Fate/Grand Order 「マシュ。聖杯ってよく拾うけど全部願望器として機能してるの?」「勿論ですよ先輩」「じゃあソロンモさんを永み─」「先輩!」 作:第2類医薬品
そして唐突なメイヴモーション変更!初期勢を変えていくって言った瞬間これだよぉ!
もっと他のサーヴァント居たでしょう……
「はぁ!?闇のデュエル!?」
「そうだ。この場において、お主達のデュエルによるダメージは精神へ行くように設定した。無論、ライフがゼロになればお主達にあるのは死のみだ」
「ちょっとクーリン氏ぃ!貴方の師匠やり過ぎじゃない!?」
「──やるしかねぇ」
「へ?」
「やるしかねぇんだよ。もしデュエルを止めて逃げるなんて事もすれば──その時は死ぬ」
ルーン結界に囚われたクー・フーリンと黒髭。逃げればスカサハからの直での死があり、戦ってもどちらかが死ぬ。普通なら冗談で済むかもしれないが、スカサハは本気だ。本気で
「くっそぉ……!死にたくなければ戦えってか。だったらたまには──本気の黒髭、エドワード・ティーチを見せてやらねぇとな!」
「悪く思うなよ黒髭。ここからは、本気の
互いに最高のデッキを手にし、ルーンで作られたデュエルディスクを左腕に装着。ライフポイントが電子音をたてて表示され、セットされたデッキが高速でシャッフルされる。
「「デュエル!!」」
今ここにサーヴァントとしてではなく、一決闘者として立つ男が2人、激突する。
◇
──魔法少女。
それは、現代──特に日本において広く認知度のあるアニメやコミック等のジャンル。
年端の行かない幼き女児が、強い信念を抱き、魔方と絆で大いなる敵に挑む。そんな感じのものだ。ちょっと年齢的に少女なのか怪しいものもあったりするが、女の子が魔法で変身して正義執行していれば大体それだ。
そんな魔法少女に、俺がなると?馬鹿な。一体それをして何の得がある。
「少なくとも、喜ぶ人は居ますよ」
「居るのか……にしても、ここは?」
ルビーに触れた俺は、そのルビーと一緒に訳の分からない空間に立っていた。
見渡しても見えるのは無限とも思える星だけ。
「ここはぐだ男さんのあらゆる可能性を内包した世界です。現実世界と平行世界の間的な所ですかねー。今魔法少女として活躍しているぐだ男さんを探しているんですけど………どうも見当たりませんねぇ。本当に魔法少女出来るんですか?」
「俺に訊くなよ!ってて……」
「仕方ありません。では無いなら作る!それが出来る魔術礼装の力、お見せしましょう!」
無いなら作ると張り切るルビー。全く……どうしてまたこんな──
「あれ?そもそもどうして俺を魔法少女にしようとするの?」
「あー。そう言えば全く説明していませんでした。では回想です!」
===回想中===
「……成る程……つまりイリヤに発破をかけるために強い魔法少女が必要になったと」
「そうなんですよぉ。実は今、私達の世界でもちょっと面倒な事になってて。あぁ、
「例えホムンクルスでなくても、ちゃんと鍛えれば強くなれるって証明してあげたいのか。ならば良し!俺も協力するよ」
「ありがとうございます(まぁ、実のところ、私の玩具探しの一環ですが)!」
「……」
ゼルレッチがヤベェと思って付けた機能はちゃんと働いています。
「とか話している内に準備が出来ました!さぁ、私を握ってください!」
「こいやぁ!」
握れとは言われても、握る場所であろう持ち手の部分が出ていなかったので、本体(?)である星のついたリング状の部分を思いっきし掴む。
思いの外柔らかいルビーがみるみる潰れていく。不味くないか?
「ちょ、たっ、タンマ!潰れ──あ」
「ん?」
カッ!とルビーが光輝く。どうやら間違えてはいなかったようだ。
その証拠に、俺の体は真っ白な光子に包まれて輪郭を変えていく。
身長は縮み、ゴツい体のラインは柔らかさを感じるしなやかなものに。腰は括れ、胸と尻が大きくなる。
「こ、これは──」
自分の声も、やや高い、女性の声その物だ。間違いない。ルビーのやつ、俺を女にしたんだ!しくじった……!てっきり男のままで魔法少女をやって「何やってるんだよ……」って感じで笑われておしまいを目指していたんだが、よりによって本格的に女体化したらマジで魔法少女願望があるみたいに思われてしまう!
「こんなの聞いてないぞ!」(CV.悠○碧
「言ってませんからね。ちょっとナイスバディ気味なのがイリヤさんに別のダメージを与えそうですが、まぁ妥協しましょう。本当はもっとロリロリにする予定だったのに、ぐだ男さんったら私を握り潰そうとしたから設定ずれちゃいましたよー」
「良いのか悪いのか……はぁ。何か格好も際どいし……」
「それもぐだ男さんのせいですよー?取り敢えず何かエネミーでも倒してみますか?」
「……まぁ、何と言うか力が満ち溢れてくる感が凄いし、試してみたくはある」
『そう言うのを待ってたよ!』
「──っ!この声は!」
天才かつ性別も関係ない偉人系キャスターの声がしたかと思うと、目の前が真っ白になってレイシフトにも似たような感覚が全身を襲った。
◇
「オレのターン、ドロー!……俺は概念礼装、カレイドスコープを発動。場のクー・フーリン(術)にNPプリズムを3個付与する。それによりオレはクー・フーリン(術)の宝具を解放!来い!ウィッカーマン!」
それを集めることで上記の発動が可能となる。尚、これの必要個数は各々のクラスで異なる。NPを獲得しやすいキャスターはNPプリズム3つで宝具を発動できるが、ダメージは低い。一方でNPが貯めにくいバーサーカーは7個必要になるがダメージはどれも全クラスでトップレベル。プレイヤーライフは15あるが、組み合わせで丸々削ることも出来る。
「ウィッカーマンは宝具だが、キャラとしての扱いにもなる。更に召喚されたその瞬間、攻撃が可能!バトル!ウィッカーマンでセンネンヤドカリに攻撃!焼き尽くしな!」
「ああー!拙者の壁モンスが!」
本来のプレイヤーフローチャートは、
ドロー
↓
礼装系カードの使用
↓ このフェイズは上下しても構わない。
↓ ただし、同じフェイズは必ず連続すること。
↓ 例:礼装使用後に召喚。その後礼装使用は反則。
↓ 続けての召喚は可能。
キャラクター召喚
↓
非攻撃宝具・スキル等によるステータス操作等
↓
攻撃宝具等攻撃
↓
↓
ターンエンド
となっている。
ウィッカーマンは非攻撃宝具であり、召喚されたキャラクターの扱いとなる。本来なら宝具等による召喚キャラクターはフェイズ逆行になってしまう為、再攻撃を出来ないように召喚されたターンは一切の行動が許されないのだが、固有効果によってウィッカーマンはフェイズ逆行が許される。そしてウィッカーマンの召喚回数制限は無い。
オリジナルである
キャスターでありながら強力なクー・フーリン。だがカードでは宝具に能力を持っていかれてしまい、持ち前の継戦能力は皆無となっている。
「ぅっ……ごはッ!」
当然、そのキャラクターが破壊されて黒髭にもダメージがいく。
血ヘドを吐き、方膝をついて倒れかける黒髭だが、その眼は諦めていなかった。むしろここからだと言わんばかりの眼光をクー・フーリンに向けている。
「はぁ、はぁ……流石だなクー・フーリン。正直舐めていたぞ」
「そりゃどうも。けどそっちのフィールドにはトラップも無ければキャラも居ねぇ。舐めていたばかりにテメェの足を掬われたな」
「まだ戦いは終わっておらぬぞセタンタ。喋っている暇は無いぞ」
「へっ。もうアイツのデッキにゃサーヴァントは1騎しか居ねぇ。次のターンでオレの勝ちだぜ師匠!」
「それはどうかな?」
カン☆コーン
口角に付いた血を拭い、黒髭がデッキからカードをドロー。
刹那、場の空気が変わった。
「ハッタリは止しな。黒──」
「拙者──いや、俺は勝利を引き当てたぞ!俺は手札から絆礼装、貧者の一灯を発動!このカードは、フィールドにキャラクターが居ない時のみ発動が可能。デッキ、セメタリー、手札から種火の消費なしに、サーヴァントランサー、カルナを喚び出す!」
「馬鹿な!
絆礼装──デッキに7騎しか入れることが許されていないサーヴァントカードを種火の消費無しに喚び出せる最上級の召喚系カード。
数が限られている種火を消費せず、強力なサーヴァントを召喚できるそのカードは以前、パワーバランスの為にほぼ発行直後から製造が中止された世界に3枚しかない幻のカードだ。
最早都市伝説とまで言われる程見たものは居ないそれが、黒髭の切り札!
「天界、人界、地界の全てを御せる力。我がサーヴァントとなりてここに顕現せよ!!」
黒髭が絆礼装を高く掲げる。するとそれに応じるかのようにフィールドに炎が集う。
四方から集まった炎はやがて渦を巻き、熱と魔力の奔流が肌をチリチリと焦がしていくかのよう。
「ほぅ……カルナか。確かあのカードは──」
「絆礼装の追加効果発動!このカードにより、サーヴァントの召喚に成功した場合でのみ次のターンまでそのサーヴァントの攻撃力は2倍になる!バトルだ!カルナでキャスター、クー・フーリンにアタック!
「くっ!」
黒髭はドロー直後にカルナを召喚した。故に、そのままバトルフェイズに移行できる。
攻撃力が2倍になったカルナが槍を構え、炎を纏わせる。攻撃に供えたクー・フーリン(術)だが、その差は歴然。肉眼で捉えるのは不可能な速度で投擲された槍に成す術無く半身を焼き払われ、光の粒子となって霧散した。
「ぉっごぇ!」
炎で身を焼かれるような痛みがクー・フーリンを襲う。
攻撃力の差分、ライフも削られて吐血する。
「これが……カルナか……ッ!」
「施しの英雄カルナ。現存するカードが1枚しかない、レジェンドカード。それを出してくるとは……足を掬われたのはお主だセタンタ」
「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンドだ」
「……神のカード……絆礼装とペアで作られた、3騎の神性英霊を象った強力なカード。アーチャー、ギルガメッシュ。バーサーカー、ヘラクレス。そしてテメェのランサー、カルナ。まさか持つヤツが居たとはな」
意識が飛びかけたクー・フーリンが体勢を立て直す。
しかし、脚に力を入れても立ち上がることが中々出来なかった。
(何……!?)
精神へのダメージが蓄積し過ぎたのだ。
脚が震え、視界が揺らぎ、突如として吐き気をもよおす。そこでやっと、自分の残りライフをクー・フーリンは目にした。
──残りライフ:3
「くそ……ッ!オレのターン!」
カードを引く。
「──ははっ……テメェかよ……言峰……」
概念礼装──鋼の鍛練。
『だからお前の幸運値は低いのだ。故に当たる槍も当たらんのは道理と言うものだ』
「クソッタレェェェェエエエッ!!」
そのターン、フィールドに残ったウィッカーマンでは何も出来ず、次のターンに
その日──ランサーが、死んだ。
◇
「もー。ルビーったらどこに行ったの?」
「そんなに気にしなくても、いつもみたいにひょっこり出てくるでしょ?」
「いや、私の見てないところで何か変な事をやらかすような気がして……」
カルデア学園初等部。要するに小学校に位置するそこのクラスでは、突然見かけなくなったルビーに嫌な予感を感じるイリヤがはぁと溜め息をついていた。
彼女は当然ながら、サーヴァントではない。たまにカルデアに遊びに来るただの魔法少女だ。最近は強敵との戦いが続き、自分の弱さも思い知らされてやや凹み気味。
「しかもお弁当忘れちゃうし……うぅ、お腹すいたよぉ」
「全く。イリヤはマヌケねぇ」
「ま、マヌケじゃ無いもん!」
「■■■■■■──ッ!」
クロエに反抗して声を荒げると、廊下から聞きなれた咆哮が部屋を震えさせた。
「あれ?ヘラクレスさんじゃないですか。どうしたんですか?」
廊下側の席でアイスを食べていた子ギルがドアの前で立っていたヘラクレスに話し掛ける。
ヘラクレスの天敵はギルガメッシュだが、やはりと言うかどうやらキャスターや子共状態の方とは非常に仲良くしているようだ。
ヘラクレスが何かを言いたげにそわそわしていると、それの意味を察した子ギルがうんと頷いて手を出す。
「イリヤさんのお弁当ですね?部屋に入れないでしょうし、ボクが渡しておきますよ」
「■■」
頼む。そんな雰囲気を醸し出しながら指先に器用に摘まんだお弁当をヘラクレスが渡す。
ついでに午後の体育で使う、カルデアジャージと水筒もどこからか取り出す。何と言うか、その様子はまるで我が子を気にかける親のようだった。
「はい。確かに受け取りました」
「あ、ありがとうバーサーカー!」
「──■■■■■■ッ!!!」
ヘラクレスではなく、バーサーカーと呼んで欲しい。ぐだ男を通してだが、イリヤに無事伝えられた時からヘラクレスはバーサーカーと呼ばれている。
例え彼女が自分と縁を結んだホムンクルスでは無くても、例え彼女が本当の幼女であっても、彼にとってはやはりイリヤスフィールなのだ。
「イリヤは愛されてるわね」
「何と言うか、他人のような気がしなくて」
「はい、イリヤさん。あとクロエさんにも」
「私?」
クロエが以外がってヘラクレスを見ると、コクりと頷いていた。
ヘラクレスは何もイリヤだけを気にしているのではなく、クロエも彼にとっては大切な彼女と同じなのだ。そんなヘラクレスの考えを察したクロエは、イリヤに分からない様に笑いお弁当の包みを取り始める。──その時だった。
『ヴェェァァァァァアアアッ!!』
「ふぇっ!?何!?」
イリヤがビックリしてタコさんウィンナーを落とす。幸いにも子ギルの蔵から黄金の箸が出てきてそれをキャッチしていたが、誰もその事を気に止めず、窓から外を見だした。
「あれは……」
『全校生徒に告げる。あれは我らサーヴァントでは倒せぬ。ただちに机の下に潜り、指示があるまで待機せよ』
翁な声と聴いて良いのか、晩鐘の鐘の音がお知らせの音として使われている。
しかして突然現れた謎のエネミー。どうすればと慌てていたイリヤがふと、今の言葉を思い出した。
「そうだ……サーヴァントで駄目なら私達が!ルビー!行くよ!…………ルビー?」
「肝心なときにどこ行ったのかしら」
「ちょっとルビー!何処に行っちゃったの!?」
「馬鹿!大きな声出すと──」
クロエがイリヤの口を塞ぐが……遅かった。
謎のエネミーはイリヤ達初等部のクラスへ顔を向け、3階の高さを一瞬で詰めてきた。
黒い、光が呑み込まれるような暗黒の
「■■■■■■ッ!!」
クロエが構えるよりも早く、ヘラクレスが壁を破壊しめ斧剣でそれを凪ぎ払う。一応物理判定はあるらしく、それは逆再生よろしく校庭へ弾き飛ばされた。
しかし──
「効いてないみたいね……。今の一撃、並の英霊でも必殺だったのに」
「■■■」
ヘラクレスがイリヤとクロエ2人を守るように窓際に陣取る。
敵にダメージが与えられなくても、物理判定があるなら吹っ飛ばして距離を取ることは可能だ。倒すのではなく守る為、ヘラクレスは前に。
「┓┏┻┗╋」
エネミーは電子音の様な、しかし生物的な奇妙な音声を発してヘラクレスに肉薄する。
あまりの素早さに流石のヘラクレスも反応が間に合わない隙に、エネミーは腕を変形させてヘラクレスの心臓を貫いた。しかしヘラクレスには強力な戦闘続行能力がある。カルデアでは数度しか使えないが、それでも眼前のエネミーを叩き斬るには充分だ。
「──やっちゃえ!バーサーカーッ!」
「■■■■■■■■■──ッ!!!」
校舎の外壁なんて知ったことではない。ただ背に居る少女達を守る為、ヘラクレスは渾身の力でエネミーを叩き斬った。
すると──
「……╋╋┗┓┣┻┓?」
「ダメージが入った?凄いですねヘラクレスさんは」
僅かだが、エネミーの頭部に亀裂が入ったのだ。サーヴァントでは倒せぬ。つまりダメージが一切与えられないと思っていた一同は僅かな希望を得る。しかし、今の攻防でエネミーはヘラクレスを4度殺していた。それによるダメージでヘラクレスも膝をついてしまった。
「┗╋┻╋┳┓!」
瓦礫に埋もれかけていたエネミーが跳躍。今度こそトドメと言わんばかりの熱線を発射すべく、顔に魔力がチャージされる。
「っ!」
クロエがヘラクレスに抱き守られながらもアイアスを張ろうとした瞬間、そこに居た筈のエネミーが居なかった。
その代わり、エネミーが居た位置には見たことあるようなステッキと色合いの装いをした女性が居る。
「ふぅ。間一髪でしたねぐだ男さん」
「何とかね。で、あれがダ・ヴィンチちゃんが言ってた奴か」
「そうみたいですね。いやぁ、カルデアの技術力にも困ったものですよー」
「な──なぁ──っ」
顔を出したイリヤが目にしたのは相棒のステッキであるルビーと、それを手にした黒髪の少女。長いそれをサイドで纏めてツインテールにし、全身から放たれる強力な魔力もとい
「何てハレンチな格好なのぉぉぉお!!」
下乳お腹丸出しのミニスカート魔法少女。イリヤ的に、自分と同じ魔法少女がそんな破廉恥な格好をしているのは認められないものであった。
この人でなし!