Fate/Grand Order 「マシュ。聖杯ってよく拾うけど全部願望器として機能してるの?」「勿論ですよ先輩」「じゃあソロンモさんを永み─」「先輩!」   作:第2類医薬品

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また1ヶ月か……(仕事もそうだけど、異聞帯、イベントに夢中だったとは言えない……)

お陰様で話の流れが意味不明になったけど所詮は作家じゃないので(開き直り:A)!
それにしても今更ですが、サリエリ何ですかあれ。滅茶滅茶格好いいじゃないですか!しかも声は綺麗な関さん!それが☆3だなんて、引くしかない!

と、思ったのですが、何故か引けども引けどもサリエリは出ず。結局1枚だけ何とか……え?何です雷帝。アナスタシアはどこかって?

…………………………。




Order.53 警戒態勢

 

 

 

 

 

「ふふっ……ぁはぁ……流石は世界を救った方。とても逞しいですね」

 

非常に艶のある声が大きなベッドに横たわった男の耳を擽る。

男は上半身が既に裸身であり、残すはベルトが外れかけているズボン達だけ。

対してその男に覆い被さっている女は殆ど肌を見せない服でありながら、全身のボディラインが明々と分かるタイトなものであり、ウェストに届かんと入った深いスリットが妖艶なエロスを醸し出していた。

 

「……っく」

 

「嗚呼……私、襲われるのは良くありましたが、成る程襲うのも中々。さぁ、ぐだ男さん。抗って下さいね?でないと私に食べられてしまいますよ?」

 

「や、止めっ……キアラさん。それ以上は──」

 

「それ以上は?」

 

「──サービス領域から外れてます」

 

「まぁ」

 

カルデアの性獣(ビースト)、殺生院が半裸のぐだ男のベルトを取ってズボンを剥ぎ取ろうとした時、ぐだ男が真顔でそう告げた。

確かに、今現在殺生院の目の前には月の記録(・・)にあったのと似たようなホログラムウィンドウがサービス領域外だと赤文字でこれでもかと主張している。

 

「申し訳無いですけど、これ以上は許されません。我慢してもらえないですか?」

 

「えぇ。構いません。ですが……私、こんな良いところでお預けを頂いてしまってはこの後どうしてしまうのでしょう……」

 

「どうも何も我ま──」

 

(待て俺。このままお預けを食らったキアラさんをカルデアに解き放って良いのか?)

 

「……キアラさん。我慢出来るよね?」

 

「さぁ、こんな火照りを落ち着かせられるかと問われても分かりません。ですが、貴方の言い付け通り、サーヴァントや職員の方は(・・・・・・・・・・・・)手出ししませんとも」

 

「そうですか。イシュタル!」

 

『何?』

 

「キアラさんの制限を解除してくれないか?」

 

『どうしてよ。アンタ死ぬわよ』

 

そう。このままVぐだ男がサービスを続ければ確実に死ぬだろう。どういう意味で死ぬかは察していただくとして、何故それをVぐだ男が受け入れようとするか。それは殺生院が言った「サーヴァントや職員の方には手を出さない」のワード。

殺生院がわざとらしい仕草を付けてそう言ったそれには、サーヴァントや職員には手を出さないがそれに該当しない者には手を出すと含まれていたのだ。

 

「構わない。所詮俺は、俺の紛い物(ヴァーチャル)だ。そもそもそう言った事態は予測していたんだろイシュタル」

 

『……そう。アンタがそう望むなら仕方がないわね。自分を救うため自分を殺す。とんだパラドックスヒーローね』

 

「──キアラさん。今制限を解除しました」

 

(さらばだ俺。先に逝くぞ)

 

 

「あわわわ……っ!」

 

イシュタルが最高権限でそこから先の行為を許可した。

それから暫くも待たない内にぐだ男は大小様々な傷痕が見られる全身を隠すこと無く全てさらけ出し、彼に跨がった殺生院はサーヴァント特権である「衣服を魔力で生成している」のを止めて一瞬で裸体になった。

 

「はわわわ!」

 

『ご主人様。あまり他の方の営みを覗き見るのは感心できません。ですから映像を切断致しますね。て言うか話によるとご主人様は経験人数豊富だとか聞きましたけど』

 

「そ、それは……ほら。あくまで神話で語られてきた私だし、そんな記憶も無くもないけど……今は依り代の娘に依存してるから経験は多くないと言うか……」

 

『マジですか。まぁ、そう言うこともありますよね。好きな相手に経験人数とか知って欲しくないですし、ましてや偽者とは言えヤってる所を見るのは女神とて真っ赤になりますよね』

 

「アンタ勝手に代弁しないでよ!」

 

『おや、図星でした?すみません、私はあくまで推測を口にしただけでしたが……』

 

どこかとあるAI(BB)に似た振る舞いを見せるメイドAIに良いように扱われるも、決して手を出せないイシュタル。

何しろメイドが機能停止すれば、てんでデジタルに弱い彼女ではこの「イシュタル マネーイズパワーステム」の運営は出来ず、ボロ儲けの計画はパーだ。

 

「と、兎に角!次の客が来たから私は行くわ。後はよろしく」

 

『かしこまりました。アフターサービスも完璧にこなしますよ』

 

「?」

 

疑問符を浮かべながらも自分のスマホに飛んできたメールの相手に会いに行くイシュタル。

それを手を振って見送るメイドの後ろ、ホログラムが重なって見えづらかったがVぐだ男と殺生院の部屋を写したモニターに小さくRECとあったのは知るよしもなかった。

 

 

一方その頃。

カルデアから遠く離れた──いや。最早距離と言う概念では次元が違うため遠近の概念は当てはまらない亜種並行特異点、下総国では夜より暗く、闇より恐ろしい何かが空を覆って怪異を呼び出していた。

そんな不気味な雰囲気の中、カルデアから“中身だけ”この特異点にやって来たぐだ男と単独で不定期レイシフトをしてきた武蔵が邪悪なオーラを放つ槍僧と相対していた。

 

「魔羅に響くわ!」

 

「ねーねー。まらって何?」

 

無垢な瞳で武蔵へと疑問を投げ掛ける少女は、ぐだ男がこの特異点で初めて出会った一般人。

現在で例えるならまだ小学生の低学年位だろうに、背にもっと幼い弟をおぶって逞しく生きているただの女の子だ。

 

「えっ?お、おぬいちゃんどうしたの急に!?私に訊かれても答え難いと言うか……」

 

「むっ?その初々しい反応……ふははっ!それもまた良し!!魔羅に来るぞ新免武蔵!!」

 

「分かるぜプルガトリオ!因みにねおぬいちゃん。魔羅った言うのは──」

 

「止せ!」

 

「あの槍の事だよ」そう何とか切り抜けようとしたぐだ男を制止する槍僧。

眼球は真っ赤に染まって血涙を流しているその男はゆっくりと瞼を閉じて……カッ!と見開いた。

 

「魔羅とは拙僧の槍の事だ!」

 

「……そうなんだおぬいちゃん。あの槍は武僧ノ魔槍“魔羅”。とても強い武器なんだ」

 

「左様。しかし魔槍と言えばお主の朱槍も中々の逸品よ。特にそのぐりっぷ(・・・・)に効きそうな血管のようなモノ……たまらんな!」

 

「ほう……この槍の良さが分かるかプルガトリオ。流石はランサーだ。ご自慢の槍は伊達じゃないな」

 

「当然だ。お主のその腰の動きを見れば分かる。相当な数をこなしてきた者のものだ」

 

「え……ぐだ男……そんな、に?」

 

ランサー・プルガトリオが褒めていたのはぐだ男が槍を構えたときの腰の落とし方や体重移動等の動きだ。

だが武蔵はテンプレートのように勘違い。ショックを受けたような、しかしぐだ男の腰辺りを見てやや頬を紅潮させるとぐだ男から目を逸らしてしまった。

 

「ヌゥッ!?」

 

プルガトリオ──院舜だったモノの記憶にある勇猛な武蔵とは違う非常に乙女な反応を目にした途端、彼の瞳孔は異常なまでに開いた。

眼球が震えて魔羅も震える。最早僧侶とは呼べなくなった彼はやはり、男であったのだ。

 

「これが……ぎゃっぷ(・・・・)萌えとやらか!!」

 

宿 業 両 断 !!

 

どこかのスーパー戦隊ものの敵がやられたように、プルガトリオが爆散した。

何とも言えない、呆気ない末路だった。

 

「………」

 

「胤舜さん……」

 

誰がこんな残酷(かわいそう)な事をしたと言うのか。

一体ランサー・プルガトリオ──宝蔵院胤舜に何の罪があったと言うのか。

 

「おのれ妖術師──」

 

 

「ゆ"る"さ"ん"!!」

 

「うおっ!?何だ急に!?」

 

下総国のぐだ男とカルデアの体はやはりリンクが健在らしく、カルデアの寝たきりぐだ男が突然拳を握り締めて構えたかと思うと寝言とは思えない、て○おボイスでそう声を張った。

 

「あっちで何かあったのかしら」

 

「だろうな。しかしぐだ男もエライ声出すな」

 

「今更じゃなくて?彼何故か最近普通に性別変えられるし、もう私驚かなくなったわ」

 

「この前は岩窟王の物真似をしているのを見かけたよ。いやぁ、そっくりすぎて思わず録画してしまった。見るかい?」

 

レオナルドがスマホを取り出す。

数秒して出てきた動画には頬を赤くしたぐだ男がレクリエーションルームのソファーに立ち上がってポーズを決めている。

床に転がった酒瓶を見るかぎり、サーヴァントとの飲みに付き合わされたのが原因で酔っているのだろう。

 

『クハハハハハッ!今年の夏こそ温州の彼方へ!』

 

『フハハッ!良い!実に良いぞ!よもやこれ程までに完成度が高いとは思わなんだ(オレ)!あの復讐者が目に浮かぶようだ!』

 

「ひでぇ……アイツまだ未成年だろ?」

 

「しかも英雄王の蔵のものじゃない?良く耐えて──何これ」

 

「ん?」

 

スマホの動画再生中に、画面の上からピコン♪とメッセージアプリケーションの通知が現れた。

メッセージの送り主はアンデルセン。レオナルドが自分の手元にスマホを戻してメッセージを確認する。

 

「………んー、これは不味いかな」

 

「何だ?どうした?」

 

「おい。悪性メロン女がやけにツヤツヤした顔で歩いていたぞ。ヤバイ予感がする。確認してくれ。……だそうだ。えー、嫌だなぁ。私彼女は苦手なんだ」

 

「アンデルセンは以前彼女のサーヴァントだったらしいわね。その彼が言うってことは本当に危ないんじゃない?」

 

「だろうね。よし、ここは1つ探偵様にお願いしてみよう。そろそろ倉庫籠りも飽きてきた頃だろうからね」

 

「すまないが、私は別件で忙しくてね。他をあたってくれないかな」

 

早速探偵を頼ろうとしたその時、いつの間にか管制室の入り口にホームズが立っていた。

 

「えー……」

 

()の件については君も承知の筈だが?」

 

「それを言われると何も言えないんだよねぇ。仕方がない。ここはこの天才が一肌脱ぐしかないようだ。まずはカルデアの監視カメラを確認して殺生院君がどこに行ってたのか確認してみるよ」

 

「例の件?」

 

「あまり気にしなくても良い事だよ。将来的に役に立つかどうかの、推測の話だ」

 

またとても気になるような言い方で管制室を後にするホームズに「面倒臭ぇヤツだな……」と今更ながら実感したクー・フーリンが呟くと同時。レオナルドが早速殺生院が何をしていたのか解明したらしく、監視カメラの映像を空中に投影した。

 

「これは……シミュレーションルーム?特訓なんてするのかあの女」

 

「私もそれはないと思った。だからシミュレーターの履歴を見てみたんだけど、面白いことにアクセスが拒否された」

 

「つまり?」

 

「簡単な事さ。私以上の権限の持ち主がアクセス出来ないようにしたんだろう。シミュレーターで何をしているのか分からないように。それが殺生院君ともなれば話しは早い。これは早めに解決した方が良さそうな気がする」

 

「成る程な。あの色欲尼がシミュレーションルームからツヤツヤで出てきた。ともなればその有り余る欲を爆発させたんだろうが……それは出来ね──あぁ、それで権限の話なのか」

 

「だろ?これは単独犯じゃない……信用できるサーヴァントを集めてくれるかなクー・フーリン?」

 

「任せろ。少なくとも、俺達(・・)はこんな馬鹿げたことはしねぇよ」

 

「ね、ねぇ、ちょっと。どういう事よ。何が起きるっていうの?」

 

イマイチ事態を飲み込めていないメディアがレオナルドに問う。

 

「殺生院君はカルデアの中でもトップクラスの危険人物だ。あくまで彼女を知るサーヴァントの言うことだけれども、それでも訊く度に皆答えるのさ。だからこそ皆彼女に対しては未だに警戒しているのに、それに協力した者が居る。彼女に誘惑とかされたのかも知れないけど、それもそれでカルデアの安全を確保するには取り締まらなければならない。だからもし、彼女が何か行動を起こそうとしたらそれをさせない実力を持つ者が居た方が安心なのさ」

 

何せ、彼女はアルターエゴのクラスに収まっているが、実際は断片的なビーストの力を行使する危険人物。

召喚に応じたのも、人類の行き先を案じてではなく自らの快楽のため。少しは丸くなってはいるが、根っこは変わらない異常者。

 

「何に気を付けるかは言うまででも無いだろうけど、彼女の獣の権能には呑まれないように」

 




(そろそろ土方さんとかバニヤンをアサインさせないと……

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