「...もう朝か」
俺は目が覚める。そして俺は昨日のことをおもいだす。小さい頃に別れた小夜がこっちに帰ってきてくれたこと。学校でのことなど次々に頭の中に浮かんでくる。
やれやれ...昨日はいろんなことがあったな...
そう思いながら、スマホを手に取る。すると着信履歴とメールの履歴が900件送られていた。
「ん?……着信履歴とメールが来てるな。誰からだ?」
そう言いながら俺はスマホを操作し確認する。
するとメールと通話の履歴はすべて小夜のものだった。しかも通話は5分おきに掛かってきていてその全てにボイスメッセージが残されている。
「あ~……全く気付かなかったな。……とりあえず聞いてみるか。」
そう思いながら再生ボタンを押す。
『もしも~し、こんな夜遅くにごめんね。ちょっとはなしたくなっちゃって。もし起きてたら私に掛けてきてくれないかな? それじゃ、またね』
そう言いながら電話が切れる音が聞こえ、ツーツーと音が鳴る。
そして俺は続けてボイスメッセージを再生する。
『あれ~もしかして寝ちゃってる? もし寝てたらごめんね。また明日!』
そこでボイスメッセージが終了する。続けて流していく
『もしかして、起きてるのにわざと無視してるとかないよね? ねてるだけなんだよね?』
『まあとりあえず明日、昭の家に行くね!』
等々、明日の予定とかそういうのでボイスメッセージとメールが埋まっていた。
小夜には悪いことをしたかな。そう思っていると、家のインターホンが鳴る。
「は~い、今出ますよっと...」
そう言って扉を開けると、制服を着た小夜が立っていた。
「おはよう、昭♪」
「あぁ...おはよう。」
小夜が挨拶をしてきたので俺も小夜に挨拶を返す。そういえば昨日気付いたのだが、俺と小夜は家が隣だった。その事に小夜は、
「じゃあ、これから毎日遊びに行けるね!」
と言っていた。やれやれ、俺の家に来ても何も楽しくないんだがな。
「昨日は反応出来なくてごめんな。早めに寝てて気付かなかった。」
「いいの! あんな遅くにかけてきた私が悪いんだし!」
俺が謝ると小夜は気にしないでと言いながら、俺を許してくれた。
「そういえば、あまり人前では昭って言うなよ。」
俺がそう言うと目の光が消えて虚ろ目になる。
「何で?」
「前、ちょっとだけやらかしたことがあってな。それで名前を変えたんだ。」
俺がそう言うと、小夜に目に光が戻る
「そうだったんだ……とりあえず一緒に学校に行こうよ♪」
小夜が一緒に行こうかと誘って来る。
「まあいいけど、その代わり俺の友達も来るからな。」
俺がそう言うと小夜はがっかりとして
「ちぇ~まあいいや。」
「まあ支度してくるから、ちょっと待ってろ。」
そう言って俺は扉を閉める。そして、自分の部屋に置いてある鞄を取ると扉を開ける。
「それじゃ行くか。」
「うん♪」
そう言って扉に鍵を掛けて、小夜が俺の腕を組んで歩き始める。
「いきなり引っ付くなよ。」
「いやいや、これは付き合ってる人だったら絶対にやらないといけないの。」
そう言ってぎゅっと力を入れてくる。
「胸が俺の腕に当たってるんだが...」
「別に晧だったら私は構わない。」
「そうですか...」
そう言って俺は何を言っても無駄だと思い諦める。
「そういえば昭の友達ってどんな人?」
「そうだな……食事とか掃除とかに対していろいろうるさくてクラスの皆からはクラスのオカンとか言われていてな」
小夜がそう聞いてきたので俺は正直に答える。
「ふふっそれ面白いね」
小夜がそう言いながら笑う。
「それでその人の名前は?」
小夜がそう聞いてくる。
「黄昏 桜って名前。」
俺がそう返すと、
「えっ...女の人?」
そう言って小夜の瞳から光が消える。
「ねぇ...どういうこと?何で女の人と関わっているの?」
組んでいる腕を強くして、俺の方を見てくる。
「なんで...?どうして...?答えてよ...」
小夜が俺の腕に思いっきり力を入れて組んでくる。すると俺の腕から鈍い音がした。うわっ今ので腕折れた。
「あのなぁ...黄昏は男だ。女っぽい名前をしているが。」
「嘘だ...どうせ男っぽい性格の女性とかでしょ?...」
全く黄昏の名前はよく誤解を生むからなぁ...恨むぞ。そう思っていると、誰かがこっちの方へ走ってくる。
あれは....黄昏みたいだな。
「ごめん、待った?」
「あぁ、お前のせいで待った上に誤解された。」
「誤解って?」
「ああ!」
「いや答えろよ。」
そう言うやり取りをしていると小夜が黄昏の方を見る。
「....本当に男だった。」
「だから言っただろ、男だって。」
小夜はそれを聞いて、しょぼんと小さくなる。
「ごめんなさい...早とちりしてたみたい。」
「わかれば宜しい。」
そう言う会話していると、黄昏が聞いてくる。
「えっと...あなたは?」
「桐里君の彼女の朝比奈 小夜です。宜しくね♪」
俺の腕を組んで小夜がそう言う。
それを聞いて、黄昏が一瞬止まったが、次の瞬間、
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
彼の驚いた声が町中に響いた。