「最近、桐里君の様子がおかしい……」
何だか最近私を避けているように感じる。朝は私より早く学校に行ってるし、昼食の時は一緒に食べてくれないし下校の時は一緒に帰ってもくれないし……今日もそうだったし、しかも何故か知らない女の匂いがスルンダヨネェ……?
「チョット観察してみようかな……?」
そうと決まれば早速行動だね!謎を解き明かさなくっちゃ!
そう思いながら残り少ない授業時間を過ごした。
「桐里君、一緒に帰ろ?」
「今日も急いでるから無理だ……ごめんな」
「急いでるならしょうがないよ」
授業も終わり終礼も済んだので私は桐里君に声を掛けるが断られてしまう。
「……それじゃ、また明日!」
桐里君が歩いて教室を出ていく。……それじゃこっそり付いて行きますか。
私も鞄を持って急いで外を出る。スニーキングミッションの始まりってね、ショータイムだ!
何処ぞの蛇の真似をしながら走る。走っているうちに桐里君を発見する。此処からバレないようにコッソリ尾行していきますか!
物陰とかに隠れながら尾行を続ける。これでも私、小さい頃は桐里君とかくれんぼで1回も見つかったことないんだから!
そして尾行を続けているうちに桐里君の家に付いてしまった。
別に女と待ち合わせとかしてる訳じゃないなぁ……じゃあ何でだろう?……あっ家の中に入っちゃった。仕方ない、この間仕掛けたカメラを見てみよう。
そう思い、スマホのアプリを起動して中のカメラを見てみる。
お風呂場……にはいない……あっ壊された。ちっ……リビングは……既に破壊済みかぁ。
何個か別のカメラ視点を変えてみるもどれも壊されている……くっ……あのメイドめぇ!
そうしていると1個だけ映像が出た。どうやら桐里君の部屋みたい、スマホを弄り出したけど画面を見る限り特に誰とも連絡を取っているわけではないみたい。
『それじゃあそろそろ行かなきゃな……』
桐里君がそう言って謎のアプリを起動する。なんだろ、あれ?そして少し操作をしてあるボタンをおすと桐里君が一瞬で消え……!?
「えっ、何処に行ったの!?」
突然部屋から桐里君が消え、部屋内を見るが何処にもいない。
「どうなっているの……?」
とりあえず、家に帰るしかないかな……?
スマホの電源を切り、歩いて帰ることにした。
昨日、家に帰ってカメラを見ていたけれど桐里君が帰ってきたのは朝であった。けれど何処に行ってるのかが分からないままなんだ……
今日は授業も短縮だし……勝負するなら今日しかないよね!……ん?どうやって桐里君の行く場所を見つけるかって? そんなの簡単だよ、一緒に行けばいいのよ!
でも家に入れないんじゃどうしようもないって? それは大丈夫! 今わたしは、
その矢先、階段を登ってくる音が聞こえてくる。帰ってきたかな?
ガチャリ。と扉の開く音が聞こえると共に桐里君の声が聞こえる。
「小夜が体調不良なんてな……後で御見舞に行くか」
少しだけ襖を開けて様子を見る。なんだか悪いなあ……仮病なのに。
「今日は早めに行って見舞いにいける余裕を作るか」
そう言ってスマホを触り出す。もう少し……もう少し……
少しして桐里君が何処かへ行く最後のボタンを押そうとする。……今だっ!
襖を開けて桐里君に飛び込んで手を伸ばし肩を掴む。すると一瞬で周りの景色が変わった。やっぱり……女の所に行ってたのかな?
「っ!? どうして小夜が此処に……体調不良じゃなかったのか?」
桐里君が私が居ることに驚きながら尋ねてくる。
「ごめんね、仮病なの」
「どうしてこんな事を……」
「最近桐里君がわたしを避けてたから……」
「避けてる……って俺はそんな事は……」
「教えてもくれなかったし、自分で探ることにしたんだ……なんだか桐里君から別の女の匂いもしたし……だからね」
「私にソノ女ヲショウカイシテよ……?」
そう言ってわたしはにっこりと微笑んだ。