Fate/Grand Order 「マシュ。聖杯ってよく拾うけど全部願望器として機能してるの?」「勿論ですよ先輩」「じゃあソロンモさんを永み─」「先輩!」 作:第2類医薬品
このままのテンションがいつまで続けられるか……
そう言えばバレンタイまであと少しですねー。
「ドクター、ドクター。1つ質問が有るんですけど」
「ん?なんだい?」
「カルデアの召喚システムって触媒とか無いランダムなんだよね?」
「そうだね。だけど全くランダムな訳じゃないよ。前に少し話したけど、君達が特異点で得た“縁”が関係してくる事もあるんだ。この間も、いつの間にか鬼ヶ島に居てそこで会ったセイバーのサーヴァントを召喚しただろう?」
鬼ヶ島で出会ったセイバー……“彼女”は名を新免武蔵守藤原玄信、つまり日本で有名な剣豪・武蔵と名乗った。
当然、武蔵と言えば佐々木小次郎と戦った二刀流の男であるのだが、彼女曰く、「え? こっちの世界だと武蔵って男なの? しかも凄い有名なんてびっくり!」とのこと。
史実とは違う武蔵の彼女ではあるが、実力は本物のようだ。因みにアルト……謎のヒロインXは「あんなに斬ってみたいと思う相手は初めて」と笑顔で言われたのが原因か、X最後の砦、二刀流に踏み込んできたセイバーなのに避け気味だ。とある着物のセイバーと同じ気配を察知したか……。
「だからそう言うこと。触媒にせよ、午前2時召喚にせよ何かをしても無駄じゃないって事さ」
「じゃあ、召喚するときにカバディをしたらカバディの英霊が来ますかね?」
「カバディ!?」
「知らないんですかドクター?カバディとはインドの国技で─」
「いや、知ってるよ!?ボクが言いたいのは何でカバディなのかって!」
「カバディカバディカバディカバディカバディカバディ……」
「ぐだ男君狂化入ってるね!?」
何となく、夢で誰かがどこかの学校の本棚でカバディの本を興味深そうに読んでるのを見たのを思い出したんだ。
実際今日の朝、カルナにカバディの事を訊いたんだけど─
「ほぅ、マスター。カバディを知っているのか?」
「ちょっとだけね。でもどんなのか見たことが無いから、インドの英霊であるカルナなら知ってるかなって」ムキィ
「あぁ。知っているぞ。カバディとはインドの国技であるのだが、紀元前から狩猟方法として存在していたそれがスポーツとして変化したものだ。ルールの基本を作ったのは二大叙事詩の1つ『マハーバーラタ』の一記述だな。その事もあって俺達インドの英霊にも関わりが深いものだ」
「へぇ……そうだったのか」ムキィ
「実際、俺がかつて召喚された所ではカバディの英霊も居た。いや、俺は直接見ていないのだが強い力を感じたのを覚えている。もし相対していたら俺も危うかったかも知れないな」
「居るんだ……成る程。ありがとうカルナ!」ムキィ!
─と言う事があったから物凄く気になったんだ。
「あのカルナさんが一目置くサーヴァント……」
「面白そうだねぇ。フォウはどう思う?」
「……ナァン」
「食べ物!」
「うーん……まぁ、あのカルナ君レベルのサーヴァントが危ういって言う程だから相当強いんだろうね……。確かに来てくれるのであれば心強いことこの上無い!よしぐだ男君、早速カバディ召喚だ!」
「はいドクター!」
召喚システムを起動させ、周りのスタッフやマシュを巻き込んでカバディを開始する。
「「カバディカバディカバディカバディカバディ……」」
「あの……これは本当に意味が─」
「しっ。駄目だよ。男には時に理解を越えたテンションが宿るものなのさ。女同士、温かく見守ってやろうじゃないか」
「ダ・ヴィンチちゃんは男ですよね!」
「フォウ!」
「来た!サーヴァントが召喚されるぞ!ラストスパートだ!」
「はいドクター!」
「「カバディカバディカバディカバディカバディ!」」
光輪が黄金色に輝き、3つに別れた後収束する。
……来る!
「「カバディィィィィィィィ!!」」
「……ふん。復讐者、ゴルゴーンだ。うまく使うが……何をしている?」
「─」
光が弾けた後、現れたのは此方を見下ろすような様子で、バイザーをつけた女性がそこに居た。
彼女は知っている。名乗った通り、
正直、カバディの英霊が来なかったのはガッカリだが、それにも劣らず強力なサーヴァントだ。ただ彼女がちゃんと力を貸してくれるのだろうか……?
「ぐだ男君……ノーカバディだったね」
「はいドクター……ノーカバディ・イエスバビロニアです」
「……やはり私を呼んだのは貴様だったか。まぁ良い。貴様をうまく使ってやるし、貴様も私をうまく使ってみせろ。どちらが先に末路を晒すか見も─」
「あ、もしもしステンノ?今ね、そっちのメドゥーサよりおっきいメドゥーサが来たんだけど、何か会いたいって言うから来てくれない?」
「貴様ッッ!?天性のサディストか!おのれ……私は逃げる!覚えていろマスター!」
やはり姉様達には勝てなかったか……。物凄く焦った様子のゴルゴーンがやや情けない女走りでどこかへと駆けて行く。
「もうぐだ男君にうまく扱われてるじゃないか」
「さ、流石先輩です」
「……ノリでやっちゃったけど、大丈夫かな?」
「はぁ、はぁ……おのれ。召喚早々姉上達を近付けて来ようとするとは……。覚えていろマスター」
「うふふ……楽しいわ、とっても。ねぇ?
「えぇ。勿論よ
「ひっ!?」
まだ召喚されたばかりでカルデアの構造を知らないゴルゴーンが突き当たった行き止まり。そこでゴルゴーンはこんな姿になっても尚、苦手な姉2人に壁と挟み撃ちにされてしまった。
「ね、ねね姉様っ……」
「まぁ、見てみなさいメドゥーサ。貴女よりも大きな貴女が居るわよ」
「め、メドゥーサ……ほんの少し、私より軽やかだな……」ボソッ
「あら?
「ぃえっ!?ちが、そんなのではありません下姉様!」
「私……こんなに大きくなるんですね……はは」
「
ライダーのメドゥーサも未来に瞬きの間にでも存在していた完全な化け物となる前の姿をみて、主に体格に対して乾いた笑いを漏らしている。
「ねぇ、
「どっちも味わってみるのはどうかしら?」
「「ひっ!?」」
ライダーとアヴェンジャーの2人が更に怯えた様子でこれから来るであろう、吸血に身を強ばらせる。
「くっ……私は逃げる!」
「あちょ─!」
アヴェンジャーがライダーの自分を盾にして、素早い動きで狭い通路を蛇の如く逃げ出す。
自分を盾にして自分は逃げるなんて訳のわからない行動が出来るサーヴァントもそうそう居まい。
「逃げられると」
「思ったの?」
「「駄メドゥーサ?」」
「「あ、あぁ……いやっ─ああぁぁぁぁっ!」」
◇
「お休みなさいおかあさん!」
「おう、お休みジャック。
「はーい」
夕食も終えて、ゆったりとした時間に入る。
ある者は風呂へ。ある者は再び鍛練に。ある者は床につく。
ぐだ男が風呂に向かおうとしていると、どうやらもう寝るらしいアサシンのサーヴァント、ジャック・ザ・リッパーが廊下を駆けていった。
カルデアの中でも幼い彼女ら、ナーサリー・ライムとジャンヌ・サンタ・リリィは仲が良い。故に部屋は3人で一緒なのだ。
「……ジャックもパンツ丸出しで恥ずかしいなら着替えれば良いのに……」
「お?ぐだ男君。君も今からお風呂かい?」
「あ、ドクター。ってことはドクターもですか?」
「うん。さっきスタッフ同士でジャンケンして順番を決めたんだ」
カルデアでは基本自室にシャワールームはついている。だが、もっと大きな風呂に入りたい!と言う人向けに大浴場も設けられている。
最近はサーヴァント達の憩いの場ともなっていて普段では出来ないような同性同士での話などが出来る。ぐだ男はそう言った男同士の忌憚のない空間が好きで良く入っているのだ。
「お?マスターじゃねぇか。どうだよ体の調子は」
「うん。お陰様で元気。ちょっと節々が痛むけど」
服を脱いでいざ男湯に入ると、湯船に浸かって脚を伸ばしたクー・フーリンや黄金の風呂に入って愉悦そうな弓の方のギルガメッシュ。サウナで我慢比べをしている電気組2人に炭酸風呂でじっとしている
「しかしここも大分変わったなぁ」
「そりゃぁそうですよ。何たって子ギルと弓ギルが珍しくレジャー施設の開発に意見が一致して作られたやつですからね。明日あたり暇だったら『わくわくざぶーん』にでも行ってくるかなぁ」
「あれ?マスターにドクター。ここら辺でランサー見てないか?」
「それならあそこに居るよ」
「ありがとう」
と、そこにタオルを腰に巻いたエミヤがやって来た。
……なんだかあの危険ドラッグを飲んで以降、何時ものようなキザな口調は無くなって礼儀正しくなって顔付きも変わった気がする。いや、変わってる。
「あ?何だよ坊主」
「さっきスカサハさんが探してたぞ。何だかお前がマスターに作った槍について話したいってさ」
「げぇ……何だよまったく……」
「早く行けよ?風呂出た所の自販機の前で待ってるってさ」
「へいへい」
でも一部のサーヴァントにはあのように大分砕けた様子で接している。
しかしクー・フーリンの作った槍で師匠に呼ばれるなんて何があるのだろうか。
「よぉマスター。……ほぉ、随分良い体つきになったじゃねぇか。どうだ?今なら殴りあえるんじゃねぇか?」
「流石に無理かなぁ……ごめんベオウルフ」
「ハッハ!気にすんな。また種火飲む時まで我慢してるからよ」
風呂に入る前に軽く体を流していると背中をベオウルフに叩かれた。
ベオウルフはバーサーカーなのにマトモな会話が可能な出来るサーヴァントだ。何かと殴り合いに持ち込みたくなるのは、生前グレンデルの腕を素手で引き千切って撃退した事が原因とみられる。
「「はぁ~~~」」
いよいよ湯に浸かってドクターと一緒に息をもらす。
「いやぁ……やっぱりお風呂は良いものだねぇ」
「そうですねぇ……」
「……ねぇ、ぐだ男君。あそこにいるオタクとぬいぐるみは放っておいて良いのかな?」
「……そうですねぇ……」
ここは数少ない憩いの場。男湯の壁に張り付いて何かやってる
「……令呪を以て命ずる。貴様らは
「まままま待つのでおじゃる!」
「れ、冷静に考えろ!ここで今俺を霊基還元したらオリオンとして現界してるアルテミスまでメロンゼリーになっちまうんだぞ!?」
「オウフ……オリオン氏、拙者の事はノーカンでごさるか」
「まったく……どうせ隣の女湯を覗こうとしたんでしょ?絶対痛い目にしかあわないから」
「ナメてもらっては困りますぞぐだ男氏!拙者達はこれを発見したのですぞ!」
物凄いテンションで立ち上がった黒髭の手には幾つかの聖晶片があった。
どういうことだ?聖晶は文字通り見た目通り聖晶石の欠片。7つ集める事で聖晶石1つに復元させることができる代物で、特異点でちょくちょく拾える。最近特異点に行っていない筈の黒髭が何故掌に聖晶片を?
「実はな……この壁にはギルガメッシュがどこからか持ってきた建材が使われているんだが、それに聖晶石や聖晶片が混じってることが分かったんだ」
「なん……だと……!?」
「であるからして、拙者達がこうして誤解をされると分かっていながらも、ぐだ男氏の為にと掘っていたんですぅ。そこんとこお分かりぃ?ま、どーせ拙者達が覗くような事をしてると思われる事も分かってましたしぃ?」
「ぐ……すまない黒髭!俺は……」
確かにカルデアで問題を起こすサーヴァントと言えば、黒髭、オリオン、パラケルスス、カエサルの4強。更に最近はジャンヌが増えてきたせいか、術ジルも加わりつつある。そんなサーヴァントととは言え、自分と契約を交わしてくれた仲間だ。その仲間を疑って、あろうことか令呪でメロンゼリーにしようとしたなんて、俺はなんて馬鹿なマスターなのだろうか!
「分かってくれたかマスター」
「ぐだ男氏、拙者達は何も怒ってはありませんぞ。さぁ、共に聖晶石を手に入れようではありませんか」
「黒髭……オリオン……!うぉぉぉぉ!俺もやってやるぜ!」
壁は一部塗装が剥がれており、そこから掘り進めていたのか幾つもの穴がみられる。
壁はまだまだ厚さがあるし、少しくらい聖晶石欲しさに掘っても構わんだろう!
(デュフフフwwまんまと騙されましたなぐだ男氏!全ては計画通り!マスターという絶対上司を盾にすれば、作戦失敗時の拙者達へのダメージは軽減!さらに、好きな幼馴染みがうっかり着替え中に部屋に入ってきてしまって慌てて出ていこうとする幼馴染みを意識したあまり、引き留めてしまってそのまま眼福な時間が訪れるように、女湯の女性陣もうっかりぐだ男氏を引き留めてしまうこと間違いなし!その間に拙者達は至福の時を得るのでおじゃる!)
(カルデアにはナイスバディな女の子が多いから困らないぜ!)
「あ、お巡りさーん。あの人達です。壁に穴を空けて女湯を覗こうとしてる輩は」
「■■■■■■■■■■■■!!」
「「「!!!???」」」
鉄杭片手に掘り進めようとした時、背後から凄まじい気配を察知して思わず3人揃って振り返った。
そこには呆れた様子の子ギルと、もう殆ど破けてしまっている警察の制服を着た(?)ヘラクレスが雄叫びをあげていた。い、いかん!完全に誤解されている!
「ま、待つんだ!俺達は悪くない!誤解なんだ!」
「はぁ……。犯人は皆そう言うんですよね。やっちゃってくださいバーサーカー」
「■■■■■■■■■!!」
「ウゴァ!!?」
「デュクシ!!」
「んごほぉっ!!」
令呪など間に合う筈もなく、俺達は殴られて壁に叩きつけられる。
俺は壁と黒髭(と黒髭に握られたオリオン)に挟まれて身動きがとれない。しかし効いたぁ……!あと数時間、種火を飲まされるのが遅かったら重傷だった!種火の余韻も長い!
「■■■■■■■!」
「あ!駄目ですよバーサーカー!」
「「「らめぇぇぇぇえ!」」」
全身にとてつもない衝撃が走った。
骨が軋み、肺が潰されて苦悶の声と共に息を吐き出してしまう。このままではぁぁぁあ!!
─ビシッ!
刹那、背中の方から嫌な音がした。俺の骨が折れたような音ではない。……壁が壊れる音だ!
「おのれおのれおのれおのれおのれおのれ!!」
「ぐだ男氏ぃぃぃ!た、助けて下され!」
無理に決まっている!ヘラクレスは押してくるのを止めないし壁も確実に─
「「「あ」」」
「■」
「─っはあっ!」
不意に体への圧力が軽くなって背中から倒れる。
最悪の事態が訪れてしまった……!
「「「マスター!?」」」
「……ぅあ……っつ……」
崩れた壁の方からと頭の方、両方から俺を呼ぶ声が聞こえてくる。
あぁ、不味い。頭を打ったからか意識……が。
「マスターを引っ張ってくださいバーサーカー!」
「……」
「あちゃー。流石にバーサーカーも女湯に入ると12回以上殺されそうか……」
「ぐだ男氏!拙者と拙……わっ……!…………う………」
もう駄目……助け、て黒髭……ここの刺激は俺には強……い……。
カバディの英霊はEXTRAで図書室にいたモブマスターがスポーツ関連(カバディの公式ルールか何かが載ってました)の棚の前にいつも居たので、きっとこいつはカバディ関係のサーヴァントなんだ。と妄想していてどうしても出してみたかったんです。
まぁ、召喚されるようなことはありませんが。
ぼくのかんがえたさいきょうのさーばんと。
クラス:ルーラー
真名:カバディ
・ステータス
筋力:B
耐久:C
俊敏:EX
魔力:A+
幸運:B
宝具:EX
身長:168cm
体重:61kg
性別:男
時代:紀元前~現代
地域:インド
「願いなど私にはありません。何故かルーラーのクラスを与えられただけです」
・クラススキル
陣地作成:B・・・スポーツとしてコートを使用する事に由来。キャスターのそれとは多少違い、彼の陣地はコートとなり敵感知力が増す。
神性:C・・・紀元前から存在し、マハーバーラタから基本ルールをとった事や一部のマニアが「インドやべぇなw」と何故か信仰しまくったことに由来。
対魔力:EX・・・何故かついてきた。
単独行動:B・・・試合の攻撃側でレイダーがあることに由来。レイダーとは1人で
・保有スキル
キャッチング:B・・・アンティがレイダーを自陣に戻るのを阻止する妨害行為。主に胴体をつかまえたりする。よってこのスキルは単純なスタンスキル。成功率はマチマチ。
宝具
ベクトルが違う信仰によって、ナーサリー・ライムのように1つの概念として成立、“一部マニアの英雄(?)”としてサーヴァント化した概念英霊である。
よって、真名及び宝具名は競技名となっている。この宝具も固有結界であり、発動すれば周囲に展開。
15秒毎に囚われた相手の全ステータスが1つずつランクダウンしていき、逆にルーラーの全ステータスが1つずつランクアップしていく。抗うには「カバディ」とキャントしながら7人に増えたルーラーを倒さなければならない。それだけなら対多攻撃法を有するサーヴァントであれば大した驚異ではないのだが、カルナを唸らせる理由は他にある。
それは結界に囚われた時点であらゆる宝具・魔術・スキルが無効化される第二効果だ。よって、どんなに宝具が強いサーヴァントであっても、己の身1つで戦わなければならなくなる。
クラススキルこそ無効化されないが、ルーラーの俊敏値がEXな時点で抵抗力としては弱い。
突破するとしたら、ルーラーを上回る俊敏値と攻撃力をもった肉体派でなければならない、訳のわからない宝具。