Fate/Grand Order 「マシュ。聖杯ってよく拾うけど全部願望器として機能してるの?」「勿論ですよ先輩」「じゃあソロンモさんを永み─」「先輩!」 作:第2類医薬品
「PTSD?」
清姫の嘘殲滅騒ぎが終結して3日。丁度魔術協会の面子が大量にカルデアへと来訪し、事の顛末やデータ、様々な事が大盛りで思わず面食らっていた。
ロマニは勿論その相手で奔走し、規定違反も山盛りで大目玉を食らっていたが、何より魔術協会側が目を引いたのはぐだ男の事だった。
今やぐだ男は世間には知られていないが、多くの英霊と契約し、特異点を修復してきた英雄にも等しい存在。カルデアとしては彼を様々な事から守るために徹底的にデータ偽装を行っていたが……その途中の来訪により工作は不可能となってしまった。
今後彼は否応なしに協会の政治抗争に巻き込まれる形となってしまうだろう……何しろとてつもなく貴重な、貴重すぎる生きたサンプルなのだから。本人としてはその内暗殺されかねないと笑っていたが、その事で珍しくマシュからかなり叱られていた。
と、そんな事もありつつ、複数のサーヴァント達とロマニ、レオナルドが集まった会議室ではぐだ男の現状について話されていた。
「そう。Post Traumatic Stress Disorder……所謂トラウマってヤツさ」
「マスターがそれになったと?」
「彼自身は周りにバレないように振る舞っているけど、バイタルをモニターしているこちらとしてはもう見ていられない……これ以上精神にダメージを与えたくないんだ」
強大すぎる敵と戦い、更に夢での精神破壊。強靭な精神を持った彼でさえ、その病気になっていたのだ。
しかし本人はそれを拒否。戦いが終わって去っていくサーヴァント達に最後まで元気に振る舞うつもりでいるらしい。
「しかしレオナルド、ドクター。マスターはああ見えて頑固だ。生憎私ではそういった事に直面したことは無くてな」
「拙者はどちらかというとトラウマさせる側でおじゃったな」
「私の魔術でもトラウマは……ごめんなさい」
「君達は座には帰らない組のサーヴァントの一部だ。このまま居ると言うのなら正直猫の手も借りたい気分でね。来月の送別会までに彼が折れないように支えてもらいたいんだ」
要するにぐだ男をメンタルヘルスケアするのではなく、せめて隠しとおせるように協力してほしいとレオナルドは言う。
「今言った通り、これ以上彼にダメージは重ねたくない。だから無理に治すんじゃなくて、せめて彼が日常生活を送れるように補助してもらいたいんだ。やってくれるかい?」
ロマニの問いに一同が強く頷いた。それに満足したロマニは資料やらのまとめがあるからと足早に退出。レオナルドもサボるのを止めて本気を出すかと続いて退出していった。
一方、残されたサーヴァント達は早速どうするかと会議を始める。
「さて、マスターはあからさまに補助されるのは嫌う筈だ。ならば自然に、お互いが相手に悟られないようにやっていく必要がある」
「散歩だナ」
「何が?」
「やはりここは論理的に考えましょう。人はお茶で心が落ち着くものですから、カフェを開くんです。今回は私もサンタから少し乗り換えてメイドさんになります。ジャンヌ・ダルク・メイド・リリィです!」
「フォォォォォ!!幼きジャンヌのメイド!このジル・ド・レェ精一杯協力致しますぞォォォ!!」
「だからあからさまなのは駄目だと……」
「やっぱり体を動かして発散だろ。オレがサーフィン教えてやるぜ」
「数学的に考えてやはり筋肉でしょう。筋肉は全てを知っています。ならば、筋肉を鍛えるのが数学的に最良!」
アタランテの心配通り、サーヴァント達の暴走が始まってしまう。正直、ジャンヌ・リリィの頑張りはとても微笑ましくてそれに決定しそうになったが、それでも彼女はぐだ男の為に己を保つ。
だが、会議で進行役などやったことがないアタランテでは各々の治療法を提示するサーヴァント達の相手はとても無理だった。いっそ、黄金のリンゴを眺めて現実逃避しようかと思ったその時、モニターが切り替わってスピーカーからある男の声が響き渡った。
『ちゅーもーく!いい加減黙ってもらっても良いですかね?拙者我慢の限界でござる!インフェルノしそう!』
「黒髭!鼓膜が破れるかと思ったぞ馬鹿!」
『あー、はいはい落ち着け赤セイバー』\赤セイバーじゃねえ!叛逆の騎士モー/
『兎に角、拙者は前々から考えていたんでござる。ぐだ男殿にピッタリなイベを!それがこれだ!』\おい!無視す/
モニターには何かの設計図が映し出されている。若干名、内容が分かるサーヴァントは何やらざわめき出し、分からないサーヴァントもお互いにあれは何だと疑問するのもお構いなしに黒髭は続ける。
『これはProject
「「「な、何だってー!」」」
「?パーソン……何だって
「私も知りません」
「それは直流かね!?」
「いやどう見ても交流だろう!」
「はっは!何を言っているのか分からないなミスターすっとんきょう」
「そっちこそ猫科の動物が人語を喋べったところで理解できる無いようではなかったようだ」
「「……」」
「はいストップ。これ以上騒ぐならまとめてキャトるわよ」
既にエジソンとテスラの頭上で発射寸前のUFOが部屋を明るく照らしている。流石の2人もエレナを怒らせるのは止したいらしく、素直に席へ。睨みあってはいるが、それ以上は何もしない……いや、テーブルの下は凄まじかった。
『えー、ともあれ、これの建造完了は明後日の予定であり、現在もバベッジ殿とキャスガメッシュ殿とマーリン殿が目下建造中でござる。詳細スペックは手元の資料72Pに載ってるので読み合わせといこうか。先ずこれの形状デザインだが、ぐだ男殿のラフ画にござる』
「これをぐだ男が?中々上手いではないか。そう言えばお主もいつかオリジナルの槍を描いていた時があったな。どれ、その絵と設定とやらを聞かせてもらおうか」
「うぉあー!うあー!そんな話出すんじゃねぇよ師匠!あ……いや、止めてください」
「ちゅーにびょーね?この前イリヤが言ってたわ。ね、ジャック」
「ちゅーにびょーは痛いらしいから早めに解体しなきゃね」
「そう言えばお前もその病ではないのか?エドワード・ティーチ」
「解体する?」
『解体しない。ライダークラスの拙者にそれは止めてくだちい。とりま、これは名前の通り対魔力性質の装甲が全身にふんだんに使用されており、1m^2当たりの対魔力ランクは凡そAランク。コレが全身にあるのでメディア氏の大魔術でも破壊は難しいのが最大の強み。全高21m、総重量9tと超軽。走行時最大速度は時速147km。最大跳躍高さは68m。最大跳躍距離は86m。最大連続稼働時間は58h42min。エンジンはクォンタム・リアクター。これは天才の英霊達が総力を決して作った最高の動力炉であり、もし爆発でもしたら直径100kmはあらゆる物が蒸発するでござる』※日本の10式戦車が44t。
ペラペラと解説を続けていく黒髭だが、何が何だか分からないサーヴァントが続出。無理もない。
ある程度の知識があれば分かるような内容であったとしても、生きていた時代が時代な為に大半のサーヴァントは「持っていても使わないだろう」ないし「そもそもその情報自体は分かっていても理解できない」と言った様々な理由で与えられた筈の知識を弾いてしまう。結果、こうして皆頭を抱え始める。
「ふむ。これはバイラテラル・システムが主なようだが、角数値は幾つでやっている?」
「……は?師匠何言ってんだ?」
『流石スカサハ氏。その叡智は馬鹿にできんでござるなぁ……で、このバイラテラル角数値は2.5で設定してるでござる」※バイラテラル角数値は簡単に言うとコクピットのパイロットからの入力をロボット等のマニュピレーターが何倍にして反映するかの数値。今回は2.5倍。フルメタのバイラテラル角とはこれの事。
「ではマスター側のINPUTに対してのアクションまでのラグは何秒かかる?」
『ざっとコンマ0002秒ってとこですな。流石エジソン殿ww』
「ほぅ……コクピットのモニターはどうなっている?」
『360度確認可能なスフィア・モニターにありまする。モニターに頼らない視神経との接続もありますぞ』※スフィア・モニターは私の即席造語ですが、要するに球型のコクピットで、内側が全てモニターになっているもの。逆シャアやユニコーンのコクピットがそれに当たる。
「……面白い。中々どうしてこの時代には面白いものが溢れているか」
「師匠!?」
スカサハはまるで強敵に出くわしたかのように目を輝かせていた。
「私もルーンをもって建造に協力しよう。なに、悪いようにはせんさ」
『まぢかw思わぬ収穫で拙者少しばかりビビったwよし!そんじゃまだまだ読み合わせいくぞ!』
◇
「ふっ……ぅぐ……」
「……」
カチリと金属パズルの最後のピースが穴を埋めた。
「だはぁ!終わった……」
「お疲れ様です先輩。この調子ならリハビリも順調に進んでいきますね」
俺は現在絶賛リハビリ中だ。
左腕全体の筋力ががた落ちしたからこうして握力を始めとしてトレーニングをし、震えを抑えるために細かい作業もやって制御を確実にしていく。
全部で30ピースの比較的簡単なパズル。誰でもできるようなそれでも、俺はこれを完成させるのに1時間も掛かってしまっている。
時折休憩を挟んで右眼のチェックもしているが、こっちはぼんやり光が見えるだけで機能はほぼ失われていて両眼で見ようとする方が余計見難い。
「付き合わせて悪いね……見てても何の楽しくもないリハビリなのに」
「先輩はまだまだ怪我人ですから、何も悪いことはありませんよ。所で飲み物は何かいりますか?」
「んぁー……ココアお願いしても良い?」
「分かりました。すぐ持ってきますね」
マシュが何だか嬉しそうに部屋(俺のマイルーム)から出ていく。何だか使い走らせてるようで悪い気がしてきたが、彼女が進んでやりたがるのを大丈夫だと全て断るのも悪いから適度にやってもらおう。
と、そうだ。片眼が駄目だけどアレが使えるか試してみよう。
「えーと……これでいいか」
昨日飲んでほったらかしにしていたお茶のペットボトル部屋端に設置。他にも壊れたりしても困らない物を沢山置いて所定の位置につく。
深呼吸して己の中にある魔術回路をオンにする。
「
以前までは令呪で補助をしていた眼ドをペットボトルへ放つ。
パゥッとアニメで眼からビームが放たれるそれと同じ様な音でガンド弾がペットボトルをひしゃげさせた。
「……くふふふっ。遂に来たぞ……令呪サポート無しの眼ド!詠唱とか必要ないけど、格好いいからたまにやるか」
この前の決戦で回路でも開いたのだろうか?俺は片眼がほぼ見えなくても眼ドはしっかり使えていた。以前まではどう頑張っても体の真正面にしか発射出来なかったが、今では視線をズラすだけで射角を変えられるようになった。
劣るどころか前よりもより高性能になったこれは最早宝具と言っても良いのではなかろうか!
「流石ぐだ男殿……型月主人公でも類をみない進化を辿っておりますなww」
「うぇあばっ!?黒髭!?い、いつから見てた!?」
「サーキット・スタートの所からです」
割りとついさっきだった。
もしリハビリしている所を見られていたら黒髭は今頃俺の眼ドで泡を吹いていた所だろう。兎に角、何で黒髭はドアを少し開けてこちらを伺っているんだ?
「そうか。ま、いいや。それよりどうしたの?」
「実は拙者達、遂にアレを完成させたでごじゃる」
「アレ……?」
「戦機……」ボソッ
戦機!?馬鹿な!それは実現不可能だった筈では!?
「なん……だとっ!?まさかアレが出来たとでも言うのか!……フィギュアだろ?まさか本当に等身大作った訳じゃ無いだろ……?」
「デュフフ……真実はいつも1つ。答えを知りたくばカルデア第2テクノロジーセンター開発エリアに来るでござる。その時、真実はそこに……。デュフ、デュフフフフ……w」
「ま、待て!黒髭!」
閉められたドアをすぐに開けて黒髭を捕まえようとする。しかし、すぐに開けたというのに廊下には誰も居ない。
今のは幻覚だったのだろうか……。いや、しかしアレが本当に等身大で出来たと言うのなら……。
「先輩?どうしたんですか?」
「はぅわ──マシュか……ごめんごめん。何でもないよ。ココアありがとね」
「いえ。?部屋が散らかってますが、どうしたんですか?」
「ちょっと眼ドをね。所でマシュ。この後気分転換に第2tecに行かない?」
「良いですけど、急にテクノロジーセンターに行きたいだなんて珍しいですね」
「男はそう言うものなんだ」
温かいココアで両手を温めながら少しずつ飲んでいく。しかし、もしもアレが本当に出来ていたらと思うと興奮してしまい、つい口に含みすぎて舌を火傷してしまうのであった。
◇
「上手く言ったでござる。所で、ぐだ男殿が眼からガンドをメチャ早く正確に撃ってたんですがアレヤバくね?遂に3代目ランチャーに?」
「いや、坊主がそこら辺(時々ヤバい)のは今更だろ。取り敢えず行くぞ」
「り」
◇
カルデア第2テクノロジーセンターはバベッジが元々召喚されてから増築した第1テクノロジーセンターの隣に増築された場所だ。
奴さん達が押し寄せたときはかなりヤバかったらしく、そりゃあもう大騒ぎになったそうだ。まぁ、それも当然だろう。何しろ色んな時代の天才が己の欲望のままに開発した宗教的、科学的、魔術的に超貴重な物がこれでもかと転がっていたのだ。
正直、見慣れてしまったのと元々興味が無かったからどうとは思ってなかったけど、奴さん達の興奮した様子を見て初めて凄いものだったんだと気付かされた。
──で、今向かってるのはそこ。俺達を案内するかのように矢印に導かれて着いたのが重厚、巨大な金属扉の前だった。
「こんな大きな施設がカルデアに……」
「えと……誰か居る?」
『ようこそ新時代人型兵器開発室へ。貴方がマスターぐだ男ですね。セキュリティの関係上、生体的にこちらの情報と相違がないか確認させていただきます』
「ぉ、おぉ……」
扉から聞こえる電子音声に驚いているとレーザー光が俺の全身をスキャニングしてすぐに扉が開く。
『改めてようこそぐだ男様。奥でキャプテン・エドワードがお待ちです』
言われるままに部屋の奥へと歩みを進める。どこからともなく響き渡る金属のぶつかる音。溶接音。油の匂い……前にも通った他の研究室(と言う名のマイルーム)と同じような雰囲気が漂っている。
ただ1つ、他と圧倒的に違うのはその部屋の高さだ。25mはあるだろうここは明らかに“巨大な何か”を作っているのが伺える。ここまで来ると、黒髭の言葉が確信出来る。
「待っていましたぞぐだ男殿。訊きたいことは山程ある筈だが、そこはチョイ待って貰ってこれを見ていただきたい」
突然、黒髭が暗がりに現れて外套を靡かせる。それと同時、パッと背後が明るくなって腹の底から全てを震わせる駆動音が俺を否応なく振り返らせた。
「──これは……!!」
「紹介でござる!これこそがカルデアの技術の結晶!魔術と科学を織り交ぜた究極の人型機動兵器!対魔力装甲搭載汎用人型人理継続補償戦機 Person who restores human history!」
「完成していたのか!プレマスト!」
「知っているんですか先輩?」
「あぁ!あれは俺がもし作れたら良かったなって思って妄想を描き起こした人型機動兵器!」
「ぐだ男殿。勿論、のるでござろう?」
「モチ!」
しかし俺の腕と眼はどうやって補助するのだろう?思考制御とかだろうか。いや、でもあれは黒髭との設定段階でマニュアルで操縦すると言うので決まった筈。マスタースレーヴ式を導入したし、機体との神経接続か?
「安心召されよぐだ男殿。今回はぐだ男殿の補助のためタンデムでマシュ氏を乗せて腕の代わりを果たして貰うでござる」
「マスタースレーヴ式だとコクピットを割りと狭めに作ったんじゃないの?」
「ぐだ男殿はまだ視神経との接続が負荷が大きいんでスフィア・モニターを導入して……とりま、乗ってみてくだされ。あ、マシュ氏は補助の説明があるんでこっちに」
『ぐだ男様はこちらへ。コクピットへ案内します』
可愛らしい女の子の音声に言われて俺はまっすぐプレマストへ走り出した。
◇
「マシュ氏。これは所謂ぐだ男殿のメンタルヘルスケアであって……」
「や、自然に補助するだけって話じゃ?」
「──まぁ、どっちかと言うとぐだ男殿と拙者達のやりたいことみたいな物なんで大丈夫でござろう。ささ!」
黒髭さんに押されて先に先輩の待つコクピットへ入る。
中では専用スーツにコード等が繋がれており、曲面のモニターに膨大な情報が流れている。先輩が腕を動かせばそれに僅かな遅れなく追随してモニターでこのロボットの腕が動くのが分かる。
『この操作システムはまだ試験段階の域を出ません。このコクピットの広さならバイラテラルシステムよりスティック入力による──』
「まだぐだ男殿にはそっちの方が扱いやすいんでー。ささ、マシュ氏もさっき言った通り」
「はい」
先輩の左腕の代わりに私の腕に機器を接続。ビリッと少し痺れるような感覚が走った直後、私の腕は私の指示を受け付けなくなって勝手に動き出した。
「おぉ!マシュの腕が俺の腕みたいに動く!」
「じゃあシートベルト締めろよぉ!戦いの始まりじゃあ!」
「「え?」」
黒髭さんが急に大きな声でコクピットを閉めるとモニター全体が明滅。360度見回せるようになって空中に居るような感覚になる。
「戦いって……?」
『転送開始。完了まで──2秒』
「ちょ、まっ」
先輩が制止しようと手を伸ばした瞬間にモニターから眩しい光がコクピットを包んだ。
◇
それが今から30分前。俺達がフィールドに転送された時の事だ。
そして今──
「マシュ掴まって!」
「はい!」
『逃がさんぞ雑種!往くぞゴールデン・バビロン!』
《警告。2時方向より接敵。回避を推奨》
「だからやってる!」
モニターにデカデカと表示される警告文字に怒鳴りながら回避行動を取る。機体が激しく揺さぶられて黄金に眩しい敵機体、ギルガメッシュのゴールデン・バビロンの剣撃から逃れた。
《損傷軽微。戦闘続行に異常無し》
『ぐだ男殿!もっと前に行くでござる!ほらほら!行くでござる行くでござる!』
「わぁってる!」
「先輩!8時方向からバベッジさんが!」
「ぬぅ!」
左に視線を配ると轟くような飛行音を響かせる黒い巨人が赤いモノアイを煌めかせている。
「デカいバベッジさんだぁぁぁ!!」
『これこそが、
「迎撃を!」
「うおおおお!!」
ペダルを左回りの弧を描くように入力するとそれの動きを数倍にしてプレマストの左脚が回し蹴りの動きを出力した。
『ぬぉ!』
『余所見は許さんぞ雑種!』
「ギルギルマシーンⅡ接近!」
「くぅ!」
プレマストの腹にゴールデン・バビロンのコークスクリューブロウが入る。
衝撃にシェイクされて地面へと叩き付けられると、宝物庫が開いて雨のように武器が降ってくる。
『何をやっているか馬鹿者!その程度避けてみせんか!』
「いや、アレは難しいです師匠!」
跳ね起きの要領で下半身を上げ、数本回避してから背中のマッスルユニットのパワーを全開。そうして地面を抉りながらも素早く跳ね起きたら走り前転でまた避ける。
しかしギルガメッシュめぇ……ロボットバトルなのに宝物庫からバンバン射出するなんて無粋な!
「これならどうだ!」
腕に仕込まれた機関砲を使ってギルギルマシーンⅡを迎撃。連射性能こそ低めだが威力は高いそれでギルギルマシーンⅡの右肩が爆発する。
「やった!」
「いえ!まだです先輩!」
『ふはははは!雑種ごときに
太陽を背に腕を組んで浮く黄金の機体がえらくラスボス感を出しているのは言うまででもない。
しかしこれに勝たないと……最後の1機まで残らないと──
「──絶対に負けるものか!」