Fate/Grand Order 「マシュ。聖杯ってよく拾うけど全部願望器として機能してるの?」「勿論ですよ先輩」「じゃあソロンモさんを永み─」「先輩!」 作:第2類医薬品
ヒロインXオルタ……以降Xオルタと呼びますが、最近弓王と若干相性が良さげな感じがしてきました。
しかし素材がまた辛いですね……たてがみみたいなMOFUMOFUしたアレ交換に無かったらバビロニア周回でしたわ。まぁ、それは兎も角、詫びバルバトス実装求。
「2人がやられた!?うぬぬ……聖杯で力を弱めたとは言えあの2人が……」
「当たり前ですわ。幾ら弱めてもサーヴァントはサーヴァント。一対多の状況では無理があります」
「でもマスター。聖杯の力があればその邪魔なサーヴァント達を退去させるなりなんなりすれば良いじゃん」
「それが出来たら苦労しないわよ?ねぇ、マスター?」
「うむ。実は─」
◇
「見えた。あそこだな」
「何だかどこかで見たことあるような城だな。つーか何で2Dドットなんだよ」
「風雲○○城って感じだね。それかエリちゃんの冒け─うっ……頭が……っ!」
「……マスター。あの城は門兵等の兵士が全く居ません。不気味です」
「こういう時に
「何故今回の編成には加えなかったのですか?ロビンフッドさんなら多少の異常な事態でも問題なく対応できると思いますけど」
「ロビンはエリザの生歌を
エリザことエリザベート・バートリー。ランサー(とは言っても得物が槍とは言い難いマイク)のサーヴァントだ。
なんでも、並行世界の月の聖杯戦争で散々暴れたらしいサーヴァントなのだが、セラフ仲間のセイバー、ネロ・クラウディウス曰く、「余と赤ランサーは共にアイドルを極める良きライバルだ。ただ……ちとばかり問題行動が多くてな。ここで起こす問題なんて可愛いものだ」とのこと。本当かよ……もうエリザが何人になったと……ハロウィンとかブレイブとか。こりゃあまだ増えるぞ。
「セラフか。俺も少し記憶があるが、夢みてぇにフワフワしてるんだわ。あの赤いアーチャーも居たが、あいつもおんなじ状態だろうよ」
「らしいね。ネロがエミヤみて『む?
ただ例外もある。
例えば今のような人理が狂ってしまったこの世界だ。本当ならば時間軸に囚われない座にある記憶全てを持ち込むことが出来るとなると今行われているこの
「もっと詳しく言うと事象固定帯とかの話になってくるけど、今は良いや」
「何だか知ってる気がするな。その辺りの話に似てるのを……」
「で、どうするのよ?あのゲームみたいな城に行くの?」
「行くしかない。どうみてもあれは攻略対象だし」
僅かな背丈しかない草むらから体を起こして埃を払う。
「正直、ここから兄貴の投げボルクであらかた破壊しちゃっても良いんじゃないのかこれ?」
「良いのかよ?敵さんも色々準備して待ってるんじゃねぇか……?」
「関係無いね!聖杯を無駄遣いしてこんな迷惑かける奴なんてロクな奴じゃあないのはアレを見れば一目瞭然ッ!例え
「クー・フーリンさん!マスターがバーサーカーになってきてます!」
「分かるわマスター!私もそういうの一発必要だと思うのよ!よっし!ハンパなシャバ僧共をシメてやろうじゃない!」
「マルタさんもやる気です!」
「ぐだ男殿……相当溜まっていた怒りが爆発したようですな」
「素晴らしい!やはりマスターにもオルタの気が!如何ですかなジャンヌ?マスターとの意外な共通点が見付かって嬉しいのではありませんか?」ニヤニヤ
「ばっ─何言ってるのよ!?アイツが
その後、一頻り雄叫びを上げて漸く冷静さを取り戻してから兄貴へと再び指示を出す。従わないなら令呪の使用もやむ無しと、俺の姿勢にやれやれと言いながらも兄貴はその宝具を使うことを了解してくれた。
そして今─
「この一撃……」
俺達から遥か後ろで、ほぼ地面に這うような体勢になった兄貴が槍を握る五指に力を込める。
今から放つのは兄貴の宝具ゲイボルクの本来の技。対軍宝具
「手向けとして受け取るがいい─!」
脚力により爆発したように草土が兄貴の後方に撒き散らされ、持ちうる最大の膂力で地を蹴り進む。僅か2歩─1歩目で200mは後ろに居た兄貴が俺達を通りすぎ、2歩目で50mは上空に跳躍し、右手の朱槍に赤黒いオーラが鋭く纏われる。
「
遠目からみても分かる。強大な力が込められた一撃が音よりも速く、標的であるドット城に飛んで行く。
分裂し、それがまた分裂し、更にそれらが分裂して城に襲い掛かった。この一撃は刺しボルクの必中(笑)と違って広範囲の破壊が得意であり、刺しボルク程の因果逆転の呪いは無いが、何度避けられても追い掛けると言う恐ろしい効果も付いている。
「─よっと。あー、久々にやったから加減間違えちまった」
ポリポリと頭を掻いている兄貴の言う加減とは、精々外壁を破壊して入りやすくする。というラインだったのだが、見てみれば半壊状態。今にも崩れそうなドット城がどれほど強固だったのかはもう分からないが投げボルクの威力の高さを知らしめてくれる。うーん、弱体化とは一体……。
「ま、良いわ。これで満足だろ?」
「うん。予想だと全壊だったんだけど、これで敵の罠も仕掛けも全部おじゃんになっただろうから安心して進撃できる」
「全壊目指してたのかよ……」
「って訳で邪ンヌ。ドラクロワの『民衆を率いる自由の女神』みたいに旗揚げてポーズ決めてよ。ついでに胸だして良いよ」
「バッカじゃないの!?何で私が聖女ぶんなきゃならないのよ!て言うか胸も出さないわよ!」
「えぇ~?ほんとにござるかぁ?」スッ(令呪構え)
「ほ、ホントよ!第一、あの絵は私じゃなくてフランスの象徴でしょうが!旗掲げてるから同一視されがちだけど別人よ!分かったらその手下ろしなさいよ!……それに、幾らアンタでも令呪で無理矢理は─」
「おや?ジャンヌ、もしや令呪で無理矢理じゃ無かったら良いのd」
「死ね!!!」
何かを言いかけたジルが邪ンヌの鋭い回し蹴りを食らってくの字にヘシ曲がった。ただでさえ飛び出し気味の目玉が更に飛び出てる。後でジャンヌに突いてもらおう。
「ま、そんなのは知ってるから良いんだけど。行くぞ!」
「展開が早くて良く分かりませんが了解ですマスター!」
「シバキに行くわよ!」
「応ッ!」
◇
えらく崩れた城はやはり無人だった。いや、正確にはサーヴァントが居るんだろうが、姿は見えない。攻撃を回避したのか既にダメージを負って退去したのかさだかではないが、取り敢えず襲ってくるような気配はない。
「なんか、眼が悪くなるような風景だね。やったことないけどナインクラフトみたいだ」
「あのブロックゲームでしょ?言われてみればそんな気がしなくもないわね」
そんな雑談を交わしながら瓦礫の山を進んでいく。
大広間を抜け、長い廊下を抜け、中庭へと歩みを進めているが、一向にエネミーが出てこない。
「全然エネミーと遭遇しませんね」
「そうだね。もう警戒解いても良いよマシュ」
「いえ。こういう時こそ警戒を怠らない様にしないと……」
「流石だな嬢ちゃん。確かにこういう時でこそ警戒を解いちゃいけねぇ。いつ殺られるか分かんねぇぞ」
成る程と返事し、俺も槍を構えて警戒状態に入る。サーヴァントに比べたらただの人間である俺なんて大した驚異には成り得ないだろう。それでも何もしてないよりかは断然良い。
「……ハサン。何かの気配とか感じる?」
「いえ。これといって感じませんな。ただ気になるのは……視られている、のでしょうか?気配こそ察知できなくとも視線を多々感じる時が」
「高度の気配遮断……?だとしたら厄か」
「待て!今のは何だ!?」
「え?どうかしましたかクー・フーリンさん?」
「何か聞こえた。こう、肉が─」
「……っぐぁ!!ーー!」
「マスター!?どうか─危ない!」
マシュが俺の異常を察知して盾を構えた。刹那、何かが盾に弾かれて火花を散らしたのが視界の端にうつる。
「!皆さん弾丸です!何者かが狙撃を行ってきています!」
「キリツグ殿の持っていた火器の類いですな!このジル・ド・レェ知っております!」
「ちょっ!知ってるのは分かったから下がりなさいジル!マシュ早く!」
「分かってます!弾道から予測するに……」
「そこだろ!食らいやがれ!」
マシュの指示ですぐに兄貴が槍を投げ放つ。さっきの投げボルクには遠く及ばない投擲だが、狙撃主が居ると思われる辺りを吹き飛ばす程度はやってみせた。
「今の内に下がるわよ!私の眼じゃ弾丸を追えないか─ぅらぁ!あ!?しまった杖が!」
「何と!マシュ殿が取り零した弾丸をこの暗い空間で即座に察知し、その杖で見事に弾いてみせるとは……流石マルタ殿!あの小次郎殿が手合わせを願うのも納得いきますな!」
「解説してんじゃないわよ!ライダーのままじゃこの程度が限界よ!」
ルーラーだったらもっとすごいのかと誰もが思った。
「……ちっ。ここまでですわね」
「……下がろう」
「?敵の気配が……消えました。いえ、気配と言うよりは殺気?」
「今はそれよりもマスターの治療でしょ!……ちょっと何よこれ……」
「取り乱すな!マスターも落ち着け。脇腹が痛ぇのは分かる。だけど我慢しろ。少しでも気ぃ抜くと気絶すんぞ」
そうは言われてもどこに力を入れれば良いのか、何を踏ん張れば良いのか全く分からないのだ。脇腹を背後から抜けていった弾丸が何なのかはまったくもって分からない。ただ、大きな風穴が開いている事は見なくても粘性と温度を持った液体が下半身を濡らしているので否が応にも分かった。
「先輩!先輩!!しっかりしてください先輩!」
「死んだら焼き殺すわよ馬鹿!」
「だぁぁぁ!少しは黙ってろ!嬢ちゃん落ち着いて治療術式を用意しな!この傷はただの銃創じゃねぇ。……いや、言い方が悪いか。これは現代の銃の物じゃなくて古い奴のだ。詳しくは専門家じゃねぇから分からないが、まだ弾丸がマジの玉っころだった時代のだ」
「偉く詳しいわね……」
「これでも英霊としちゃ長いんでな。悪いなマスター、これ噛んどけ。少し痛むぞ」
「……っんん!!?んん"ん"ー!!!」
「先輩ッ!!」
「早くしろ嬢ちゃん!血が足りなくなるぞ!」
◇
「は!?殺せなかった!?」
「えぇ。あまりにもあの
「ばっ─殺せなんて指示は出してないだろう!?」
「分かったよ。あーあ、折角のチャンスだったのになぁ」
「……何て事だ……このままでは、拙者が殺される……!間違いない」ガクブル
◇
「何とかなったな」
「ありがとうございましたクー・フーリンさん。止血をしてもらっていたお陰で術式発動中の流血を抑えることが出来ました」
「……ありがとう2人共……」
「かなり疲れただろ。休んだ方が良い」
僅かな時間で済む治療術式ではあったが、腹を穿たれるなんて経験をしたことが無かったぐだ男にとっては1000倍にも感じられる時間であった。
ダビデから奪った衣服は血と汗でベッタリと湿っており、着続けるのに抵抗を禁じ得ない。
「内臓が少しやられていたから辛かったろ?その内血ぃ吐くかも知れないが、何ともないから安心しな」
「ありがとう……だけど止まってる方が危険だ」
「……みたいね。マスターには悪いけど、ここから離れましょう」
下ろしていた杖を持ち上げたマルタが廊下の奥を指差す。それに合わせて皆の視線も向く。
廊下の奥。延々とも思えるような長さと暗さの先、そこから確かに威嚇で喉をならす
普段なら大して驚異にならないエネミーだが、ステータスの弱体化がある今ではマトモに相手をするのは得策ではない。
「立てますか先輩?」
何の躊躇いもなく男であるぐだ男をマシュがお姫様抱っこをする。普通なら逆だが、それを指摘できるほどぐだ男の調子は優れていない。
「た、助かるよ……情けないマスターでごめん……」
「マシュ殿こちらへ!」
(敵の狙いは分からない……だけどこちらを殺そうとした事実は変わらない。そんな奴にダビデもメッフィーもつくとは思えない……まさかとは思うが、聖杯でこんな事をしている奴は─)
座云々の設定は独自解釈入ってます。
多分もっと詳しく設定がなされている所だとは思うんですけど、ばか騒ぎするだけのSSなんでうろ覚えです。
確か時間軸に縛られないだった気がしましたけど……。
「やっぱりお前だったのか!」
─判明する敵。
「もう遅い!この願いは─たった今叶えられる!」
─輝く聖杯。
「ごはっ!?」
─解き放たれる決死の一撃。
「その腐った度胸ごと、心臓を貰い受ける。それこそ不徳の報いに相応しい─刮目せよ。絶望とは是、この一刺し……その身で味わえ!」
「先輩!そんな……先輩ーーーー!!」
「次回予告だね、分かるとも!」