻から身を取り出していたが、途中から豪快に殻ごとかみ砕いていた。

 

「さて落ち着いたことだし、話そうか。まず私は単独でもう一人のマスターに合流してからワシントンを目指そうと思う。どちらにも馬鹿弟子が居るという話であるしな。」

 

「俺達が動けるようになってから一緒に動くのはいけないのですか?」

 

「それでは時間がかかり過ぎる。エジソン何某の下にはカルナがいるのだろう?アレは強いだろうからなイザというときの為に援護が必要であろう?それにワシントンにはあの女狐によって歪まされた馬鹿弟子がいるという話だからな。引導を渡すのも師の務めだ。序でにぐだ男の下でセタンタも連れていく。」

 

キャスニキェ・・・!

 

「まあお前の治療もあるからな。もう数日は此処にいるさ。それと・・・エミヤ夜は陸の幸も食したいな。」

 

「任せてもらおう。」

 

一瞬の遅滞もなく喜々として答えるエミヤ。

お前は本当にそれでいいのか。

先ほどの嫉妬と言い、最近衛宮士郎に戻っていないか?

 

「何治療がてら葉山、お前に座学ではあるが稽古をつけてやろう。」

 

 

それから2日。

俺の治療を終えてスカサハが旅立つまで、俺は彼女から稽古というか俺の異常や特性について教授された。

 

俺には人外の血が流れている。

今でこそ俺の一族は魔術師であるが元々は遠野や軋間程大きくはないものの歴とした混血である。

といっても常人よりも少し傷の治りが早い程度の恩恵であった。

そんな一族の中で所謂先祖返りとして俺は生まれたのだ。

まあそうは言って軋間さん家の紅摩さんとは異なり偶発的なモノであったので一族の平均よりも少し頑丈であったり、先祖が鬼と交わったのか魔力を吸収し熱として放出するといった異能を持っていただけであるが。

しかし両親はさぞ期待したようで長男を差し置いて俺にもより高度な魔術教育を施したのだ。

だが俺の魔術師としての才能は良くも悪くもなく普通、期待していた異能も吸収する魔力量が少なすぎて缶コーヒーを暖めるのが関の山であった。

(まあ冬場はいつでも暖かい飲み物が飲めるけど。)

そして勝手に期待をして裏切られた両親は落胆し、俺は居ないものとして扱われるようになった。

兄もそれまで蔑ろにされた反動か俺に対してあまり快く思っていなかったようであるが、これに対してはまあ特に恨んでいない。

突然生まれた弟に己のすべてを奪われかけたのだ。

幼い彼にとって俺を敵として見るのは納得できるし、事務的な会話しかしないだけで特に嫌がらせも受けていない。

だが両親てめえらは駄目だ。

今思えば前世の両親の記憶でも残っていたのか、この身勝手な両親は俺の中ですぐに「生活資金をくれる人」程度の存在に成った。

それから時が流れ、高校の卒業式を終えた俺はそのままその足で空港へ行き、息苦しい実家を飛び出した。

そして魔術使いとして世界を転々として最終的にカルデアの警備員に就職したのだ。

 

「っとそんな感じの来歴なんですがどうですかねえ?」

 

「うむ納得だ。やはり人外の血が流れていたのだな。簡潔に言おう、お前アチラ寄りに成っているぞ。」

 

「わんもあ たいむ ぷりーず」

 

「お前 鬼寄りに なっているぞ?」

 

沈黙が落ちる。

現在は俺のプライベートなことを話すため、俺と彼女の二人きりである。

場所は俺の寝ている牢屋、元シータの牢屋で野蛮なケルト兵やベオウルフが拠点としていた場所よりも居心地のいい空間であった。

まあ結局は牢屋なので俺たちが喋らなければ結果、静かになる。

 

「なんでさ!?」

 

「この人理が不安定な特異点という状況、長期間にわたる複数の英霊との契約、混血、神秘の濃い物質の日常的な摂取、」

 

「ああ、確かに。」

 

「そして極めつけはお前の魂が異質な事だ。詳しくは聞かんが、何というかお前の魂は世界との繋がりが弱い。」

 

「繋がりが弱いというのは具体的にはどういう?(バレテーラ)」

 

「世界との繋がりが弱い。つまり良い意味でも悪い身でも世界のルールに囚われにくい性質なのだ。例えば、ルールによって決められている人間の限界をお前なら越えられる・・・かもしれないし、緊急時にアラヤなどの加護を受けにくい・・・かもしれない。」

 

「ふわっとしてますね。」

 

「しょうがないだろう。私としてもそんな存在など初めて見たのだ。情報が不足しすぎて予想程度しか出来ない。なんと面白、いや愉快そうな人間だろうか。」

 

「せめて言い換えろよ!!」

 

この人目が爛々としているよ。

マジで勘弁してほしい。

しばらく歓談(?)しているとスカサハは突如うんうんと頷いた後、俺の目の前で護符を作り手渡してきた。

 

「よし!この後に軽く力の使い方を教えてやろうと思っていたが、何か楽しくなってきた。葉山、お前にコレをやろう。カルデアに帰還した暁には私を呼ぶがいい。セタンタと共に鍛錬をつけてやろう。」

 

 

 

 

 

 

 

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即座に断った俺は悪くない。(確信)

考えてみても欲しい。

生前の二次創作でもよく見たが大体戦える主人公というやつは最初から強いか、スカサハ先生のケルト式ブートキャンプに参加することが強化フラグなのである。

だが先日のオルタニキやアルジュナ、カルナとの戦闘で、ゲームと異なり現実の戦いではステータスの壁は物凄く分厚いし、ステータス以外の面でも一級とそれ以外の差は大きいことが分かったのだ、絶望的なほどに。

だから全力で死にたくない俺が9割以上間違いなく死ぬか取り返しのつかない後遺症を負う、もしくは生き残っても人が人として生きるために必要なナニカをゴリゴリ失うようなブートキャンプへのお誘いなど断るに決まっているだろう!!

 

「うん?お前に拒否権などあるわけないだろう?実際問題、人外に落ちるかもしれないのだから、いっそのことどう変化しても意識を失わぬよう鍛えておいたほうが良いだろう?そもそも自分でいうのもなんだが私自身が誘うなど一国の王ですら中々得られぬ栄誉なことだぞ?」

 

「!・・・確かにそうですね・・・しかし・・・俺には」

 

「何安心しろ。魔術師とはいえ()()()()に英雄と同じような訓練は課さぬさ。確かに死ぬほど苦しいかもしれないが、()()()()()に対して耐えれぬような試練など行わない。スカサハの名に懸けて誓おう。」

 

「・・・分かりました。名まで賭けられたのならば信じます、どうかお願いします。スカサハさん。」

 

「ああ。任せよ(まあこ奴は現代の人間ではなく人外寄りだがな!)」

 

スカサハさんより触媒を入手し、また俺自身の異能の使い方を学んだ。

今は未だに治り切っていないが最終戦には間に合うよう頑張って身体を治すことに専心しよう。

 

 

 

蛇足

 

「ところでスカサハさん、俺のサーヴァントにとあるライダーがいるのですが彼女には正直ライダーとしての適正があまりなく彼女本来の持ち味というか、スペックというかその他諸々が大幅に制限されてしまっているんです。スカサハさんの叡智を以ってクラス変更とか出来ませんかね?」

 

「ふむ。他のクラスに変える程度ならば霊基を弄れば簡単に出来るぞ。まあ流石に本人に適性がないクラスは無理だがな。」

 

「!本当ですか?一応本人にも聞いてみてOK貰えればお願いしても良いですか?」

 

「本人が良いのならば構わない。」

 

計画通り(ゲス顔)

ゲームの知識からスカサハさんに可能なのは知っていた。

よし彼女を全力で口説いて(説得して)やろうじゃないか!!

 

後日、とあるルーラーが増えました。

またぐだ男君の下へ向かうスカサハさんにキャスニキをキャスターとランサーのダブルクラスにしてくださいと(本人の同意もなく)お願いしました。

 




葉山は牢屋で枕(シータ使用済み)を入手しました。
尚、葉山は知りませんが船の不時着の際ベオウルフ氏がひき逃げされました。

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