Fate/Grand Order 「マシュ。聖杯ってよく拾うけど全部願望器として機能してるの?」「勿論ですよ先輩」「じゃあソロンモさんを永み─」「先輩!」 作:第2類医薬品
しかし、アサシンが充実していない私にはかなり新宿のライダーで苦戦させられました。
それはそれにしても、新宿のアーチャーの宝具カッコ良いですね。あと邪ンヌとアルトリア〔オルタ〕を欲しくなる。物凄く。
※ネタバレにならないように真名は書いてません。
「どうでも良いと思うことなんだけど、割りと重要だから言っておくよ」
「な、何でございますか?」
「どうでも良いのか重要なのか分かんねぇな」
「シャラップ!」
「ぐだ男様、それで言っておく事とは?」
呪腕、ゴールデン、静謐とシャドーボクシングに勤しむラフムを並べて俺は最近気づいた事を話し始める。
話題はハサンズに関係があることだ。
「最近、
キングハサン……ハサンの中のハサンである彼の真名は“山の翁”。アサシンのサーヴァントで好物が首だ。そう首。
「初代様に何か……?」
「キングハサンのさ……頭の傷?さ……アーツカードにそっくりなんだ!何でだ?」
一同に電流が走る。
「気付いてしまったか主よ……聴くが良い。晩鐘は汝の名を指し示した。……首を出せぃ」
「▂▅▇█▓▒░(’ω’)░▒▓█▇▅▂うわあああああああ」
◇
「……お……!ぐだ……ま!」
「─」
「ぐだ男さ……ぐだ男様!」
「─ぁ、あれ?」
肩を揺さぶられる感覚によって沈殿しかけていた意識が浮上する。その感覚は強ち寝起きの時に目が覚めるのと大差無いように感じた。
「大丈夫ですかぐだ男殿?何やらボーとされていた様子ですが」
「……ごめんごめん。多分聖杯の影響だと思うから大丈夫」
「聖杯の影響だと逆に大丈夫ではない気が……」
「ま、大将なら大丈夫だろ」
では今のキングハサンのアーツカード案件は俺の白昼夢とでも言うべきなのだろう。あと皆の話しぶりから、そんなに長時間ボーとしていた訳では無いようだ。
「兎に角、先を急ご……ってそうか。師匠がまだ見付かってないから動きようがないのか……」
「居たぞ!こっちだ!」
「!プロトニキだ!逃げろ!」
「……走れ大将。ここは俺が引き受ける」
「……大丈夫か?」
「これでも頼光四天王の1人だ。半端な事じゃやられねぇよ」
「0qdmsmiqqt64」
「おっ。頼もしいなアンタ。よっしゃ!一丁やってやろうぜ!」
「……頼んだ!2人共!」
プロトニキをはじめとした幾人かのサーヴァントが迫ってくる廊下に、バチバチと帯電状態になった金時がゴールデンな斧を振りかざす。
金時は攻撃とは到底言えないたったそれだけの動作で、ラフムはけたけた笑いであらゆる敵バフを無効化し、プロトニキ達を威圧すると両者は自然と膠着した。
「……行くぜ」
「4]!」
俺達が居住区とは反対に位置する食堂に向かうべく同フロアの連絡通路を疾走した時、戦いの合図と言わんばかりの雷撃と衝撃がカルデアを揺らした。
◇
「エミヤ!助けてくれ!皆が俺を狙うんだ!」
何とか食堂に到着した俺はキッチンで料理をしているライダーのサーヴァント、ブーディカとキャットとエミヤのカルデア料理人3人衆にスライング土下座をする勢いで駆け寄った。
幸い、食堂は何人かのサーヴァントにとっては神聖なる場所。特に誰とは言わないが、良く食う人にとってここは汚してはならない場所なだけあって騒ぎそうなサーヴァントは居ない。
因みに座っているのは各々の好きなもの(オルタはジャンク)を頬張っているアルトリア系(数人除く)と、うどんを幸せそうに頬張っている武蔵くらい。
「おぉご主人。散歩の時間か?生憎だが今は手が離せないのでな。と、言いつつ手を離すキャットであった」
「うそ……本当にマスターなの?……やだ可愛い!新しい妹が出来たみたい!」
「うぉっぷ!?」
相変わらず露出が高いキャットとブーディカに可愛いもの扱いされたり抱きつかれたりしてかなり恥ずかしい。
「─っぷはぁ!悪いけどここは一度閉めさせてもらうよ!」
「あぁ、構わないけど……どうしたんだよマスター?」
「ごめんエミヤ。ちょっと説明は後で」
エミヤはあの薬物のせいで未だにこんな状態だ。あれかな?エミヤに
そんな疑問を抱きながら食堂の全出入り口を食堂内のサーヴァントの許可を取りながらロックしていく。取り合えず落ち着ける場所は手に入れた。
「マスター。百貌のはどうなさいますか?」
「さっき擦れ違った個体に食堂に逃げると伝えたから大丈夫な筈。ま、一度座ろう」
「マスター。やはり混乱が起きているのですか?」
椅子に座って息を整えていると、背後から話し掛けられる。
話し掛けてきたのはセイバーのアルトリア。魔力放出で作っている鎧は今は無く、トレー一杯に乗ったプリンを食べている。そのとなりはランサーのアルトリアで、武蔵と同じくうどんを。更にその隣はセイバーのアルトリア〔オルタ〕とランサーのアルトリア〔オルタ〕がトレー一杯のジャンクなフードをもっきゅもっきゅと食べている。訳分からん。
「実はそうなんだ。モーさんがさっき襲ってきて大変だったんだ」
「「「「あの馬鹿者は後でカリバり(ロンゴみ)ます」」」」
ここにいるアルトリア全員が声を揃えて息子?にお仕置き宣言。良かったねモーさん。
「他の円卓の騎士達は何か問題を起こしてはいないでしょうか?一応念押しはしておいたのですが」
「モーさんだけだね」
「……ところでマスター。私とラムレイであればその様な有象無象を蹴散らせますが」
ハムスターのように頬張っていた下乳上が口の中の物をゴクリと嚥下し、視線を不自然に合わせようとしないながらも提案をしてくる。
ありがたい申し出だ。彼女は充分に強いし俺が女に変わったからと、それに興味を抱いて暴走するような事もない。ちょっと抜けた所が多々見られる下乳上だが、問題あるまい。
「待て。それならば私とドゥン・スタリオンの方が強いのだから私が行こう」
「いや、寧ろ騎乗して大物を振り回していてはマスターを危険に晒すだけです」
「確かにエクスカリバーならば槍とは違い小回りも利くでしょう。ですが、何事も大きい方が良いと思いますよ」
「あー!そう言いますかそうですか!頭来ましたよ私!そんな
「……?何の話ですか?」
「カッチーン!」
「私も些か頭に来るぞ。いくら自分とはいえな」
……アルトリア系一同は何やらモメ出したようだ。内容は恐らくではあるが、一部とても成長した部分の話でこじれたのだろう。
ランサー側は未だ分からずと言った具合であり、セイバー側がただ怒っているだけのような構図になってきた。このままでは下乳上の協力を得られるのが難しくなってしまう。しかし、上乳上も力を貸してくれるのだがどちらか一方となってしまっては話しは別だ。
俺の危険感知スキルが警告を発している以上、彼女達に助けを求めるのは危険である。他を当たろう。
「武蔵。うどん美味しい?」
「勿論!相変わらずエミヤうどんは美味しいわ」
「マスターもどう?武蔵のお代わり作ってたところだから3つ4つ増えても変わらないし」
「じゃあお願いするよブーディカ。沖田さん達も食べるよね?」
「頂きます」
本当ならばこんなのんびりしていては不味いのだろう。
ここに来るために払った犠牲も大きいし、決して金時とザイード、ラフムの事を忘れた訳ではない。だが、人間誰しも休息というのは必要なものであるのだ。
急ぐ時こそ冷静に対処していかなければ、失敗してしまうから。
「少し待っててくれ」
エミヤに言われて大人しく座ってる。5分と待たずともうどんが皆に行き渡るだろう。
「しかしマスターも大変だね。女の子になったら動きにくいでしょ?」
「まぁ……そうだね。ブーディカの言うとおり動きにくいし筋力も落ちてるし、槍を振るうにも重たくて……ブーディカもキャットもエミヤも忙しいよね?だから申し訳ないんだけど……」
「私の出番って訳ね。良いでしょう!五輪の真髄、お見せしましょう!」
「頼もしい」
「む?マスター。それは私よりもそこの
「ぁいや、そう言う訳じゃ……」
言い争いはしていても、こちらの会話はしっかりと聴こえていた下乳上がトゲトゲしたロンゴミニアドを高速回転させて威嚇のような事をしてくる。
アルトリア系サーヴァントは皆同様に負けず嫌いなのが困る。ランサー同士に至ってはセイバーと喧嘩するときより酷いから更に困る。そして何もしてない筈の俺に矛先が物理で向くものだから更に更に困る。
「皆便りにしてるよ!だけど、アルトリア達もほら、忙しそう……じゃない?」
「別に忙しくはないぞ。
「っ……ぬけぬけと!」
「私もいい加減自分とはいえ怒りますよ」
「わー!わー!宝具禁止!宝具禁止ぃ!」
セイバー側の2人が宝具を発動せんと色が対に輝く各々の剣を構える。今ここで宝具を放たれては皆危険だし後の士気にも大いに関わってくる。それを分かっていないアルトリア達と分かってるとは言え、マスターとしてはサーヴァント同士の喧嘩は止めなくては。
「邪魔をしないで下さいマスター!今すぐにその余分な物を削ぎ落とさないと気が済みません!!」
「……?マスター何を見てるんです?」
「ご、ごめん……って違う!んんっ!喧嘩は両成敗だ!今後一週間、あらゆる食事でお代わり無しをされたくなかったら今すぐに喧嘩を止める!」
「くっ……!お代わり禁止は……駄目です!」
「……貴様がそう言うなら止めよう。その代わりジャンクなフードを要求する」
((お代わりが駄目でもやりようはいくらでも─))
「あ、ランサー側も考え付くこと全部禁止にするから」
「……ならば、令呪を私に使うのだな。そうすればここでの争いを止めよう」
やはりそう来たか。
セイバー側は食べ物を話題に出せば大抵はそれに目が行って終わりだが、ランサー側は成長したお陰か食べ物をちらつかせてもそう簡単には御せない。
下乳上が自信ありげにロンゴミニアドを持ち直し、令呪を使わないのかと二度問い掛けてくる。使いたいのは山々だが、今使えばこの先師匠に性転換ルーンをしてもらえなくなる。
1日経てば一画復活する?そんなに待てるか!1日もあったら……もう滅茶苦茶にされてある意味の慰みものだ!ここは─
【令呪を以て命ず……】
【そこをどうか……】
◆【令呪を以て命ず……】
そうだ。ここで惜しんで食堂が大変なことになれば折角逃げ込んだ意味がない。仕方がない……。
「分かったよ。令呪を以て命ず……喧嘩を止めようね?」
そう命じると、右手の甲の最後の一画が弾けた。これでもう師匠に頼んでルーンを使ってもらう事は出来なくなった……。こうなるとまた性転換する方法を考えなくては。
「ぐだ男殿。これでは……」
「あぁ。もう師匠を探す意味が無くなった。やっぱりダ・ヴィンチちゃんを縛り上げて聖杯を使わせてもらうしか……」
「マスター。もしかしてその体を元に戻したいと?」
「そうなんだ。何か無い?」
言っても出るとは思ってはいないが、アルトリア達は一様に首を捻って一緒に考えてくれている。
すると─
「マスター。聖杯の願いはマスター人生そのものにも影響を与える規模の物ですか?」
「?」
「……成る程。つまりこう言うことですね?マスターが女性となったことで、周囲のマスターに関する情報や記憶に影響が出ていないか。と」
「あー、そう言うことか。俺が女として生きてきたって事になってないかって事ね?それなら大丈夫でしょ。ドクターやマシュ、他のスタッフは勿論、サーヴァント達に記憶の混乱は見られなかった。だから現状俺の体だけが聖杯の魔力で女体─そうか!」
「そう言うことです。メディアの
ルールブレイカーでならサーヴァントとマスターの契約すらも絶つことが出来る極めて魔術に強い宝具だ。
そう言えば俺もさっきエミヤを見て思ったじゃないか。忘れてた。
「それならエミヤにお願いしよう!という訳でエミヤ!」
「構わないけど……聖杯の願いだろ?だったらキャスターのちゃんとしたのが良いと思うんだけど」
「メディアが“あっち側”っぽいからお願い!」
「……分かった。取り合えずその話しは後にして、うどん食べてから」
いつの間にかアルトリア系を除く人数分出来上がったうどんが皆の前に置かれていく。しかし、うどんの麺も作れるとか凄いな。
「ありがとうございますエミヤ殿」
「ありがとうございます」
「美味しそうですね!」
「じゃあ俺も頂こうかな」
◆【そこをどうか……】
いや、やっぱり駄目だ。
ここはどうにかして令呪を使わずに場をおさめなければ!
「ちょっとそれは……難しいから、そこをどうか……」
下乳上の目の前で両膝をつき、流れるような動作で膝の前に手を置いて深々と床に額を擦り付けるように頭を下げた。
完璧だ。ここまで見事なDOGEZAを見せられては黙らずにはいられまい。
「な、何と見事な土下座……!」
「そう言えば時折ランスロットもこれをしていたな。何故かこちらが申し訳無く思えてきてしまう」
「トリスタンも見たことありますが、あの体勢のまま動かない事が良くありますね」
それは寝ているからだろう。
「……立ちなさいマスター。貴方は数多くの英霊を、ましてやこの私を従える身。いくら不利な状況であれ、私のマスターであるなら常に堂々としているのが好ましい」
「……じゃあ……」
「分かっています。自分同士で争うのは止めましょう。大人しく矛をおさめます」
そう言って下乳上がロンゴミニアドを隣のテーブルに置く。しかし、そのロンゴミニアドはまだ元気良く回転しているのだ。当然、そんな危険な物をテーブルに置けばどうなるか分かる。
ガリガリガリッ!
ロンゴミニアドは予想通りテーブルの上で回転エネルギーをもて余して暴れまわる。凶悪なトゲトゲがついているから尚更質が悪い。
テーブルを削ってはガタガタと揺らし、その振動はテーブルの延長先でうどんを啜っている武蔵の所まで影響を及ぼし─
「─っ!?ゥアッチィ!!熱っ!!」
うどんをひっくり返した。
汁も麺も全てその身に受けた武蔵は驚いてテーブルもひっくり返して服と肌との間に侵入した麺を取り出そうとする。
武蔵の服装は和装と言うには露出がやや高い。胸元は大きく開かれており、臍も見えているし肩も出ている。そんな“いかにも”といった服装の彼女が何も問題を起こさず麺を取り出せるか?答えはすぐに出た。
「熱い!麺!あっつぅ!!」
彼女は熱さでパニックになり、ほぼ真正面に俺が居るのも構わず4本の刀を落として青い和装の前を思いっきり開く。
するとどうなるか?言わなくても分かるように、ブラジャーを着ける概念がないサーヴァントに分類される彼女は乳上達には劣るが、かといって小さい訳では無く、大きすぎる訳でもないとても綺麗な形をした2つの果実が何もかもを晒け出しながら揺らした。揺れるのだ。
そう。何も今の彼女の胸を隠す物はない。美しい肌にうどんの汁。妖しく濡れた彼女の胸に、俺の視線は釘付けになってしまった。
しかし、悲しいかな俺は脳ミソが処理をしきれなくなって鼻血を噴き出す形で目線を反らす事となった。
「─ブパ!」
「「「マスター!」」」
「……不快だ。光を呑め!
不穏な声が聞こえてすぐに思考を切り替える。
何でセイバー側のオルタが宝具を放とうとしているのかは敢えて言わないが、こうなってしまっては手段が限られてしまう。
幾つか考え付いた手段の中で最も確実で安全なもの。それは─
「結局使うのか……令呪を以て命ず!宝具をおさめよ!」
「─!」
そう命じると、右手の甲の最後の一画が弾けた。これでもう師匠に頼んでルーンを使ってもらう事は出来なくなった……。こうなるとまた性転換する方法を考えなくては。
「ま、ままま、ましゅたー!?み、見ました!?見ましたね!?」
「……ゴクリ」
あまりにもテンパった武蔵が漸く隠すところを隠しながら顔を真っ赤にして抗議してくる。
俺は直前の武蔵の胸を鮮明に思い出してしまい、返事は口に溜まった唾を嚥下した音。強力な剣士とはいっても女性であることには違いなく、恥ずかしさの余りしゃがみこんでしまった。
─先輩最低です。
「はぅあ!」
マシュの声が聞こえた……!俺のせいじゃ無いのに!このままではぁぁぁぁ!
「……武蔵。綺麗だったよ」
魔術礼装カルデアの上着をそっと武蔵に羽織わせる。
……待て。この台詞で果たして良かったのだろうか?
「~~っ!ううっ……もう駄目///」
「……む、武蔵?」
俯いてブツブツと独り言を漏らす武蔵は取り合えず置いておく。
何やら急にこちらに向ける視線が険しくなった何人かのサーヴァントも何とか宥めて逃げるように呪腕の目の前に座る。
「大変ですなぐだ男殿」
「……うん……」
「……ぐだ男殿。令呪を使われてしまった以上、もうスカサハ殿に頼むという手段が」
「とれなくなった。だから物凄く冷静になった頭で考えた結果、エミヤに
「成る程。あれでしたら最強の対魔術宝具。もしかしたら解除出来るやも知れませんな」
そうこう話している内に目の前にうどんが運ばれてくる。どれも出来立てと言う名の魔力が空腹感を更に強くさせ、先刻までの疲れが多少飛んでいく。
「ありがとうございますエミヤ殿」
「ありがとうございます」
「美味しそうですね!」
「じゃあ俺も頂こうかな」
◆
「「「頂きます」」」
つるりとした喉越し。絶妙なモチモチ感。適度な温度。
まさに完璧と言わざるを得ないうどんがそこにあった。
「美味い!」
無駄な表現など不要……ただ単純に美味い。その一言で充分だ。
ただ少し七味が効いているのかな?舌先が少しばかりピリピリする。
「ぐあああっ!」
「くっ、ううっ!くぅ!」
「コフッ……!?」
「え?ど、どうしたんだよ皆。そんなに辛い?」
「ぐ、ぐだ男殿……!お逃げくださ……!」
「ぐ……だ男様!お早く!」
「コフッ!コフッ!!ゴブッ!?」
「沖田さんが死にそうだぁぁぁぁ!!」
「……やはりご主人に毒は効かないのだな。因みに喉越しが良いのは手延べうどんだわん」
キャットがまた訳の分からない……訳ではないが、変な事を言っている。
しかし毒とは何だ!?毒なら静謐には効果が薄いんじゃ……。
「何。ただの神経毒よ。少しの間動けなくさせて貰うだけ」
「─まさか3人共“あっち側”だったのか!?」
「ごめんねマスター。でも折角マスターが女の子になったんだからたまには私達も遊びたいって言うか」
「どんなご主人でもキャットは好きだゾ?」
「ごめんマスター。
「何をしている貴様ら。まさか、マスターに何かしようとしているのか?」
「シロウ。いくら貴方でも─」
「お代わり自由にしてあげるからさ。それとも俺達が食堂から退去しても─」
「「「「マスター。私達にお構い無く」」」」
この腹ペコ王達めェェェェ!!
武蔵も再起不能だし、こうなったら!
「緊急回避スキル!」
「おっとそうはいかない
「んぐぉ!?スキルが無効化……!?だが!」
まだガンド撃ちがある!残り9発程度だが……いける!
「食らえぃ!」
意外と素早いキャット(俊敏:A)を先に無力化すべくクイックガンド撃ちを5発。狙い過たずキャットへ迫ったそれは、しかして当たることは無く、大きな花によって防がれた。
「
「ハァッ!」
「ヒィ!」
続いて投影された何かに怯えて、思わず最後の防御系スキル、
しかし目を開けば足元に落ちているのはただの軟式野球ボール。やられた!
ゲイボルクを装備?間に合わない!
「ごめんねマスター」
「むぐっ!?んー!」
ブーディカが盾の裏から取り出した布を口と鼻に押し当てられてパニックになる。だがすぐに引き離す。
そう。今のはありがちな睡眠薬を含ませたハンケチ戦法だが、そんな都合の良すぎる手段なぞ存在しない。決して出来ないわけではないが、時間もかかるし危険度が高い。映画やドラマのあれは何を思ってやったのか定かではないが、普通は無理だ。だからこそ冷静に対処することが出来た訳だ。
「あれ?これで気絶とかするんじゃないの?」
「いや、あれはフィクションの世界の産物で実際にはむ……あぇ?なにぉえ?」
「マスター。流石に俺だってそんなのが効くとは思ってないよ。だから魔術を使わせてもらったよ」
エミヤがブーディカが俺に押し当てたハンカチを広げる。
そこには赤いルビーの様な小さな宝石が包まれていた。宝石魔術……だと!
「くらくら……しへひた……あぐっ……もぅらめ……むひ」
「ぐ、ぐだ男殿ぉぉぉぉ!」
世界が回って、声が遠ざかっていく。意識もだ。
何がどうなって、自分がどこにいて何をしようとしていたのかも忘れて、ただただ揺られるような感覚。
「……」
もう意識を手離す方が楽だと、何人もの自分が叫んでいる。
それもそうか。離してしまえば楽になれるんだ。疲れたし、ゆっくり眠って……それから……。
◇
結局、次に俺の目が覚めたのは実に2日後の自室だった。
体はすっかり男に戻っていて、どこにも異常は感じられない。2日も寝ていたから少し体の匂いが気になったが、心配していた事態は起きておらず、むしろいい匂いがしている。
……記憶が曖昧だ。俺は何でこんなに寝ていたんだ……?
「……誰かに訊くか」
立ち上がり、寝間着のままカルデアの廊下を歩き出す。
時刻は既に10時過ぎで何人ものサーヴァントやカルデアスタッフと擦れ違ったが、皆俺を見るなりニヤニヤしたり気まずそうにしたりと多様な反応を見せる。
寝間着には特に何もないが……何だ?
「あ!先輩!」
着替えてたかにした方が良いかと引き返そうとした時、不意に背後から声を掛けられた。我が後輩マシュだ。
「おはようマシュ。どうかしたの?」
「これから体調を伺いに行こうかと……どこか変な所とかはありませんか?」
「特には……」
「良かった」
「マシュ。何があったの?」
聞き返すとマシュは神妙な面持ちで話し始めた。
事の発端。途中で起きた英霊反乱。そして顛末……全てを聞いた俺は頭の中からスッポリ抜け落ちていた2日間に渡る記憶が少しずつ、甦ってくる。
そして遂に全てを思い出した俺は……恥ずかしさや怒り。色んな感情がごちゃ混ぜになって奇声を発しながら自室へと逃げ帰った。
「ウボアアアアアアアアアアアア!!」
そうだ……俺は宝石魔術で意識を失った後、食堂にやって来たシェイクスピア達に一頻り遊ばれて、ダ・ヴィンチちゃんに聖杯を使ってもらう為に男としてのプライドを焼却式させてまでした色んな事……。
それはもう、やられた事やった事皆が大体想像しているような事はされた。勿論、性的なものは守られたが……叔父貴ことセイバー、フェルグスやネロ×2辺りが相当暴走したのも覚えている。アサシンのサーヴァント、ファントムもヤバかった……。
そしてアフターサービスも優れているのがまた奴等だ。
作家陣は俺を題材にした本を大量に書き下ろしてカルデア中に広まった。最早恥ずかしいなんて言葉では片付かない規模まで膨れ上がっていたのだ。
「フォウ!」
「フォウ君……って貴様も“あっち側”だったな。淫獣め……覚悟しろ……!」グルルル
「ファッ!?ファァァァァァ!?!?」
まさしく全身総毛立ちと言う奴だ。フォウ君は俺のデーモンの如く怒り顔と
ははっ……はぁ……。取り合えずまた寝よう。
「私が慰めてあげます
「─ファッ!?」
きよひーにベッドに引きずり込まれてR-18行為されてしまう前に部屋の扉をブッ飛ばして侵入する頼光と
後にそこからの記憶もまた─思い出すのに時間を有す事となった。
少し長めになってしまいました。
今回の一件で生まれたもの。
著:シェイクスピア&アンデルセン
小説『マスターぐだ男』
全12巻。各巻税込価格:610QP。
企画・監督:黒髭
シナリオ:シェイクスピア&アンデルセン
ゲーム開発:直流&交流&蒸気&万能&邪聖処女
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全役割:多数英霊
出演:女体化ぐだ男(ぐだ子)
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出品者:ヴィンチ村のレオナルド
落札者:ザバーニーヤ(毒)