境界の彼方 ~next stage~ 作:眼鏡が好きなモブ男
もしかしたら大幅な改正などあるかもしれませんが、その時はお知らせ致します
ふと、目が覚めた。
いつも通りの学校の屋上。橙色の空を見上げて、しまった、また栗山さんに怒られる。どんな言い訳をするか。なんて考えていた。
しかし、その計画は即座に失敗してしまったのだと分かった。
すぐ先に栗山さんがいた。良くわからないがフェンスを越えて景色を見ているのだろうか。
「おーい、栗山さーん、危ないぞー!」
しかし、返答が無い。不審がって良く見てみると、彼女は俯いていた。
「栗山さん!どうしたんだい?」
そう言いながら駆け寄って見るが、やはり返事は無い。
「先輩……」
「…ようやく、口を聞いてくれたか」
消え入るような声で僕を呼んだ彼女に応じてみたが、彼女は再び無視をした。
「…栗山さんいい加減に……」
彼女の掴まるフェンスに掴みかかろうとしたその時、僕の体はフェンスをすり抜けた。
「……え?」
「先輩……どうして……
死んでしまったんですか…?」
「……は?え?」
僕はその言葉をすぐに受け止めることが出来なかった。
僕が?死んだって?
「な、何言ってんだよ、僕はここに…」
言いかけてから気付いた。
栗山さんが掴むフェンスのその先に。
とても見づらいが、動かない僕がそこに居た。
「え?な、何が…起きてるんだ……?」
「私…一人で生きていけるほど強くありません」
「!?ま、待て!早まるんじゃない栗山さん!待―――」
前に傾いた栗山さんを掴もうとしても、言葉で止めようとしても全くの無意味だった。
息が荒くなるのが分かった。
そして、見たくも無い地面を、彼女の血が散乱した地を見て――――
「ああああああああああ!!!!」
叫んだ。力の限りに、悲しみを誤魔化すように。
しかし、消えない。何も、変わらない。
胸に穴が開くどころか何も無くなったんじゃないかというくらいの虚無感が広がっていた。
「っ………う…ん?…あれ?」
…部室だ。何の変哲もない文芸部…。
「あぁ…酷い夢を見た…」
「あ、先輩。やっと起きたんですね?ダメですよ、今忙しいんです…から……って、なんで私は急に抱きしめられてるんでしょうか」
「ごめん、夢の中の栗山さんが死んでしまったからつい」
「人を勝手に殺さないで下さいよ!?…それに、守るって言ったじゃないですか」
「…守る?なんで今、そんな事…」
ふと、右手に生暖かい物が触れているのに気付いた。
見てみると、右手は赤く染まっていた。そして、いつの間にか栗山さんの腹を貫通している。
「こ、これ…は……」
「やっと…戻った……やっと…」
「く、栗山さん、何を…」
気付けば、文芸部の部室などでは決してなかった。
数日前の戦い…いや、それすらも夢だったのか?
「元はと言えば…私が先輩を殺したのが原因ですけど…ね」
「どうして…どうして逃げなかったんだ…僕を…殺してくれなかったんだ…」
「…ごめん、なさい…生きて欲し…くて…」
「馬鹿野郎…誰も…君を殺して生きたいなんて…言ってないじゃないか…。…おい、栗山さん!目を閉じるな!勝手に僕を生かしたんだ、その責任は取ってもらうぞ!」
「すいませ…ん…出来そうに…な……い……」
「うわあああああああああああああっっ!!くそっ、くそおおおおおおおお!」
…夢なんだろ?これも。
あの時言った「無茶するな」が夢だとは思いたくないしな。
「分かったよ…君を…助ければ良いんだろ?栗山さん…」
次回文字数多めの予定。
もしかしたら学業に追われて来年くらいまで出ないかも…?