俺と彼女はちょっとおかしい。   作:akatsuki4612

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今回は黄昏君視点です。

桐里君を待っていた人はすみません。お許しください!

それではどうぞー





下校の途中で

「それじゃ、また明日!」

 

そう言って俺は朝比奈さんと桐里に別れを言う。

 

「それじゃ、また明日ね、黄昏さん。」

 

「また明日な。」

 

朝比奈さんと桐里が手を振りながら言う。桐里は朝比奈さんと会って変わったな……前は無愛想で何事も聞き流していたが、今ではあんなに、俺としては嬉しいことですよ。

 

そう思いながら心の中で涙を流す。

 

「さて……家に帰って洗濯物とらなきゃな。」

 

そう言って俺は、家に向かって走り始める。自慢ではないけど俺は運動は得意な方だ。ただ桐里がおかしいだけだ。あいつだってあんなのなければただの普通の人なのにな……

 

そう思っていると、誰かとぶつかってしまい、俺も相手も尻もちを着く。しまった、俺の不注意でぶつかってしまった。そう思い、立ち上がって相手の方に駆け寄る。

 

どうやらぶつかった相手は女性みたいでうちの制服を着ている。同じ学年の人か……? そんなこと考えてるよりも謝らければ。

 

「すみません、大丈夫ですか? 俺の不注意でこんなことに……」

 

そう言って手を女性に差し出すが、その女性に手を払われる。

 

「助けはいりません。こっちも少し考え事をしていたので、それでは」

 

そう言って女性は去っていった。何だったのだろうかあの女性は。多分同じ学校の人だろうが、どこかで見たことあるような。そう思っていると学生手帳が落ちていた。

 

これさっきの彼女のだろうか。そう思いながら、その学生手帳を見ると名前のところに「白崎 朱璃」と書かれていた。それを見た瞬間、俺はどこで彼女を見たのか、わかった。

 

確か、俺の同じクラスだったはず……あんまり彼女と話したことないから見てもすぐ分からなかったのだろう。それよりもこの学生手帳を返さなければ。

 

そう思い、彼女が行った方向を見たが、既にいなかった。

 

「仕方ない、明日に返すか……あっ洗濯物!」

 

そう言って家に向かって走る。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

次の日、桐里達には、少し早めに出ると言っていつもより早めに学校に着いた。

 

教室に入ると、白崎さんが、席に座っていた。朝の光が彼女の銀髪を照らしていて、とても綺麗に見えた。早く学生手帳を返さないと何処で無くしたか困っているだろう。そう思いながら白崎さんに声をかける。

 

「あの~白崎さん」

 

そうすると彼女がこっちに振り向く。顔はとても整っていて、女性の中でもとても綺麗だと思う。

 

「貴方は昨日の……」

 

彼女がそう言ってきたので、とりあえずもう1度謝っておく。

 

「昨日は本当、ごめん」

 

「それで……私に何の用ですか?」

 

彼女がそう聞いてきたので、俺は鞄の中から白崎さんの学生手帳を取り出す。

 

「昨日、ぶつかった時に落としたみたいだから、渡そうと思ったけどもういなかったから今日渡そうと思って」

 

そう言うと、彼女は学生手帳を受け取って

 

「そう、ありがとう」

 

そう言って、本を読み始める。冷めた対応だな……まるで昔の桐里みたいだな。そう思いながら俺も席に着く。

 

あとからクラスの人が教室に来る。だるいーとか帰りたいとか言う声が聞こえる。まだ学校に来たばっかりだぞと思う。

 

しばらくすると先生が来て朝のHRが始まる。後でわかったことだが、白崎さんは男子の中で結構人気がある。なんでも綺麗なところとか、クールなところとかが人気の理由だ。

 

そして結構頭もいい。学年2位だそうだ。1位は桐里らしい。桐里は変なところで負けず嫌いがあるからな。

この前なんかゲーセンに誘ったとき勝つまでずっとやらされた。

 

そして授業が始まって、白崎さんを見ていたが授業をしっかり真面目に受けていた。先生の質問にも的確に答えている。流石学年2位と言ったところか。1位とはまるで違う。

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

「へっくしゅん!」

 

いきなりくしゃみがでる。

 

「桐里、もしかして風邪か?」

 

先生が心配そうに言ってくる。

 

「いえ、大丈夫です。誰かが噂したんでしょう。」

 

そう言うと、クラスの皆が、クスクスと笑う声が聞こえるが小夜は辺りを見回している。その眼には光がない

 

女子が噂していると勘違いしているのか? とりあえず後で何か安心することをしてあげないと

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

一日の授業が終わり、放課後になる。俺は先生に呼ばれて、空き教室を掃除している。何でも、演劇部が使うそうなので、俺が掃除に呼ばれたのだ。早く終わらせて帰らないと。

 

そう思い、早めに掃除をする。うわ、ここめっちゃ埃があるなぁ。

 

そうやっているうちに教室の掃除が終わる。もう外も太陽が沈みかけている。

 

急いで買い物とか行かないと、そう思いながら掃除道具を片付けて、学校を出る。

 

お店に向かって全速力で走る。このままだと特売の時間に間に合うか……? そう思いながら、走っていると何とか3分前に間に合う。なんとか間に合ったか……特売を逃すと痛いからな。

 

お店の中に入ると、既に静かな空気が伝わってくる。これが嵐の前の静けさってやつか……俺はそう感じながら商品コーナーの後ろで待つ。主婦の人やおばちゃんからとてつもない威圧感が出ている。普通の奴ならここでビビってしまい、どこかに立ち去るが、俺は違う。あえてこの場に居続ける。

 

そういう空気が続く中、店員さんが安全な場所に行き大きな声で

 

「特売セールのはじまりでーす!」

 

宣言すると俺達は駆け足で特売セールの商品へと行く。そこには、転けてしまい踏み台にされるものや、押されて外に出された奴もいる。だが俺は屈しない。グイグイと身体を押し込み、商品のところに近づいていく。主婦の人達に押されるが負けじと俺も押し返す。

 

そして遂に、商品コーナーの場所に着いた。そして牛肉と卵3パック、そしてある程度の野菜を取ると急いでレジの所へ向かう。

 

だが商品が取れたところで安心してはならない。取れたとして安心して戻ると、奪い取られる可能性だってある。俺も最初の頃はそれでやられた。だがしかし俺は急いでレジに向かう。途中で行く手を阻む敵が現れるが、難なくそれを突破し、レジに着く。俺の勝ちだ。

 

勝利を確信しながらレジを終えると袋に詰めていく。すると

 

「あっ黄昏さん。」

 

呼ばれた方を見ると朝比奈さんがいた。

 

「朝比奈さんもここで買い物を?」

 

俺がそう聞くと

 

「うん、特売セールを狙ってね」

 

この通りと彼女はレジ袋を見せる。

 

「へぇ~凄いな、特売セールは初めて?」

 

「ううん、子供の頃から桐里君と一緒に行ってたの」

 

へぇ~子供の頃から特売セールに行っていたのか。それじゃあ俺なんかとは実力が違うってことか。

 

そう思いながら質問をする。

 

「ということは、桐里と一緒なのか?」

 

そう聞くと彼女は首を横に振り

 

「今日は家にいるよ。なんか疲れてそうだったから寝てると思う」

 

話しながら袋を詰め終わると袋を持つ

 

「それじゃあ朝比奈さんまた明日」

 

「うんまた明日」

 

そう言いながら、お店の外を出る。すっかり遅くなってしまった。あまり行きたくない道だが、早めに家に着くので裏道から行こう。

 

そう思い、裏道を通る。何故行きたくないかと言うと、ここは暗い道のうえにあまり人が通らないせいで不良がたまりやすいのだ。

 

進んでいくと、やはり誰か絡まれているのか。不良の声が聞こえてきた。可哀想な人だな。こんな道通るから。

 

そう思っていると助けてという声が聞こえる。なんか何処かで聞いたことあるような……

 

そう思いながら壁越しからそっと覗くと、女の子相手に不良三十人と言う大人気ない光景が見えた。しかもその女性は白崎さんだった。

 

そこからは、もう身体が勝手に動いた。レジ袋をそっと地面に置き、卵1パックを開けて卵を一つ取ると不良に投げつけた。

 

見事投げつけた卵が不良の1人に当たり、中身が出ている。

 

「誰だ、お前は!?」

 

不良の1人にそう聞かれたので答える。

 

「たまたまここを通った高校生だが?」

 

うん間違ってないよ。たまたまここ通っただけだよ。そう言うとふざけんなと言われて不良が殴りかかってくる。やれやれ平和に終われないのかな。

 

そう思いながら不良の拳を避わしながら顎に拳を入れると真上に吹っ飛んでいく。それを見た不良たちは数で俺に攻めてくる。やれやれさっきので学べばいいのに。

 

1人目の拳を受け止めて、もう1人が殴って来るので掴んでいた拳を腕に持ち替えて引っ張り殴らせる。そしてその隙にそいつの顔面に拳を食らわせる。

 

倒れ込んだ奴の脚を掴みぐるぐると振り回す。それでバッタバッタと倒れ込む。そして持っていた奴を奥の奴らに投げる。そうやっているうちに1人になる。

 

「あとお前一人だけになったぞ」

 

そう言って不良に近づくと不良は白崎さんの方に近づきナイフを突き立てる。

 

「こっ……こいつの顔に傷を付けたくなければ」

 

そう言っている間に俺は卵を投げつける。その卵が不良の顔に当たって目が見えない間に近づいて殴りつける。

 

良かった。卵を当たらなかった時に備えて二つ持ってきていて。そう思いながら白崎さんの元に行く。

 

「もう大丈夫だよ。白崎さん」

 

安心させるためにそう言うと彼女は俺に抱きつき泣き始める。

 

「もしかして……っ誰も来てくれないかとっ……でも黄昏さんが来てくれたからっ……私あんなにひどいことを言ったのに……っ……!」

 

そう言いながら涙の雫が地面に落ちていく。それを見た俺は、白崎さんの頭を撫でながら大丈夫、大丈夫と声をかける。

 

しばらくして、彼女が泣き止んだあと、家まで送ってあげることにした。

 

お互い無言のまま、白崎さんの家に着いた。白崎さんの家はマンションで扉の前まで一緒に行った。

 

「それじゃ、俺はここで」

 

そう言って帰ろうとしたとき、彼女から、「待ってください!」と呼び止められた。

 

「あの……今日は本当にごめんなさい。冷たい態度をとっちゃって」

 

「それなら別にもう気にしてないよ」

 

「こんな私ですけど、もし黄昏さんがよかったら、その……」

 

そう言って彼女は意を決して俺にこう言った。

 

「付き合ってください!」

 

……えっ夢かな? 俺に春が来るなんて。ちょっと俺の頬を引っ張ってみるか。

 

そう思いながら頬を引っ張るがとても痛かった。―――夢じゃないのか?だったら俺が言えることはひとつ

 

「あぁ、喜んで」

 

そう言うと彼女が泣き崩れ、「よかった……っ!……よかった……!」と言っていた。とりあえず俺は頭を撫でておいた。

 

ちなみに泣き止んだ後 帰ろうとしたら料理を作ると言い出したので折角だからご馳走になった。

 

彼女の料理はとてもおいしかった。しかし、あの調味料を合わせることであんな味ができるとは……勉強になったな。

 

そう思いながら、家に向かって歩く。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

黄昏さんが帰って数分たった。最初は黄昏さんのことは、気になっておらず、冷たい態度で接していたが、学生手帳を私のところに持ってきてくれたのはちょっと嬉しかった。

 

そして不良に絡まれて、危ないところを黄昏さんが助けてくれたのだ。あんな冷たい態度を取っていたのに関わらずに不良達に立ち向かってくれた。

 

そして私に大丈夫だよと言ってくれて思わず泣きついてしまった。そんな私を彼は、泣き止むまで頭を撫でてくれた。私はそのとき思った。あぁ……私彼のことが好きなんだって。

 

そして、私は彼に告白した。もしかしたら断られるかもしれない。何せあんな冷たい態度を取っていたのだ。頭を撫でてくれたのは落ち着かせるためだけであって、告白に断られるかもしれない。そう思っていた。

 

しかし彼は喜んでと言ってくれた。それを聞いてまた私は泣いてしまった。いつから私はこんな泣き虫になってしまったのだろう。そしてまた彼が頭を撫でてくれた。彼が撫でてくれるととても気持ちが落ち着く。

 

夜も遅かったので彼に夕食をご馳走した。彼はとてもおいしいと言ってくれて、全部食べてくれた。

 

何だろう、たった1日しか会ってないのに、こんな関係になるなんてとても信じれない。

 

とりあえず友達に彼氏が出来たというメールを送っておこう。彼女にはとてもお世話になったから。

 

メールを送ると、すぐ返事が帰ってきて『おめでとう! 彼氏はとてもいいよ。心配してくれるし、会えるととても嬉しい気持ちのなるし、とにかく頑張って!』と書かれていた。ちなみに友達というのは、転校生の朝比奈さんである。

 

「ふふっ……早く明日にならないかな」

 

そう言って私はベットに入りゆっくりと眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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