アザメス王国王城「キャッスルオブザブレイブ」
勇者の城という名のその城に俺達は居る。らしい。いきなりここに転移したから移動した感じがしない。
まあとにかく、俺達はこの国の王様に会いに行くらしい。
それで城の通路を歩いているのだが、さっきからたくさんの視線を感じる。や、まあ俺達は異世界の勇者様らしいから珍しいってのもあるんだろうが……特に俺と小町を見ているような気がする。
まあ小町は可愛いし思わず見ちゃう気持ちには同意できるが、あんまり見てると目玉潰すぞ。特に大志、お前は許さん。あ、そういえばここに大志居なかったね、グッヘッヘッざまあ見ろ。
……ふう。
まあそれはそれとして、やっぱり俺も見られてんな。小町だけじゃなく。うーん、そんなに目の腐った男というのは珍しいのだろうか。周り探せば結構居そうだがな。……いや、やっぱないな。周りに俺みたいな目をした奴がいっぱい居たらきついな。うん。
ということは、この俺に向けられる視線は好奇というより監視の意味が強いのだろうか。やだ、見ず知らずの人に監視されるとかぼっちには耐えられない。八幡死んじゃう。
そんなことを考えていると前の集団が立ち止まる。何事かと思い先頭に居るであろう王女様に視線を向けるが、どうやら謁見の間に着いたようだ。
ギギーッと音を立てて扉が開く。王女様の護衛の騎士が開けてくれたようだ。
「……ようこそ。アザメスへ。歓迎するよ、異世界の勇者達」
そこには、葉山と同等かそれ以上のイケメンがいた。この人が話に聞く王様なのだろうか。
「僕はファーガス・アザメス。この国の国王をやっている。早速だが、ここに居るということは、引き受けてくれたと考えていいのかな」
「はい。俺達は持てる力の全てを使って、この世界を救って見せます」
「そうか。ありがとう。頼りにさせてもらうよ」
そう答えるファーガスは疲弊しているように見える。さっきフィリアスが言っていた、他に方法が無かったというのは本当なんだろーなー。はぁ、めんどい。つーか、無関係の人間巻き込まなきゃならん状況がどうしてできるのか。いや、その位魔王やら邪神やらがやばい奴等なんだろうが……ともかく、初めて手にした『本物』だ。この程度のことで失う気などさらさら無い。あいつらだけはどうあっても守り通す。
「さて、フィリアスから聞いていると思うがこの国は、いや、この世界は滅びの危機を迎えている。君達の都合も無視して呼んでしまって申し訳ないが、どうか我々を助けて欲しい。まあ、具体的なことは騎士団長からこの後説明させて貰うが、先に君達の『ステータス』を確認させて貰いたい」
『ステータス』ねえ。なんつーかベッタベタだな。こう、なんの捻りも無い感じ。まあ、異世界召喚されておいて捻りも何もないが……
「まあ、いきなりで色々と混乱しているだろうから、質問は騎士団長にしてくれ。……アンセルム、案内してくれ」
「承知いたしました。では皆さん、こちらです 」
アンセルムと呼ばれた初老の男に着いていく。恐らく彼が近衛騎士団長とやらなのだろう。ラノベ的な常識に当てはめれば。
……ふう。やっと周りの視線から解放された。ていうかこの城の人達は俺をなんだと思ってるんだろうか。ただ妹を愛している目の腐った男というだけなのに。……うーん、自分で言うのもなんだが、アウトだな。
続