突然だが俺は転生者という存在だ。
なにせ前世の自分が死んだときの記憶がハッキリとある。
また俺の場合よく二次創作などであるフィクションの世界への転生というやつで、俺はこの世界、仮にFGO世界とするが、のことをプレイヤーとして知っていたからだ。
俺は今生では一般的な魔術師の家の次男坊であった。
まあ長男がそこそこ優秀であったので俺はあくまでスペア扱いとして魔術をかじっていただけなのだが、どういう運命の悪戯か俺は大学卒業後、カルデアにて警備員として勤めることとなった。
尚、俺の記憶が戻ったのはFGOの序盤、マスター達とオルガマリーちゃんが爆発した際に俺も巻き込まれて死にかけたときである。
正直目覚めるのが遅いと思う。
そこから細かい流れは省くが、次に俺が目覚めた時既に第一特異点オルレアンが解決され、皆が人類最後のマスターである藤丸立香ことぐだ男君を中心に盛り上がっているあたりであった。
ついでに第二特異点が見つかったり、サーヴァント達への対応、レイシフトの準備など色々な事が重なりカルデア全体が忙しい状態だった。
よって専門知識もなく、かつ怪我で働けない俺は重要度の低い
まあ怪我した警備員なんて役立たないのは間違いないのでしょうがない。
っていうか元気になってもその内たくさんサーヴァントが常駐するこのカルデアで警備なんて・・・あれ?俺本当に役立たずじゃ・・・。
暇なので魔術の鍛錬を始めた。
だって両足折れてるし、レイシフト関連のデスクワークなんて専門知識のない警備員には出来ないからね!
というわけで魔術の鍛錬をしているわけだが初めて僅か一週間で元々基礎は出来ていないこともあって一気に上達していた。
少なくとも一般的な魔術師(長男くらい)レベルには達したと思う。
ロマンやダ・ヴィンチちゃんからもお墨付きを貰っているので間違いないだろう。
尚、俺の病室に来るのは医療トップのDr.ロマンや鍛錬の相談をしたダ・ヴィンチちゃん位のものである。
これは決して、決して、俺が役立たずの穀潰しと思われているのではなく、俺以外の怪我人が居ないからに決まっている。
簡単に説明すると、現在カルデアには俺を除き三種類の人間が存在している。
・元気に働いている人(ブラック環境の技術者・専門家達)
・重傷者(コールドスリープ中)
・死人
である。
その為、俺のような中途半端な怪我人が他にいないうえに、皆多忙なため俺がいる病室エリアなどめったに人が来ないのだ。
まあ怪我が治った時に少しでも役立てるよう、雑用位は出来るよう治癒系統の魔術や医療の知識を学んでおくとしよう。
第二特異点が終了した。
なかなかぐだ男君たちは順調のようである。
ちなみに俺も魔術の鍛錬が順調すぎて怖いくらいである。
些か以上な成長具合の為、この成長力は所謂転生特典なのだろうか?
流石にアラヤからのバックアップではないと思いたい。
第三&第四特異点も無事解決。
第3特異点あたりで怪我も復調した俺は鍛錬と並行して掃除など雑用業務に従事している。
その過程で調理の雑用も行っていたのだが、今では何故か調理を担当していたブーティカさんやエミヤに認められ、俺も皿洗いから調理補助まで霊基再臨を果たすことが出来た。
ちなみにぐだ男君を久しぶりに見たが体つきが心なしか逞しくなっており、複数の女性サーヴァントに囲まれてTOLOVEっていた。
正直妬ましすぎてシャトー・ディフに呼ばれそうなくらいである。
尚、同じくTOLOVEる体質のエミヤやイケメンキャスニキには理解して貰えなかったが、黒ヒゲ氏とはソウルブラザーとなった。
・・・オペレーターなどのスタッフ達とは世間話をしたことないのにサーヴァント達とは結構会話している気がする。
俺ってもしかしてカルデアスタッフからハブにされてる・・・?
いや、そんなまさか・・・存在そのものを忘れられてる?
第四特異点が無事解決してしばらくしてぐだ男君やオペレータースタッフの何人かが過労で倒れた。その為、しばらくの間は次の特異点を探すにとどめて交代で休養をとる方針に決定し、スタッフ一斉に健康診断が行われることとなった。
ゲームではそんなことなかったが、まあぐだ男君は毎度毎度慣れない環境で旅をしたり、戦いに参加している。
また色々と濃いサーヴァント達とコミュニケーションを取っているのだ。
常識的に考えて、いつ倒れてもおかしくない状況である。
これが特異点攻略中で無かったのは逆に幸運であったのではないだろうか?
決して普段ハーレム状態でイチャイチャしまくり、更に早朝、清姫ちゃんとか酒呑童子ちゃんの部屋とかから、こう、性的な香りを漂わせながら出てきたのを見てしまった俺がマシュちゃんに告げ口したせいではない。
これがマシュちゃんの部屋だったならばフィンの一撃クラスを撃っていた可能性もあるが、決して俺のせいではない、良いね?
健康診断の結果、恐るべきことが分かった。
俺は末期のガン・・・とかではなくマスター適正があることが分かったのだ。
ちなみに適正というのは其処まで珍しい物ではなく、例えるならば血液型のAB型位の珍しさである。そのため俺以外にもスタッフの多くが実はマスター適正自体はもっているのだ。
本当にオルガマリーちゃん涙目である。
ただカルデア式の守護英霊召喚システム・フェイトやレイシフトを行えるほどの適正を持っており、かつサーヴァントを維持するための魔力を持っているかとなると一気に希少さが増してしまい、以前は前者の適正値の不足が原因で俺はマスターとはなれなかったのだ。
それが何故か俺の適正値が上昇しており、俺も人類最後のマスターに仲間入りとなったわけだ。
ロマンやダ・ヴィンチちゃんはしきりに首を傾げていたが、死にかけた(前世の記憶が蘇った)からじゃないですかね?っと適当に答えておいた。
やったね、ぐだ男君、仲間が増えるよ!
黒ヒゲ以外誰も俺のサーヴァントになってくれなかったでござる。(絶望)
曰く、
・自分達が主と認めたのはぐだ男(先輩)なんで。
・コンビネーションを磨けてきてる状況で今更他のマスターはちょっと。
・お前誰だっけ?
とのことだった。
もっともな意見であるが、最後の奴は今後食堂で食事をとる際は覚えてろ。
というわけで俺はダ・ヴィンチちゃんから3枚の呼符を貰い、新たに召喚を行った。
因みにこれまでの特異点で入手した触媒が多々あったが、自分との相性を考えて触媒なしの召喚を行うことにした。
ぶっちゃけ俺は「勝てばよかろうなのだぁ~!」寄りの思考なので、罠や不意打ちバッチコイという感じの性格である。
そのため外道ではないつもりだが、必要ならば現地の人を見捨てるのもアリだと考えているためアルトリアとかディルムッドなどの真っ当な英霊とは相性が悪い気がするのだ。
具体的には第4次のセイバー陣営とかランサー陣営みたいになりそうな気がしてならない。
その点黒ヒゲは問題ないが、戦闘となると心もとない上に野郎二人では潤いがない。つまりは楽しいガチャの時間である!
1枚目の呼符を使用して召喚を行う。
召喚陣に強大な魔力が渦巻き、眩い光を放つ。
そして前世でなんども見た召喚サークルが発生し、その中には影が一つ。
(バーサーカー来るな、バーサーカー来るな、バーサーカー来るな、バーサーカー来るな。バーサーカー来るな、バーサーカー来るな!)
因みにゲームとは異なり此処は現実であるので、やはりバーサーカーは制御が難しく、魔力も多く取られる。
その為清姫や頼光さんのような話が出来る(通じるとは言っていない)一部の例外を除いて所謂一般的なバーサーカーは令呪による自決が通例となっている。
眩い光が収まると其処には・・・
「麻婆豆腐」
「FU〇K‼(白目)」
ガチャ1回目は前世でも馴染み深い「麻婆豆腐」だった。
そうだよね英霊とは限らないよね。
ぐだ男君、そんな「ああ、よく有るよね」って表情でこっちを見ないでほしい。
続けて2枚目。
まばゆい光と共に召喚陣に現れたのは・・・金の種火
黒ひげの口に押し込みラストガチャ!
流石に黒ひげ1騎は辛いので何とか出てきてほしいところだ。
3度目の眩い光と共に召喚陣に魔力が充填される。
今回は今までと異なり召喚陣は3層の光帯が囲まれた。
「問おう、貴方が私のマスターか?」
「まさかの騎士王だと!?だが戦力としては十分・・・ってXじゃないですかやだー。」
「ふっ!まさか私のことを知っているマスターとは・・・なるほど私のファン、というやつですね!!」
「(ファンじゃ)ないです。」
まさかの謎のヒロインXがやってきた。
ヒロインX可愛いですよね。
でもマルタがもっと好きです。