Fate/Grand Order 「マシュ。聖杯ってよく拾うけど全部願望器として機能してるの?」「勿論ですよ先輩」「じゃあソロンモさんを永み─」「先輩!」   作:第2類医薬品

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ボブミヤが実はガンナー枠で出るのではないかと思い始めた。




Order.3 お風呂は良い文明

 

 

 

 

 

「……っあ……ぁ!まずい!」

 

どのくらい気を失って居たのだろうか。覚醒したばかりで上手く回らない頭で状況を直ぐ様整理して、自分のおかれた状態を理解する。

そうだ……俺は男湯と女湯を分かつ壁の破壊に巻き込まれて最悪の事態……つまり、女湯へと放り出されてしまう事になってしまったのだ。

 

「いつっ……!タオル……は大丈夫か」

 

「お体は大丈夫ですかマスター?」

 

「ん?あぁ、少しあたほわぁぁぁぁあああ!!?」

 

お、おおおっぱ─

 

「─っぶなぃ……思わず口にするところだった」

 

「何を口にするところだったのですか?」

 

「あわっ!らら頼光さん!?」

 

腰のタオルの無事を確認してから起き上がろうとしたときに目にしたのは、たいそう柔らかそうな2つの大果実……いやいや、そうではなくっ!バーサーカーのサーヴァント、源頼光が俺の顔を覗き込んでいた。それだけではない。今俺は頼光さんに膝枕をされている状態にある。

 

「ご、ごごごごごごめんなさい!!」

 

起き上がろうにも柔らかなそれに当たってしまうので横に転がって頼光さんから離れる。

残念ながら(?)素肌ではなく胸から太股まで下ろされたタオルの感触だったが、俺には刺激が強すぎるっ!

うぅ……どこに目を向ければ。

 

「せ、先輩……あの……大丈夫、ですか?」

 

「うひゃあっ!ま、マシュか!?ちょ、ま、ごめっ─すぐ出るから!」

 

転がった先には湯船があり、そこにはマシュマロを浮かべたマシュが上気した様子で心配そうにしていた。

嗚呼、終わった。俺はこれから変態の称号を付けられて皆からの信頼も失ってしまった……もーソロンモさんとかどうでも良くなった。早いとこ聖杯拾ってこの事態を無かったことにしないと……。

 

「─ってあれ!?壁塞がってるんだけどぉ!?」

 

「えぇ。塞ぎましたわ、ますたぁ」

 

「んひぃっ!き、きよひー!」

 

「清姫さん!先輩が困っているので離れてください!」

 

「あぁ、とっても固いですわますたぁ」

 

「ご、誤解を招きそうだから止めて!!」

 

タオルに注意して立ち上がる。と、不意に腰に後ろから手をまわされ、腹筋を撫でてくるきよひーことバーサーカー、清姫からも離れて壁際に走る。

さっき穴が空いた筈の壁は瓦礫が詰め込まれていて……これは邪ンヌの旗だろうか?穴があった場所を隠すように引っ掛けられている。

 

「帰れないじゃん!」

 

「あら、帰すつもりはありませんよ」

 

「なんでさ!」

 

後ろからきよひーが迫ってくるのを感じながら壁を伝って出入り口を目指す。女湯であっても構造は男湯とさして変わらない。

 

「なんだいマスター。女の1人抱けないなんて情けないねぇ」

 

「ドレイク船長!?や、あのっ……兎に角出るんで!」

 

「お?なんだご主人。もう出ていってしまうのか?キャットはご主人に背中を洗ってほしいぞ?」

 

「キャット!?いや、悪いけど……」

 

ドレイク船長は湯船に浸かっていたらしいから万が一見てしまっても─ってそれは失礼だな……。

それは兎に角!キャットは裸エプロンでいつも刺激強めなのに今はタオルすらつけてないだと!?しかも犬の手足はどうした!

 

「ふぅむ。やはりウブなご主人には刺激が強すぎたな。という訳でアタシはご主人の体を洗うしかないな」

 

「待って!」

 

湯けむりが良い仕事してくれてるから、何とかキャットの顔を見て話を出来るが……たわわに実った果実が迫ってくりゅう!てか力強っ!流石筋力:B+か!

 

「うっぐぅぅぅ!」

 

「キャットさん!流石にまずいと思います!」

 

「ご主人とじゃれあいたいと思うのは獣の本能故な」

 

「わ、分かったから!先ずは髪の毛から洗おうな!?」

 

「先輩!?」

 

言うとキャットは満足そうに俺の腕を引っ張って洗い場に座る。赤いリボンを外して下ろしたピンクの髪の毛がいつもと違う雰囲気を醸し出していて少しドキッとする。

しかし猫は水が苦手じゃないのか?ぁいや、キャットは狐だし犬だし……?哺乳類ってこと以外分かんないな……。

 

「それでは頼むぞご主人」

 

「それは良いんだが……耳は大丈夫なのか?」

 

「先輩順応早いです!」

 

「気にしたら負けだぞ?耳はオリジナルと同じく4つある故な。それは飾りだ」

 

「嘘っ!?」

 

「嘘だ!……んっ。くすぐったいぞ」

 

鏡で見えるキャットの頬は風呂に入っていたからか、ほんのり上気しているようだ。目にシャンプーが入らないように目を瞑った様子が何だか可愛く見えてきた。

まぁ、キャットは元々動物みたいなもんだからしょっちゅうスキンシップ求めてくるし、どっちかって言うと女性サーヴァントの中ではかなり慣れてる方かなぁ。

 

「はい、終わったよ。流すぞー」

 

「んー……ありがとうなのだご主人。後で毛繕いも頼むぞ。ところでご主人は何故ここに居るのか気になるキャットであった。もしやご主人も野生に目覚めたか?」

 

「(髪の毛洗って満足したからか体を洗う事忘れてて助かった)そんなのじゃないよ。なんかキャットのお陰で落ち着いたよ。ありがとな」

 

「おうさ。ご主人の役に立ててキャットは嬉しいぞ」

 

「じゃあこれで」

 

「ますたぁ。次はわたくしをお願い致します」

 

「母の髪もお願い出来ますか?」

 

「あ、あのっ……私もお願いします先輩……」

 

「お風呂は良い文明。だが混浴は悪い文明」ギャルルルルル!

 

「もう勘弁してくれぇぇぇっ」

 

もう無理だ。これ以上ここに居たら大変な事になる。

ここは勢いが大事だ。走るんだ俺!

 

「おおおおお!」

 

「あ、いけませんわ。ますたぁの足元に石鹸が」

 

ツルン!

 

「なんでさぁぁぁぁぁああ!!」

 

「きゃあ!」

 

盛大にコケて湯船に頭から倒れる。誰か巻き込んだ希ガス─おや?何か掌に柔らかいものが……。

 

「……ちょっとマスター。早く退かないとデュヘイるわよ?」

 

見上げれば邪ンヌ。顔を真っ赤にしてワナワナと震えた様子で目を瞑ったまま眉を険しく寄せている。ってことはこれは……!!

 

「じ、邪ンヌ……!ごめん!」

 

「先輩最低です!!」

 

「なんでよりによってアンタが……怪我をしたくなければとっとと失せなさい」

 

あれ?

問答無用でデュヘイられると思ったのだが……何だかいつもよりも大人し目な邪ンヌだな。胸だって触っちゃったのに─い、いかん!今の感触は思い出すだけでアカンことになりそうだ!

 

「って、あれ?血が……」

 

「……ちょっと何してんのよ?早く出ていって─」

 

「……血の匂い!マスター、すぐに治療を!脳に異常が無いか切開して調べます!今すぐに!」

 

「ナイチンゲールさんそれでは逆に死んでしまいます!」

 

ナイチンゲール……胸デカいなぁ。そんなに走ったらもうバルンバルンして目が回っちゃうよ……。

っとと、立ち上がれない……ごめん邪ンヌ。ちょっと肩貸して。

 

「ひゃっ!?ちょ、ちょっと何してんのよ!?いくらアンタでも……え?血?……ま、待って!起きなさい!」

 

「先輩!」

 

「ますたぁ!」

 

 

─あれ?ここは?

 

「ぐだ男君の様子は!?」

 

「駄目ですね。脳の損傷が大きくてどうしようも出来ません」

 

「そんな……先輩!戻ってきて下さい!」

 

「どうにかならないのかい!?」

 

「……1つだけあります。マスターを改造人間にするのです」

 

「改造人間……!?物凄くライダークラスの適性が高くなる気がするけど……な、何でも良いからやってくれ!」

 

「ではまず消毒から。皆さんはここから出ていって下さい」

 

─改造人間?ライダー?ってちょっと待て!俺は生きてるから!生きてるからぁぁ!

 

「先に頭を切断しましょう」

 

ドゥルルルン!……ヂュィィィィィイイイ!!

─うわぁぁぁぁぁああああ!!

 

 

 

 

 

「と言う夢を見た」

 

「先輩が気絶している間の出来事としては強ち間違えてないですが……無事でよかったです先輩」

 

「頭の怪我だけで済んで良かったよ。何か皆パニックになっててさ(何にって、ぐだ男君の体を切開しまくろうとしたことにだけどね)」

 

「あはは……ありがとうございます。ナイチンゲールもありがとう。お風呂でゆっくりしてたのにこんなことになって……」

 

「大丈夫です。看護婦として怪我人が出れば当然の事です」

 

戦う看護婦は頼もしいなぁ。と、そうだ。

 

「あと、ナイチンゲールもマシュもごめん。黒髭達に半ば騙されたとは言え、こんなことになっちゃって……。もう俺は覚悟を決めたんだ。さぁ、思う存分罵倒して軽蔑してくれ!」

 

「先輩……」

 

黒髭達の事はついさっき聞いた。

黒髭はヘラクレスに締め上げられて金箱になる寸前にゲロ(白状)し、オリオンも小さな体が引き裂ける寸前で泡を吹きながら答えたそうだ。どうやら壁には聖晶石も聖晶片も含まれていなかったらしい。

まったく……今度レオニダス・ブートキャンプに放り込むか。……いや、それでは懲りないだろう。ここは一度、スプリガンの守護者の闘気×5クリティカルを叩き込ませてやる。無理矢理戦闘続行をつけて死ねぬ苦しみと恐怖を今一度霊基に叩き込ませるのがベストだな。

まだだ……まだ足りない!アルテラのマルスの剣をギャルギャル回転させたので奥歯から1本ずつ神経まで削り、ゼロ距離でエリザの生歌聴かせて─

 

「先輩が何か恐ろしい事を考えてるみたいです……」

 

「きっと元凶の事だろうね。おーい、帰ってこーい」

 

「─っあ。ドクター?」

 

「まだ意識が朦朧とするようなら休むのが良いよ。他の皆には僕とマシュで大丈夫って伝えておくから」

 

「ありがとうございます。正直頭がまだふらつくんで……」

 

「やはり一度脳を見た方が良さそうです。大丈夫。貴方は命を奪ってでも救います」

 

「大丈夫!明日になっても具合が悪かったらお願いするから!おやすみ!」

 

「はは。じゃあ行こうかマシュ」

 

「はい。先輩、おやすみなさい」

 

「おやすみー。ナイチンゲールも休むこと!休息はたとえサーヴァントであっても必要なの!」

 

有無を言わさず布団を被る。もう俺は喋らないぞサインだ。このままではナイチンゲールに重傷を負わせられかねない……実際頭も痛むし色々疲れた。

明日はゆっくりしよう。迷惑かけた皆にも謝らないと。

 

 

翌朝は些か良い目覚めとは言えなかった。いや、毎朝言えることなんだけどね……。

 

「……8時か。痛って」

 

……後頭部が痛む。タンコブ出来てるなぁ。

 

「フォーウ」

 

「お?フォウ君おはよう。今日も毛並みが綺麗だね」

 

「フォウッ。キュウ」

 

毎朝俺が起きる頃に部屋にやって来るフォウ君。

布団の上に飛び乗ってきたフォウ君を抱き上げて顎の下を撫でてあげると気持ち良さそうに体を伸ばす。ここがエエんか?ここがエエんか!

 

「ンキュッ。フォウ」

 

「ん?朝御飯?あー、忘れてた」

 

「フォウ」

 

フォウ君をベッドに下ろしてカルデアから支給される魔術礼装─要するに制服だ。それをちゃっちゃと着る。何だか最近キツくなってきた気がするから大きめの貰わないとなぁ。

 

「……よしっ。行こー」

 

「フォーウ」

 

 

カルデアの朝昼晩御飯タイムはとても賑やかだ。何せ100を超す英霊達も集まるのだ。たまに騒いだりする奴も出てくるけど、雰囲気は高校の学食のそれにイメージが近い。

 

「シロウ。お代わりです」

 

「待ってセイバー。今やるから」

 

「エミヤ、私にもお願いします。可及的速やかに頼みます」

 

「ちょっと待ってくれランサーのセイバー」

 

「もっきゅもっきゅ」

 

「皆おはよう」

 

「フォーウ」

 

食堂に着いた。ならば先ずすることはどんな英霊であれ、挨拶だ。一応俺は皆のマスターと言う立場である以上、それに相応しくない行動はとりたくない。

勿論、あまりマスターらしくするとアッセイされる危険もあるので程ほどに。

 

「起きたかマスター。今日は味噌汁があるぞ。やはり和食は良い文明だ」

 

「おはようアルテラ。昨日はごめん」

 

「詳細は聞いた。やはり黒髭達は悪い文明。マスターは悪くはない。だが、気を付けた方が良い」

 

「ありがとう」

 

その黒髭とオリオンは今は食堂に居ないみたいだ。もう食べ終わって出ていったのか、昨日のダメージから復帰できていないかあるいは……。

 

「おはようぐだ男君。ちょっと良いかな」

 

「おはようございますドクター」

 

「おはようございます先輩。フォウさんも先輩のところに居たんですね」

 

「フォウッ」

 

朝食を半分ほど摂り終えていたドクターに手招きされてマシュの隣に座る。こうして呼ばれると言うことは、今日のわくわくざぶーんは諦める必要がありそうだ。

寝起きでややボケている気持ちを切り換え、ドクターと面向かうと予想通り、特異点の話が出てきた。

 

「実は今日の5時頃、小規模ではあるけれど特異点が観測されたんだ。詳細は2000年代の日本である事以外は一切不明」

 

「……イベント開催?」

 

「何を言っているんですか先輩?まるで何かのゲームみたいに」

 

「ごめんごめん。それで、危険度としてはどのくらいありそうなんですか?」

 

「そこまでの危険は無いとは思うけど、異質なのは確かだ」

 

2000年代の日本……兎に角、それに聖杯が関わっている筈だし原因究明と聖杯回収は行わなければならない。異質であると言うなら充分な対策をして向かうとしよう。

 

「分かりました。俺は準備さえすればいつでも」

 

「助かるよ。だけどこちらももう少しだけ観測に時間を掛けたいから……午後一でお願いできるかい?」

 

「はい」

 

何だか唐突に嫌な予感がしてきたけど……大丈夫だろう。

 

 

9時。

朝食が終わり、俺と他のサーヴァント達の皿洗い当番が終わってから解散する。と、廊下でスマホ片手に壁に寄りかかってる邪ンヌを見付けた。丁度良い。

 

「邪ンヌ。ちょっと良い?」

 

「あら、何か用?」

 

「あぁ。昨日の事なんだけど……その、本当に申し訳ありませんでしたぁ!」

 

「……」

 

膝で杭を打ち込むかの如く床を鳴らし、歌舞伎の拍子木で床を叩くように強かに掌をつけ、額が割れるのも構わず硬質なカルデアの床に叩き付けた。

 

「……何がよ」

 

「え……えと、その……胸を揉ん……だ事です……はい」

 

頭蓋全体に伝わった激しい震動に堪えながら邪ンヌの問いに答える。あの場での一番の被害者は紛れもなく邪ンヌだろう。

アヴェンジャーであれ本来存在しない筈のサーヴァントであれ、彼女が1人の少女である事は変わりない。それなのに俺は裸を見、胸にも触ってしまった。否、揉んでしまったのだ!

んんっ。兎に角、謝っても許されない事は覚悟している。それがたとえ契約を切られるにしてもだ。

 

「えぇそうよ。アンタは私の胸を鷲掴みにしたのに飽き足らず揉んだ。それはちゃんと理解してるようね」

 

「いづっ……!?」

 

未だ痛む額を擦り付けていると後頭部に金属がぶつけられる。これは邪ンヌの足か。今俺は土下座状態で邪ンヌに頭を踏みつけられていると言うことか。普通ならとてつもない屈辱だろうが、昨日の邪ンヌに比べれは対したことなど!

 

「ところでどんな気分?土下座で頭踏まれるってアンタ達にとっては相当な屈辱でしょう?」

 

「……胸を触られた邪ンヌに比べればこの程度……これでも収まらないなら何をしたって良い。それで邪ンヌが満足するなら」

 

「っ……」

 

俺は床しか見えていない為、邪ンヌの様子はよく分からないが、何か驚いたような雰囲気で俺の後頭部から足を退けた。

 

「バッカじゃないの?聖人ぶらないでちょうだい」

 

「でも……」

 

「……何でもって、言った?」

 

「え?あ、あぁ。そうだけど……」

 

突然の切り出し。確かに何をしたって構わないとは言ったけど……。俺に出来る範囲であれば嬉しいかなぁ、なんて。

 

「じゃあ良いでしょう。ついてきなさいぐだ男」

 

「え?」

 

「早くして下さい。アンタがそのまま頭を垂れていると私が何かしたみたいに勘違いされちゃうでしょう」

 

言われ、急いで立ち上がると既に歩きだしている邪ンヌの背を追いかけた。

 

 

そして午後。軽く昼食を摂ってから管制室に行くと、既に慌ただしくカルデアのスタッフ達がレイシフトの準備をしていた。

 

「来たかぐだ男君。早速だけど軽くブリーフィングをしよう。マシュも来てくれ」

 

「はい」

 

「ドクター。あれから何か分かったことでもあったんですか?」

 

「それが全然駄目で……でも安全な場所にレイシフト出来るようにはしたから、行って早々敵と遭遇なんてことは無い筈だよ。けど油断しないでくれ」

 

「分かってます。なので不足の事態になっても大丈夫そうな人達を連れていくことにしました」

 

「また変わった編成だね」

 

今回の特異点訪問編成は俺含めず以下の6名。

マシュ。マルタ。兄貴。術ジル。ハサン(呪腕)。邪ンヌだ。

 

「あら、ジルも居たのね」

 

「勿論でございますジャンヌ。このジル・ド・レェいつでも貴女とマスターの為にあります故に」

 

「じゃあ行ってきます」

 

「気をつけて。今回の特異点はただそれしか言えないけど、バックアップは安心してくれ」

 

「はい」

 

突然表れた謎の特異点。何かいつもの特異点とは違った作為的なものを感じる。

そして時代は2000年代、そして日本。俺が産まれてからの日本であった大きな出来事等と言えば浮かばない訳ではないが……どれも人類史に影響が及ぶかと言われると、それはない。

もしかしたら、前の特異点Fのような聖杯戦争が秘密裏に行われていたとか……。

 

「……考えても出ないな。よし、行こう皆」

 

分からないならば確かめる他無い。例え嫌な予感をビンビンに感じていたとしても。

 

 







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