Fate/Grand Order 「マシュ。聖杯ってよく拾うけど全部願望器として機能してるの?」「勿論ですよ先輩」「じゃあソロンモさんを永み─」「先輩!」 作:第2類医薬品
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フィン、青王
その他礼装
おや?気付けばダ・ヴィンチちゃんショップの聖晶石バーに触れているぞ?
※タイトルはわざと切ってあります
「キャットは可愛いなぁ」
「くすぐったいぞご主人。しかしキャットとは癒しを与えるもの。ならばもっとMOFURUがいいぞご主人」
「モフモフだし良い娘だよぉ。時おり見せる赤らめた顔とか一緒のお昼寝してる時の寝顔とか全部可愛いよ」
カルデアの朝。そしてやや騒がしい食堂。その一角でぐだ男がキャットを膝に座らせてイチャイチャしながら朝食を摂っていた。
具体的には尻尾をモフりつつ膝上に座ったキャットの腰に手を回して真後ろから抱き締めている形。完全にイチャラブカップルの様相である。
「んんっ!おいぐだ男。話があ──」
「モードレッドさん、こっちに」
「あ、おい。何だよマシュ」
「……実は先輩、一昨日からあんな様子で──」
ぐだ男の異変が現れたのは新宿の特異点を証明して帰還してきた時からだった。
マシュやロマニ達はその辛く激しい戦いの様子を見ていたし、きっとその反動で疲れているのだろうと思っていた。しかし、ぐだ男はその日からサーヴァントに対して急に1歩2歩踏み込んだコミュニケーションをとりはじめた。
男女例外無く、だ。
女性に対しては
流石に男性陣(一部除く)はそんなのは嫌だと適当にあしらっているが、女性陣はむしろウェルカム態勢でいつだいつだと待ち構えている。既に清姫と静謐のハサン、瀬光は元が元なだけに即座に堕ちた。あのスカサハですら頬を赤らめて困っていたのだ。
「キャットは凄いよ……家事は完璧だし頭も良いし可愛いし。何度も助けて貰ってさ……今でも覚えてるよ。初めてカルデアに来た時を。エミヤとブーディカと協力して食堂回してくれて……こんな俺でも契約してくれて」
「ご主人、キャットとは野生の獣。1度仕えると決めたご主人には一途なのだ。故にアタシはご主人が大好きだぞ。それもこれもご主人がアタシ達サーヴァントであっても分け隔てなく接してくれるからだ。所謂絆だナ。これがあるからこそ、ご主人は多くのサーヴァントを繋ぎ止めることが出来る。もうご主人以外には仕えたくないしぃ?やはりこの後はベッドにINするしかないと見た」
「俺の野生も見せるしかないな」
「おいマスター。イチャイチャするのも良いが、出された飯位は余さず食うべきじゃないのか?」
「デトロイトのエミヤ、略してデミヤ。アタシもご主人も残すつもりは無いゾ。ただ味付けがかなり濃い目か。ご主人はもっと減塩を好むんだワン」
ぐだ男が帰ってきてからすぐにカルデアへやって来た新宿サーヴァントの1騎、黒い肌に白い髪。そして太い唇は正しくデトロイトのそれを思わせる男。エミヤ〔オルタ〕だ。
彼はこのカルデアの料理長……エミヤの別側面。大分グレてしまったエミヤの成れの果て。しかしこうなっても家事に対する気持ちは変わっておらず、オルタの系譜を受け継ぐ味濃いめコッテリジャンクな料理を得意としている為、オルタ勢に大変気に入られている(料理に関しては)。
ただオリジナルと厨房にたつと空気がギスギスしてしょうがない。
「ごめんデミヤ。そんなつもりは無かったんだけど……」
「まぁ良い。取り敢えずサーヴァントとの関わり方は気を付けた方がいい。でないとお前の身が保たないぞ」
「流石はオカンことエミヤだな。よぅし、キャットも良妻ぶりを発揮するゾ。さぁご主人、早く食べて散歩に行くぞ。その後はキャットと昼寝だ」
「待てぐだ男。散歩がどの程度の運動量か不明だが、食べてすぐに寝るような事は無いようにな。でないと体に良いとは言えないし折角治った腕の筋力も落ちるぞ。特に濃い目の物を食べたあとはな」
「……」
「案ずるなガラスハート。ご主人の筋肉は所謂見せ筋では無いからな。サーヴァントになった暁には筋力値はB以上確定……寝言は寝てから言うものだゾ?」
「ぐっ!」
おっと、心は硝子だったとキャットが続ける。エミヤは生き様も内心も複雑な男なのでこういう時のダメージはそれの通り簡単に傷付いてしまうのだ。
まぁ、それも致し方無い。何しろこれだけの筋肉でありながら実際は筋力値がD。同列なのはフランス3人組マリー、アマデウス、サンソンを始めとした静謐のハサン、荊軻等のアサシン。一応マルタ(ライダー時)も同じだが、彼女の場合は実際がAよりのBなのを隠して嘘申告しているのと杖が精神的な拘束具となっているのでそのランクに入っている。
つまりその気になれば杖であっても筋力B+を出せるという事。
「無様だな」
「デミヤもCとなれば同列はマシュ。その上C+には
「……っぁ、生憎……俺の心は鉄なんでな。正義の味方面した俺も、お前もほざいてると良い」
「そうか、心が鉄になると料理も繊細さが欠けるのか」
「──お前は俺を越えているとでも言うのか?」
「あぁ。──
「良いじゃないか。(そのレシピ)皆殺しだ!」
「よし、食材を回せ。(カルデア料理長を)決めにいくぞマスター!」
火がついたエミヤとデミヤ。2人とも料理に関しては譲れない所があるらしく、強い闘志(料理)を纏いながらキッチンへと歩いていった。
ともなればこの日はエンゲル係数を引き上げ気味なサーヴァント達の天国の日。彼女達は2人の雰囲気をみて「ありがとうございます」と行儀よくテーブルで待っているのだった。
◇
「ゴルゴーンはとても魅力的だよ」
「ブフゥッ!?」
ちょっと心に闇を抱えた系サーヴァント達の憩いの場……『バー・ジルドレ』には既に獺祭を5本空けたゴルゴーンとコーヒーを煽りながら本を読んでいるエドモン、それを隣からちょっかい出す天草四郎、既に酔い潰れて寝ている剣ジル等のサーヴァントが数名居た。そこに混じったのがマスターのぐだ男。
もう6本目の獺祭を飲み始めた瞬間にそう呟いてゴルゴーンが吹き出したのだ。
「……何を言っている……」
「ゴルゴーンは綺麗だと思ったからそう言ったんだ」
「ふざけるな。私はそんな評価は求めていない。脳が沸いているなら
「そんな事言っちゃって……」
「ひぅっ!?」
ゴルゴーンが情けない声で驚く。
体格差があるが、それを気にしていないぐだ男がゴルゴーンの後ろからお腹回りに手を伸ばしたのだ。
「き、貴様!?」
「引き締まったお腹の僅かに感じる筋肉。ただの括れとは違うアダルティックな括れから流れるように、しなやかに……体が更に巨大化したことでそれに比例して大きくなったバスト。ただでさえ腰回りはギリギリ隠せるくらいのエロいパンティから帯が伸びてるだけで、胸もギリギリ隠せる程度のものでその大きさを主張するかの如くYの字の谷間が美しい──いや、大変エロい。更に更に常にこちらは見上げる形となるために太股から下乳にかけてのアングルが……これは健全な男子であれば前屈みものだ」
「んぅっ!……きっ、貴様……ぁ!」
ぐだ男はお腹を触るのに飽き足らず、言葉に合わせて肌を撫でつつその巨大な胸を各々の両の手で鷲掴みにしたのだ。
下から持ち上げるようにぐだ男の5指がその柔肉に沈み、それの重さが己の胸の形を変える手助けをする。
しかし弾力もあり、優しく揉み始めた5指を押し返す。
ぐだ男はその間も何か詩的な言葉を紡ぎ、ゴルゴーンは「貴様」や「止めろ」と言うばかりで決して手を出してこない。彼女の意識とは別で動く事も出来る髪の毛(蛇)もぐだ男を攻撃したりはしないで寧ろなついている様にぐだ男を受け入れている。中には胸に絡み付いてぐだ男に加勢する蛇も居て、ゴルゴーンは段々と熱を帯びた喘ぎ声になっていく。
「ゴルゴーン?感じてるのか?」
「そんなっ……訳、無かろ──ぅんっ」
「綺麗だよ。ゴルゴ──」
「いいー加減にぃ!目を覚ましなさい!!」
「オ"ァ"ァ"ーッ!……オ"ァ"ァ"ーッ………オ"ァ"ァ"……」(エコー
ゴッ!!
力強い声とそれ以上に力強い拳がぐだ男の脇腹を抉る。
一瞬でくの字にひん曲がったぐだ男はその一撃に目を白黒させて意識が飛ぶのを必死に耐える。が、意識より先に体が壁に向かってぶっ飛んで壁を貫通。それにより意識も同様に彼方へと飛んでいってしまった。
「あぁ、お許しください。舎弟に手を出すなんて私久々過ぎてつい力を入れ──ってそうじゃない!ぐだ男!アンタ流石にセクハラし過ぎだって分からないの?なら私がその体に直接教えてやるわよ」
「マルタ。彼は既に聞いていませんよ」
「はぁ?」(超威圧
「この威圧感!ファリア神父と同等か……ッ!?」
「貴方のファリア神拳でも彼女に勝つのは難しそうですか?」
「はっ!──心配など要らぬ!!」
「へぇ……やろうっての?良いけど、手加減できないからね」
「ぬぅん!」
「では私も」
天使をも倒す拳。神をも屠る拳。それは正しく
この後、管制室では2人の霊基反応と1人の生命反応が消えて大騒ぎになる事となる。
◇
「ごめんなさい!」
それから数時間後。エレキシュガルに会ってきたと言うぐだ男は無事元に戻って必要以上にスキンシップしたサーヴァント達に謝って回っていた。
大体は寧ろありがとうと感謝されるのだが、ぐだ男は何をしていたのか覚えていない。故に謝れば謝る程、自分が何をしてきたのか怖くなって仕方がなかった。
特に清姫とか清姫とか清姫とか。
「あら、元に戻ったのね」
「カーミラさんにも迷惑をかけたみたいで……」
「その口振りからすると、何も覚えていないようね。私に尻尾を振ったのも?」
「聞きたくなかった!!」
「良かったわよ。貴方が他の皆には見せられないような蕩けた顔で鞭を受け入れる姿は」
「ヤメテ!!」
「安心なさい。ちゃんと画像データはダ・ヴィンチに渡して外部に漏れないように保管してもらってるわ」
「外部云々より内部で瞬く間に拡散する予感!!」
珍しくぐだ男をからかうカーミラ。
ぐだ男もそんなカーミラに違和感を覚えつつも、レオナルドに預けたと言うデータを何とか回収できないかと頼み込む。当然ながら、無理だと言われ愕然とするが意外にもカーミラは条件を飲めばレオナルドに頼みに行かなくもないと言う。
嫌な予感が少しするが、それでデータが手に入るのならとぐだ男は首肯する。
「聞き分けが良くて助かるわ。じゃあ弥明後日に新宿へ行くわよ。必要なものはお金、あと貴方1人だけ。ダ・ヴィンチにでも頼んでQPから換金してもらいなさいな」
「新宿……?何でまた」
「何でも良いでしょ。分かったなら予定を空けておくように手を回しなさい。拒否したらその時点でマゾ豚が出回ると思いなさい」
「喜んでお供します!!」
「良いわ。じゃあまたね
上機嫌になったカーミラがカツカツとヒールの硬い音を響かせながら廊下の先へ消えていく。
カーミラの本当の目的は新宿にある化粧品店。確かにぐだ男がややMっ毛を醸し出している写真はあるが、拡散しても事になるようなものではない。しかもダ・ヴィンチにも渡していなかった。それは初めからぐだ男と2人で行くのが目的だから。
「──私は血の伯爵夫人……エリザベート・バートリー。吸血鬼のカーミラ。英霊なんて大層な器ではない、狂気の大量誘拐殺人者」
彼女には誰も教えてくれなかった。
──そう、私はエリザベート・バートリー──
彼女は紛れもない反英雄。召喚するなら相当な殺人鬼だけだが……いざ召喚されればどうだろう。全うな、それこそ信じられないほど善性なマスターではないか。
己の悪を知ってもなお受け入れ、自分に光をくれた。
「私は悪。だけど……」
美しくありたい。その欲望は女性のみならず男であっても持つこともある。そしてそれの理由は多岐にわたる。
負けたくない。見返してやりたい。評価を得たい。
──愛されたい。
「誰かを想って美しくなるのくらい、良いでしょ?」
そう独り言のように呟いた彼女の笑みは純粋であったエリザベート・バートリーの様だった。
昨日書いてたらテレビでエリザベート・バートリーの話出ててビックリしました。
丁度その時に最後のカーミラさんの所を書いてたんで。