境界の彼方 ~next stage~   作:眼鏡が好きなモブ男

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久々の投稿!
忘れてなんかいませんよ。絶対に完結させると決めましたからね。ただここで二つ謝らせていただきます。
前回、あと2話(つまり次回が最終話)と言っていたのですが、多分無理かなーと思っています。
あと、長めと予告しておきながら短くなってしまったことも申し訳ありません。最悪5000文字くらい行っちゃう気がしたので…

さて、気づけば第1話投稿から1年が経とうとしています。
ここまでお付き合いして下さったこと、改めて感謝しています


第19話 今行くよ

…正直、僕に何らかの術をかけているのだという事は分かったのだが。

誰が、何のためにというのが掴めないのだ。

何度も栗山さんを救えないまま、20数回のループを終えて、未だに分からない。

そもそも現実の僕は今どうなっている?

現実世界の栗山さんは今何をしている?

鏡を使ってみようと思ったが、何故か出てこないというのも気になる。

ふと、栗山さんと話してみようと思いついた。

夢の中で僕は、部活を終えて、帰ろうと下駄箱に向かうところである。

「栗山さん、君は今、何をしてるんだい?」

「何って…こうして先輩と話してるんじゃないんですか?」

…抜かりはなかったか。

呆れるような彼女の目までそっくりである。

さて…いつ来るか…。

バリン!

という音を出して窓を破壊しながら妖夢が現れる。もちろん、標的は栗山さんだ。

…だが、そのくらい……

「予想してんだよおぉぉぉ!」

ありったけの力で栗山さんを後ろに引っ張った。

妖夢は突進のような攻撃をして来ているため、次の標的は僕だ。

…さて、どうなるか。

「先輩!」

…あれ、やばいんじゃないか?これ。

この世界で僕が死んだら…どうなるんだ?

そう思っていると、妖夢はいつの間にか串刺しになっていた。

栗山さんの武器である血の赤…ではなく、黒い刃で。

この色は、ついこの間見た。

夜の闇よりも黒い…この色は…

「君は…栗山さんじゃ無いのか……?」

「はあ…はあ…本当に…無茶するなぁ…貴方は……」

いつの間にか、栗山さんの髪の色も刃と同じような黒に染まっていた。

「この世界で死んだらどうかなんて…考えないんですか?貴方は…」

「ま、待て!お前は、妖夢の筈だろう?なんで、僕を…」

「単刀直入に言います。栗山未來に危機が訪れてます」

「……また?またなの?懲りずにまた無茶してんの?…一体何してるんだか」

「無茶してるのは貴方もでしょうが…。それに、貴方なら分かるでしょう?貴方が異界師達から煙たがられたのは、何も体に妖夢を宿していたからだけじゃないでしょ?」

「……それにしても、だ。何故お前が栗山さんを救おうとする?僕を選んだ理由があったとしても、この行為に理由はないはずだ」

「…私が負けたから」

「え?」

「私が、負けたんですよ。いや、正確には飲み込まれた。栗山未來は、トラウマから逃げ出さずに共に歩き続ける勇気を手に入れたんですよ。貴方が居たから。それなのに、逆に貴方に負い目を感じているのがなんかこう、ムカついて」

「あ、うん。分かった。……じゃあ、僕が行くまで栗山さんが死なないように頼むよ」

「…この私、命を懸けてでも栗山未來を護りましょう」

いや、君が命を懸けちゃ意味無いだろ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…目が覚めると、凄く気分が悪かった。

よくよく考えてみると、僕の中に居た妖夢が消え去ってくれたおかげでぶっ倒れたんだと思う。見事に居なくなってからも迷惑を掛けやがったわけだ。

現在、僕は病院にいるらしい。まあ、点滴ぶっ刺さってるし。

…さて、僕は今から栗山さんを助けに行くわけだが。

境界の彼方の内部に入るには妖夢の力が不可欠なのだ。

探しに行く時間なんて―

コンコン、とノックが聞こえた。

返事を返すと、出てきたのは凛香だった。

「あら、起きてたのです?」

「今さっき起きたばっかりだ。…やっぱり栗山さんは居ないか」

「やっぱり…って事は何か知ってるって事でよろしいかしら?」

「まあ…な。…見舞いに来てくれたとこ悪いけど、ちょっと行く所が出来た」

「……栗山さんを取り戻しにでも行くの?」

「ま、そんなとこかな」

「待ってますわ、二人ともね」

「アイアイサー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、僕が目指す場所というのは、特に場所という訳では無い。

どちらかと言うと捜し物に近い。そう、

(…よう、弟)

僕の兄貴をだ。

 

 

 

 

 

(…それで?何で俺を探してたのか…聞こうか)

「とぼけんなよ、アンタは一族の中で一番優しかった。そして…誰よりも宿命を全うしようとしていた。

…方法が正しかったとは断じて認めない。栗山さんを苦しめたのは紛れもない事実だからな」

(酷いねぇ、そこまで分かっといて。今、境界の彼方と戦って彼女が生きているのは誰でもない俺のおかげだ)

「……それは置いといてだ。僕も、境界の彼方に入る事は出来ないのか」

(普通じゃあ無理だな。今、境界の彼方は力を欲していない。いくらこの…境界の彼方の妖夢石があろうとも、入り込むことまでは不可能だ)

「…じゃあ出来るんだな」

(お前には、隙間がある。妖夢が入り込む余地があるんだ。そして…藤真弥勒の残した言わば妖夢の食欲を刺激する装置を使えばな。しかし…これを使えば境界の彼方はさらに強力になる。お前が死のうと俺には関係ない。俺には、な)

「…それでいい。…頼む」

(よし、任せろ。行くぞ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん、やっと来るか…先輩……」




あ、そうそう、なんで境界の彼方の事知ってるんだーと思ったアナタ!
多分次回じゃ無理なんで、2、3話先でお話することになると思います。決してご都合主義とかじゃ無いので……


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