Fate/Grand Order 「マシュ。聖杯ってよく拾うけど全部願望器として機能してるの?」「勿論ですよ先輩」「じゃあソロンモさんを永み─」「先輩!」   作:第2類医薬品

27 / 82

頼光さんも見送り。
ただ夏へ向けて石を貯めるのだ。実は私、去年の秋から始めたので羅生門とか今回のとか進め方がいまいち分からなくて焦ってます。
忙しいのでペースも内容もガタガタですが、改めて楽しんでいただけたらと。


Order.27 真名判明Ⅰ

 

 

 

 

 

俺は危機に瀕していた。

目の前ではジュウジュウと音を立てて肉が焼かれ、俺はその様子から目を背けたくても何らかの力が働いているのか、目を離せない。

 

「……ッ」

 

肉が香ばしく焼かれ、裏返される。網から滴り落ちる脂が真下の炭火を刺激し、より一層火の勢いを強める。

見てはいけない。このまま見続けたら俺はきっと正気を保てなくなる。このままではぁぁぁぁ!!

 

「ぐだ男!しっかりしろ!」

 

「──うっ!?く、ぁ……いかん……こんなにも焼き鳥が旨そうに見えるとは……!」

 

「はっは!兄ちゃん随分ガン見してたぜ。どうだい?1本まけてやるぜ」

 

「生憎余達は持ち合わせがないのだ。邪魔して済まなかったな」

 

「すまぬ~」

 

「そりゃ残念だ。また今度来てくれや。今度こそまけてやっからよ!がはは!」

 

豪快な笑い声でこっちまで元気が出てくる焼き鳥屋のオッチャンに頭を下げ、商店街を進んでいく。

ここに来てから早1日。俺の全身は空腹、倦怠感、その他諸々で満足に動かなかった。ただ歩いているだけでもとても辛い……ちんちくりん共も魔力を見た目以上に吸う。

 

「はぁ……水で膨らますのも、俺の胃を誤魔化すには苦労がいりそうだ……ん?」

 

ふと、人混みの中である人物にやたら意識が注がれる。

皆は特に気付いた様子はないが、俺の視線の先。商店街の終わりにある陸橋でヨボヨボの腰が曲がったお爺さんが荷物を持ってのぼっているのだ。

明らかにそのお爺さんは辛そうなのに、誰1人として手を差し伸べたりはしない。何て酷いんだ。

 

「む?どうしたぐだ男!?何故急に走り出す!」

 

「ひぃ、ひぃ、はぁ……、お、お爺さん……大丈夫ですか?お手伝いしますよ……」

 

「ほげ?お前さん、大丈夫か?儂は大丈夫じゃ」

 

逆に心配されてしまったが、ここではいそうですかと下がってはわざわざ走ってきた意味が無いではないか。

再びアプローチし、このお爺さんを無視してきた他の奴等に思いやりの精神を体現してやらねば。

 

「大分重たそうじゃないですか。元気なのも結構ですが、あまり無理をされると後々大変ですよ。自分が貴方を背負いますから、お荷物はそこの彼女にお任せください」

 

話し方を変えてみる。

 

「んー……じゃあ、お願いするかの。儂もちと重たいでなぁ。気を付けるんじゃよ」

 

「若いんで力があり余ってますよ。よいしょ。ネロ、荷物を」

 

「任せろ!ぬ?確かに重いな……」

 

俺はお爺さんを背負い、陸橋をのぼる。中々に勾配がある階段だが、ネロに比べたら全然重たくない。

あ、いや、ネロが重たいとかじゃなくて、もう老人だから軽いって意味で……兎に角。俺の僅かな膂力を振り絞り、遂に反対側の道へお爺さんを届ける事に成功した。

 

「いやぁ~、ありがとうよぉ。お前さん達のお陰で反対側についたわい。後は儂が何とか出来るからよ、お前さん達も気ぃ付けるんじゃよ。“聖杯戦争も”そんな楽なもんじゃないからの」

 

「はは、何とか頑張ります。お爺さんも気を付けて」

 

ゆっくり、けれど他の腰の曲がった老人達よりも速く、お爺さんは歩いていった。

しかし人助けは気持ちの良いものだ。ただの自己満とか言われるかもしれないけど、これで他の人に対しての啓発にはなった筈だ。

……んー、何か引っかかる気がするけど、大丈夫か。

 

「だぁぁぁ。あー……体が……」

 

「人助けも良いんだが、自分の体を考えろぐだ男。それでは倒れてしまうぞ」

 

「ごめんごめん。──で、やっぱりまだ追い掛けてきてる?」

 

「うむ。丁度商店街を抜けてこようとしているぞ。どうする?」

 

「俺の予想だけど、多分この聖杯戦争に俺達も組み込まれてると思うんだ。だったら、この聖杯戦争に勝って聖杯を貰ってカルデアに帰るってのが一番早いと思う。だから、もし戦いを挑んできたなら……倒す」

 

実は今朝、ティマトがサーヴァントの気配を察知した数がネロを除いて6騎だった。その6騎はティマトが知っている匂い……曰くカルデアの匂いらしいが、それがしないらしい。だから昨日もネロが居ると分かったらしい。だが、この能力は遠くの気配は感知できても近くに居るとてんで分からなくなるという。

だが精度は素晴らしい。どこら辺に居るのが何のクラスのサーヴァントか分かるようで、セイバー以外6騎が確認できた。つまり、あのバーサーカーはまだ残っているわけだ。

そして恐らく聖杯はセイバーの枠をネロで埋めて、聖杯戦争を開始したのだ。これでいよいよ俺達も戦わざるを得ない状況に追い込まれてきたわけだ。

 

「ネロ。もし魔力が足りないなら言ってくれ。魔力をどう渡せば良いか分からないけど、再契約でも何でも試してみる」

 

「そ、そうだな。魔力供給は……後でしてくれると助かる……。ぁや、よ、余が!余がやり方を教える!」

 

「知ってるなら良いんだけど……調子悪い?」

 

「そんな事は無いぞ!?」

 

「?取り敢えずアサシンとその癇癪マスターから離れよう。走れる?」

 

その問いにネロは無言で頷く。ちんちくりん共もそれを真似するように頷いて、俺の肩に飛び乗ってきた。

今だ!

 

疾走(かけよ)!」

 

「あ!」

 

後ろで「しまった」と続く。やっぱり俺達が気付いているとは思ってなかったようだ。

出遅れた癇癪眼鏡マスターと距離をドンドン離し、住宅街の細い道をひたすら駆けて行く。少し走れば人気の無くなった道で俺はカワザキを召喚する。早く乗れと言わんばかりにエンジンをふかせるそれに走りながら飛び乗った。ネロも同様にリアシートに着座して俺の腰に手を回してきたのを合図にスロットルを全開にする。

 

「どこへ行く!?」

 

「どうせどこに逃げても見付かる!だから戦っても被害のでない所にいく!」

 

「きた!あぁしんきた!」

 

「ふん!」

 

ティマトが後ろを見ろと頬を叩いてくる。

アサシンが来ていることは分かりきっている。ただアサシンがナイフらしき物を投げてきたのは気付かなかった。

それに気が付いたのはミラーを見たときにキラリと煌めいた瞬間。背筋が凍り付いたが、その飛来物はうしろのネロが原初の火(アエストゥス エストゥス)を呼び出して即座に弾き返した。

 

「すまぬ!余も反応が遅れた!」

 

「大丈夫だ!刺さってもゲーティアのより痛くない!」

 

返事としては微妙なチョイスだったか。

 

「逃がさんぞ?」

 

「っ!!??」

 

声と同時、不意に全身が重たくなった。ネロも同様らしく、思わずカワザキを無理矢理止めて地面に転がり込んだ。

何だこの重た──いや、苦しさか!息を吸えども満足出来ない!

 

「余が宝具──余が船艇は勝利せん(グリニッジ・グレイヴゼンド)は汝らを“溺れさせる”。そして」

 

「ぐが、ハァ!?」

 

もがく俺の頭もとに何者かが降り立ち、錫杖で地面を叩く。すると体が宙に浮かび始めて、本当に溺れているような状態になる。周りを見てみればネロも癇癪眼鏡の悪趣味マスターとそのアサシンも溺れている。

 

「余の独壇場とな──」

 

「みじゅ!ぁい!」

 

「グリニッジ……グレイヴゼンド……成る程な。ライダーなのも納得だ」

 

「!!な、何故余の宝具が効かぬ!?」

 

「──ぷはぁ!」

 

バシャバシャと溺れかけていたせいで状況が掴めないが……宝具を展開したサーヴァントが何かに驚いて居るのは分かった。

ネロ……は皇帝特権で何とか泳げているか?いや、どうなんだろう。兎に角!令呪で切り抜ける!

 

「ネロォォォォ!!」

 

「む!?叔父上のようなぐだ男の雄叫び!よぅし!聞き受けたぞマスター!とぉう!」

 

魔力で出来た水を押し退け、ネロが電柱の天辺に舞い降りる。

 

「聞け!ここにある全ての者よ!そして刮目せよ!我が黄金の劇場を!!」

 

「黄金の劇場……!そなたはもしや!」

 

「えぇい!良いところだから喋るでない馬鹿者!!そして余と色々と被りすぎだ!」

 

ネロが剣を振り、水をモーゼが如く裂くと同時に世界が変わる。水が消え、住宅街は客席へと変わり、太陽からの光は黄金の物へと変わる。

世界を書き換える固有結界とは違う、ネロの大魔術。世界に“建築”された黄金の劇場──否、花嫁の舞台。結婚式場は今、ここに存在する。

 

「なんだ……!?」

 

「結婚式場……?」

 

「これは余の愛!花嫁が主役の、余が主役の空間!良いか?貴様達は余の伴侶を傷付けんとした。それは万死に値する!例え神が、世界が、マスターが赦そうとも……余は決して赦さぬ!その意味を──魂まで刻むがよい!!童女謳う華の帝政(ラウス・セント・クラウディウス)!!!」

 

水の宝具を展開させたサーヴァントとアサシンにネロが一瞬で斬りかかる。

アサシンは何とか間合いを察知できたのか、胸が十字に裂かれても少し深めに入っただけで済んだ。一方の錫杖を持つサーヴァントは左腕が肩から斬り落とされていた。

あまりの速さに反応が追い付かず、未だ腕を落とされたことに気付いていないそのサーヴァントの首を次は刎ねんと、斬り上げの動作から腰を捻り、爪先で舞うように回転をかけながら横一文字に剣を振るう。しかし──

 

「ぁがっ!」

 

耳に刺さるような硬質な音。ネロはその手に握っていた筈の原初の火(アエストゥス エストゥス)を落としていた。

更に辛そうに床に手を突いて息を荒げている。……魔力切れだ……令呪でも直前の腕落としが限界だったのだ。劇場も霞んで消えていく……!

 

「ぐああああ!!余の腕があああああ!!」

 

「下がれネロ!」

 

と思わず言っていたが、ネロは動けない。だからこそ俺が動くしかない。

相手が痛みに暴れて何をしでかすか分からない。ならば、初めから何もさせなければいい!

 

「真のマスターは眼でガンドる!!」

 

俺の双眸が輝き、カルナよろしく更に進化した視線誘導型ガンド弾が敵サーヴァントの眉間に命中。所謂フィンの一撃程の物理威力は無いが、まるで銃で眉間を撃たれたようにサーヴァントが倒れた。

 

「魔眼よあれ!人じゃないわ!」

 

「魔眼ドだな」

 

何やら後ろの方が五月蝿いが無視しよう。俺は急いでネロを抱き上げてバイクへ向かう。

エンジンスタート。目を覚ませカワザキ!お前の力を見せてみろ!

 

「油断するからだライダー!ふっ!」

 

敵サーヴァント、ライダーのマスターが曲がり角から現れ、魔術を行使する。それによって俺のガンドは解除された。

馬鹿な!人類悪でもスタンさせるやつだぞ!?くっそぉ……!

 

「感謝するぞマスター!後で100万勝ってきてやろう!」

 

「良いから行けって……今度は油断するなよ!纏めて蹴散らせ!」

 

「動けるアサシン?」

 

「大丈夫だ。だが俺は泳げない」

 

「ちっ……退くわよ。巻き添えで終わりたくないわ」

 

「逃がさんぞ!今度こそ余の宝具を喰らえぃ!」

 

駄目だ……!逃げ切れない!

 

「うわぁぁぁぁあああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「──え?」

 

「あ、お目覚めですか。お爺ちゃん、起きたよー」

 

瞬きすると、目の前は見知らぬ天井だった。美しい木目の天井からは四角い枠に囲われたサークルタイプの蛍光灯がぶら下がっていて、何だか旅館を彷彿とさせる。

それに加えて俺を覗き込んできた大正ロマンな服装の少女が妙に時代の感覚を狂わせてくる。

ま、まさかの夢オチ!?

 

「痛っ!」

 

「駄目ですよ動いたら。肋骨が折れてますから」

 

「肋骨が──」

 

胸に痛みを感じて最後の記憶が蘇ってきた。

あの時、ちんちくりん共とネロを庇って敵ライダーの宝具に巻き込まれた。幸いにもライダーは真っ先にアサシンを倒そうとしていた為、激流に振り回されてどこかに叩き付けられたのだ。肋骨が折れたのはその時だろう。

そしてライダーの宝具がアサシンに当たろうとしたその時、新たなサーヴァントが現れてそれを止めたんだ。止めたと言ってもライダーがその新らしく現れたサーヴァントを見て動きを止めたと言う方が誤解がない。

アサシンも同様に──否、その場にいた全員が動きを止めたと止めてそのサーヴァントを見ていたんだ。

しかも驚いたのは皆が皆、そのサーヴァントを自分の身内だと思っていたらしく、酷く混乱していた。そのサーヴァントは特に攻撃はせずに、俺達を魔術で転送し……そして今に至る。

 

「兎に角動かない様にして下さい」

 

「いや、応急手当で何とか……」

 

俺には応急手当が使える。魔力は殆ど消費せずに高い回復力を得られるこのスキルは非常に使い勝手が良い。俺はそれでさっさと肋骨を繋げて体を動かしてみる。魔力が足りないのかと危惧していたが、大丈夫だった。

 

「高度な魔術……どこで学んだんですか?」

 

「ぇ……いや、その……」

 

大正ロマン少女はやたら興味を持ってくるが、良く考えればこの娘が敵ではないと保証はどこにも無い。ただ、俺達を救う形になったのはこの娘のサーヴァント……俺が商店街を抜けたときに階段の登り降りを手伝ったお爺ちゃんだった。

良く良く思い出せば、あの時の違和感が「聖杯戦争」とお爺ちゃんが口にしていたことだと気付く。瞬時に移動できる魔術を使えるならばキャスターなんだろう。それならあの時に俺達へ認識阻害をしていたとしても納得できる。

 

「ぐぅぅぅぅだぁぁぁぁおおおッお!!??」ドスッ

 

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!??」

 

どうするかと頭を回転させていると襖を勢い良く開け放ったネロがアメフト選手も脱帽の超高速&見事なタッチダウンを俺の右太股にキメる。

何故タッチダウンか?それはネロが持っていた囲碁盤に起因する。きっと突っ込んでくるつもりは無かったんだろうけど、畳で滑ったんだろう。

まぁ、そんな事はどうでも良いのだ……太股があああああああああ%◇¥@○△(´・ω・`)㌔㍉?♂ヱヱゑゑ、れ!?!?!!

 

「す、すまぬ!!大丈夫か……?」

 

「──ッ、──」

 

角だ!角が!

 

「セイバーさん……どうして囲碁盤を?」

 

「ぐだ男が起きたと聞こえてつい持ってきてしまった。しかし囲碁は難しいな。将棋の方はキャスターと良い勝負だったぞ」

 

皇帝特権なのかそれとも流石皇帝と言うべきなのか、そう言うゲームは強いネロ。たまに自分()とチェスをしてるのもあるか。

 

「そんな事は置いてだ。ぐだ男、体は大丈夫か?」

 

「……直前まではね……ネロこそ大丈夫?」

 

「余は元気だぞ。実に情けないが……食事まで貰った」

 

「そうか……」

 

ネロが腹ペコとは言え、見知らぬ相手からの料理を食べたのか?やや抜けている所もあるネロだが、人の見極めには皇帝だけあって定評もある。……まぁ、赤い方の本人曰くある顔芸学士は見抜けなかったようだが。

指輪を飲み込んだ時やある巨人の拘束をうっかり解いちゃった時の顔芸はサーヴァント1と言っていたけど、あまり気にしない方向にしよう。

 

「……ありがとう。ネロも俺も助かった。けど、どうして助けた?あの時放っておけば少なくとも聖杯戦争で当たる相手は減った筈だ」

 

「儂が、無理言ったんじゃ。お前さん達には助けられたからのぉ。じじぃからの御駄賃だと思って受け取って下され」

 

「キャスターは将棋が強いぞぐだ男」

 

それは今どうでも良い。けど、ネロは「信用できる相手」だと言っているんだろう。

そうだ。サーヴァントも信じてやれなくてマスターなんぞ出来る訳が無い。

 

「──ありがとうございますキャスター」

 

「ほっほ。儂はキャスターなんて呼ばれかたは慣れんでの。外じゃなければ『滑瓢』と呼んでくだされ」

 

 

曰く、ぬらりひょんとは本来ただの正体不明の妖怪。

曰く、願いは孫。

曰く、手遅れレベルの認知症。

 

「ほっほ。美樹や、昼食はまだかの?」

 

「2時間前だよ」

 

「そうかい?所で、儂昼食は食べたかの?」

 

「2時間前だよ」

 

「美樹や。お腹が空いておらんか?昼食は食べたのか?」

 

「2時間前だよ」

 

美樹。新堂美樹が滑瓢(ぬらりひょん)のマスター。離婚してから母親に見捨てられた女の子で、願いは家族の再生。

あれから色々と話した結果、この家で聖杯戦争中お世話になる代わりに彼女等に協力する事となった。故に、自分の状況を全て打ち明けた。

信じられないと目を皿にしていたが、どうにか信じてくれて助かった。

 

「所で新堂。他のサーヴァントの真名は分かったりしてる?俺もしかしたらバーサーカーは分かったかもしれないんだ」

 

「因みにあのライダーの真名も分かってるぜ」

 

「なんぱしたのー」

 

「看破ね」

 

「すみません。私まだ戦ったりしてないので……その2騎の真名を聞かせてもらっても?」

 

「確証は無いけど、バーサーカーは恐らくハンニバル……ハンニバル・レクターだと思うんだ」

 

ハンニバル・レクター。現実には存在しない物語の人物だが、人喰いの反英雄サーヴァントだ。普通の聖杯戦争では反英雄等のサーヴァントは召喚されない仕組みだが、ここもまた普通ではないようだ。

何故俺が分かったかは単純に見た目が役の人(マッツ・ミケルセン)とそっくりだからだ。マスターが居なくなればサーヴァントは現界できない。それを引き伸ばせる単独行動はバーサーカーにはまず無い。しかしハンニバルは未だ現界を保っている。何故ならハンニバルは人を喰う……ハンニバルの代名詞とも言えるそれはスキルか宝具になっているはず。

人(魂)喰いと相性が良いんだろう。

 

「で、ライダーは何なの?」

 

「グリニッジ、グレイヴゼンドと言ったらヨットのチャールズ2世だろ。馬も好きだからな。ライダーなのは納得だろ?」

 

チャールズ2世?確かイギリスの王様だった気がするけど……分かんないや。

 

「成る程な。兎に角、人への被害が出ている可能性が高いバーサーカーを先に倒したい。皆で動こう」

 

「待って。今日はもう休んだ方が良いと思います。もう魔力が無い筈ですから」

 

「むう。確かにそうだな。料理は余がやるぞ」

 

「ごめんなさい。今日はインスタントカレーで我慢してください」

 

「かれー」

 

体をよじ登ってきたティアマトを肩車すると、俺の髪の毛で遊び始める。すると──

 

「くさい!ぱぱくさい!」

 

「ガーーン!!」

 

人間、臭いと言われると一番ショックとは聞いたことがあるが、「ぱぱ」も付け加えられると更にヤバい。

 

「あ、あの……お風呂使って良いですよ?」

 

「……ネロ達先に使って……」

 

「ぱぱ、めんね?」

 

「……ぁぁ」

 

立ち直るには暫く時間を必要とした。

 




真名判明は3騎。

キャスターは日本妖怪でお馴染み「滑瓢(ぬらりひょん)」

バーサーカーは羊達の沈黙でお馴染み「ハンニバル・レクター」。こちらは私が海外ドラマの「ハンニバル」を見ているのでそちらで設定してます。

ライダーは歴史でも少しつまむ程度「チャールズ2世」。調べても誰だか分かりません。


バーサーカーは分かった人多かったのでは無いのでしょうか。では各々のスペックです。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

キャスター:滑瓢(ぬらりひょん)

属性:中立・善

時代:江戸時代?

地域:日本

筋力:E
耐久:E
俊敏:E
魔力:A++
幸運:A+
宝具:EX


宝具:詳細不明の妖怪(ボケろうじん) E~EX

「え~、何じゃったかのぅ……かぁぁぁっ、ペッ」

首からぶら下げたらくらくふぉんから取り合えず誰かに電話して援護してもらう。相手によって宝具威力や性質などが変化する。
伝承の補正がかかっており、電話の相手が誰であっても(無論、例外は居るが)、身内のピンチが如くぬらりひょんを加勢しに召喚されてくれる。
別の次元では出た相手がある金ぴかの英雄で、聖杯戦争開始初っぱなからエアで一掃させたこともあったり無かったり。


固有スキル

・無辜の怪物 C:自身に毎ターンスター獲得状態を付与(3ターン)&防御力がダウン(3ターン)。

・呪術 A:敵単体のチャージを確率で減少。

・認知症 EX:自身の状態異常を解除&HPを全快。


クラススキル

・陣地作成 D

・道具作成 B


実は妖怪の総大将やら人ん家に上がり込んでお茶飲んだりするのは後に創作などで付け加えられたもの。本来は詳細不明の良く分からん妖怪。
しかしぬらりひょん=総大将のイメージは既に無辜の怪物のスキルで本来ならばDにも満たないぬらりひょんの呪術スキルを大幅に強化していたりと、若干手遅れな所が見られる。が、他の無辜持ちと違うのがその大衆のイメージに引っ張られ過ぎていない事だ。
それは何故か?もう既に認知症も手遅れな所に到達してしまったが為に無辜の怪物程度のスキルではどうしようもなくなっただけである。
認知症スキルもEXまで行くと戦闘中で負った傷や呪いなどを忘れてしまい、どこから引っ張ってきたのか分からない膨大な魔力で瞬く間にリセットしてしまう。仕切り直しの類い。
聖杯への願いは孫の顔を見ること。残念ながらぬらりひょんには妻も子供も居ない。これには聖杯も頭を抱える。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


バーサーカー:ハンニバル・レクター

属性:混沌・悪

時代:1933年~?

地域:リトアニア

筋力:A+
耐久:B
俊敏:A
魔力:C
幸運:B
宝具:D


宝具:君の肝臓はワインのつまみだ(ハンニバル・ザ・カニバル) A+++

「旨い」

敵単体に人型・悪特効の超強力な攻撃を見舞う。
ナイフで生きたまま腹を裂き、肝臓だけではなく他の臓器も摘出し、彼はそれを料理する。
丁寧な調理、立派な食器と共に並べられる豪勢な食事。それを咀嚼し、嚥下した時彼はただ一言そう言うのだ。


固有スキル

・カニバリズム EX:自身に人型特効状態を3ターン付与。必中状態を1ターン付与。

・心理操作 A:敵全体の弱体耐性ダウン(2ターン)。

・多芸多才 B:ランダムで効果。


クラススキル

・狂化 B


人食い。精神科医。猟奇的殺人犯。
彼はクラススキルが付いてもつかなくても同じ。既に狂っている。だが先天的に食人嗜好を持っていたわけではなく、ある時溺愛していた妹が殺害され、食料にされた事が起因。
彼は狂ってはいるが話が出来ない訳ではない。高度で幅広い知識も何もかもそのまま。マスターを食べる事はちゃんとコミュニケーションをとれば大丈夫だと思うが、放っておくと近所で行方不明者が出るかもしれない。令呪の睨みを効かせておくべきだ。
聖杯への願いは妹ミーシャと再開。あわよくば当時に戻り、妹を殺した者達を妹の代わりに食うこと。
どんな結果になろうとも、自分が食人嗜好に目覚めるのは確実だろう。と彼は“誰かの肉”を料理をしながらそう呟くのだ。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


ライダー:チャールズ2世

属性:秩序・善

時代:1630年~1685年

地域:イングランド

筋力:C
耐久:B+
俊敏:A++
魔力:D
幸運:B
宝具:B+


宝具:余が船艇は勝利せん(グリニッジ・グレイヴゼンド) A


かつてテムズ川で行われた英国初のヨットレースにてキャサリン号を駆り、王弟ヨーク公のアン号との勝負に勝ち、後にヨットレースが盛んになる切っ掛けを作った者としての記録が昇華された宝具。
愛船であるキャサリン号を召喚。陸地であっても猛スピードで敵へと突進して魔力で出来た擬似テムズ川へ溺れさせながら何度も船の体当たりを行う。
威力は敵が泳ぎが苦手、鎧などで重量があるほど向上し、周囲に水があればあるほどスピードど威力が爆発的に上昇する。つまり雨の日の水辺やプールでは宝具ランクが変わる。
ただし、あくまでも突進であるため相手の耐久値が高いと溺れさせて一時的に動きを封じるのが精一杯になりかねない。


固有スキル

・陽気な王様 A:味方(女性と子供)全体に毎ターンHP回復とスター獲得状態(各々3ターン)を付与する。

・怠惰王 B:2ターン後に自身の宝具威力大アップ。

・王政復古 A++:3ターン味方全体の防御力をアップ。味方全体の攻撃力がアップ。味方全体のNPを増やす。


クラススキル

・対魔力 D

・騎乗 B


チャールズ2世。王政復古期スチュアート朝のイングランド、アイルランド、スコットランドの王である。
1630年、チャールズ1世と王妃でフランス王アンリ4世の娘ヘンリエッタ・マリアの次男として生まれたが、兄は幼くして亡く、実質的な嫡男だった。
ピューリタン革命にてオランダへ亡命した際に彼が見つけたのが小型の快速船「ヤハト」現代の「ヨット」であった。
後に彼は国王となり、オランダよりヨット「メアリー号」が贈呈される。彼は前々より夢だったテムズ川でヨットを走らせる事を叶え、イギリスでもヨットを建造した。
聖杯への願いは特になく、あるとすれば己の身1つでヨットを走らせて世界を1周すること。召喚さえされれば聖杯などどうでも良い。
彼がライダーとして現界するのはヨットだけではなく、馬と競馬も好んでいた事にある。しかし馬を駆る方では現界はしないと彼は言う。

「確かに馬も良いが、やはりヨットの方が好きでな。だが、貴殿が余に少し金銭を貸してくれれば必ず何倍にして返ってくるであろうな」

馬の眼を見れば分かるとも言っている。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

よく見ろ。こんな残念なサーヴァント設定は地獄に言っても見られんぞ。腐☆腐


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。