Fate/Grand Order 「マシュ。聖杯ってよく拾うけど全部願望器として機能してるの?」「勿論ですよ先輩」「じゃあソロンモさんを永み─」「先輩!」 作:第2類医薬品
もう取り合えず衝動に任せて書いた結果。
展開の早さが目立つのは最早定番に。
「やったぁ!沖田さん大勝利!」
「ありがとう。お陰で令呪を使わずに済んだよ」
イシュタルから無事逃げ出せて5分。再び女子トイレに逃げ込んだ俺と沖田さんは清掃道具等で入り口のドアを塞いで脱出ルートを考えていた。
「しかし、沖田さんはどうしてここら辺に?」
「この先の図書館に向かう予定だったんですが、その途中でマスターを」
図書館?あぁ、あれか。前に小次郎に燕返し教えて貰ってて、燕を斬るところからとか言うお題出されたからか。確かに、あのドラゴンスレイヤー小次郎が「あの燕を上回る奴にいつ出会えたものやら」みたいな事言ってたから、大方その燕が何者か気になったんだろう。多分、幻想種とかのレベルだと思うんだ……。
「成る程。何にせよ、本当に助かったよ。何かお礼を出来れば良いけど……」
「あ。じゃあ甘いものを目一杯食べたいです。マスターも一緒に行きましょうよ」
「そうだね。時間があるときに声掛けるよ」
「やったー!」
正直、突然沖田さんが叛旗を翻すのではないかと疑っていたが、この様子だと本当に大丈夫そうだ。
「さて。良く考えたら俺は体は女でも中身がガッツリ男だからなるべく早めに出ようか」
「そう簡単に逃がさねえぞマスター!」
「この男勝りな口調は……!」
バンッ!とドアを蹴破って侵入してきたのは叛逆したがりなセイバー、モードレッド。通称モーさんだ。
また面倒なのが来たなぁ……。
「モーさんか……。俺を探しに来たのか?」
「おうよ」
「……どうせアルトリアに叛逆して、良く分からないけど取り合えず俺を捕まえたいだけだろ?この叛逆したがりめ!」
強めの口調で指差すとモーさんは図星だったのか、一瞬たじろいだ。まぁ、モーさんも中身がちょーっとお子様な部分あるからなぁ。
「う、うるせえ!あぁそうだよ!父上は他の皆に『マスターは心身共に疲労している筈です。これ以上騒いではマスターに迷惑になります』って言ってたからな!叛逆して何が悪いんだよ!」
「じゃあ他のアルトリアはどうなんだよ?」
「うっ……それは……ちぃ!そんなのはどうでも良いんだよ!大人しく捕まりやがれ!」
モーさんはクラレントに雷撃を纏わせ、斬りかかってくる。それに素早く反応した沖田さんは刀の
「は、母上!」
「いつの話ですかそれ!」
(俺のガンド弾数は残り僅か……モーさんが出たとしたら他の円卓勢はアルトリアに同意して静観か鎮圧の可能性が高いな。ならば!)
「モーさんやい。実は俺の部屋にアルトリアグッズがあるんだけ─」
「話を聞かせろマスター」
「剣おさめるの早ッ!」
「実はさ……」
すっかり魔力放出も止めたモーさんと肩を組み、「皆にはナイショだよ?」と前置きして耳元で囁く。
そんなにコソコソ話すなんて、一体どんな凄い父上グッズが!?と口に溜まった唾液を嚥下したモーさんも僅かに耳を寄せてきた所で俺は肩にかけていた左手を銃の形にした。
「……ガンド」
「な─はぅ!?」
気付いたときには時既に遅し。
うなじに距離/Zeroで撃ったガンドでモーさんは一瞬海老反って、痙攣しながら倒れる。
「ククク……実に御し易い。残念だがモーさん、アルトリアグッズなんて持ってないんだ」
「……クソッ!嵌めやがったな!」
「僕はね、安全な自室に戻りたいだけなんだ」
「畜生!後で……後で赤いけど白い父上?に言いつけてやるからな!」
「余の話をしたかマスターよ!」
「呼んでなーい!」
蹴破られたドアから顔を出したネロ。正確にはネロ・ブライドとでも言うべきなのだろうか、純白のウェディングドレス(?)を纏ったセイバーだ。
ただ着替えただけの気がするのだが、オリジナルのネロ曰く「
「赤くて白い父上!」
「余はそなたの父上などではないが……あれだな!今マスターが美少女であるならマスターが嫁で余が旦那となればそなたのような反抗期の子を持つのも悪くはないな!」
「ネロォォォォ!ブライドォォォォ!」
「伯父上!」
「うわぁぁぁ!ややこしくなった!」
自然な流れで女子トイレへとなだれ込んでくる嫁王とカリギュラ。ある意味出口を塞がれた俺達はこのまま捕まってしまうのか!?
「─無明三段突き!」
「母上が壁を壊した!うわっ、あぶね!」
「む?危ないぞモーさん。早く出るぞ」
「出ロォォォォ!」
「マスター此方へ!」
うつ伏せでありながら周囲の状況を的確に捉えているモーさんだが、動けない以上瓦礫を避けることが出来ない。それを察した嫁王がズリズリと引き摺って出ていき、カリギュラが瓦礫を退かしながら嫁王を先導する。
そして俺は再び沖田さんにお姫様抱っこをされて廊下へと飛び出して逃げていく。なんのコントだよ……。
「後が怖いなぁ……」
「大丈夫ですマスター。沖田さんも一緒です」
◇
「ぐだ男殿ー!」
沖田さんに下ろして貰って暫く走っていると、何処からともなく
「ハサンか!?何処だ!」
「ここに!ぐだ男殿!」
気配遮断をしていたのか、立ち止まると目の前にハサンが立っていた。
「ん?静謐と百貌も一緒なんだ。どうしたんだ呪腕」
ハサンは複数人居るから、2人以上集まった時には各々異名で呼ぶようにしている。
現れた呪腕の両脇に同じ様に姿を見せた静謐と百貌は雰囲気から分かるほどに臨戦態勢になっており、俺や呪腕と話しながらも辺りの警戒を怠っていない。
「先程、シェイクスピア殿と
「あんの作家めぇ!して、状況は?」
「はっ。只今カルデアの全フロアの内約57%が反乱英霊により制圧されております。百貌よ」
「既に我らの幾人かが偵察を行っております。先程はザイードからここの2階のサーヴァント配置が雑であり、切り抜けるのは他愛なし。との事」
「成る程ね……半数が制圧か……百貌。敵の察知が得意な個体を先頭に3人ずつ5m間隔で前後に配置。敵を見付けたらすぐに此方に情報伝達出来るようにしてくれ。だから百貌は俺と一緒に。呪腕と静謐は一足先に2階の状況を確認してきてくれ」
こんな感じ。
前
●←敵の察知
5m
●←伝達(状況により伝達以外の動き可)
5m
●←伝達(状況により伝達以外の動き可)
5m
○俺●←沖・俺・百
後は対称で同じ様に。
「承知」
「任されよ!」
「承ります」
ここで流れるBGMは『duel 1』にしておこう。脳内再生脳内再生っと。
と、脳内再生しはじめた時に館内に状況を全く重く感じていないような声が放送され始めた。
『ダ・ヴィンチちゃんより警告≫カルデア内でのサーヴァント同士の戦いは禁止されています』
「な、何だこれ!視界に赤い警告文章が流れてる!」
「何ですかこれー!?」
「な、何だか知らないけど……!誰がそんな警告に従うか!」
警告を無視し、他愛ない2階を目指して歩き出す。
ずっと流れる警告が集中力を削いでいく中、敵は突然現れた。
「ゴールデン!」
その掛け声と共に廊下の床を破壊し、穴よりよじ登ってきたのは、何を隠そう……と言うか隠しようのないゴールデンオーラを纏うゴールデンな男。ゴールデンその人だ。
「金時!まさか……」
「悪い大将。今の俺は自由に体が動かせねぇ」
「ちくせう……!メディアさん辺りの魔術か!」
「マスター。エミヤさんの投影でそのメディアさんの
「駄目だ間に合わない!金時、令呪を以て命ず!」
今、金時を操作する魔術を打ち消せる手段は生憎令呪しか持ち合わせて居ない。それに、このメンツで金時と戦うのもパワーの違いや、他のフロアからサーヴァントが集まって来る前に倒すのは不可能と判断した。
「忌まわしい魔術を打ち破り、俺に味方せよ!」
右手の甲。残り二画となっていた令呪が一画弾け、その膨大な魔力をもってして魔術を打ち払う。
恐らく、敵の狙いは間違いなく令呪の消費だ。金時というゴールデンに強い味方がついたにしても、こちらが劣勢であることには変わらない。
残り一画……元凶が複数居る以上、命じて止めさせるのは無理だ。となれば─いや、駄目だ。ダ・ヴィンチちゃんは俺とは契約していないから令呪の縛りがない。保管している聖杯を使わせてくれないし並の魔術やルーンでは聖杯に太刀打ち─
「済まねぇ大将。俺っちがドジ踏んだばかりに……」
「……大丈夫。今素晴らしい事を思い付いたんだ」
「素晴らしい事?」
「あぁ。
キャスニキや槍ニキのルーンも充分強力だし、玉藻の呪術も視野には入れていたが、師匠の方が今回の騒動に荷担していない可能性が高い。よって師匠にお願いしてもらう作戦だが……果たして見付かるかどうか。
「百貌、作戦変更だ。今から全個体を用いて師匠の発見を急いでくれ。その間、下を攻略して呪術達と合流する」
「はっ!」
◇
「ザイードォォォォォォ!」
「ふははは!愚かよな雑種!いつぞやの他愛なしな姿を彷彿とさせるわ!」
「ぐだ男様!ザイード様が死んでしまいました!」
「この人でなし!」
2階に着くと既にカオスだった。
呪腕が倒れたザイードを抱いて悲痛の叫びを上げている。何が配置が雑だ、何が他愛なしだ。
「ギルガメッシュ!ここに来た理由は何だ!」
「分からんか雑種。
「ごもっともです!」
「流石に同意致しますぞ!」
「私も同意せざるを得ません」
「こんな酷い話に誰がしたぁぁぁ!!」ガクッ
「ふははは!良い即興だったぞ雑種!褒美に現状を訊いてやろう!」
我らが英雄王、アーチャー・ギルガメッシュはザイードと俺達の即興(ではないけど)に大変満足したようで、騒動としか理解してない現状を然り気無く訊いてくる。
まぁ、普通は「訊いてやろう!」じゃなくて「教えろ」の方が正しいんだけど、言ったところで意味はないから黙っておく。
「かくかくしかじか」
「成る程。ならばこれを貴様にやろう!受け取るが良い!」
ギルガメッシュが何やらゴソゴソし始める。何だろう?こう、ギルガメッシュが何かをくれるなんて正直嫌な予感しかしない。
「おぉ、これよ!」
「67?up@9f@;qkw@r?」
「「「うわああああああああああ!!!」」」
「ちとキャスターの
「要らねぇ!物凄く要らねぇ!せめて何かの原典にしてほしい!」
「dz;eu!0qdf3uqqakd.MONOfuekw@r9!」
ほぇ!?何だコイツ……俺は……コイツの言葉を理解できるぞ!読める……読めるぞ!
「喋ってもこの有り様よ」
「ぐだ男殿!これはどうすれば!?」
「ぐだ男様!下がってください!」
「……まぁ、確かにコイツは俺達が知ってるようなラフムじゃないな。偉く整った?喋り方するね」
「6&!0qdkbsf@t@0tljrt!」
「分かるよ。ウルクの人?」
「e7、s@\d(zdyw@r」
突如としてギルガメッシュの庫から引きずり出されてきた紫色不気味な生き物、ラフムはバビロニアで散々戦ったラフムと……そうだな……シドゥリさんを思い出す……あの時俺は……。
「3;fvs@emkw@dq……」
「……ごめん。お前も辛かったんだな。兎に角、お前はあそこの連中とは全く異なるみたいだね。安心したよ」
「出した
「流石ですぐだ男様……///」
「静謐よ。ぐだ男殿が好きなのは分かるが、今の所で頬を赤らめるのは良く分からん」
バビロニアではトラウマが多くあったのを思い出して感傷に浸っているとラフムから慰められる。そんな硬質な体なのに触れる時はそんなに優しく軟らかいなんて……お前良い奴だなぁ!気に入ったわギルガメッシュ!
「ありがとうギルガメッシュ……コイツとは良い仲間になれそうだ!」
「]$……xーf@ysw@uekt@h7j;jru」
「お前とはサーヴァントとマスターの関係でなくても良い信頼関係を築けるはずだよ!頑張ろうぜラフム!」
「64!」
ラフムとかたい握手を交わす。
ククク……見ていろシェイクスピア、女神同盟。俺とラフムならこの騒動、掌握してみせる!
─うん。初めに言っておくとね、僕はラフム語使いなんだ。
えっと、ネロの所はゲームだと着替えただけの同一人物扱いされるのですが、そんなの考えたってしょうがないので別の道を辿ってきたぐだ男大好きネロにしておきました。
まぁ、水着鯖に関しては本当に着替えただけの扱いにしてますが。
これはチュー意事項だ!
ラフム語はとっくりと解読したまえ