境界の彼方 ~next stage~ 作:眼鏡が好きなモブ男
追記 サブタイトル変更を行いました。また、亀投稿なのでご了承ください
第1話 神原家の非日常
あの戦い(事件?)から15年が経った…
そんなに出来事が無いと年月が過ぎ去るのは早いもんで。気付かぬ間に5年…10年…15年と過ぎて行った。
まあ、何も無かったのかと聞かれたらそりゃ色々あるさ。
例えば、10年前。僕と栗山さんは結婚した。後は…7年前、子供が産まれた。子供の名前は
これは余談なのだが、昔の癖でついつい「栗山さん」って呼んでしまう事がある。その度に「今の私は栗山じゃないし夫婦なんだからさん付けも要らない……です」とか言われる。
が、それならそっちも敬語じゃなくていいじゃないかと言ってやったら「うー…不愉快です…」とか頬を赤らめながら言ってくる。うむ、今日も可愛いぞ未来。
まだ付き合ってただけだった頃は、こんなイチャイチャするようになるとは思ってなかった。中学生の頃はリア充を見つけては毒づいていたのが嘘のようだ。
さて、本題に移るとしよう。簡単に言って、僕神原秋人は、死にかけている。腹をナイフでブスッてやられた。もちろん普通はこんなもので死ぬはずがない。あのいかつい血の刀で刺されても痛いだけなのだから。恐らく術式かなんかでも掛けてあったのだろう、妙に息苦しくて、汗がダラダラ出てくる。
昔、泉さんにやられたような方法で人の面を極めて弱くさせられているようだ。
……足音が聞こえる。めちゃくちゃ足音のリズムが早い。まるで蹴飛ばすかのようにドアが開き、軽く泣きそうな顔をした未来と我らが娘、未來がそこには居た。
「先輩!平気ですか!?」
「ああ、平気だよ。それより、もう先輩じゃないだろ?」
ニカッと笑ってみせるも未来にはバカにしてるように見えたのだろうか、「不愉快です」と言われてしまった。これでも無理して笑ってるんだぞ?
「そ、それよりほら、看病の時に定番のリンゴですよ!」
「…おお!可愛いじゃん!」
そう、未来の作る料理はいつも味はともかく独創性溢れる見た目であり、結婚してすぐ、桜から結婚祝いで(再び)貰った豚の頭をそのまま焼いて出すという偉業をやってのけた。
なのに、今回のリンゴは…可愛い、綺麗なうさぎリンゴだ。どう考えても未来が切ってきたものではない。それ故「未來、上手いじゃないか。」と言うのは簡単だ。しかし、それだと未来が傷つく。かと言って「未来、上手くなったね。」と言っても未來がギャーギャー言ってくるだろう。
そう悩んでいると未来から「未來が切ったんですよ!」と言ってきた。
何も言わずに済んだことに内心ホッとしながら、「上手だぞ」と言いながら撫でてやった。すると、未來は「エヘヘー…」と心底嬉しそうに言っている。その様子を見ていると新しい何かに目覚めてしまいそうだ。
「パパ!あのさ!」
「んー?どうした?」
何か買って欲しいものでもあるのかな?良いぞ、なんでも買ってやる。(親バカ)
しかし、思っていたのとは違っていた。
「パパとママは、どうやって知り合ったの?!」
「そ、それは……。大きくなってから…」
「パパもママもなんで隠すの!?」
…成程、既に聞いていたか。でも未来は仕方ないよな。まず、覚えていないし、あの出会いは偽物…って程でもないけど本当に初めて知り合ったのではない。だから言わなかった…いや、言えなかったのだろう…。
皆さんご存知の通り未来が自殺しようとしていた(今考えてみると違うのかもしれないが)所に僕がメガネの魅力等々を熱く語ったと言ったのだった。
言えるか?こんな出会いだなんて。
そんな事を考えているのも構わず続けざまに未來は話してくる。
「まっいいかそれより、ママにパパのどんな所が好き?って聞いたの!」
「……!」
未来が凍りついてる。え、何?何て言ったの?
「そしたら、パパは優しくて、カッコイイっt…」
「未來ぅぅぅぅ!!!」
耳まで真っ赤にした未来が未來の口を抑える。息を荒げていて、文字通り必死だ。
「み、未來!?人が沢山いる所では、そういうのは、言っちゃいけないんだよーー?!」
そういう君だって公共の場では静かにしなきゃいけないだよ?ヤケクソの如く笑ってる未来の目は未來を見ているようでいながら未來見ておらず、その端っこには涙が溜まっていた。
こんな何気なく…は無いな。うん。非日常だが、幸せな一コマだった。
コンコン
突然誰かがノックをした。どうぞーと言うと現れたのは…博臣だった。
「お熱いようで」
アイツはやって来るなり、そう言い放った。おい、どうしてそうなった。僅かな静寂の後、博臣は二人を追い出した。ま、する事大体分かってるけども。だって僕が頼んだんだからな。
「…久しぶりだなアッキー」
「そうだな。何年ぶりだ?」
シリアスな雰囲気をぶち壊し、僕の脇に手を突っ込もうとする博臣の手を弾いて、本題に入る。
「…今日俺が来たのは何も世間話をする為ではない。お前の中の境界の彼方の事だ。」
博臣は、僕の事を指差しながらそう言った。
境界の彼方。それは僕の中にいる妖夢であり、最強って言っても過言では無い。内部が一つの街の広さ…だけだったら良いのだが、家もあって車もあって学校もある「超」じゃ足りないぐらい巨大な妖夢だ。本来、コイツの力で何事も無く忙しない日常に復帰できるのだが、今回は違った。その原因の調査を頼んだって訳だ。
「コイツは…どうした方が良いんだ?」
「……追い出せ」
「バカ言え!コイツがどれだけ危険か、分かってる筈だ!」
「まぁ待て。人の話は最後まで聞くもんだぞ。まず、お前を檻で閉じ込め、空に上げたあと、お前の中から追い出してもらう。悪いとは思っている…だが、これしか方法が無い。あと、お前に頼まれた事について。何者かは分からんがお前が刺されたナイフ、調べ終わった。……術式が掛かっていた。お前の人の部分はほぼ確実に、死ぬ。だからお前の体の主導権を握られる前に、上空で境界の彼方をお前に出してもらった後、お前の嫁さんに殺してもらう」
…ま、そんなとこだと思ってたよ。
これはアンチヘイトだ!と思ったら直ぐに言ってください。基準が無い(と思っている)ので難しいのです。
あと今回、丁度2500文字です。