Fate/Grand Order 「マシュ。聖杯ってよく拾うけど全部願望器として機能してるの?」「勿論ですよ先輩」「じゃあソロンモさんを永み─」「先輩!」 作:第2類医薬品
さて……更に石貯めを頑張るか。無課金は続けていきたいですからねぇ……タマモナインが来たら財布の紐マッハで緩めますけどw
「ロンゴミニアドと大分違うな。何より槍が軽くて扱いづらい」
「じゃあ自分でやるよ」
「いや、私はぐだ男、貴様のサーヴァントだ。ならばこの位の事やってみせて当然であろう。それに、こと槍の扱いであれば貴様より優れている」
「……さいですか」
とは言う彼女だが、さっきからゲイザー相手ではなく慣らしの為と木に攻撃をしている。しかも何に張り合っているのか
しかしあれだ。俺はこれでも男だ。幾ら修羅場をくぐり抜けて命の危機や世界の危機を体験してきたとは言っても未だ男女交際をしたことが1度もない男だ。
故に、そのようなたわわに実った果実が動く度に布面積の少ないそれからハミ出してポロリしそうになるのを非常に気にしてしまう。見てしまう!目が行ってしまう!!
「先輩最低です」
「ぅえっ!?ちょ、ちょっと待ってマシュ!」
「魔力をまわせ。次こそ決める」
「え?もう結構割いてるけど……」
「そんな筈はない。先程から私に魔力が一向に渡ってきてないし減っていく一方だが」
「……マシュ。今からマシュに魔力まわすから来たら言って」
「分かりました」
自分の中で割り振っていた魔力を具体的な物に変換してイメージする。俺の場合はサーヴァントをコップ、俺を水の入ったウォーターピッチャーだ。
今までアルトリアのコップに多く注いでいた水を一旦止め、マシュのコップに多めに注ぐ。溢れることなく、8分目で止める。
「……はい。魔力の増加を確認しました先輩」
「うーん、参ったな。じゃあもう一度アルトリアにまわすから集中して」
「あぁ」
「んんん~……ホァァアアア!!」
コップに注ぐどころか、ピッチャーの蓋を取り外して引っくり返す。当然、中の水がぶちまけられてアルトリアのコップのみならず他の皆(ここに居るメンバーのみ)のコップにも注がれる。勿論、全部は止めてギリギリ立てる位まで残す。
「はぁっ!はぁっ!はっ……っんぁ、はぁ……」
「適当にやりすぎです先輩!」
「これで……どうだっ……?」
「……おかしい。これっぽっちも魔力が増えていない」
「なん……だと!?」
◇
一方オルタズ側。
「……」
「……」
ランサーオルタが置いていった
先刻まで元気良く回っていた筈なのだが急に動きが止まり、また回ったと思えば今度は持っているのが難しい程超回転を始めた。トゲトゲも脈動するように光を放って槍自体がビクンビクンと仰け反りながら地面を暴れまわっている。
「……」
ビクンッビクンッ///!
ギャルルルルルルルルルルル!!
「……」
ビクンッビクンッ///!
ギャルルルルルルルルルルル!!
「気持ち悪いです」
「不快だな。ロンゴミニアドはこんな槍ではなかった筈だが」
ロンゴミニアドはいつの間にか回転を止めていた。
◇
「くっ、このままでは……」
「霊体化は?」
「無理だ」
「先輩。今まで言ってませんでしたが、カルデアの英霊の皆さんは特殊な契約の関係上霊体化をすることが出来ません」
「え!そうだったの?」
「受肉と似た状態になっている為です。ですから皆さん食事と睡眠をとるんです」
「へぇー」
感心するぐだ男だが、この情報は本来マスターがちゃんと把握しておかなければならない事である。尤も、自分が霊体化出来ない事を知らないサーヴァントも数多く居るのだが(中には霊体化をするという概念がないサーヴァントが殆ど)。
「じゃあゲイザー食べようか。それで少しは楽になるでしょ」
「何……?あの奇怪な奴をか?」
「うん。さっき1体仕留めてるからそれを姿焼きにするか」
「「姿焼き……」」
マシュとランサーオルタが海魔、ソウルイーターに次いで気持ち悪いと言われるゲイザーの姿焼きをイメージする。
想像力が逞しい彼女達だ。すぐにリアリティなそれをイメージしてしまい、気持ち悪さを覚えた。
「せ、先輩っ。カルデアに帰ってからエミヤ先輩に調理して貰いましょう。焦っても美味しいものは出来ませんから……ね?」
「そうだな。私も今すぐに必要な訳ではないからな。気遣いだけ今は受け取っておく」
「んー……まぁ、そうしようかな。じゃあ取り敢えず今は座ってゆっくり─」
「フォウ!フォーウ」
「え"……フォウさん……」
「フォウ君どうしたん?」
「フォウ!」
「およ?我慢出来なくてもう焼いちゃったの?しょうがないなぁ……でも俺達も丁度食べるって話になってたから大丈夫だよ。2人も食べようよ」
マシュは思考した。如何にしてゲイザーを美味しく食せるのかを。しかし、案が全滅したのはすぐだった。
「……い、いただきます」
◇
ゲイザーを仕留めた所でゲイザーがこんがりと焼かれていた。
萎れた眼球のど真ん中から体の後ろに貫通した太めの木の棒。それを両端で支えるように同じく木の台。ゲイザーの真下でパチパチど程好く燃え上がる火にゆっくり当てながらクルクル回すそれは正しく肉焼きセットだ。
「フォウフォウフォー」
「ウウァッ、ウリィィィ」
「上手く、焼けました……はい」
「んじゃ切り分けよっか」
今回のコックはブリュンヒルデ。彼女がカルデアで料理が下手くそだといった噂は聞かない。だからと言って味が保証されるわけでもない。
(前回食べた時はベディヴィエールさんの見事な調理でゲイザーのゲの字も見当たらない……味が良い物だったので大丈夫でした。しかし、今回は塩を振っただけの姿焼き……怖いです先輩!)
かと思っても口には出せないマシュ。
どうするかと思案している間にもこんがりゲイザー肉が切り分けられていく。ナイフでシュラスコのように削ぎ落とされる肉。肉だけなら大抵は美味しそうに見えるのが何だか虚しくなる。
「まぁ、そう怖がらなくても大丈夫だってマシュ。見た目が悪いのは俺だって認めるけど美味しいから。アレだよ。タコを食べない国の人が食べようとしてビビっちゃうそれと同じだから。しかも前回ベディが料理して出してるし」
(他の食材で全く味が無かったけど)
「タコ……」
どう頑張っても目の前でこんがりなゲイザーをタコに見ることは出来ない。
「最初は一口食べて、無理なら止めるのが良いよ。だから少しだけ盛っとくね」
「あ─ありがとうございます先輩」
「アルトリアも少しだけ盛っておくよ」
「あ、ああ」
そして遂に目の前に渡された『ゲイザーのこんがり姿焼き マヨネーズを添えて』。本当に少しの肉片を箸で掴み、自爆の可能性を少しでも無くすためにそのまま食べる。
「──これは……美味しいです先輩……見た目と味の情報が合わなくて驚きましたが、非常に美味しいです!」
「何だこれは……!マヨネーズがとても良く合う!食感、風味、味……本当にゲイザーか疑う物だ!」
「でしょ?フラン達はどう?」
「お……お、いし……い!」
「はい。大変美味しいです……困ってしまう程に……」
「ンファー!」
全員がとても満足のいった様子で肉を頬張る。そうなったら後はゲイザー肉が減る一方であった。見た目こそ悪いが味は特Aランクの肉にも匹敵する逸品。
なんとこの肉が無くなるまでに5分と時間は要らなかった。
◇
「シロウ。すみませんがアイスはありませんか?」
「アイスって……セイバー何個食べるつもりだ?ちょっと待ってくれ」
「私にも可及的速やかにお願いしますエミヤ。あのデブデブ君のソーダ味を」
「待ってくれランサーのセイバー」
「シロウ!私が30秒前に頼んだフライドチキンが来ていないぞ!」
「マジで待ってくれ黒い方のセイバー!」
俺達が特異点から帰って来て丸1日経った食堂でいつもの光景を目にしながらウィダーonゼリーをお腹に流し込んだ。
「はぁ……
「どうしたのよ子イヌ溜め息なんかついちゃって」
「あぁ……エリザか。実はさ─」
実は今日、寝起きが史上最悪のものだった。
昨日のゲイザー肉があたった訳ではない。全身が凄まじい倦怠感に見舞われ、腕などが何かに圧迫されたかのように麻痺していたのだ。
昨日の夜に部屋のセキュリティを忘れたのが原因と思われる。そのせいで食事も喉を通らず、常に動悸のような症状がでてこうして独り食堂の端でぐったりしながらゼリーを流し込んでいた訳だ。
「何それ……チョー怖いんですけど」
「アルトリア達も帰ってきたからXかえっちゃんに頼んでこう、未来のセキュリティを頼もうかとも思ったけど……2人共惰眠を貪りたいらしいからそっとしておきたいし……はぁ」
「何か心当たりとか無いの?最近呪いをかけられるような事をしたとか」
「生憎無いな……あ、いや居たよ」
「居るの?誰?」
「ソロンモの野郎だ……!前にもアイツと目を合わせたせいで監獄塔送りになったし……許せぬ……許せぬぅ!」
「え、ちょ、どうしたのよ子イヌ!」
ソロンモの野郎めぇ……考えれば考える程腹が立ってきたぞ!迷惑ばっかり寄越しやがってェ……何?それが配役だから仕方がない。だと!?だまらっしゃい!
もうやってられないのだ!それに新章だって始まってるし今度は特別なイベントがあるそうだからこちらもとっととストーリーを進めたいんだ!
丁度良い機会だし、ここらでソロンモを倒しに行くか!
「今の内に主人公補正を更に高めておくか」
今回は約半分ほどの量です。
次のソロモン(ゲーティア)討伐の舞台を整えるために敢えてそうしました。
因みにですが、終局の話はシリアスをぶっ殺して主人公補正とギャグ補正モリモリで殴り書いていきますのでがっかりされる方も多く出てくると思います。
……もしかしたら途中真面目になったりするかもしれませんけど、そしたら私のテンションにお付き合い頂けたらと(汗