境界の彼方 ~next stage~ 作:眼鏡が好きなモブ男
嘘です。してます。次回こそは頑張ります(二、三回目)
それではどうぞお楽しみください。
まず言わせてもらおう。「どうしてこうなった」と。
今までの経緯を話すと愚痴で一晩は越せるので言わないでおく事にするのだが、流れを説明するとなれば
栗山さんの家に住み着いた妖夢退治に行った→追い詰めたけど妖夢を殺すことへの嫌悪を拭いきれなかった為逃がしてしまう→追ってみたらなんかデカくなっとる→現在戦略的撤退中
最初は「イーヒヒヒヒ」なんて笑い方の悪戯をする程度しか出来なさそうな小悪魔(みたいなやつ)だったのになあ…今じゃ血のように紅い目に闇より黒い漆黒の体だ。
「ああ…もう…!なんで…こんな走らなきゃ…いけないんです…か…!」
「誰の…せいだ……!」
「不愉快…です…!」
そう言って彼女は突撃していった。
「おいバカ!やめとけ!」
そこの怪物は攻撃を受けてたまるかと腕で後輩を振り払う。
奇跡的にカスリもしなかったものの、何しろあの巨体なので風が吹くわけだ。
それに吹き飛ばされる後輩女子をしっかりと受け止める…なんて芸当は出来ないんだよな。これが。
しっかりクッションにはなってやったけど、絶対腰の骨逝ってるよこれ。
「畜生…訴えてやる…」
「先輩!ナイスです!」
「ありがとうじゃなくてナイスなのか?!」
「そ、それはともかく、アイツの指を見てみてください!」
んん…?アイツの指…あ、斬れてる。
「気付きました?多分、殺れます」
「出来るのか?」
「分かりませんが…何事も初めてが大事だとお母さんが」
突っ込みどころが多過ぎる。もう突っ込むのはやめとこう。
閑話休題。
さて、どうしたものか。
「じゃあさっきみたいにやるので、先輩は援護をお願いします」
え?と聞き返す暇もなく彼女は突撃する。
先程のように振り払う腕を鏡で受け止め、トドメの時だ。
「行っけぇぇえ!」
「だぁぁぁぁぁ!」
怪物は見事に真っ二つになっていた。
勿論その死体からは赤黒い血が吹き出、まさしく地獄絵図というヤツだった。
「…お疲れさん」
「ハァ…ハァ…ッ…」
今日の戦いのMVP賞に輝くであろう彼女の足取りは覚束無い物で、今すぐコケてもおかしくは無い。
無理矢理立たせるのは辛いはずだから、その場に座らせる事にした。
「大丈夫か?これ何本に見える?」
「すいません、ちょっと…今は…」
良くあるベタなやつにすら合わせる体力が無い?いや、もしかして…
「ちょっと失礼するぞ」
「?」
瞼の色を確認する為に顔に触れてから彼女は反応した。勿論瞼の色は限りなく白に近い。
「無理すんなよ?立てるか?」
返答は無い。顔を近づけてみると、スースー寝息が聞こえた。
参ったな…仮にも女子の部屋なのだから、無断で入る訳にはいかない…しかしここに置いていくわけにも…
そうだよ、なんで気づかなかったんだ。僕の家で寝させれば良い。そして気にするようであれば直ぐにベッドを洗えば良い。
そんな訳で僕は家に帰ることにした。どうやって運ぶか悩んだのはまた別の話だ。
短い?そんなの知らん。
異論は認める。