Fate/Grand Order 「マシュ。聖杯ってよく拾うけど全部願望器として機能してるの?」「勿論ですよ先輩」「じゃあソロンモさんを永み─」「先輩!」   作:第2類医薬品

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新宿のアヴェンジャー……ワンワンって呼ばれてるのか……。




Order.12 ツーリング!

 

 

 

 

「イヤッホォォォォォイ!!」

 

ライダー時のようにハイテンションになったモーさんが赤白の厳ついフルカウルで未来のアメリカの大地を駆ける。

物凄い軽装の彼女の肌は夏のサーフィンですっかり健康的な褐色肌となっていて大変眼の保養になる。本当は日焼けとかしない筈だが、霊基を弄って残るようにしたようだ。そのせいかは分からないが、妙にしおらしい仕草とか、女の子扱いしても怒らなくなって寧ろ恥ずかしがるとかおかしくなってしまう始末。

どうしてしまったんだよモーさん……いや、そんなモーさんでも良いんだけど何だか対応に困っちゃう場面もあったりで……。

 

「ふははは!良い!気分が良いぞ雑種!特別に(オレ)の後ろを走ることを許す!」

 

「はぁ?何偉そうに言ってんのよ金ピカ。バイク燃やすわよ」

 

「それは勘弁しろ贋作!」

 

「ジャンヌ。私が後ろでも構いませんでしょうか?」

 

「別にどこだって良いわよ。勝手にしなさい」

 

「ははは。皆さん元気ですね」

 

やんややんやと騒ぐキャラ強めのサーヴァント達に追走する形でバイクを駆る。

皆各々どこで手に入れたのか分からないバイクだ。

ギルガメッシュは物凄く馬力がありそうな金色が目立つモンスターバイク……名前はギルギルマシーン。ダセェw

剣ジルは白い特効服からなら大体想像がつくだろう。勿論、旗もちゃんとジャンヌのを掲げている。

邪ンヌはネイキッドタイプのバイクだ。特に華美な装飾や魔改造が施されたようなゲテモノではない。徹底的に黒で統一しているようだな。

時貞(天草四郎)はなんと異色過ぎるモノホイールバイクときた。何か色々未来に生きている男だな……サングラスも畜生似合っていやがる。

 

「ヒュゥッ!最高にゴールデンクールじゃんよ大将!他の皆もゴールデンだ!」

 

「当然であろう!(オレ)が輝いていなくて誰が輝くと言うのだ!」

 

別に輝いている必要はないと思うんだ。と言いたいが言ったところで理解不能なゴールデン問答が始まるに違いない。

 

「マスター!隣走っても良いか!」

 

「良いよー。モーさん格好いいね」

 

「へへっ。電気系サーヴァントに頼んで作って貰ったんだ。何か……ミニマム……にゅーくりありあくたー?ってので動いてるらしいぜ」

 

「─」

 

ヤバい。ヤバいヤバいヤバい!!ミニマム・ニュークリア・リアクターだぁ!?それってつまり超小型原子炉が今!俺の!隣で疾走しているってことか!?

 

「も、モーさん……その、何だ。えっと……」

 

「あらますたぁ(旦那様)。モードレッドさんとお話するのも良いですが、私の事を忘れてしまっては困ります」

 

「おひっ!?忘れてないよ!?」

 

背中に当たる2つの柔らかい膨らみに吃驚して声が上ずる。その膨らみの持ち主は皆さんお察しのきよひー。

普段は着物でよく分からないんだけど、実際は中々立派なモノをお持ちな彼女。実はこのボディで12歳という。

 

「なぁ清姫。マスターにくっついてたいのは分かるけどさ……今回はただのツーリングだぜ?」

 

「ツーリングであっても探索であっても、サーヴァント()たるものますたぁ(旦那様)のお側にいて当然です」

 

「ちょっとそこ!ルビがおかしいわよ!」

 

「あらジャンヌさん。よそ見は危険ですわよ」

 

「そっちこそ!そんなにくっついたらかえって危険だって知らないのかしら?愛ばかり追い求めてそれ以外のモノを許容できなくなった弊害ね!哀れよ!」

 

「うぉ……今のはゴールデンデンジャーな爆弾発言だぞ」

 

「ジャンヌ!幾らなんでも言い過ぎです!」

 

「ふふ、ふふふ……」

 

「清姫がヤバいぞ!」

 

「喚くな雑種共!そして何とかせよ雑種!」

 

「アッー!アーツィ!アーツ!アーツェ!アツゥイ!」

 

「おや。マスターが何やら変な声を……」

 

強く抱き締められたきよひーからとてつもない熱を感じる。見れば眼にはハイライトが無く、口からチロチロと火が出てりゅぅぅう!!

 

「落ち着け大将!いっぺん止まってくれ!」

 

「すいませへぇぇん!」

 

 

「……む?これは食えるのか?」

 

「待って……うん。大丈夫」

 

「便利なデバイスだな」

 

「サーヴァントユニヴァースにはこのくらいなら一杯売ってる」

 

場所は変わり、第三特異点オケアノスの一島で食べられそうな物を探しているアルトリアオルタ達。

元々その手の知識を持っていない彼女達の頼みの綱はセイバーオルタの直感とバーサーカーオルタの超性能デバイス。そしてランサーオルタと言うと─

 

「んっ……ん……はぁ、はぁっ。お、大きくて長いな……こんな大きいの……果たして入るのだろうか……?んっ、んっ……んぅっ……んな!馬鹿な!まだ大きくなるのか……駄目だ!こんなに大きいとどんどん深い所に……んぅあ!!ぬ、抜いてくれぇ!」

 

「あ。ランサーが穴に嵌まった」

 

「はぁ。あんな情けない姿を晒しているのが自分と思うと虚しくなるな。少し待て」

 

ランサーオルタは直感は無いのでラムレイに採集した食材を乗せたり、ロンゴミニアドで埋まっている自然薯をゴリゴリと掘り起こしたりしていた。

これで通算20本目と言う時にとてつもなく大きい自然薯を発見し、深く深くと掘っていたら実際はもっと大きく育っていた自然薯。ランサーオルタの半身をゆうに超す長さとなってはラムレイの荷物籠に入らない。だが折るわけにもいかない、と更なる深さを求めた所、穴に嵌まった始末。

自然薯が何故オケアノスに自生しているかは気にしたら負けである。

 

「た、助かった……」

 

「情けない」

 

「そんな大きいモノ持ってるから嵌まるんだと思う。そんな邪魔なモノ、別に羨ましくは無いけどどうしたら手には入るのか興味がある」

 

「ロンゴミニアドは邪魔なモノではないぞ。用途は色々ある。穴も掘れるしな」

 

「……」

 

そんな答えを求めているのではない。と言った表情でランサーオルタの胸を凝視するバーサーカーオルタ。

サーヴァントとしてはやや特殊な存在である(サーヴァントユニヴァースなる所から来た)彼女(とヒロインX)は実は身体的精神的成長……つまり生きた生物としての成長が可能。だから彼女は自身の事を育ち盛りだから食べれば大きくなると述べる。

 

「それよりもこの茄子とキノコが食べれるか気になるのだが、チェックを頼む」

 

「任せて」

 

 

時は同じく第七特異点バビロニア。こちらではオルタではないアルトリア達が魔獣を狩っていた。数ある魔獣の中でも、彼女達のお眼鏡にかなったのがムシュフシュ。

外皮が硬いながらも肉は脂が程よくのって軟らかく、淡白な味で狩りやすい。角は食べれないが、ウルクで高く売れる。そしてその金で食材を買う。

そんな彼女達の計画の為に、ムシュフシュと言う魔獣はたった2時間と短い間に半数となっていた。

これぞ弱肉強食。弱きものはその自然の摂理の前に淘汰されてゆく。

 

「ふぅ。結構な量が集まりましたね」

 

「セイバークラスのままアーチャー装備使うの反則だと思うんですけど、そこら辺どう思ってます?」

 

「別に使えるなら使って当然ではないかと思いますよ。私だってそこら辺にエクスカリバーが落ちてたら使います」

 

「ならばシロウを見てみて下さい。彼はアーチャーでありながら通常剣で槍もいけるんですよ」

 

「彼は本来抑止力で─お?ノルマ達成ですか?」

 

こちらはドゥン・スタリオンにカルデアから持ってきた、食材保存用魔術ボックスなるものを引っ提げて、それに捌いた肉を詰め込んでいく。

なんでもこのボックスの開発はメディアと同じくキャスターのサーヴァント─ではなくカルデアに遊びに来ている魔法少女イリヤスフィール─ではなくそのステッキであるマジカルルビーで、ボックスその物はただのクーラーボックスなのだが魔術によって内部の空間を拡大してあり、ほぼ魔法と言えるものである。

ルビーと他2名のサーヴァント曰く、ゼルレッチの宝箱。それとこれの違いと言えば箱がちゃっちいのと肉の鮮度を保つ謎の仕組みが施されている程度だ。

 

「ノルマは達成した。後は魚介類になるな」

 

「シロウから釣竿を借りてますので日が暮れる前に終わらせてしまいましょう。フィッシュですフィッシュ」

 

何だかんだ言いつつも複数のサーヴァントに助けられてる形になった彼女達の次の獲物は魚介類。

一見、オケアノスの方が良さそうと思われ勝ちだが、実はぐだ男達がバビロニアの海鮮食材の方が美味いと確認済み。とは言ったものの食べた事がない彼女達は興味津々。

 

「さぁ。行きましょう」

 

 

「正座」

 

「は?何で私が」

 

「……おい。誰が発言を許可した」

 

「な、何よ?そんな凄んでも私に効果─」

 

ガシッと擬音が付きそうな勢いでそっぽを向いていた顔をぐだ男へと無理矢理向けられる邪ンヌ。そして目を見開いた。

ぐだ男の顔は影か何かで輪郭が辛うじて分かる程に真っ黒になっていて、真っ赤に煌めく双眸と口から冷気のような物を「ハァァ……」と出してる以外表情も何も分からない。その様子はアヴェンジャーのサーヴァント、アンリマユが眼だけ残してあと全身を真っ黒にした時に酷似している。こんな恐ろしい顔を除いて。

 

「……あ""?じゃあ試してみるか?俺の魔眼を」

 

「はっ……そんな力があるわけなひぃぃぃんぅっ!?」

 

より強くぐだ男の双眸が輝くと邪ンヌが変な声を出して膝から崩れ落ちる。

その様子を見ていた他サーヴァントは見た。ぐだ男が話し終えた瞬間に邪ンヌの頭を掴んでいた右手の甲の令呪が一画弾けたのとその双眸からガンドが撃ち出されたのを。

 

「ふははは!雑種にしては面白い令呪の使い方をするではないか!初めて見たぞ!くっくく……ははははは!止せ腹が捻れ……っはははは!!」

 

「眼……め、眼から……眼からガンドが……」

 

「大将もたまにスゲェ事するよな」

 

ギルガメッシュは腹を抱えて笑い、モードレッドは凡そ人とは思えないガンドの撃ち方に恐怖か感動か興味かもうよく分からない感情に身を震わせ、金時はただただ感心。

 

「眼が!眼がぁぁぁぁあああ!ガンドが眼にぃぃぃぃ!!」

 

「邪ンヌ。分かるか?」

 

「わわわわ分かった!分かったぁ!だからゆるじでぇぇぇぇ!!」

 

流石の邪ンヌも粘膜系への攻撃は耐え難いものだった様で、涙を流して許しを乞う。

勿論そこまで鬼ではないぐだ男はスキルの『イシスの雨』を使用。邪ンヌの頭の上に小さな雨雲を生成。そこから雨が降って邪ンヌをひたひたと濡らす。これでデバフが解除されるのだが、しくしくと女座りで涙と雨で濡れた邪ンヌに冷静になったぐだ男がオロオロし始める。

忙しい男。

 

「え、えと……邪ンヌ。その、俺もやり過ぎた……ごめん」

 

「う……っさい……馬鹿ぁ……」

 

『あー!ぐだ男君が泣かせたー!これは駄目だぁ!いくらマスターだからってそう言うのは良くないなぁ!これは男らしく落ち着かせるしかないんじゃないかなぁ!?』

 

「ドクター……分かりましたよ。後で覚えてて下さいね?」

 

『ぉ……ご、ごめんね?』

 

ドスのきいた小声でドクターに返した直後に魔術礼装カルデアの上着を邪ンヌにかけて後ろから抱き締めるぐだ男。良くある少女漫画的なやりかたに霊核(しんぞう)が跳ね上がった

耳元で囁くぐだ男の声はまるで『ドSだけどいざというときにはちょっとデレてくれる理系の先輩』のよう。

トリスタンとランスロットから叩き込まれたぐだ男の甘い言葉で足腰立たなくなった邪ンヌの様子にジルが興奮のあまり発狂してクラスチェンジ一歩手前だったり、きよひーとモーさんが苛々してきたり、天草四郎は後でバラ撒く用の動画を録ったりと外野は好き勝手しているのに気付かず、邪ンヌは回された腕を引き離そうとする。

 

「は、離れなさいよ……!」

 

「(えーと、確かこの時ランスロットは……)君の綺麗な顔を濡らしたのは俺だ。その涙が枯れるまで……俺が涙を拭いてあげるよ(うっわぁぁぁ!何だこのクサイ台詞!)」

 

「~っ///!」

 

「ファァァァァァァァァァアアアアアアアアア!!!!!ジャァァァンヌゥゥゥ!!黒い方のジャンヌもォォォォオオオ!」

 

「うお!?ジル・ド・レェがキャスターっぽくなってきた!」

 

「……茶番はそこまでにしておけ」

 

「え?」

 

『ぐだ男君敵襲だ!シャドウサーヴァントが複数!』

 

ギルガメッシュと金時が戦闘態勢に移行したのを皮切りに他のサーヴァントも武器を手にする。

ぐだ男も立ち上がれない邪ンヌをそっとして拳を構える。

 

「おいマスター。もしやそんな拳一つで戦うと言うのではあるまいな?」

 

「いやいや。拳は二つあるから」

 

「て言うかマスターが前線でサーヴァントと一緒に戦ってのがあんまり良くないよな」

 

「そう言うな。そんなに少ない訳でもなかろう。ほれ、これを貸してやろう」

 

ギルガメッシュが宝物庫から槍を取り出してぐだ男に放る。それをキャッチしたぐだ男は使用感覚を得るために数回回して石突で地を突く。

 

「結局こう言うイベントが挟まっちゃうんだから……行くぞ!」

 

 

 

 





えっちゃんがレベルアップの時に「育ち盛りですので……」ってのをネタにしてみましたが、実際に設定で成長があるのかは分かりません。
サーヴァントである故に無いとは思うんですけど、気にしないでも良いかなって書いてます。


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